小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

本 / 『十二単衣を着た悪魔』 源氏物語異聞 内館牧子 著

2012年05月22日 | 
内容紹介
日本では、千年前から男は情けなく、そして女は強かだった……。本家本元よりもリアルで面白い、もう一つの『源氏物語』

就職試験を五十八社続けて落ち、彼女にも振られた二流大学出身の雷。そんな時、弟の水が京大医学部に現役合格したとの知らせが入る。水は容姿端麗、頭脳明晰、しかもいい奴と、非の打ち所がない。雷はアルバイトで「源氏物語」の世界を模したイベントの設営を終え、足取り重く家に帰ろうとするが、突然巨大な火の玉に教われる。気が付けば、なんとそこは「源氏物語」の世界だった。
雷は、アルバイト先で配られた『源氏物語』のあらすじ本を持っていたため、次々と未来を予測し、比類なき陰陽師として、その世界で自分の存在価値を見出す事に成功する。光源氏という超一流の弟を持ち、いつもその栄光の影に隠れてしまう凡人の帝に己を重ねた雷は、帝に肩入れするようになるが、その母親・弘徽殿女御は、現代のキャリアウーマン顔負けの強さと野心を持っていて……。
人間の本質を描き続けてきた内館牧子が描く、本家本元よりも面白い、もう一つの「源氏物語」。 amazon.co.jp


  


 横綱審議委員を10年勤められる中、行儀の悪い横綱・朝青龍関を猛批判したことで名前や顔を覚えたが内館牧子さんの本を読んだことはなかった。検索してみるとテレビの脚本では、大河ドラマ『毛利元就』とか連続テレビ小説『私の青空』とかはよく観ていたものだ。

 この本?いやー、とても面白い。ことに現代の若者の世界をよくもまー、ここまでご存知なことと感心したものだ。その現代の若者の視点で一千年昔のの平安朝の源氏物語の世界を渡り歩くんだから非常に古絵巻が身近に感じられる。というか当時と現代の価値観の共通性も存分に出てくる。

 小父さんはたまたま去年と一昨年の高齢者大学で源氏物語の課業が4日あったので、光源氏以外はちんぷんかんぷんの固有名詞や古語が飛び交っていたのだが、なんだがこの本を読んで薄っすらと全体が流れがつかめた気がする。

 本のラベルにはこう書いてある。「構想半世紀、渾身(こんしん)の書き下ろし小説!日本の女は千年前からしたたかだった。光源氏を目の敵にする皇妃(キャリアウーマン)と、現代からトリップしてしまったフリーターの二流男が手を組んだ。」

 文中のフリーターである俺の弁こそ内館牧子女史の言葉にずっと聞こえていた。光源氏って小父さんも好きになれないね~!。機会があったら彼の流された須磨、明石をまた歩いてみよう。この本のタイトルは映画『プラダを着た悪魔』を見ながらメリル・ストリープと皇妃・弘徽殿女御(こきでんのにょうご)のイメージが重なったんだそうだ。よってこの本は“弘徽殿女御コード”でもあるんだそうだ。
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8 コメント

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Unknown (ree)
2012-05-23 02:46:29
面白そう!
内館さんってペルシャネコを思わせるんですよね~。
たまにTVに出てたりするじゃないですか?
結構好きなんですよ~。

光源氏ってナヨ系のオンナたらし、ってイメージですよね。
現代にいたら、ホストクラブにいそうな感じ。
返信する
こんにちは~~ (r)
2012-05-23 05:08:22
触手にピピッ!と来たので( ´ ▽ ` )ノ
即座にe-bookで検索しましたが…(-_-;)
哀しいかな、見つかりません…残念無念!!

