野党が間抜けな追及ばかりだから、前川喜平氏が安倍首相に「答弁で私の名前使うな」と言わなければならない

2018-05-18 11:28:06 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 前川喜平前文科省事務次官が安倍晋三が5月14日の衆参の予算委員会での答弁で前川喜平氏に言及していることに対して「(獣医学部新設への関与を否定する材料として)私の名前を使わないで頂きたい」とする抗議のコメントを代理人弁護士を通じて報道機関に出しそうで、その全文を5月15日付「産経ニュース」記事が伝えていた。

 文飾は当方。

 「コメント全文」

 5月14日の衆参両院の予算委員会において、安倍首相は再三にわたり私の名前に言及しましたが、その発言内容は私の事実認識に反するものでしたので、以下の点を明らかにしておきたいと思います。
 1 国民民主党玉木雄一郎衆院議員の質問に対し、安倍首相は、「(加計学園は)ずっと構造改革特区のときから岩盤規制に穴を開けようとしてきたのは事実であります。安倍政権になってからも構造改革特区については安倍政権では4回却下をしているわけであります。そこであの前川前次官ですらですね、前川次官ですら、京産大はすでに出していたんですが、そのことをですね、そのことはまだ準備が十分ではないという認識の上にですね、熟度が十分でないという認識の上に、加計学園しかなかったということをおっしゃっていたわけであります。」と述べましたが、この発言は事実に反します。

 国家戦略特区ワーキンググループが2016年10月17日に京都府・京都産業大学からのヒアリングを実施したこと及びその内容については、その当時私は全く知りませんでした。文部科学省はこのヒアリングに呼ばれていなかったからです。「加計学園しかなかった」という認識は持っていましたが、それは首相官邸や内閣府が初めから加計学園の獣医学部新設を認めようとしていたこと、すなわち「加計ありき」という認識を持っていたということです。2016年10月17日の京産大の提案内容を知らされていない私が、加計学園の提案と京産大の提案とを比較考量することは不可能でした。

 したがって、加計学園と比べて「(京産大は)まだ準備が十分ではない」「熟度が十分でない」という認識を私が持っていたとする安倍首相の発言は事実に反し、極めて心外です。

 2 公明党中野洋昌衆院議員の質問に対し、安倍首相は、「これまでの国会審議を通じて、柳瀬元秘書官のみならず、前川前次官も含め、誰一人として私から国家戦略特区における獣医学部新設について、何らの指示も受けていないことが、すでに明らかになっています。」と述べました(共産党田村智子参院議員の質問に対しても同様の答弁あり)。

 たしかに、私は、国家戦略特区における獣医学部新設について、安倍首相から直接の指示は受けておりません。

 しかし、私は、2016年9月9日に和泉洋人首相補佐官に首相官邸へ呼ばれ、国家戦略特区における獣医学部新設について速やかな対応を求められました。その際、和泉補佐官は「総理は自分の口から言えないから、私が代わっていう。」と発言されましたので、私はこれを安倍首相自身の意思だと受け止めました。

 また、内閣府から文科省担当課に伝えられた内容を記録した文書(「官邸の最高レベルが言っている」や「総理のご意向」と記された文書)からも、私は加計学園の獣医学部の平成30年度新設が安倍首相自身の強い意向だという認識を持っていました。

 したがって、安倍首相が加計学園の獣医学部新設に自分が関与していないと主張するための材料として、私の名前に言及することは極めて心外であり、私の名前をこのように使わないでいただきたいと思います。

 2018年5月15日  前川喜平

 安倍晋三は自身の加計学園獣医学部新設政治関与の否定材料として国家戦略特区諮問会議ワーキンググループ八田座長を初め、民間議員が決定プロセスに「一点の曇りもないと言っている」ことと前川喜平前文科省事務次官が「私(安倍晋三)から何の指示も受けていないと言っている」ことを伝家の宝刀の常套句とし、水戸黄門の葵の印籠さながらに振り回している。

 その一例を2017年10月総選挙の結果を受けた自民党本部での安倍晋三の記者会見から取り上げてみる。

 記者「幹事社、西日本新聞のイトウと申します。森友学園問題や加計学園問題についておうかがいします。

 野党は先の臨時国会冒頭での開催について、『森友・加計隠し』と批判してきました。今回の衆議院選挙の結果は、森友・加計学園問題についてすでに十分に説明し、国民から理解を得られたからだと受け止められているんでしょうか。

 また各種世論調査では、内閣支持率はなお下回っています。この状況にどう向き合っていくお考えでしょうか。

 安倍晋三「この問題については、私の予算委員会、あるいは閉会中審査において、相当時間をかけて、また丁寧に質問にお答えをさせていただきました。その中に於いて、前川(喜平)前次官も含めて、私から依頼された、また指示を受けたという方は1人もいなかったということが明確に明らかになりました。

