安倍晋三は長期政権で獲ち取ることになる政治成果を金字塔としたいがために失敗・不都合な事実から目を逸らす裸の王様と化している

2020-03-09 12:09:40 | 政治
 安倍晋三は新型コロナウイルスの感染が徐々に拡大する中、2020年2月27日に唐突に全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の2020年3月2日から春休みまでの臨時休校を要請した2日後の2月29日に感染拡大防止策を巡っての「記者会見」を開いた。冒頭発言後の質疑を二つ取り上げてみる。

 NHK松本記者「チャーター機、クルーズ船対応と、これまで対応が続いてきました。しかしですね、国内では感染拡大の状況が見られます。これまでとは違うフェーズの状況だと言えると思いますが、対応は依然続くとは思いますが、ここに至るまでの政府の対応として反省すべき点についてどのようにお考えでしょうか。

 また、政治は結果だとよく言われます。この結果責任についてのお考えもお聞かせください」

 安倍晋三「今回のウイルスについては、いまだ未知の部分が多い中、専門家の皆様の御意見も踏まえながら、前例に捉われることなく、国民の健康と安全を守るために必要な対策を躊躇なく講じてきたところであります。

 現在、国内では、連日、感染者が確認され、そういう状況でありますが、今が正に感染の拡大のスピードを抑える、抑制するために重要な時期であります。国内の感染拡大を防止するため、あらゆる手段を尽くしてまいります。

 未知のウイルスとの闘いはとても厳しいものであります。その中で、現場の皆さんはベストを尽くしていただいているものと思います。同時に、それが常に正しい判断だったかということについて、教訓を学びながら自ら省みることも大切です。私自身も含めてですね。その上で、そうした教訓を学びながら、未来に向かっていかしていきたいと考えています。

 その上で、私はこれまでも、政治は結果責任であると、こう申し上げてきました。私自身、その責任から逃れるつもりは毛頭ありません。内閣総理大臣として、国民の命と暮らしを守る。その大きな責任を先頭に立って果たしていく。その決意に変わりはありません」

 NHKの松本記者は特にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号内新型コロナウイルス集団感染に関わる政府対応を標的にしてのことなのだろう、「反省すべき点」についてどう考えるのかと尋ねた上に結果責任まで俎上に載せた。

 要するに政府対応は正当ではなかったとする否定的立場から結果責任を取るのかどうなのかと迫った。対して安倍晋三は政府対応が「常に正しい判断だったかということについて、教訓を学びながら自ら省みることも大切です」と言いながら、政府対応の正当性如何に関しては触れないまま、つまり「省みることも」せずに、そのような教訓は何一つ役に立たないはずだが、「教訓を学びながら、未来に向かっていかしていきたいと考えています」と尤もらしさだけを政府対応に装わせている。

 当然、「前例に捉われることなく、国民の健康と安全を守るために必要な対策を躊躇なく講じてきたところであります」云々も正当性如何の判断を依拠させていない「対策」ということになって、以後の政府の対応自体にしても信用できないことになる。

 政府対応の正当性如何について何一つ省みていないことは次の質問に対する答弁にも現れている。 

  AP通信山口記者(記者)「クルーズ船の『ダイヤモンド・プリンセス』では700人以上の乗客・乗員が感染するなど、検疫や船内での感染予防対策にも課題があると指摘されました。
 引き続き、国内でも感染が拡大する中、東京オリンピックを控え、特に日本としての危機管理能力が、今、試され、国際社会から注目されていると思うのですが、これまでのところで得られた教訓はどういうことであり、これを今後どのようにいかしていかれるかということを教えてください」

 安倍晋三「ダイヤモンド・プリンセス号については、多数かつ多様な国籍の方々が乗船する大型客船内でのウイルス集団感染という、初めて直面する事態への対応が求められたところであります。

 クルーズ船の乗客や乗員の皆様に対しては、船内で感染が初めて確認された2月5日から、順次、全員にPCR検査を行うとともに、14日間の健康観察期間を設定し、感染拡大防止に最大限の措置を講じてきました。

 こういった状況の中で、チャーター便対応で得られた知見や、そして船内での感染拡大防止が有効に行われていたという専門家の御指摘も踏まえて、発症がなく観察期間を終了した方々について下船をしていただくという判断をしたところであります。

 国内における感染拡大を受けて、政府においては今が正に感染の流行を早期に収束させるために重要な時期であると認識をしています。対策の基本方針を踏まえて、時々刻々と変化する状況を踏まえながら、地方自治体や医療関係者、事業者、そして国民の皆様と一丸となって、先手先手で必要な対策を総動員して、躊躇なく実施をしてまいる所存でございますが、オリンピック・パラリンピックを控えているところでございますが、バッハ会長がですね、IOCからは、日本の迅速な対応について評価を得ているところであります。

