安倍晋三の拉致解決は念頭にない、ポーズだけで解決の意気込みを振り撒いているポーズ番長 でなければ、よっぽどの外交バカ

2019-05-13 12:57:39 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる

 
 西暦2019年2月27日・28日に開催予定のベトナムの首都ハノイでの第2回目米朝首脳会談が拉致・核・ミサイル問題の解決に繋がることを日本政府は期待した。北朝鮮は非核化は段階的に進めるべきで、一方的な非核化はしないと主張、核施設の廃棄の条件としてアメリカに経済制裁の緩和や体制保証につながる朝鮮戦争の平和協定締結に向けた協議を求めていたという。
 
 こういったことが北朝鮮がアメリカに提示した条件だった。一方的な非核化の否定、非核化に向けた段階的な経済制裁の解除、休戦、あるいは停戦状態にある朝鮮戦争の終結宣言。

 一方の当事国アメリカのトランプは西暦2018年12月14日に自身のツイッターに「我々は急いでいない」と書き込み、第2回目の米朝首脳会談を控えた西暦2019年2月19日にホワイトハウスで記者団に対して次のように発言したと言う。「ロイター」(2019年2月20日 06:33)

 トランプ「北朝鮮は核実験を行っていない。核実験がない限り急がない。私はただ北朝鮮の最終的な非核化を見たいだけだ」

 但しトランプは同時に北朝鮮への制裁は当面継続すると発言、記事は、〈トランプ政権は北朝鮮に即時非核化を求めてきた強硬姿勢から態度をやや軟化させている。〉と解説している。

 要するに「即時非核化」という強硬な条件提示から、核実験がない限り非核化まで一定の期間を設けるとする、言ってみれば執行猶予の条件提示へと変化した。北朝鮮側からしたら、自分たちが提示した条件に対するアメリカ側の条件提示の変化に一部制裁解除があるのではないかと期待したとしても無理はないはずである。この期待はトランプが外交的な成果を優先して、安易に譲歩するではないかと懸念する声が出ていたことに対応しているはずだ。

 しかし米朝首脳会談の蓋を開けてみると、北朝鮮の期待通りには行かなかった。と言うよりも、期待は木っ端微塵に吹き飛ぶことになった。

 北朝鮮の非核化の進め方を巡る合意文書を交わすところにまで交渉は進展せず、実質的には交渉は決裂した。トランプは決裂の理由を西暦2019年2月28日、北朝鮮が制裁の全面解除を、いわば条件としたためだと主張。対して北朝鮮側は3月1日にニョンビョン(寧辺)にあるすべての核施設の廃棄と引き換えに国民生活に影響が及ぶ一部の制裁の解除を条件として提示しただけだと反論。

 後者の条件提示が事実としたら、その条件下での完全非核化のプロセスを求めることでトランプは自らの「核実験がない限り急がない」の言葉に合致させることができるし、首脳会談を打ち切る理由にもならないし、プロセスの内容次第で、何を以って一部制裁解除の内容とするかを話し合ったはずである。

 ところが西暦2019年3月30日付「NHK NEWS WEB」記事がロイター通信の報道としてトランプが次の非核化の条件を提示したと報道している。

 ▽核兵器と核物質のアメリカへの引き渡し
 ▽核開発計画の申告や査察の受け入れ
 ▽核開発に関連したあらゆる活動の中止
 ▽すべての核関連施設の撤去
 ▽核開発に関わる科学者や技術者の民間活動への移行

 完全非核化か、経済制裁全面解除かの当初の条件闘争に回帰したことになる。当然、アメリカ側のこの条件のすべてを金正恩が受け入れたなら、経済制裁は全面解除される。だが、会談は決裂した。金正恩側からしたら、完全非核化は呑むことのできない条件提示だったと考えるほかはない。

 日本政府はこの会談決裂を、「北朝鮮の非核化が実現しない状況で経済制裁を解除することはできないということを明確に示した」などと評価する声が上がったという。

 安倍晋三はと言うと、西暦2019年3月5日の参院予算委員会でトランプが首脳会談で日本人拉致問題を提起したこと評価したという。

 安倍晋三「米国がそこまで(拉致問題を)重視していると金委員長も理解しただろう。私は成果と考えている。次は私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と向き合わなければならないと決意をしている」(共同通信

