大阪航空局が森友学園の最初は「安倍晋三記念小学校」と命名を予定し、その後「瑞穂の國記念小學院」と名前を変更した、その建設敷地の5190平方メートルを対象に埋まっている廃棄物を1万9500トン、ダンプカー4000台分と推計、その撤去・処理費用を8億1900万円と見積もり、この金額を不動産鑑定評価額9億3200万円から引いた約1億3400万で森友学園に格安で売却された。
この土中産業廃棄物の1万9500トン、ダンプカー4000台分という推計は乳母車みたいに地表を押して使うレーダー探査やボーリング調査に基づいた量だと言う。
この1万9500トン、ダンプカー4000台分について政府側を追及している2017年2月24日の衆院予算委での共産党衆院議員宮本岳志の発言を、「IWJ Independent Web Journal」が伝えている。
宮本岳志「5190平米について、杭を打つところで9.9 メートル、その他のところは3.8 メートルまで、地下に埋まっている廃材などのゴミを全部取り除いて1万9500トン、ダンプカー4000台分の埋設物を運び出し、処理をした場合の計算になっています」
いわば1万9500トン、ダンプカー4000台分は掘り起こした産業廃棄物の総量となる。
では、重機で掘削した土(ど)をどのように分別・処理して1万9500トン、ダンプカー4000台分の産業廃棄物のみを取り除いたのだろうか。
この件に関しても宮本岳志は追及している。
宮本岳志「ではまず、基本的な事実を確認しますけど、近畿財務局及び理財局は、現に、森友学園が、大阪航空局の見積もり通り、5190平米について、杭を打つところ9.9メートル、その他3.8メートルの深さまでの、全ての埋設物を取り除き、1万9500 トンもの埋設物を運び出し、処理をしたことを確認しましたか?」
佐川宣寿財務省近畿財務局理財局長「本件は、まさに不動産鑑定価格から、撤去費用を控除しました時価で売却したものであって、実際に撤去されたかどうかにつきましては、契約上も、確認を行なう必要はなく、詳細については承知しておりません」
前にブログに一度書いたが、麻生太郎も2月23日の衆議院予算委員会で同様の趣旨を述べている。
麻生太郎「既に売却済みだから、実際に撤去されたかどうか契約上も確認を行う必要はないと考えている」
この1万9500トン、ダンプカー4000台分の土中廃棄物処理・撤去費用を8億1900万円と見積もったことに関しては佐藤国土交通省航空局長が「国土交通省には地下の埋設物をよく知る立場にあり、見積もりを行う能力を有する技術系の職員もいたことから、見積もりを行った」と言っているが、推計どおりに実際存在したかどうかは確認していなかった。
役所が調査・推計した1万9500トン、ダンプカー4000台分の土中産業廃棄物が推計通りかどうか、その経験を知見とするためには事後確認が必要なはずだが、その確認作業すらしなかった。
これは一種の責任逃れであろう。
もし1万9500トン、ダンプカー4000台分よりも少なかったら、処理・撤去費用が安く済む分、売却価格に上乗せするという条件をつけるのが常識だが、逆に以後新たに廃棄物が見つかっても国は責任を負わないとする瑕疵担保免責特約が交わされているというのも、一見国側が有利に見えるが、国有地を扱う以上、正確を期す態度を取るべきで、少なかった場合の利益をみすみす捨てることになって、釣り合いを欠く。
いずれにしても不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地が約1億3400万で森友学園に格安で売却された根拠は1万9500トン、ダンプカー4000台分の土中廃棄物が存在すると推計、その処理・撤去費用として見積もった8億1900万円を差引くことになったからであって、8億1900万円という処理・撤去の見積額が妥当な金額であるかどうかは1万9500トン、ダンプカー4000台分の土中廃棄物が存在し、尚且つどのような処理工法を想定し、実際にその処理工法に基づいて工事したかどうかに掛かることになる。