 バッハ会長も、2020年東京大会が成功するよう全力を注ぐと発言をしておられます。我々は、この状況をなるべく早期に克服をし、アスリートの皆さん、観客の皆さんが安心して臨める、安全な大会、そのための準備をしっかりと進めていきたいと、こう考えています」

 AP通信の山口記者にしても、「700人以上の乗客・乗員が感染するなど、検疫や船内での感染予防対策にも課題があると指摘されました」との発言で「ダイヤモンド・プリンセス」号の集団感染に関わる政府対応の正当性如何を否定的立場から俎上に載せた。

 その上で東京オリンピックを控えている現在、「日本としての危機管理能力」が試されているが、これまでの政府対応から学んだ教訓は何かということと、その教訓の危機管理への活かし方を尋ねた。要するに安倍晋三がNHKの松本記者に講釈を垂れた教訓話に信を置いていなかったことになる。

 ところが安倍晋三はNHKの松本記者に対してと同じように政府対応の正当性如何に自ら自身がまともに向き合う謙虚な姿勢を見せることなく、「船内での感染拡大防止が有効に行われていたという専門家の御指摘」を根拠に政府対応の正当性のみを主張、さらに「バッハ会長がですね、IOCからは、日本の迅速な対応について評価を得ているところであります」と、その評価を基に政府対応の正当性を二重に保証、東京オリンピックに向けた自らの危機管理能力に太鼓判を押している。

 政府は「ダイヤモンド・プリンセス」号感染対応では安倍晋三を陣頭指揮に「船内で感染が初めて確認された2月5日から」「14日間の健康観察期間を設定」、その期間内に検査で陽性が出た乗客・乗員は順次病院等に搬送、14日目の2月19日から検査で陰性の乗客を順次下船させていったが、この「14日間の健康観察期間」後の陰性を下船の絶対条件とするためには14日間内に感染ゼロと見ていなければならないし、事実、感染ゼロと見ていた。

 当たり前のことがだ、14日間内の感染の可能性を疑っていたなら、例え下船させたとしても、一定の場所に隔離した上で陰性判定からさらに「14日間の健康観察期間」を設けて、感染の有無を再確認しなければならなかった。

 だが、安倍晋三陣頭指揮の日本政府はそのような措置は取らずに下船後、新幹線やタクシー、その他の思い思いの交通手段を使った帰宅を許可した。その中から、2020年3月6日現在、〈健康観察終了後に下船した乗客・乗員(下船時PCR検査陰性)で、その後PCR検査陽性が判明した6名(但し、外国のチャーター機で帰国後に陽性が判明した者は含まない)。〉と、「厚労省」は下船後の陽性化を伝えている。

 つまり2月5日からの「14日間の健康観察期間」の初期にではなく、中盤から終盤にかけて感染した乗客・乗員が存在していて、14日終了後に陽性反応が出る量のウイルスに成長、各症状が出て、病院の診察を受け、陽性と確認されるに至った。

 この状況は安倍晋三の「感染拡大防止に最大限の措置を講じてきました」の言葉をウソにする。

 「ダイヤモンド・プリンセス」号から自国の乗客を引き取った外国政府は下船後に「14日間の健康観察期間」を設けて、その期間内に陰性から陽性に転じた乗客も出ている。

 厚労相の加藤勝信は陰性の乗客を公共交通機関等を用いて帰宅させた理由を2020年2月15日の「記者会見」で述べている。

 加藤勝信「国立感染研究所は、武漢からのチャーター便1便から3便までのPCR検査の結果、565人が陰性、また陽性の1名についてもウイルス排出量は陰性に近いレベルであったことを踏まえ、14日間の健康観察期間中に発熱その他の呼吸器症状が無く、かつ、当該期間中に受けたPCR検査の結果が陰性であれば、14日間経過後に公共交通機関等を用いて移動しても差し支えないとの見解を示したところであります」

 要するに武漢からの帰国者の例に習って、「ダイヤモンド・プリンセス」号の陰性乗客に関しても同じ方法を取るに至った。集団で隔離させておきながら、「14日間の健康観察期間」中の感染の危険性を些かも疑っていなかった。
 このようなノー天気な危機管理であったにも関わらず、安倍晋三は「船内での感染拡大防止が有効に行われていたという専門家の御指摘」を錦の御旗に自己の危機管理能力を正当化し、さらに「バッハ会長がですね、IOCからは、日本の迅速な対応について評価を得ているところであります」云々とバッハ会長の評価まで取り込んで、自らの正当化の傍証とする。

