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敗北の号泣に湧き起こった「ウタ」コール フランスでなぜ日本選手に / 毎日新聞

2024年07月29日 | スポーツ
フランス選手の顔を掲げて盛り上がる地元の人たち=シャンドマルス・アリーナで2024年7月27日、平川義之撮影

毎日新聞 2024/7/29 11:12

 連覇への道が断たれると、頭を抱えこんで人目をはばかることなく、号泣した。畳を降りて、コーチに抱きつくと、何かを絞り出すような嗚咽(おえつ)が会場に響いた。両膝を地につけ、立ち上がれなくなったそのアスリートを会場の観客たちは「ウタ、ウタ」と名を呼んで励ました。 

 パリ・オリンピックの柔道は28日、柔道女子52キロ級が行われ、連覇を狙った阿部詩(ウタ)選手=パーク24=が2回戦でディヨラ・ケルディヨロワ選手(ウズベキスタン)に谷落としで一本負けした。会場は開催地フランス人の観客が目立つ。なぜ、日本の選手に声援が送られたのか。

 28日に柔道が行われた、パリ市のシャンドマルス・アリーナ。フランスの国旗を持った大勢の観衆で埋まったが、試合が始まると、外国選手である日本の「スター」を多くの人が認識している光景が現れた。

 この日行われた女子52キロ2回戦。東京五輪金メダルの阿部詩選手が2回戦で負ける波乱の展開となった。泣き崩れる詩選手に向け、会場からは「ウタ、ウタ」と励ましのコールが湧き上がった。

 その後、兄の阿部一二三選手=同=が男子66キロ級決勝に臨み「ヒフミ・アべ!」と紹介のアナウンスが流れると、フランスの国旗を持った観客たちから、ひときわ大きな声援が送られた。一二三選手が鮮やかな一本勝ちで2大会連続の金メダルを決めると、観客はスタンディングオベーションでこれを祝福した。

 シャンドマルス・アリーナでは、この日、フランスの選手が畳に上がると、観客たちは太鼓のリズムに合わせて皆で名前を連呼した。女子52キロ級でアマンディーヌ・ブシャール選手が銅メダルを獲得すると、割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。

 実は、フランスは日本以上とも言える「柔道大国」だ。フランスの人口は約6800万人で、日本の半分ほど。しかし全日本柔道連盟などによると、柔道の競技人口は50万人を超え、日本の約12万人と比べて4倍以上となっている。

 フランスに柔道が伝わったのは約90年前。兵庫県姫路市出身の柔道家、川石酒造之助(みきのすけ)が渡航して柔道教室を開いたとされ、今でも「フランス柔道の父」と呼ばれる。技の名称をフランス語にしたり、習熟度によって帯の色を変えたり、といった工夫で興味を引くようにし、1940年にはフランス柔道協会を設立。柔道教師を育て、各地に道場が設立されるようになった。

 先人の活動に加え、フランス人の精神性と相性がいい、という指摘もある。日本で指導を行う柔道元フランス代表のピエール・フラマン氏は「フランス人は個人主義的だが、仲間と切磋琢磨(せっさたくま)するのも好き。そんなメンタリティーに合っている競技だ」と指摘する。さらに「教育的な競技」という印象も強く、若者に対して競技参加を推奨する雰囲気があるのだという。

 フランスでは今や柔道は五輪でメダルラッシュが期待される競技の一つだ。パリ五輪開会式の最大の見せ場でもあった聖火リレーの最終走者を男子100キロ超級で3度目の制覇を狙うテディ・リネール選手(フランス)が務めたことでもその人気、期待ぶりは明らかだ。

 パリ五輪の柔道は現地時間で8月3日まで連日行われる。選手、観客を巻き込んだ日本、フランス間の「切磋琢磨」にも目が離せない。【パリ黒川晋史、岩壁峻】



 1964年の東京オリンピックの柔道の無差別級で金メダルをかっさらていたアントン・ヘーシンクもフランス人かと思ったらオランダだったのか(汗)。えっ、柔道を統括する国際競技連盟は、スイスのローザンヌにあり、2019年現在、会長はルーマニア系オーストリア人のマリウス・ビゼールなのか。