 そしてまた、特区のプロセスを進めてこられた民間議員のみなさまは、『プロセスには一点の曇りもない』と述べておられました。

 また、ずっとこの獣医学部の新設に信念を持って努力をされてきた、ドアを叩き続けてこられた加戸(守行)前愛媛県知事は、行政が歪められたのではなく、歪められた行政を正したのであると明確に述べておられました。

 こうした、あまり報道されなかった部分も含め、公開審議をすべてご覧になった方には、かなりご理解をいただけたものと思っております」――

 そして安倍晋三はこの伝家の宝刀を一種の魔除けとしているのだろう、今日に至るまで使い続けている。

 2017年10月27日の当「ブログ」、その他にも取り上げてきたが、確かに前川喜平前文科省事務次官は自身が参考人招致された2017年7月24日午前衆院予算委員会閉会中審査で「私自身は、総理から直接伺ってはおりません」と安倍晋三からの指示を否定している。

 前川喜平前文部科学事務次官「この今治市における加計学園の獣医学部の新設の問題につきましては、文部科学省は基本的には内閣府からさまざまな指示を受けていたということでございますので、その結果はペーパーに残っておりまして、その中に、『官邸の最高レベルの言っていること』、あるいは、『総理の御意向と聞いている』、こういう文言があることは御承知のとおりでございます。

 私は、これは事実であるというふうに思っておりますし、そのように恐らくは内閣府の藤原当時の審議官がおっしゃったのであろう。その先のことは、これはわかりません。藤原さんが誰からそれを聞いたのか、それはわかりません。

 私自身は、総理から直接伺ってはおりませんが、しかし、9月9日と記憶しておりますけれども、和泉総理補佐官から、国家戦略特区における獣医学部の新設について文部科学省の対応を早く進めろ、こういう指示をいただきまして、その際に、総理は自分の口からは言えないから代わって私が言うんだ、こういうお話がございました。

 これにつきましては、私は、総理は御自身では言えないのだというふうに思いましたので、そのことについて総理にお伺いするということは考えてもみなかったわけであります」――

 当日、同じく参考人招致された総理補佐官の和泉洋人は、勿論、前川が証言したこのような対応を否定している。

 和泉洋人「いろいろ報道されてございますので、少し丁寧に御説明させていただきます。

 当時、前川さんと私が私の執務室で何度かお会いしたことは事実でございます。そして、記録も残っていないものですから、どういったやりとりがあったかについては確認できません。したがって、今までそういったことをお答えしています。

 しかしながら、今回、参考人として出るに当たって当時を振り返ってみますると、前川さんと当時の私が話す中身としては、この獣医学部の新設か明治日本の近代産業遺産のことだと思います。その際、私は2012年9月まで地域活性化統合事務局長をやっておりました。3年2カ月でございます。構造改革特区も担当してございました。

 したがって、当時からこの獣医学部新設の問題が岩盤規制の象徴であるということは認識しておりました。そのことが今回国家戦略特区の中でやっと動き出すんだという感慨もございました。そこで知らない仲ではない前川さんに来ていただいて状況をお聞きしたわけでございますが、当時、前川さんは余り承知していないようでございました。したがって、私は、事務次官としてしっかりフォローしてほしい、そういったことは申し上げたと思います。

 また、加えて、私は補佐官として特区諮問会議にも陪席し、総理が常々、岩盤規制改革を全体としてスピード感を持って進めるんだ、こういったことを聞いておりました。したがってそういったことについては前川さんに対してスピード感を持ってということが大事だ、こういったことは申し上げたかもしれません。

 今おっしゃった、総理が自分の口から言えないから私が代わりに言う、こんな極端な話をすれば私も記憶が残っております。そういった記憶が全く残っておりません。したがって、言っておりません。(発言する者あり)言っておりません」――

 前川氏の発言は安倍晋三から直接的には依頼も指示も受けていないが、安倍晋三の代理人の役を担った和泉総理補佐官から依頼・指示を受けたとしているのに対して和泉洋人はその否定となっていて、言った、言わなかったで対立する関係を築いている。

 但しここに安倍晋三を親分とし、和泉洋人や柳瀬唯夫、国家戦略特区担当の内閣府次長だった藤原豊や諮問会議を仕切った内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革)だった山本幸三、当時官房副長官だった萩生田光一、諮問会議の民間議員、特にワーキンググループヒヤリングの座長だった八田達夫、その他その他を忠実な子分とした一つの陰謀で仲間を組んだ“悪事の構図、あるいは役割の構図”という見立てをすると、柳瀬唯夫の「首相から指示を受けた面会ではない」も、面会結果について「首相に報告していない」も、適宜「記憶にない」という言葉を使って追及回避、その他の否定、八田達夫の「プロセスに一点の曇りもない」も、和泉洋人の前川氏に対して「総理が自分の口から言えないから私が代わりに言うとは言っていない」も、陰謀を守るための虚偽の発言であって、前川喜平氏のみを安倍晋三一派の親分・子分関係からの仲間外れと考えた場合、陰謀とは無縁の事実の発言と見ることができる。