 「私は成果と考えている」は拉致問題の提起を指しているはずである。トランプが制裁解除を一部でも応じるといった安易な妥協をしなかった首脳会談に関して「成果と考えている」なら、拉致問題は経済制裁という条件と深く関わっているゆえに拉致問題の提起を「成果」とすることは矛盾することになる。

 翻って拉致問題の提起のみを取り上げて「成果」とすることは視野狭窄に過ぎ、よっぽどの外交オンチと言わざるを得ない。

 なぜなら、金正恩にとってメインの交渉相手はトランプを措いてほかにはいないからだ。北朝鮮側の階的非核化の条件提示に対してアメリカ側の一部制裁の解除だろうが、段階的解除だろうが、全面的解除だろうが、どのような条件で応じるかの鍵は全てトランプが握っているのであり、拉致解決もトランプの鍵の開け方に応じることになるからだ。

 トランプが北朝鮮の段階的非核化の条件提示を拒否すると同時に如何なる制裁解除の条件提示も拒否した以上、日本だけの考えで制裁解除を発動、拉致解決に向き合おうことができるだろうか。要は日本は交渉相手として従の位置に置かれているに過ぎない。国連安全保障理事会の常任理事国である中国もロシアも、北朝鮮に対する制裁の一部解除を主張している。もしアメリカが一部解除に動いたなら、北朝鮮に対する安保理の制裁決議を動かすことができる。

 そうなれば、日本としても北朝鮮側の制裁に関する条件提示に一定程度のフリーハンドを持つことができて、そのフリーハンドを以ってして金正恩に対して拉致解決の誘い水とすることも可能となる。

 いわば日本側にとっても、北朝鮮側にとっても、拉致問題と制裁問題は密接に連動していて、切り離し不可能となっている。にも関わらず、西暦2019年3月5日付「産経ニュース」記事によると、安倍晋三は「北朝鮮に核兵器や生物・化学兵器を含む全ての大量破壊兵器の廃棄や、日本を射程に収める中距離や短距離を含むあらゆる射程のミサイルの廃棄を求めていく方針に変わりはない」と答弁、「拉致問題はまさに日本の問題だ。日本が主体的に取り組むことが重要で、次は私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と向き合わなければならないと決意をしている。一日も早い解決に向けてあらゆるチャンスは逃さないという基本方針で、解決に向けて全力を傾けていきたい」云々と、大量破壊兵器廃棄の条件提示を行った上で拉致解決のために金正恩と向き合いたいと条件提示している。要するに制裁解除よりも大量破壊兵器の廃棄の方が先だと条件提示し、なおかつ日朝首脳会談を所望したことになる。

 金正恩からしたら、自分に都合のよい条件だけを提示するなとカチンと来たはずだ。

 さらに西暦2019年5月3日、憲法記念日の「産経ニュース」のインタビューで、「先ずは現在の日朝間の相互不信の殻を打ち破るためには、私自身が金委員長と直接向き合う以外はない。ですから条件をつけずに金委員長と会い、率直に、また虚心坦懐に話し合ってみたいと考えています。金委員長が国家にとって何が最善かを柔軟、かつ戦略的に判断できる指導者であると期待しています」と発言したと言う。

 この「条件をつけずに」との発言の意味を安倍晋三は金正恩との会談は「拉致問題の解決に資する会談としなければならない」とかねがね条件提示していたことから、マスコミはこの条件提示の撤回の線で報道しているが、この撤回は金正恩側からしたら、どれ程の意味があるだろうか。

 そもそもからして安倍晋三は北朝鮮に対して「拉致問題の解決に資する会談」のみの条件提示を行っていたわけではない。「全ての核・弾道ミサイル計画の完全かつ検証可能な形で、かつ不可逆的な方法での廃棄」、当初は「対話と圧力」の条件提示だったが、「対話とは北朝鮮にとって我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と「対話のための対話の拒否」に転じ、「国連制裁決議の完全履行」等々を対北朝鮮政策の条件として提示していた。