先ずどのような工事方法を用いることを想定して8億1900万円と見積もったかである。
民進党玉木雄一郎が工事業者に聞き取りを行ったのに対して工事業者は掘り出した約2000立方メートルの汚染土のうち半分程度しか敷地外に搬出せず、残りは運動場予定地に埋め戻したと証言、玉木雄一郎はこのことを2017年2月24日の衆院予算委員会で追及した。
この聞き取りに関わる玉木雄一郎の国会での追及をマスコミが報道、森友学園の籠池泰典は校庭に仮置きしただけのことで、撤去・運搬すると塚本幼稚園幼児教育学園のホームページで明らかにした。
そのホームページの下部に埋め戻しではなく、仮置きだと説明するリンク付きのページ名が記されている。表で説明されているが、読みやすくするために表ではない方法で纏めてみた。文飾は当方。
残土処分の時系列まとめ(平成29年2月24日作成) ●H28.2 工事内容 杭工事開始 理由 残土処分数量、金額が未決定の為 掘削残土の状況 杭工事中について、敷地北側に残土を仮置き→杭工事発生土をグラウンド東側に仮置き約1,389m3 ●H28.4.25 工事内容 建物基礎工事開 理由 次工程の基礎工事を行うに際し支障が出る為 掘削残土の状況 建物部発生土をグラウンド東側に仮置き約1331m3 ●H28.8.4 工事内容 建物基礎工事完了 理由は書いてない。 掘削残土の状況 建物基礎工事完了杭と基礎分を合わせて、グラウンド東側に約2720m3仮置き状態 ●H28.11.16 工事内容 作業スペース確保の為の土砂搬出・移動開始 理由 (H28.11.4分科会にて) 現場作業が多忙期に入り、大型車の搬入出路の確保、資材のストックヤードの確保の為作業員車両の駐車スペース等を確保する為 ※予定では分別作業を行い場外搬出する予定でしたが、残土仮置土が予想以上にスペースをとリ、重機や搬入車両が身動きできない状態になりましてフルイ作業を行い搬出できるスペースがない事、 又南側道路からの人出が出来ない(近隣協定)事も搬出、出来ない事も影響 ※上記の状況を踏まえ検討した結果、出来るだけ省スペースで施工出来る手段として、グラウンド東側の普通残土として処分できるであろう土砂をいったん搬出し仮置き土が敷地にしめるスペースを減少させ工事を遂行できるスペースを確保可能かの検討を行う。 ※搬出場所の土質分析調査を行う ※分析調査の結果問題無い事を確認し搬出作業に取り桂トかる事に決定。※現状では分別作業スペースがない為、大型車の搬人出が少なくなるタイミングで分別作業を行う予定に計画変更する。 掘削残土の状況 グラウンド東側の残土置き場の下部を利用して、残土置き場面旭縮小(現状は2730m3仮置き状態のまま) ※報道である、グラウンドの西側では、謡削工事は行われておりません。 H29.2.28頃予定 工事内容 仮置き土の搬出作業開始予定 理由 大型車や建設重機の搬人出車両が少なくなリ分別作業が可能となる。 掘削残土の状況 仮置き土をごみ等混入物と土砂とを分別(スケルトン+人力)し分別した混入物は産業廃棄物として処分行う。 ※分別できない部分はそのまま産業廃棄物として搬出 |
そもそもから言って、「H28.2 」に杭工事を開始した「理由」として、「残土処分数量、金額が未決定の為」と書いてあるうちの「金額が未決定」は工事業者の請負金額がまだ決まっていないという意味だと思うが、杭を打つ個所を9.9メートル掘削し、その他のところは3.8 メートルまで掘削した場合に地下に埋まっている廃材などを全部取り除いた廃棄物量を1万9500トン、ダンプカー4000台分という推計値を出したのであり、その金額を8億1900万円と見積もっているのだから、残土処分数量は既に決まっていて、処理金額は8億1900万円のうちに収まるように手を打てば済むことだから、その金額で決まらないということは少々矛盾している。