 この一つの陰謀を中心に仲間を組む“悪事の構図、あるいは役割の構図”は文科省で発見された「獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項」「文科大臣ご指示事項」、あるいは「これは総理のご意向だと聞いている」の文言が記されている(文科)「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」「「10/21萩生田副長官ご発言概要」等々の文書を見れば、嫌と言いたくなる程に炙り出すことができる。

 勿論、各文書に登場する安倍晋三親分と子分の陰謀仲間は「そんな仲間は組んでいない」と否定するだろうし、特に安倍晋三は「組んでいると言うなら証拠を示せ」といきり立つだろうが、それに対して証拠を示すことができなくても、「発見された文書や今までの国会答弁等から利害を一致させている身内と見ないわけにはいかない。そのような身内の証言能力は信用性を担保されているわけではない。安倍総理が信用性を担保できない身内の証言に頼って、『プロセスは公平・公正だ』、『行政が歪められたのではなく、歪められた行政を正したのだ』といくら口を酸っぱくし政治関与を否定しても、信用できる証言とすることはできない」という論理を成り立たせることができる。

 「安倍総理が森友学園疑惑で妻がああ言っている、こう言っていると言って疑惑に関係ないとする証言と同じで、信用性を担保できない証言だけで、ハイ、そうですかと引き下がることができないとの同じなんですよ」と、身内、あるいは仲間の証言を用いた身の潔白説の信用性に疑義を挟む努力ぐらいはしなければならないはずだ。

 対して身内の証言の信用性の怪しさに対して安倍晋三と親分と子分の陰謀仲間を組んだ身内と利害を一致させていない、それゆえに前川喜平前事務次官の証言の信用性を際立たせる。

 安倍晋三の5月14日衆参の予算委員会での「一点の曇りもない」、「前川前次官も含めて何らの指示も受けていないことを言っている」とする答弁は公明党衆院議員中野洋昌に対する答弁だが、5月17日の衆院内閣委員会で立憲民主党の阿部知子に対しても同じ伝家の宝刀を性懲りもなく振り回している。

 同じ与党の公明党議員が性懲りもなく振り回すのを許すのはある種の仲間、身内だから仕方がないとしても、森友疑惑・加計疑惑追及側の野党までが何の策もなく性懲りもなく振り回すのを許している。

 「2018年5月17日衆院内閣委員会」

阿部知子「2016年に於ける何回かの面会のうち、もし総理が加計孝太郎さんから強要を受けたとしたら、これ自身は問題だと思われますか。如何でしょうか」

 安倍晋三「先ず柳瀬総理の秘書官から聞いていなかったということについては既に委員会等でお答えさせて頂いているとおりでございますし、(柳瀬総理秘書官が)なぜこれを私に伝えなかったかということについては柳瀬元秘書官が述べているとおりでございます。

 いずれにせよ、この面会の後柳瀬元秘書官は数カ月後に交代をしているところでございます。そしてまたこのプロセスについてはですね、まさに民間人の皆様が主導して行なわれるのが国家戦略特区でございます。

 勿論私が議長ではございますが、私が議長という名のもとに民間人の皆様が積極的にですね、果敢に議論を行って、岩盤規制に穴を開けていくという仕組みになっているというところでございますが、その座長を務めている八田さんがですね、プロセスには一点の曇りもなかったということであり、八田さんも私や柳瀬さんから全くそうした指示や依頼等がなかったということは既に明らかになっているとおりでございます。

 また前川前次官を含めて私から指示や依頼を受けたことは一人もいないとうことは既に明らかになっているととろでございまして、何の影響も与えていないと、こう思うところでございます。


 いずれにせよ、私と加計孝太郎氏との付き合いに於いてはゴルフ代については私が基本的に私の分は持っていたということはもう既に委員会等で述べているとおりでございますが、食事については私が持ったり、加計氏が持ったり、いずれにせよ、これはポケットマネーで、こういう範囲内ということでございます」

 阿部知子は安倍晋三の加計学園獣医学部新設政治関与否定の常套手段としているこの答弁に対して何らかの直接的な反論を加えもせずにスルーさせている。

 「総理はお仲間がそう言うに決まっていることを繰返し繰返し紹介しているに過ぎません。今のところ、お仲間以外の人でその証言能力の信用性が担保できるのは前川前事務次官のみです。

 このような構図となっているからこそ、安倍内閣の支持率が低下しているのであって、柳瀬唯夫参考人招致の国会答弁『納得できない』が7~80%にも達しているという事実となって現れているはずです」と、どちらが事実を話しているのか、論理的に印象づけることはできる。

 つまり国民は前川前事務次官の国会答弁をこそ、事実と見ている。安倍晋三の国会答弁に限りなく疑いの目を向けている。

 安倍晋三の政治関与の事実を物理的な証拠によって証明できなくても、より多くの国民が納得できる、極めて合理性を持たせた論証によって、少なくとも真の事実を浮かび上がらせることはできるはずだ。

 だが、野党が間抜けな追及ばかりだから、安倍晋三が伝家の宝刀を水戸黄門の葵の御紋の印籠のように振り回すのをいつまでも許している。


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