光源氏…のモデルって何方なのでしょう?
源高明、源融…など色々言われはありますが

架空の人物であることは確かですよね
つまりは…現実にあり得ないお方

幽霊の正体見たり枯れ尾花…と同じく
正体みたらガ~ッカリ(~_~;)するのカモ…

返信する
こんにちは (はちきんイジー)
2012-05-23 07:06:39
テレビドラマにしたら

ヒットしそうですね

返信する
ree さんへ (小父さん)
2012-05-23 12:40:22
この本は楽しいです。

>内館さんってペルシャネコを思わせるんですよね~。

ははは
そんな雰囲気もありますね。
怒ったら、怖いと思いますよ~!
横綱審議委員として当たり前のことを真っ直ぐ発言してとても気持ちがよかったです。

>光源氏ってナヨ系のオンナたらし、ってイメージですよね。

高齢者大学で源氏物語に接することが出来たことは嬉しかったんですが、
え~っそんなストーリーだったの~?と思ったのが率直な印象でした。

>現代にいたら、ホストクラブにいそうな感じ

ははは
そんな雰囲気も感じますが、この本には3歳上の長男・朱雀帝/朱雀院と比べて
幼い時からの光源氏の優秀性のこともとくとくと書きつらねてあります。
返信する
レディ婆 さんへ (小父さん)
2012-05-23 13:02:38
>触手にピピッ!と来たので( ´ ▽ ` )ノ

この本この5月の10日に第1刷が出たばかりなんです。
反響が大きかったらいろんなところに出てくるでしょうね。
私はヒットすると思います(笑)
Yahoo!知恵袋によると
「諸説ありますが、源高明(みなもとのたかあきら 914~982)説が有力かと思います。
醍醐天皇の皇子ですが、母親が光源氏と同じく更衣の身分であり幼いうちに臣籍に降ったこと、左大臣にまで出世しながら藤原氏に疎まれ、安和の変で失脚し大宰権帥に左遷されたことも、光源氏が失脚して一時明石に行ったことと共通しています。
高明は失脚後、2年ほどで帰京を許されましたが、その後政界に返り咲くことはありませんでした。
紫式部はこの話を知っていて哀れに思い、失脚後も出世し、架空の準太上天皇という最高の地位を手に入れる光源氏という人物を創り出したのではないか、と考えられています。
紫式部の生年は970年代と推定されており、子供の頃から高明の悲話を聞かされていた可能性が高いのです。
他の有力な説としては源融、藤原道長などがいます。」という回答がありました。

私の受け入れがたい(笑)超プレイボーイの部分はいざしらず、
昨日いろいろと調べていたら江戸時代初期の明石藩主松平忠国も
紫式部の「源氏物語」は大ファンで領内の物語ゆかりの地を次々と特定させて行ったとか。
なんだか、たくさんの支持者がいるんですね!(笑)
返信する
はちきんイジーさんへ (小父さん)
2012-05-23 13:11:09
>テレビドラマにしたらヒットしそうですね

そうですね。
最近、ブログでもとても話題になっていた医者が
タイムスッリプする『JIN-仁-』にもにた雰囲気
があります。

この本が評判になったらテレビドラマ化も間違いないでしょうね。
しかも内館牧子さんは元々テレビの脚本もたくさん書き下ろされていますし、映画やテレビでひっぱりだこになったりして・・・(笑)。

この本は、私自身が書いていますように源氏物語
の入門書の性格も持っていると思います。
返信する
これは面白かったです (私もおじさん)
2012-08-20 15:42:28
私も盆休みにこの本を家で見つけて、一気に読んでしまいました。ネットで検索すると、書感を書いているのはほとんど女性。まあ、そうなのだろうけど、先輩のブログを発見して思わず訪問いたしました。
ともかく面白かったです。途中から少しだれる感はありますが、そういうとこはどんどん読み飛ばして、最後がどうなるのかが、気になって仕方ない。
そんな感じの一冊でした。
返信する
私もおじさんへ(笑) (小父さん)
2012-08-20 17:42:34
ようこそ、私もおじさんさん(笑)

この本は高齢のご婦人には人気がありますね。
今、コミュニティセンターの文庫に属していますので
こんな本にも巡り会えました。
だいたいご婦人が多い世界です。

内館牧子さんくらいの年代の方(作家)は、肩にも力が
入っていずにに楽しいですね。
ふわぁーっと書いてけっこう中身もある、そんな印象
を受けました。

浅田次郎氏の『ハッピー・リタイアメント』にそんな
タッチが似ているなと思いました。

今から芥川賞や直木賞をねらおうかという作家とその
あたりが違う気がします。

書いてある内容は片っ端から忘れますが
この本を読んで「源氏物語」を読んだような気になる私もお目出度いものです。
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