安倍晋三秘書官柳瀬唯夫の対加計獣医学部新設嘆願等首相官邸面会「記憶の限り会っていない」の意味

2018-04-16 07:50:11 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2015年4月2日に愛媛県や今治市の職員、加計学園幹部が首相官邸を訪れて、加計学園獣医学部新設を嘆願したのか、あるいは既に安倍晋三が加計学園理事長加計孝太郎にか、学部開設の努力を確約していて、その具体的な進め方のお伺いに訪れたのか、官邸側はそのことについての面会記録等、関係書類を廃棄したとして事実関係は不明という態度を取っていたが、面会の事実を記した文書の存在を2018年4月10日付の「朝日デジタル」記事が愛媛県作成の文書という形で政府関係者に渡っていたとスクープした。

 朝日報道後の同2018年4月10日の午後、愛媛県中村知事が記者会見、愛媛県職員の備忘録という形で面会記録が残されていることを認めた。
 
 その面会時の首相官邸での応対者は首相秘書官柳瀬唯夫とされていたが、本人は参考人招致された昨年7月の国会で「記憶をたどる限り」、あるいは「記憶する限りは」会っていないと答弁している。

 柳瀬唯夫参考人招致の2017年7月25日参議院予算委員会 加計学園閉会中審査

 櫻井充「今治市と会ったのがその当時の柳瀬首相秘書官だと、そう言われているんですが、これは事実でしょうか」

 柳瀬唯夫「お答え申し上げます。

 当時、私は総理秘書官として国家戦略特区、成長戦略担当してございました。その関連で内閣府の担当部局と打合せもしておりました。私の記憶をたどる限り、今治市の方とお会いしたことはございません。

 私が秘書官をしていました平成27年の前半までは、そもそも50年余り認められてこなかった獣医学部の新設をどうするのかという制度論が議論されていまして、この後、先生の御指摘のあったよりも多少後に、今、石破4原則とおっしゃった、再興戦略2015というのを纏めて、いわゆる石破4原則というのをそこで書いたわけで、その過程でございまして、制度を具体的にどこに適用するかというふうな話は全く、当時の段階では全くございませんでした。

 したがいまして、この段階でどなたにお会いしても、今治市がいいとか悪いとか、そういうことを私が申し上げることはあり得ないと思ってございます」

 櫻井充「そうすると、簡潔に答えてください、今治市の職員とは会っていますか、その日、会っていませんか」

 柳瀬唯夫「私の記憶をたどる限り、お会いしていないということでございます。

 櫻井充「それは否定されたということでいいんですね」

 柳瀬唯夫「私の記憶する限りはお会いしていないということでございます」

 櫻井充「済みませんが、それは事実としてもう否定したということでよろしいんですね」

 柳瀬唯夫「事実としまして、私の記憶のある限りはお会いしていないということでございます」

 この参議院の閉会中審査の前の日の2017年7月24日柳瀬唯夫参考人招致加計学園衆院予算委員会閉会中審査でも、「記憶」という言葉を枕詞にして会っていないと面会を否定している。

 実際の応対者は柳瀬唯夫だったかもしれない。自分だと証言した場合、その証言は加計学園獣医学部新設認可に安倍晋三が自らの首相の意向として推し進めた公私混同の職権乱用の証言ともなるから、後々の露見を恐れて完全否定はできず、その代用に事実を覆い隠す精一杯の便宜に頻繁に利用される“記憶”という言葉を持ち出したのかもしれない。

 愛媛県職員作成の備忘録には応対者と目されていた当時の首相秘書官柳瀬唯夫の名前と「本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい」等の発言が記されている。

 4月12日の当ブログに参考引用したが、改めて愛媛県職員の備忘録を再引用してみる。

 「福山“龍馬”雅治のブログ」 

報告・伺

獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について
 
27.4.13
                    
地域政策課

1 4/2(木)、獣医師養成系大学の設置について、県地域政策課長・今治市企画課長・加計学園事務局長らが内閣府藤原次長及び柳瀬首相秘書官らとそれぞれ面談した結果は、次のとおり。

《藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11:30》

・要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知。

・政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい。

・そのため、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい。

・国家戦略特区は、自治体等から全国レベルの制度改革提案を受けて国が地域を指定するものであるが、風穴を開けた自治体が有利。仮にその指定を受けられなくても構造改革特区などの別の規制緩和により、要望を実現可能。

・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始。

・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい。

・提案内容は、獣医大学だけでいくか、関連分野も含めるかは、県・市の判断によるが、幅広い方が熱意を感じる。

・獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもしっかり書きこんでほしい。

・かなりチャンスがあると思っていただいてよい。

・新潟市の国家戦略特区の獣医学部の現状は、トーンが少し下がってきており、具体性に欠けていると感じている。

《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15:00》

・本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。

・国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり、要望が実現するのであればどちらでもいいと思う。現在、国家戦略特区の方が勢いがある。

・いずれにしても、自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件。

・四国の獣医大学の空白地帯が解消されることは、鳥インフル対策や公衆衛生獣医師確保の観点から、農水省・厚労省も歓迎する方向。

・文科省についても、いい大学を作るのであれば反対しないはず。  

・獣医師会には、直接対決を避けるよう、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにするとともに、自治体等が熱意を見せて仕方がないと思わせるようにするのがいい。

・加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった。

2 ついては、県としては、今治市や加計学園と十分協議を行い、内閣府とも相談しながら、国家戦略特区の申請に向けた準備を進めることとしたい。

 また、これと併行して、加計学園が想定する事業費や地元自治体への支援要請額を見極めるとともに、今治新都市への中核施設整備の経緯も踏まえながら、経費負担のあり方について十分に検討を行うこととしたい。

 面会の段階で既に「本件は、首相案件となっており」と首相官邸側から説明があったということは安倍晋三が獣医学部開設を「首相案件」と既定していたことを意味することになり、面会側は獣医学部開設の嘆願ではなく、安倍晋三が既に学部開設の努力を確約していて、その具体的な進め方のお伺いに訪れたということになるはずだ。

 このことは柳瀬唯夫が「内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい」と触れている安倍晋三の国家戦略特区で獣医学部新設に関わった藤原豊内閣府地方創生推進室次長の「要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知」との発言からも証明できる。

 要するに愛媛県、今治市、加計学園幹部が首相官邸で柳瀬唯夫に面会する前から安倍晋三は加計学園獣医学部新設実現に向けて密かに動き出していて、藤原豊や柳瀬唯夫、その他に対して実現に向けた指示を出していた。

 となると当然、文書に記されている加計学園理事長と安倍晋三と当時の文科相下村博文の会食は安倍晋三自身は国会答弁で否定しているが、面会は事実で、国会での否定発言は虚偽答弁だったことになる。

 このように見てくると、加計学園獣医学部新設認可は30年来の腹心の友だと安倍晋三自身が述べていた加計孝太郎が理事長の加計学園に対する私的利益供与の公私混同の職権乱用だと分かる。国家権力を私的目的に使った。

 柳瀬唯夫は愛媛県が公表した備忘録に記されている自身の発言をも否定している。

 「NHK NEWS WEB」(2018年4月10日 12時40分)

平成30年4月10日 経済産業審議官 柳瀬唯夫

朝日新聞等の報道に関しまして、以下のコメントをさせていただきます。

国会でも答弁していますとおり、当時私は、総理秘書官として、日々多くの方々にお会いしていましたが、自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません。

自分の総理秘書官時代には、国会でも答弁していますとおり、50年余り認められていなかった獣医学部の新設がどうなるかという制度論が議論されており、制度を具体的にどこに適用するかという段階ではありませんでした。実際、その後、獣医学部新設を追加規制改革項目として、取り上げるかどうかについては、いわゆる「石破四原則」の決定により、検討が開始されることになり、翌年の平成28年11月に、獣医学部新設が国家戦略特区の追加規制改革事項として、決定されたと認識しています。