「掘削残土の状況」の項目でその残土をグランド東側に仮置きすること自体、掘削と同時にその土を分別にかける工事方法を採っていなかったことになるばかりか、掘削したときのままの産業廃棄物混じりの土をダンプに積んで産業廃棄物処理場に運び、そこで分別して残った土を埋め戻し土として使うために現場に搬入するか、産業廃棄物としてそのまま処理場に運び入れることだけのことをする、いずれかの工事方法も採用していなかったことになる。
ところが、「H28.11.16 工事内容」では、「作業スペース確保の為の土砂搬出・移動開始」となっている。その理由として、「予定では分別作業を行い場外搬出する予定でしたが、残土仮置土が予想以上にスペースをとリ、重機や搬入車両が身動きできない状態になりましてフルイ作業を行い搬出できるスペースがない事」としている。
と言うことは、既に述べたように仮置き場に土を搬出するのと同時に併行して順次分別作業に取り掛かる工事方法ではなく、仮置きしてからフルイ作業で分別して搬出する予定が、「残土仮置土が予想以上にスペースをとリ、重機や搬入車両が身動きできない状態」になったために「作業スペース確保の為の土砂搬出・移動開始」を始めたことになる。
この手間の悪さはどういうことなのだろう。
この「フルイ作業」という文字と、玉木雄一郎が工事業者からの聞き取りで埋め戻したのではないかと疑われてから、仮置きしただけだと釈明、その証明のために2017年2月28日から行うことになった「仮置き土をごみ等混入物と土砂とを分別(スケルトン+人力)し分別した混入物は産業廃棄物として処分行う」とした文言のうちの「(スケルトン+人力)」という文字から、マスコミの記事の動画でも紹介されていたが、最初からスケルトン重機、いわば篩バケット付きの重機で分別する工事方法を採る予定でいたことが分かる。
当ブログでも篩バケット付きの重機について何度か書いてきたが、改めてその重機が作業している動画をYouTubから引用してここにのせてみる。
この重機は作業効率が決して良いとは言えない。少なくとも1万9500トン、ダンプカー4000台分の廃棄物相手では現場に持ち込んで分別を行うことのできる自走式分別機 フィンガースクリーンと比較したら、段違いの効率の悪さしか発揮できないはずだ。
「自走式スクリーン」というネットのページに、「毎時400トンの処理能力を持つ」と書いてある。
機械の型式によって少々の違いはあるだろうが、ゴミ混入率は47.1%だそうだから、廃棄物の種類によって密度が異なるものの、廃棄物混じりの土を単純計算で約2倍と仮定、1万9500 トンを3万9000トンと見て、3万9000トン÷400トン=97.5時間÷1日実働6時間=16.25日 多目の計算だから、2週間で十分に終えることができる。
現場で行うために篩い分けられた土は埋め戻しに使うことができ、残った1万9500トンは分別費用を除いた処理費用のみで産業廃棄物処理場に引き取って貰うことができて、コストをかなり下げることができる。
なぜなら、1万9500トン、ダンプカー4000台分の廃棄物を掘削したままの土混じりで運搬したなら、廃棄物混入率47.1%換算の3万9000トン、ダンプカー8000台分の運搬が必要になるが、現場で分別した場合、土中埋設推計量1万9500トン、ダンプカー4000台分の運搬で済む計算になるからだ。
勿論、篩バケット付きの重機(スケルトン)で現場で分別しても、産廃処理場への運搬は同じ1万9500トン、ダンプカー4000台分で収まるが、結局は作業効率の悪さから、分別が間に合わず、グランド東側に仮置きという余分な工程が加わることになった。
では、自走式スクリーンの利用料はどのくらい掛かるのだろうか、ネットを調べてみた。次のページから一部を抜き出してみる。
「NETIS 新技術情報提供システム」(国土交通省)
●VR512-2型自走式スクリーン〔振動スクリーン(2分別)〕
