稲田朋美の“無かった自分の記憶に基づいた”の答弁は重いはずの閣僚の言葉を軽くしていて、辞任に値

2017-03-16 08:29:42 | 政治

 稲田朋美は2017年3月13日の参議院予算委員会で民進党の小川敏夫の質問に、「森友学園理事長籠池泰典の法律上の相談に乗ったこともなければ、事件を受任し、顧問弁護士であったこともない」と答弁、対して小川敏夫が学校法人森友学園訴訟代理人弁護士稲田朋美という文書が裁判所に提出さていると文書を示してなお迫ると、再度相談を受けたことも裁判を行ったこともないと強い口調で断言した。

 この遣り取りを次のサイトから参考までに載せてみる。
 
 《小川敏夫情報》   

 小川敏夫「稲田防衛大臣の御主人も弁護士ですが、稲田大臣の御主人、夫が森友学園の顧問弁護士をしている事実はございませんか」

 稲田朋美「まず最初に、私、この本件の土地売買について何の関係もないんです。私は、何度もここで言っていますように、籠池氏に面識こそありましたが、ここ10年来全く会っていないんです。そして、この森友のこの売買のことが問題になったことも、テレビを見て初めて知りました。

 夫についてのお尋ねですけれども、夫は、私が国会議員になる前もなった後も、一私人で別人格で大阪で弁護士業務をやっておりまして、弁護士ですから、たとえ依頼者が犯罪を犯した方でも弁護活動をするんであります。しかしながら、弁護士業務について守秘義務がありますので、私は、私人であり弁護士をやっている別人格であるところの夫の弁護士業務の内容についてお答えする立場にはございません」

 小川敏夫「防衛大臣にお尋ねしますが、防衛大臣御自身は、この森友学園あるいは籠池氏の顧問弁護士、あるいは法律相談を受けたり、あるいは事件を受任したということはございませんか」

 稲田朋美「これについても何度もお答えしております。

 私は、籠池氏の法律相談に乗ったこともなければ、事件を受任し顧問弁護士であったということはありません」

 小川敏夫「今朝9時から籠池氏の発言がネットで流されているんですが、その発言の中で籠池氏は、防衛大臣と御主人、お二人が顧問弁護士だったと。それから、具体的な訴訟について、大臣に訴訟代理を受けていただいたというふうに述べておりますが、この点どうでしょうか。

 稲田朋美「そういった事実はありません」

 小川敏夫「具体的に防衛大臣の名前が入った裁判所に提出書類も公開されておるようなんですが、防衛大臣は御主人とともに連名でこの森友学園の事件の受任をしたことはないんですか。

 稲田朋美「勿論、共同で事務所をしておりますので、委任状が共同になっていることはあるかも分かりませんが、弁護士の仕事はそれぞれ属人的なものなんです。私は、全く籠池氏、森友氏の事件を受任をしたこともなければ、裁判を行ったこともなければ、法律相談を受けたこともないんです」

 小川敏夫「これ、今入手したばかりで、事前に資料として配付できなかったんですが、平成17年10月11日、学校法人森友学園訴訟代理人弁護士稲田朋美という文書が裁判所に提出されております。大臣の答弁と違うんじゃないですか。

 稲田朋美「確認をしておりませんのでまた確認をしたいと思いますが、とにもかくにも、弁護士というのは、弁護士というのは個人の人的な信頼関係で事件を受任するんです。

(発言する者あり)いや、委員も、委員も法曹をやられていたのでよく御存じだと思いますけれども、事務所の中、大きな事務所の中でも、その担当の弁護士が、その人的な関係に基づいて、そして事件を受任をしてその処理をするわけであります。

私は籠池氏の相談を受けたこともありません。籠池氏の相談を受けたことも、裁判を行ったこともないということでございます」

 このように強く否定していたが、翌日3月14日午前の閣議後記者会見で森友学園の弁護士として大阪地裁に出廷していた記録があったとの一部報道を認めて答弁を修正することになった。記者とのこの遣り取りを3月14日付の次の記事から取り上げてみる。

 「asahi.com」 

 記者「森友学園問題を巡り、稲田大臣の名前が原告側弁護士の名前として記載されていた」

 稲田朋美「私も昨日、いきなり(参院)予算委員会の中で(訴訟資料とされるペーパーを)示されて非常に驚いたが、昨日国会の答弁で申し上げたことも、今まで申し上げてきたことも、まったく私の記憶に基づいて申し上げてきたものだ」