 何事も自分の目と頭で批判と向き合って、自身の対応の正当性如何を冷静に検証、改めるべき問題点と改めなくてもいい問題点を仕分けして、改めるべき問題点に至った原因を明らかにし、その原因を次の一手の教訓とするのではなく、教訓は口ばかりで、全てを正当化する。自身にも至らない点があるということを素直に認めることができなくて、欠点のない政治家、総理・総裁であることの自己顕示一辺倒に偏った姿勢を貫く。

 このような自己顕示一辺倒の姿勢は自己愛性パーソナリティ障害真っ只中に自己を存在させていることに起因している。自己愛性パーソナリティ障害の自分は優れていて間違いのない偉大な存在だとする思い込みが強いる余裕のない姿勢が国会質疑で批判を受けると、総理大臣でありながら、自席から総理大臣にあるまじきヤジを自らに誘発させることになる。

 また、自己愛性パーソナリティ障害者は常に性善説に立って自己を評価する。自分を自分で性善説で捉えるから、始末に悪い。

 立憲民主党の参議院議員牧山ひろえが船内で乗員が提供した飲食物や乗客の散歩が集団感染の要因の一つとなったのではないかと質した質問主意書に対して3月6日、安倍晋三議長の閣議が、「今回のクルーズ船に関する政府の対応については、今後しっかりと検証していく」としていながらも、乗員は国立感染症研究所などが作成した感染予防策に基づき、飲食物の調理から乗客への提供に至るまで、常にマスクを着けるなどの適切な措置を取っていたとし、乗客に対しては専門家の了解を得て厚生労働省が作成した「船内行動における注意事項」を示し、定期的に散歩などの軽い運動を勧めるとともに乗客同士は2メートルの間隔を取るよう周知していたとする政府答弁書を閣議決定したと、2020年3月6日付
「NHK NEWS WEB」
記事が伝えているが、政府答弁書のこの内容も、下船後の陽性反応の続出から容易に判断できる「14日間の健康観察期間」内の船内集団感染をなかった話にして、安倍晋三率いる政府対応の瑕疵を無視する性善説で成り立たせている。

 安倍晋三が自己愛性パーソナリティ障害を患っていて、自分自身を性善説で立たせている以上、どのような検証であろうと、同根の性善説に立たせた検証しか期待できないはずだ。

 政府答弁書は「ダイヤモンド・プリンセス」号の乗員は「飲食物の調理から乗客への提供に至るまで、常にマスクを着けるなどの適切な措置を取っていた」として船内感染を否定しているが、乗員はマスクだけではなく、手袋までして客室に待機させた乗客に対してルームサービスを行っている。

 ところが、クルーズ船内で船内業務に当たっていた検疫官1人と災害派遣医療チーム(DMAT)の30代男性看護師1人を感染せいている。《クルーズ船内で医療救護活動に従事されている皆様へ》(厚労省/2020年2月14日)と題した記事には検疫官が感染に至った原因を挙げている。

・マスクと手袋を着用していたものの、交換頻度が十分でなかったこと
・手袋を着用したまま目や鼻、口などの粘膜を触れた可能性があること
・検体採取時に使用し汚染物質が付着した可能性のある防護服に必要な感染防護をしないまま接触した可能性があること

 そして結論として、〈厳しい業務スケジュールの中、基本的な感染防護策が徹底されていなかったことが、その後の疫学調査により判明しております。〉としている。

 この検疫官だけではなく、災害派遣医療チーム(DMAT)の30代男性看護師にしても、ウイルス感染に関わるそれなりの専門性を身に着け、その専門性に従って行動していたはずである。いくら忙しくても、この行動基準から離れてはならない。にも関わらず、基本的な感染防護策を徹底することができずに感染させてしまった。

 乗員は常にマスクを着けて適切な措置を取っていた。「厚労省」サイトには、〈乗員については、ほぼすべてに対して講習を行い、症状がない状態で勤務中の乗員に対しても、業務中は必ずマスクと手袋を着用する、手指をアルコール消毒する手指衛生を行う、食事を離れてとる、船内の乗員の各居室への消毒用アルコールの設置など衛生環境の整備を行うことなどを徹底してきました。〉と、講習まで行ってマスクだけではなく、手袋の着用、その他の徹底を謀ったとしているが、感染に対する専門家であるにも関わらず、基本的な感染防護策を徹底できなかった検疫官と看護師が存在することを考えると、乗員たちが果たして俄仕込みの講習だけで、どれ程の専門性を身に着け、どれ程の専門性に従って行動できたとすることができたのか、甚だ疑わしい。