具体的な地点の選定手続きは、私が総理秘書官の職を離れてかなり時間が経ってから始まり、今治市が特区を活用して、獣医学部新設を行う規制改革が決まったのが平成29年1月だったと認識しています。

したがって、報道にありますように、私が外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません。

 このコメントでも、面会に関しては「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」と「記憶」という言葉を使って面会を否定しているが、「この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません」とこの否定に限っては、「私の記憶をたどる限り」とか、「私の記憶する限りは」、あるいは「私の記憶のある限りは」といった事実を覆い隠す精一杯の便宜に頻繁に利用する「記憶」という言葉は混じえずにストレートに否定している。

 便宜として利用する余裕をなくしているところまで追い詰められているからなのだろうか。あるいは面会に関しては過去の発言と一貫性を持たせるために「自分の記憶の限りでは」の言葉を入れたが、後者の発言にこういった言葉を入れた場合は(「この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることは“記憶する限りは”あり得ません」とした場合は)、これまで「記憶」という言葉の裏側を散々勘繰られ、逆作用が働いて「事実」と同意義に解釈されることになっていたことから、このような経緯を防ぐためにストレートに否定せざるを得なかったからだろうか。

 愛媛県の文書とほぼ同じ内容の文書が農水省にも残されていて、2018年4月13日に農水相が記者会見してその存在を認めた。この文書に関して中村愛媛県知事は、2018年4月13日付「NHK NEWS WEB」記事によると、農水省が公表した文書を県が取り寄せて比較したとした上で前回の文書と同じく、愛媛県の担当者が作成したものであることを認めたと伝えている。

 中村県知事「今回の文書は日付が『4月3日』となっているが、担当者に確認したところ、これは官邸での会議の直後に作られたものだった。先日報道された文書は日付が『4月13日』となっているが、それは私への報告の直前に職員が用意した文書だということだった」

 同じ作成者による文書である以上、「本件は、首相案件」の事実は何も変わっていなかったことになる。但し柳瀬唯夫が実際には面会者と会っていたのか、あるいは「記憶」という言葉を冠して「会っていない」とする面会否定を事実とするかに問題は帰着する。

 実際は会っていたのだといくら騒いだとしても、「記憶」という言葉を冠して「会っていない」とする面会否定の論理を突き崩すことができなければ、文書が示している「本件は、首相案件」の事実も否定され続けることになる。

 柳瀬唯夫が「私の記憶をたどる限り」、「私の記憶する限りは」、さらには「私の記憶のある限りは」と、“限り”という限定条件を付けている以上、“限り”の範囲内、いわば“記憶内”を限定としたその条件内では会っていなくても、“記憶外”を限定とした場合のその条件内では会った可能性があり得るという意味を取ることになる。

 「記憶の限り」という限定条件をつけずに、いわば無条件に「会っていません」と真っ向から全面否定しているわけではないからだ。このことをそのまま裏返すと、あくまでも「限り」という限定条件をつけた限定否定であり、限定否定は、当然、部分的肯定を背中合わせとする。

 と言うことは、愛媛県職員作成の備忘録が愛媛県に残されていて、ほぼ同じ内容の文書が農水省にも渡っていて、そこに愛媛県や今治市の職員、そして加計学園幹部と柳瀬唯夫との面会の様子が記されていて、柳瀬唯夫自身の名前と「本件は、首相案件」等々の発言が記されている以上、これらの記述は「記憶の限り」とする“記憶内”の限定条件に収めることはできない“記憶外”、いわば限定条件外の事実と看做さなければならないことになる。

 このことをも否定するなら、いわば文書に記されている事実の全てを全面否定するなら、柳瀬唯夫は「記憶の限り」という限定条件をつけた全面否定が相対立する概念となることを無視した矛盾、あるいは「記憶の限り」という限定条件をつけた部分否定は部分肯定を背中合わせとする関係を無視した矛盾の納得の行く具体的・論理的説明を果たさなければならない。


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