 ヨーロッパの方が盛んなわけだ。「ウタ、ウタ」コールや阿部一二三の一本勝ちで2大会連続の金メダルで観客のスタンディングオベーションで祝福した意味がやっと分かった(汗)。しかし、たまたま阿部詩が谷落としで一本負けして両膝を地につけ、立ち上がれなくなった様子をライブで観ていたね。
 
 

 阿部詩選手は、2017年2月グランプリ・デュッセルドルフからの優勝が、19回もあったのか。負けたのが信じられなかっただろうね。谷亮子さんが1996年アトランタオリンピックで北朝鮮のケー・スンヒに敗れて座り込んだ時の姿を思い出した。
  
アトランタ五輪柔道女子48キロ級決勝で、ケー・スンヒ(左、北朝鮮)に敗れて座り込む田村亮子=1996年7月、米アトランタ【時事通信社】

 阿部詩選手、ヘーシンクに敗れた神永昭夫さんに、谷亮子(旧姓・田村亮子)さん他諸先輩方もみんな通って来た道だよ。ファイト!

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2 コメント

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Unknown (ごーさん)
2024-07-30 11:53:00
たまたま阿部選手の試合を観ていましたが残念ながらまさかの一本負けでした。
コーチにコーチに抱きつ号泣している姿を見るともらい泣きしてしまいました。
オリンピック目指して毎日練習に練習を重ね努力してきたが一瞬ですべてが無くなった瞬間の気持ちよく分かります。
「ランスは柔道の競技人口は50万人を超え、日本の約12万人と比べて4倍以上となっている」
なるほど会場からウタ声援が湧き上がった意味わかりました。
返信する
常勝 ウタ選手 (小父さん)
2024-07-30 17:38:44
>ごーさんへ
>たまたま阿部選手の試合を観ていましたが残念ながらまさかの一本負けでした。... への返信

私も詩選手が勝つものだと思って見ていましたのでありゃりゃ!と思いましたが、続いての号泣にも驚きましたね。

数ある勝負で負けた後の涙はいろいろ見てきましたが、会場全体に聞こえるような鳴き声には驚きましたね。

詩選手の記録を確認すると・・・
2017年2月グランプリ・デュッセルドルフ52kg級
優勝
2017年10月世界ジュニア選手権大会52kg級
優勝
2017年11月講道館杯全日本柔道体重別選手権大会
52kg級優勝
2017年12月グランドスラム・東京52kg級優勝
2018年2月グランドスラム・パリ52kg級優勝
2018年5月グランプリ・フフホト52kg級優勝
2018年9月バクー世界選手権大会52kg級優勝
2018年11月グランドスラム・大阪52kg級優勝
2019年5月グランプリ・フフホト52kg級優勝
2019年8月世界柔道選手権東京大会52kg級優勝

2019年11月グランドスラム・大阪52kg級2位

2020年2月グランドスラム・デュッセルドルフ52kg級優勝
2021年3月グランドスラム・タシケント52kg級
優勝
2021年5月グランドスラム・カザン52kg級優勝
2021年7月東京オリンピック52㎏級優勝
2022年7月グランプリ・ザグレブ52㎏級優勝
2022年10月タシケント世界柔道選手権大会52㎏級
優勝
2023年5月ドーハ世界柔道選手権大会52㎏級優勝
2023年12月グランドスラム・東京52㎏級優勝
2024年3月グランドスラム・アンタルヤ52㎏級
優勝

とあり2019年11月の大阪2位以外は常勝だったんですね。

それが今回は、「2回戦で敗退」なんて信じれない結果が出てしまった。
オーバーな言い方をすると「死にたい」くらいな気持ちだったのではと思いたくなります。

そのような重圧に耐えたこともない私には想像もつきませんが、私は号泣する姿をずっと見続けていました。

「ウタ、ウタ」と温かい励ましのコールが湧き上がったことに本当に救われました。
全くの世界的なスターだったんだと初めて認識しました。
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