 記者「(2004年の訴訟関係の)記録には、出廷当事者として稲田大臣の名前があるとの一部報道があった。事実関係は。

 稲田朋美「私もそれ、昨日(の参院予算委で)示された準備書面とは違う、裁判所の出廷記録ということで、報道で初めて今朝見て、それについてもしっかり確認はしたいと思うが、裁判所の出廷記録であるとすれば、13年前の抵当権抹消事件だが、第1回の口頭弁論期日だが、その際に担当の夫の都合がつかずに代わりに出廷したことがあるのではないかと、私は今、推測はしている。いずれにしても、13年前の抵当権抹消事件であって、私は記憶に基づいて今まで答弁してきた。そして、13年前の抵当権抹消事件と今の国有地払い下げの事件、この間には全く関係ないし、私もこれも何度も国会で申し上げているが、本件の国有地払い下げ事件に関しては、私は本当に何の関係もない。そして籠池氏とは面識はもちろんあったが、ここ10年ほどお会いしていない。それは10年ほど前、大変失礼なことをされたということがあって、それ以来、私は関係を断ってきているということだ。いずれにしても、本件国有地払い下げの事件については関係がないということだ」

 記者「これまでの国会答弁と食い違いがあるのではないか」

 稲田朋美「私は全く自分の記憶に基づいて、今まで顧問弁護士をやったことも法律相談をしたこともない。また、昨日いきなり示された事件についても、全く記憶が無かったものだったので、そのように答弁した。しかしながら、今日、第1回口頭弁論期日に私が出廷しているという裁判記録があるという報道を受けたので、勿論確認はするが、そうだとすればその抵当権抹消事件、夫が担当していた事件で第1回期日に夫の代わりに裁判所に行ったということはあり得るのかと推測できるなと、今思っている」

 要するに昨日3月13日の参院予算委で小川敏夫が示した文書は準備書面だったから、籠池泰典から法律上の相談を受けたことも裁判を行ったこともないと答弁したが、報道は裁判所の出廷記録があるとしているから、出廷したことがあるのではないかと推測しなければならない。

 但しそのような答弁をしたこと自体は原告側代理人弁護士として出廷したという「全く記憶が無かった」からで、その無かった「自分の記憶に基づいて」答弁したとの物言いで、間違ってはいないと主張するニュアンスとなっている。

 参考までに言うと、ネットで探し出したのだが、森友学園を原告とするその代理人弁護士として出廷した記録の存在を伝えた一部報道とは「東京新聞」の朝刊記事のことだと思う。 

 稲田朋美が言っている「準備書面」とは、これもネットで調べたのだが、民事訴訟法上、当事者が口頭弁論に先立って弁論内容の予告をする書面だそうだ。

 法律に関しては全くのド素人だが、次のような想像はできる。

 弁護人が準備書面を用意するのはその前提として何らかの民事訴訟が存在しなければならない。訴訟が存在し、準備書面を用意した段階でその書面に弁護人としてサインする。

 その後訴訟を断念することになったとしても、少なくとも原告側、即ち森友学園理事長籠池泰典に対して法律上の相談に乗っていなければ、準備書面は用意できない。

 但しそれが文書として表に出ていたということは、あるいは小川敏夫が表に出すことができたということは裁判所に準備書面を提出して訴訟の段階にまで進んでいたことを証明することになる。

 その準備書面を3月13日の参院予算委で小川敏夫から示されたのである。にも関わらず、籠池泰典から法律上の相談を受けたことも裁判を行ったこともないと答弁した。

 最低限、準備書面が存在する以上、秘書を使うなりして事実確認を行わなければならなかったはずだ。

 だが、準備書面だったから、籠池との関係で法律の相談を受けたことも裁判所に行ったこともないと答弁した。

 ここに矛盾を見ない者はいるだろうか。

 また、籠池泰典から法律上の相談を受けたことも裁判を行ったことも「全く記憶が無かった」、そのような「自分の記憶に基づいて」行った答弁だと、自身の答弁を正当化しているが、この正当化を認めたなら、如何なる閣僚も記憶が無かったことを理由に事実と異なるどのような答弁も可能となる。

 3月15日の参院予算委員会では次のように答弁している。「NHK NEWS WEB」(2017年3月15日 12時06分)   

 稲田朋美「出廷したことを確認できたため、訂正し、おわび申し上げた。私としては、自らの記憶に基づいて答弁したものであり、虚偽の答弁をしたとの認識はない。防衛大臣として、国会では誠実に答弁し、また誠心誠意、職務にまい進し、わが国の防衛に万全を尽くしてまいりたい」

