安倍晋三擁護の大阪地検特捜部国策捜査か、佐川宣寿不起訴処分:供述内容からそのように判断せざるを得ない

2018-06-04 10:38:30 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 森友国有地売却問題で文書記録廃棄に対する「公文書毀棄」、決裁文書改竄に対する「虚偽公文書作成」、交渉データ隠滅に対する「証拠隠滅」の各容疑で告発を受けていた前財務省理財局長佐川宣寿が嫌疑不十分で不起訴処分となった。

 山本真千子大阪地検特捜部長が不起訴処分の場合は開く慣例とはなっていない異例の記者会見を5月31日(2018年)に開いたが、ごみの撤去費について「不適正との認定は困難」と述べたのみで、その額が適正かどうかの見解は示さなかった、学園との交渉記録を廃棄については文書に保存義務はなかった、公用文書等毀棄や証拠隠滅罪には当たらない、国有地値引き額については適正額を特捜部として算出したかどうかも含め、明らかにしなかった等々とマスコミは伝えている。

 政治家の関与については、「お答えを差し控える」と繰返し述べたということだが、関与が認められなければ、なかったと断言できる。断言せずに答えなかったのは関与が認められからであり、それを公表した場合は差し障りが出る政治家が存在するからだろう。このことだけで政治家擁護の、具体的に言うと安倍晋三擁護の国策捜査にしか見えない。

 2018年6月1日付「NHK NEWS WEB」記事が佐川宣寿の大阪地検特捜部に対する供述内容を伝えている。

 佐川宣寿供述内容「去年2月の国会答弁のあと、決裁文書の内容を知り、答弁と合わない記述があることが分かった。『これでは自分の答弁と整合性がつかない』と部下に言った。

 明確な言葉で『改竄しろ』とまでは言っていないが、改竄について部下から報告を受けて了承しており、私が改竄を指示したと言われてもしかたがない」

 記事はこのあと次のように解説している。〈このため特捜部は佐川氏の指示で改竄が行われたと認定したものとみられますが、文書をウソの内容に変えたとまではいえないと判断し不起訴にしました。〉――

 改竄は事実隠蔽の必要性が出来することによって行なわれる。この必要性に迫られて、文書によって表されている事実を隠し、別の事実――ウソを持ってきて取り替える作業を行うことになる。いわば一つの事実を別の事実に変えることが文書改竄の目的となる。

 佐川宣寿は事実隠蔽の必要性を「去年2月の国会答弁のあと、決裁文書の内容を知り、答弁と合わない記述があることが分かった」ことを挙げている。当然、文書改竄の目的は「自分の答弁と整合性」を取るためということになる。

 但し「明確な言葉で『改竄しろ』とまでは言っていない」計画的指示による改竄ではなく、、部下の方で上司の立場を忖度して改竄し、それを了承した結果的改竄だと、自ら罪一等を薄めている。

 このことが不起訴処分の理由の一つになったのかもしれない。

 では、「決裁文書の内容を知り、答弁と合わない記述があることが分かる」までの「去年2月の国会答弁」はどのような記録に基づいて行っていたのだろうか。

 これまでブログに書いてきたことと重なるが、森友学園が大阪府豊中市の国有地取得を財務省近畿財務局に要望を出したのが2013年9月2日。当初は買受けを前提とした貸付け交渉を行い、買受け特約を付した有償貸付契約を近畿財務局と締結したのが2015年5月29日。

 新たに発見された地下埋設物(地下ゴミ)の処理等を巡った様々な交渉を経て、不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地を1億3400万円で財務省近畿財務局と森友学園が売買契約を結んだのが2016年6月20日。

 この余りの格安売却を朝日新聞が報じたのが2017年2月9日。この報道に基づいて2017年2月15日の衆議院財務金融委員会で共産党の宮本岳志が追及。この追及に対して佐川宣寿が政府参考人として出席し、答弁を行っている。

 但し佐川宣寿が財務省理財局長に就任したのは財務省近畿財務局と森友学園が売買契約を結んだ2016年6月20日の3日前の2016年6月17日で、売買契約に至る交渉は佐川宣寿の前任者の迫田英典が責任を担っていた。そして佐川宣寿は理財局長の前は関税局長であり、国有地売却とは何の関わりもない。