基礎価格(千円) 32,000
共用1日当り換算値 損料額(円) 83,200円
●VR512-2型自走式スクリーン〔振動スクリーン(3分別)〕
基礎価格(千円) 46,700
共用1日当り換算値 損料額(円) 121,400円(以上)
前者は「2分別」の分別機、校舎は「3分別」の分別機。
「基礎価格」とは国内に於ける標準仕様による機械の実勢取引価格を言うということで、その実勢価格に基づいて利用料が決められるから、基礎価格そのものが利用料に付け加えられるわけではない。
また、「VR512-2処理費用は、後述する機械損料より算出した」との記述がある。但し処理費用何円との記述はない。機械損料額がそのまま処理費用を示すはずだ。この費用以外にオペレーターの人件費が加わるのだろう。
「損料」とは機械の損耗代金を指す。その損耗代金が減価償却費となる。大体その機械を何回使うことができ、その全体の損耗代金が減価償却費となって機械代をペイすることができるが、これでは利益がないことになるから、一般的には損耗代金に利益を上乗せしてある。
ページ添付の画像を載せておいた。
「処理能力=240m3/日」と立方メートルで出ているから、1万9500トンに応用はできない。上記の「毎時400トンの処理能力」に頼るしかない。2週間で作業を終えることができると仮定すると、後者の「3分別」の分別機の場合、121,400円✕14日=1699600円。多く見積もって、200万円で済む。
何のために廃棄物処理のスクリーンが自走式かと言うと、作業ヤードを確保できれば、現場に持ち込んで作業することによって分別のコストを下げ、尚且つ工事の作業効率を上げることができるようにするためである。
産業廃棄物が混じった土をダンプで自走スクリーンを備えた産廃処理場に運んで処理・分別し貰うより、産廃のみを持ち込んだ方がコストを下げることができる。ダンプの運行回数を減らすことができるからだ。
なぜ国土交通省や近畿財務局、大阪航空局は 自走式スクリーンを使った分別・処理の工事方法の採用に基づいた廃棄物の処理費用の見積りを行わなかったのだろうか。
だが、森本学園は分別の効率が悪く、時間の掛かる篩バケット付きの重機(スケルトン)を用いる工事方法を採用した。
仮置きした土を篩バケット付きの重機(スケルトン)を用いて分別する動画をマスコミは流したが、その様子を見ても効率の悪さは一目瞭然で、森本学園がホームページで示した上記「残土処分の時系列まとめ」には「(スケルトン+人力)」となっていたが、実際に土嚢袋を持った作業員が手で廃棄物を拾っていた。
自走式スクリーンなら機械が一括して処理する作業をこの人手に頼る効率の悪さからも、1万9500トン、ダンプカー4000台分の廃棄物、廃棄物混入率47.1%で計算すると、廃棄物混じりの土の処理量は単純計算で約2倍の3万9000トン、ダンプカー8000台分の分別・処理に人手作業の工程を加えていたこと自体がおかしな話となる。
3万9000トン、ダンプカー8000台分を果たして篩バケット付きの重機(スケルトン)を10台、20台並べても効率よく処理できる量だとすることができるだろうか。
処理できなかったから、掘削したままの土の状態でグランド東側に仮置きしなければならなかったと言うだろうが、それ以前の問題として、専門の工事業者がついていながら、土と産業廃棄物混じりの総量約3万9000トン、ダンプカー8000台分の分別・処理に篩バケット付きの重機(スケルトン)を用いた工事方法をそもそも採用したことである。
このことは役所側が廃棄物を分別・処理するに最善の効率が期待できる工事方法を想定して8億1900万円という見積もり金額を果たして算出したかという問題にも関わってくる。
このような効率の悪い工事方法を採用したこと自体が1万9500トン、ダンプカー4000台分もの廃棄物が土中に存在していなかったとしなければ整合性を見い出すことはできない。