 要するに稲田朋美という閣僚は全く記憶が無かった場合、そのような「自分の記憶に基づいて」行った答弁は虚偽の答弁にならないというルールを自らつくっていることになる。

 と言うことは、虚偽答弁は記憶にありながら、その記憶にある事実とは異なることを述べた場合のみとなる。

 当然、例え後で答弁の矛盾を突かれたとしても、「全く記憶が無かった」は虚偽答弁回避可能の鬼に金棒となる。

 百歩譲って、この正当化を認めることにしてみる。

 稲田朋美が準備書面を見せられながら、相談を受けたことも裁判を行ったこともないと答弁したのは3月13日の参院予算委員会。

 この答弁を修正したのは翌日の3月14日午前の上記閣議後記者会見。

 だが、3月6日の参院予算委員会では民進党の福山哲郎と次のような遣り取りをしている。文飾は当方。

 福山哲郎「稲田大臣、いわゆる森友問題の塚本幼稚園の顧問弁護士をしていた、もしくは弁護士の仕事をしていたという話があります。そのことへの事実関係をお答え下さい。議員になる前というお話もありますし、籠池理事長がそのことを話しをしていたということもございましたので、宜しくお願いします」

 稲田朋美私が弁護士時代に森友学園の顧問、だったということはありませんし、また法律的な相談を受けたこともありません。今委員がご指摘になったのは『保守の会』の松山氏が書かれたSNSではないかと推測致しますけれども、今朝『保守の会』の松山氏から私の(議員)会館事務所に対し私が森友学園の顧問弁護士であったとのSNSの記載は間違っていたので、撤回する旨の連絡とお詫びがあったところでございます」

 福山哲郎「私が聞いてもいないことを丁寧なお答え頂いてありがとうございます。そのSNSでは籠池理事長が今稲田大臣が言われた方が言っていたような記録がございますので、籠池理事長の言葉だとすれば、今大臣の言葉と全く異なるわけでございます。

 先日の籠池理事長の会見でも、どういうわけか籠池理事長が他のマスコミでも、ペラペラ真っ向から対立する話をされています。だからこそ、それこそ私は大臣も名誉を傷つけられているわけですし、鴻池議員も、ある意味、真っ向から違うことを言われているわけですから、逆に参考人を呼んで真実を語って頂くということが大切だというふうに思いますので、引き続き籠池理事長の参考人招致を求めたいと思います」

 「保守の会」の松山なる人物がSNSに稲田朋美は森友学園の顧問弁護士だったと記載したが、その記載は間違いだったとして稲田の議員会館事務所に報告と謝罪の連絡があった。

 だからと言って、「私が弁護士時代に森友学園の顧問、だったということはありませんし、また法律的な相談を受けたこともありません」と断言できることにはならない。

 なぜなら、福山がこの答弁を受けて、「SNSでは籠池理事長が今稲田大臣が言われた方が言っていたような記録がございますので、籠池理事長の言葉だとすれば、今大臣の言葉と全く異なるわけでございます」と言って、「保守の会」の松山なる人物が顧問弁護士だったと言っていたことを訂正したとしても、籠池泰典本人が同じようなことを言っているのだと3月6日の時点で指摘している以上、3月13日の参議院予算委員会で小川敏夫に同種の追及を受けるまでに事実確認を行なっていなければならなかったはずだ。

 なぜなら、稲田朋美はいやしくも閣僚である。それも防衛大臣という国の安全保障を直接的に所管する重職に就いている。当然、その言葉は重くなければならない。

 言葉を重くするためには確かな記憶に基いた言葉の発信に心がけなければならない。

 だが、3月6日から3月13日までに6日間の日数がありながら、自身の記憶が確かかどうかの事実確認もせずに「全く記憶が無かった」からと事実と異なる発言を繰返すというのは重くしなければならない言葉を逆に軽くしていたことになる。

 いわば「全く記憶が無かった」と自分の記憶に基づくばかりで、その記憶を絶対として、実際には事実と異なる発言を繰返していた。確かめる時間がありながら、自分の記憶が果たして事実に基づく正しい記憶なのか確かめることもしなかった。

 ということは、閣僚と言う立場にありながら、虚偽の答弁にならないよう心がけなかった。

 このことだけでも、例え100%虚偽答弁ではなかったとしても、閣僚に就いている資格を失う。

 少なくとも稲田朋美は全体的な印象として、何と言葉の軽い閣僚だという印象を多くに与えたはずだ。


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