 クルーズ船内ではオープンデッキのある客室乗客のみオープンデッキへの外出が許され、窓やバルコニーのない部屋に滞在する乗客はグループ分けをして時間限定の散歩を許されていて、外出時はゴム手袋とマスクの着用が義務付けられていたというが、乗員が客室にムールサービスに訪れる際も、乗客はゴム手袋とマスクを着用していたのだろうか。手袋をしたまま皿に触れたり、ナイフとフォークを手に取って食事をしたのだろうか。

 乗員が客室から出ていくとき、ドアノブに触れる。乗員が去ってから、そのドアノブを手袋を着用したままアルコールで消毒するよう指導したのだろうか。そしてその手袋の交換頻度を決めて、決められたとおりに交換するように指示していたのだろうか。手袋の着用中はその手袋を着けたまま、目や鼻、口などに触れないように厳しく注意していたのだろうか。

 そうしていたという報道は目に触れないから、そうしていたとは思えないが、いずれにしても陰性で下船後に陽性反応が出た乗客・乗員が存在していたということは「14日間の健康観察期間」中に集団感染が発生していたことは否定できない。

 だが、安倍晋三は常に性善説に立って自己を評価する自己愛性パーソナリティ障害にも災いされて、「船内での感染拡大防止が有効に行われていたという専門家の御指摘」を百万の味方につけて、集団感染から目を背けている。

 自己愛性パーソナリティ障害という姿自体が周囲からの批判や反対を受け入れることができず、事実を見る目を持たない「裸の王様」の姿を取っていることを示しているが、批判に曝される程に自己性善説を失いたくない防御本能から「裸の王様」の度合いを深めていく。

 このことは長期政権にも関係しているはずだ。誰にも真似ができないような任期期間中の政治成果と共に長い任期を記録付けるためにも、いつの日かは任期の終わりを告げる事情についても、誰にも批判されない、惜しまれる終わりを望む関係から、批判を恐れ、批判から退陣に追い込まれることを恐れて、ますます自分自身を性善説に立たせた自己愛性パーソナリティ障害にはまり込んでいく。

 このことは4月に予定していた中国の習近平主席の国賓訪日の延期を3月5日に正式に決定してから、中国と韓国からの日本人を含めた入国者の航空便を成田と関西の2空港到着に限定、中韓発給済みビザ効力の停止を翌日の3月6日に閣議決定と続けざまに発表した水際対策からも読み取ることができる。

 コロナウイルスの感染拡大阻止を優先させていたなら、もっと早い時期に決定すべきをこれらの水際対策だが、習近平訪日延期を境に矢継ぎ早に決定していることはコロナウイルス対策よりも習近平訪日を優先させていたことの何よりの証明であろう。

 いわば習近平国賓訪日を安倍晋三の政治史に残すべき政治的成果として何よりも優先させていた。だが、延期が決まって、批判が高まっているコロナウイルス感染防止の不手際をマイナスの政治成果としない用心から堰が切れたように次々と海外向け水際対策を打ち出すことになった。

 このように国民の生命や生活に影響するコロナウイルスの感染防止よりも習近平訪日を優先させたということは記者会見で「専門家の皆様の御意見も踏まえながら、前例に捉われることなく、国民の健康と安全を守るために必要な対策を躊躇なく講じてきたところであります」と発言していることとは裏腹に習近平訪日が自身の政治史に刻むことになる政治的金字塔に目が奪われていたことを示す。

 安倍晋三が自身の自己愛性パーソナリティ障害が深く関わっていることになる「裸の王様」でなければ、国民の生命・生活よりも自らの政治的金字塔に目が奪わることはない。

 2020年3月1日のNHK「日曜討論」で新型ウイルスに関する「政治の対応」を議論していたが、冒頭、自民党参議院幹事長の世耕弘成が「批判とか糾弾をしている段階ではなくて、行政政府がその能力を存分に発揮できるよう、サポートするべき時期だというふうに思っています」と、安倍晋三に対する批判封じに出たが、間違いは間違いで受け止め、批判は批判として受け止めて、受け止めたマイナスの情報を教訓として活かさなければ、裸の王様が下着姿で街を歩いていることに気づかない振りをした臣下たちのように安倍晋三の取り巻きたちの方からタダでさえ「裸の王様」である安倍晋三の「裸の王様」であることの存在性を一層高めることになる。

 結果、批判には目を向けない「裸の王様」として跋扈させることになる。自己愛性パーソナリティ障害の重症にも繋がり、国民の迷惑となる。

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