 この点からも国会答弁に立つには売買契約の交渉の過程を記した何らかの記録に基づかなければ、いくら有能な官僚と言えども、不可能である。

 勿論、この記録とは決裁文書を指す。そして財務省の説明では決裁文書改竄は2017年2月下旬から4月に本省の理財局で行ったとしている。

 いわば佐川宣寿は売買交渉に何ら関わっていないのだから、改竄前の決裁文書に目を通して、全ての経緯を把握していなければ、国会答弁はできなかった。にも関わらず、「去年2月の国会答弁のあと、決裁文書の内容を知り、答弁と合わない記述があることが分かった」と、明らかに矛盾したことを言っている。

 決裁文書に基づかずに一体どのような記録に基づいて国会答弁を行ったと言うのだろうか。

 2018年3月27日午前中、参院予算委員会で佐川宣寿の証人喚問が行われた

 丸川珠代「では、改めて伺いますが、この森友学園への国有地の貸し付け、ならびに売り払いに総理、および総理夫人が関わったことはないと断言できますか」

  佐川宣寿「私が昨年、勉強して、ずっと一連の書類を読んで、国会で答弁させて頂いた中で言えば、総理も総理夫人の影響もありませんでした」――

 佐川宣寿は言っている。「私が昨年、勉強して、ずっと一連の書類を読んで、国会で答弁させて頂いた」と。

 「一連の書類」とは、決裁文書以外の記録ではないはずなのは断言できる。2018年3月27日の証人喚問では「一連の書類を読んで、国会で答弁させて頂いた」と当然の発言をしていながら、大阪特捜部の取調べに対しては「去年2月の国会答弁のあと、決裁文書の内容を知り、答弁と合わない記述があることが分かった」としているとしたら、矛盾した虚偽発言となる。

 元々の国会答弁自体が決裁文書の記録に基づかなければできなかったことだから、決裁文書の記述と答弁とが合わない箇所が存在したということは、最初からの答弁にウソを混じえていなければ、起こり得ない出来事であろう。

 以下のことも以前ブログで取り上げたが、2018年3月18日放送の「新報道2001」が森友学園国有地売却に即した財務省理財局による局長佐川宣寿使用の国会答弁書作成と安倍晋三や麻生太郎使用の国会答弁書作成の流れを伝えていた。

 ① 野党議員から衆参各委員会に質問書(質問通告)が届く
 ② 財務省大臣官房文書課が財務省理財局(当時課長は佐川宣寿)に答弁書の作成を指示
 ③ 理財局国有財産企画課・課長補佐が答弁書作成
 ④ 理財局国有財産企画課・企画課長の了解
 ⑤ 理財局国有財産企画課・審議官の了解
 ⑥ 理財局国有財産企画課・次長の了解
 ⑦ 理財局長(佐川宣寿)に挙げられ、了解を取る
 ⑧ 財務省大臣官房文書課に上げられる
 ⑨ 財務大臣が関わる答弁の場合は財務大臣秘書官に提出。両者の間で内容や答弁の適否等の検討
 ⑩ 総理答弁の場合は答弁書は内閣参事官に上げられる。
 ⑪ 案件に応じて内閣参事官から首相秘書官(政務・財務・外務・経産・防衛・警察)に上げられ、各秘書官から官房長官、そして首相に伝えられる(以上)

 誰の国会答弁書であろうと、その作成は決裁文書を紐解かなければ不可能であり、それぞれの国会答弁書は内容が共通していなければならないのは断るまでもない。

 ところが、決裁文書改竄の必要性に迫られた。「去年2月の国会答弁のあと、決裁文書の内容を知り、答弁と合わない記述があることが分かった」から、改竄したのではなく、最初から決裁文書の記述とは異なる国会答弁をしていたから、それを隠蔽する必要上、決裁文書の改竄を目的とするに至ったと言うことでなければ、佐川宣寿の一連の発言に整合性を与えることはできない。

 このようにも佐川宣寿の言葉に信用が置けない疑いを指摘できながら、大阪地検特捜部は佐川宣寿を嫌疑不十分で不起訴処分とした。但し政治家の関与については、「お答えを差し控える」との表現で暗に政治家の関与を匂わせている以上、佐川宣寿を救うことによって、安倍晋三をも救うことができる関係から、安倍晋三擁護の国策捜査としか言いようがない。


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