小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

本 / 『終わった人』 内館牧子  著

2019年06月25日 | 

  
 

商品の説明
内容紹介
定年って生前葬だな。
衝撃的なこの一文から本書は始まる。
大手銀行の出世コースから子会社に出向させられ、そのまま定年を迎えた主人公・田代壮介。仕事一筋だった彼は途方に暮れる。年下でまだ仕事をしている妻は旅行などにも乗り気ではない。図書館通いやジムで体を鍛えることは、いかにも年寄りじみていて抵抗がある。どんな仕事でもいいから働きたいと職探しをしてみると、高学歴や立派な職歴がかえって邪魔をしてうまくいかない。妻や娘は「恋でもしたら」などとけしかけるが、気になる女性がいたところで、そう思い通りになるものでもない。
これからどうする?
惑い、あがき続ける田代に安息の時は訪れるのか?
ある人物との出会いが、彼の運命の歯車を回す──。
シニア世代の今日的問題であり、現役世代にとっても将来避けられない普遍的テーマを描いた話題沸騰必至の問題作

  

ふと手に取った本がこんなに面白いとは!小父さんもリタイアして12年も経ったが傑作だね~。退職直後の状況が小父さんとイクオールではないけど、仕事がある日から無くなってしまうってこういうことなんだろうね!

 その夜、俺は一人で夕食をとった。スーパーで買ってきた刺身、出し巻き卵、筑前煮だ。これにぬるめの燗酒をやる。しみるようにうまい。テレビでニュースを見ながら、ゆっくり一人でとる夕食、悪くない。チンするだけでホカホカの銀シャリになるメシを食い、湯を入れるだけでアツアツの味噌汁になる椀を飲み、これなら妻もいらないなと半ば本気で思った。気を遣うだけストレスがたまる。いい気分になって、締めのブランデーをやるかと立ち上がった時、千草が帰って来た。

 帰って来たか・・・・・・。ふと、夫を鬱陶しがる妻の気持ちが理解できた。(24~25頁)


 いやはや、ここに書き留めたいので今158頁だが、370頁まであるよ。もう政治よりドキュメンタリーより歴史より楽しい!ん?過去に目にした『十二単衣を着た悪魔』は誰だっけ?とめくったらやはり内館牧子さん、おまけに 『寝たふりしてる男たち』もそうだった。あれ、秋田弁がやたらと出てくると思ったら内館さんの出身地だったのか。映画まであったんだ~!小父さんって相当遅れているな~。そうだ、そうだ、つい先日まで朝ドラの再放送 「あさが来た」を、その前は 「刑事コロンボ」を楽しみにしてたんだから!(笑) 


  
 

映画『終わった人』予告編
 
 
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4 コメント

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Unknown (ree)
2019-06-26 02:33:11
へぇ、映画に・・・舘ひろしが主演なんですね~。
西部警察でスーツ姿でバイクに乗ってるのを、めちゃくちゃかっこいいと思いながら観てた人が定年退職したおじさんか(笑)。

高学歴高収入の人ほど再就職が難しいって言いますよね~。

あ、私も思ってます。
父ちゃんが帰って来ると、あ・・・帰って来ちゃった、って(爆笑)。
返信する
Unknown (イジー)
2019-06-26 03:51:01
今日仕事に来ると新しく働き始めたパートのおじさんといっしょになったんです
時間を打ち込むのに困ってらっしゃって
あー この人達に比べたらわたしはまだまだ頭も身体も若いんだ  などと思ったことでした。笑

定年退職してからこうしたパートの仕事に就く人は結構いらっしゃいます
仕事を選ばなければ結構あるものです

我が家も退職後はパートで働くと思います
家でじっとはしていないタイプですね。
私はじっとしていられるけれど できるだけ外に出ようと思っています
社会と触れ合っている事がその後の生活に役立つだろうし


返信する
reeさんへ (小父さん)
2019-06-27 00:31:49
上記の24~25頁の白い字での引用は導入もいいところで
面白可笑しく書かれていましたが、70頁まで読み終わると、とても深い人生論が書かれていました。

いや、舘ひろしさんの名演技も観たいですね。なにしろ内館牧子さんのいろんな掘り下げ方に驚きっぱなしでしたが、「あとがき」には、国際政治学者、岩手の友人知人、脚本家、盛岡弁関連、石川啄木研究家、大震災後にNPOを立ち上げた方、循環器の医師、銀行マン、プロボクシングレフリー、プロレスラー、IT業界の人公認会計士などのアドバイスをいただいたとあり圧倒されました。

いやー、楽しくも読みごたえのある本でしたね。

>高学歴高収入の人ほど再就職が難しいって言いますよね~。

東大法学部で大手の銀行を退職してハローワークから個人企業に面接に行ったら「高学歴で困る」と断られましたね。本人も自分は、つぶしが効かないと自覚していました(笑)

>あ・・・帰って来ちゃった、って

なるほどなるほど。
返信する
イジーさんへ (小父さん)
2019-06-27 00:45:32
>新しく働き始めたパートのおじさんといっしょになったんです

いやー、私も現役でまだまだやれると思っていましたが、現実は「否」なんでしょうね!

>この人達に比べたらわたしはまだまだ頭も身体も若いんだ  

へへへ優越感を持たれましたか。
なにしろ、私も、特にスマホでのテキスト打ちはとても遅いです。

>定年退職してからこうしたパートの仕事に就く人は結構いらっしゃいます

私の知っている人は「シルバー人材センター」の仕事の人がおおいですね。
植木屋さんをよくみます。

>我が家も退職後はパートで働くと思います

私も高専のコンピュタールームの鍵係をやっていたんですよ。
ところが胆のう炎を発症して1ヶ月で辞めることになりました。

>私はじっとしていられるけれど できるだけ外に出ようと思っています

とてもいいことだと思います。
私も、コミュニティセンターという機会がなかったら、いったい何をしていたかな?と想像します。
知り合いも増えて最高の場ですね。

会社OBだけだと世界が狭すぎます。

>社会と触れ合っている事がその後の生活に役立つだろうし

そうですね。
この本はリタイヤする人たちのためにとても考えさせるストーリーです。
そうそう、夫婦関係も見事に描かれています。
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