ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

香川県(01、実力)

2008年11月17日 | カ行
 小島の浮かぶ瀬戸内海。無数のため池と、にょきっと突き出す緑の小山に彩られる讃岐平野。県の面積も全国最小だが、景色もまさに箱庭のようだ。

 年間降水量が都道府県43位で、大河川もない。この風土が稲以外の商品作物の栽培を促し、讃岐うどんや和三盆糖、手袋など全国区の特産品を生んだ。冷凍食品やカタログ通倍販売のように、県内資本が他に先駆けて開拓した分野も多い。

 地道に働いて貯金する県民性から、世帯当たりの貯蓄現在高マイナス負債現在高は1470万円。東京などより多い。日本一だ。

 そこに商機を見た郊外型大型店の急増で、人口当たり小売り売り場面積は全国2位(2006年度末)に上昇。しかし、県民の財布のひもは固く、人口当たり小売り販売額は過去10年間に2割以上も低下(減少率全国1位)。

 郊外開発と同時に進む車社会化は、人口当たり交通事故死傷者数1位(2006年)という事態も招いた。

 消費活性化には、関西に流出する高級品需要や、県外観光客を引き寄せる、おしゃれで当地らしい街並みの再生が不可欠だ。

 旨みと香りに満ち、嫌みな後味がない。家業にほれ込む若い当主が杉樽で3年かけて仕込んだ醤油を、思わず飲むように味わった。

 高松から高速船で30分程度の小豆島は、醤油のほか素麺や佃煮、オリーブ油など、全国屈指の産品の宝庫だ。団体客に依存する観光地の色彩が強いが、輝く自然や伝統の昧をガイドつきで探訪する「エコツーリズム」も女性と若者が盛り上げる。

 貯蓄が地元での消費に回り、独自の特産品が育ち、それが再び所得を生む。この正常な循環の回復に向けた希望を、この美しい島に見た。

  (朝日、2008年10月11日)
  (地域経済アナリスト藻谷浩介、協力・日本政策投資銀行地域振興部)

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