 当然、安倍晋三の「条件をつけずに」は、これら提示した条件の撤回も含まなければならない。含んで初めて、金正恩にとって安倍晋三との会談に意味を持つことになる。だが、トランプが如何なる制裁解除にも応じなければ、安倍晋三も提示した条件の如何なる撤回も不可能となって、「条件をつけずに金委員長と会う」との条件提示は見せかけと化す。

 言葉ばかりで結果が伴わない政治家のことを産経新聞が「言うだけ番長」と造語したそうだが、政治問題を解決に向けて進める能力があるかのようなポーズを見せる点に関しては立派な安倍晋三は、さながらポーズ番長と言ったところである。ロシアとの北方四島帰属問題にしても、四島返還から二島返還の条件変更の提示にしても、それを以ってしてさも進展があるかのようにポーズだけは見せたが、ロシア側の「先ず日本側が第2次世界大戦の結果を認めよ」の条件提示を微動だにさせることができないでいる。

 いわば、進展があるかのような言動はポーズに過ぎなかった。

 安倍晋三は2019年5月9日の参議院内閣委員会で「前提条件をつけずに」の意味を西暦2019年5月9日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 安倍晋三「北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、次は私自身がキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長と向き合うという決意を従来から述べてきた。『条件を付けずに会談の実現を目指す』とは、それをより明確な形で述べたものだ。

 (朝鮮に対する制裁措置などの対応を変えるのか問われて)そういう方針ではない。朝鮮半島の非核化が進んでいないので、国連決議の厳格な履行を各国に求めているし、日本も行っている。あくまでも拉致問題を解決するうえで、努力として、私自身がキム委員長と話をしなければならないと申し上げている」

 安倍晋三は金正恩が決して受け入れることができない様々な条件提示を行いながら、金正恩と向き合う意思表示を行ってきた。北朝鮮への制裁に関わる「国連決議の厳格な履行」にしても、金正恩には受け入れることはできない条件提示の一つである。

 もしこの矛盾に気づかないとしたら、よっぽどの外交バカ、外交オンチとなる。このことは政治問題を解決に向けて進める能力があるかのようなポーズだけは立派なポーズ番長と対応することになる。

 もし矛盾に気づいていながら、金正恩との会談を願う意思表示なら、拉致解決は念頭にはないことになる。例え念頭にはなくても、そのことを隠すためにポーズだけで解決の意気込みを振り撒いているポーズ番長であることに変わりはない。

 官房長官の菅義偉も日本時間の西暦2019年5月11日にアメリカを訪問、ホワイトハウスでペンス副大統領と会談、核やミサイルの廃棄に向けて国連の安保理決議を完全に履行していくことと拉致問題の早期解決を目指し、引き続き、両国で緊密に連携していくことを確認したと西暦2019年5月11日付の「NHK NEWS WEB」記事が伝えていたが、拉致問題の早期解決と安保理決議の完全履行という相反する条件提示を同時併行させている。

 いわば安保理決議の完全履行を求めれば求める程、拉致の早期解決は遠のくという反比例関係にあることを無視している。反比例関係にあることの北朝鮮側の反応を西暦2019年5月10日付「asahi.com」が伝えている。

 2019年5月9日のスイス・ジュネーブでの国連人権理事会。北朝鮮の人権状況についての審査を行われ、日本は北朝鮮に対して拉致問題の早期解決に向けた具体的な行動を求めた。

 北朝鮮外務省担当者「2002年の日朝平壌宣言のもと、日本人拉致問題は我々の真摯な努力によって根本的かつ完全に解決済みだ」

 北朝鮮側にとっても、日本と同様に安保理決議の完全履行という条件提示と拉致問題の早期解決の条件提示が相反せず、一致させることができるなら、北朝鮮は「解決済み」といった剣もほろほろの態度は取らないだろう。喜々として安倍晋三との首脳会談に臨んで、拉致解決に努力するはずだ。

  にも関わらず、相反する条件提示のもと、拉致問題の早期解決を口にする。どこをどう見ても、拉致解決は念頭にないか、よっぽどの外交バカ、外交オンチか、そのいずれかの答しか見つけることができない。当然、安倍晋三がポーズだけで解決の意気込みを振り撒いているポーズ番長であることは否応もない次の答としなければならない。


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