安倍晋三の持つべき常識からして事後の会計処理のみならず、一人宛会費を5千円に値引きの意図的な利益供与への関与は当然視される

2021-01-04 11:29:45 | 政治

 安倍晋三主催の「桜を見る会」前夜の安倍後援会事務所主催懇親会は一人宛会費5千円となっていたが、野党は会場となったホテルの規模から言って5千円では安過ぎる、安倍晋三側が差額分を補填した疑いがあることと懇親会の収支が政治資金収支報告書に記載がないことから、政治資金規正法に違反しているのではないかと2019年11月から国会で追及を始めた。補填した場合、選挙区内の有権者に対する利益供与となる寄附に該当、公職選挙法違反となる。

 対して安倍晋三は最後の最後までホテル側から5千円分のサービスしか受けていないと補填を否定し続けた。

 政治資金収支報告書に記載がないことについての追及に対しては安倍晋三は「収支報告書への記載は収支が発生して初めて義務が生じるが、懇親会の会費はそのままホテルに渡していれば収支は発生しないので、政治資金規正法上の違反には全く当たらない」と一人宛5千円の会費の遣り取りで終わったと主張、政治資金収支報告書記載義務違反の指摘を否定した。

 以上のことを明らかにするために野党側は見積明細書や請求明細書といった類いの明細書の提出を要求したが、ホテル側は発行しなかったと主張、いわば無い袖は振れないの形で押し通した。

 但し安倍晋三の「桜を見る会」に関する一連の国会答弁についてマスコミの世論調査では「納得できない」、「信用できない」が70%前後を占めるに至った。結果、弁護士グループや市民団体、憲法学者等が安倍晋三自身と政策秘書等を政治資金規正法違反などで検察に告発、東京地検特捜部が捜査に入った。

 「桜を見る会」国会追及から約1年経過した2020年11月下旬頃からマスコミが主に特捜や自民党内部からのリークなのだろう、関係者の話として「桜を見る会」前夜の安倍晋三後援会パーティ(懇親会)一人宛5千円会費に不足があり、その不足分を後援会側が補填していたと報道。その事実を安倍晋三の政策秘書等が認めるに至った。つまり野党の追及は的を得ていた。但し一連の国会審議を通して安倍晋三自身を政治資金規正法違反や公職選挙法違反で追い詰めることはできなかった。

 2020年11月25日付「asahi.com」記事に2015年から2019年までの5年間の「夕食会の費用総額と会費及び補塡額の内訳」が記載されている。ちょいと拝借して、画像にしてここに載せておくことにした。

 「桜を見る会」前夜の懇親会は2013年から一人宛会費5千円で開催してきたとマスコミは報道している。常識的には2013年から補填されてきたはずだが、2015年以降の補填額しか出ていない。不足分の補填額は150万円以上から約250万までの間となっている。不足分は議員会館にある事務所の金庫から集金に訪れたホテル担当者に現金で支払っていたとマスコミは伝えている。

 要するに一人宛会費の5千円は見せかけで、ホテル側から5千円以上の一人宛サービスの提供を受けていた。一人宛会費を一人宛サービスよりも安く見積もっていた。それを毎年続けていた。当然、意図的な利益供与となる。5千円で安倍晋三の「桜を見る会」前夜祭と銘打った懇親会に参加できたことの虚栄心と満足感で後援会員の安倍晋三支持をしっかりと固める意図があったことからの豪華な格安サービスといったところか。

 安倍晋三は昨年末に国会答弁に備えるために秘書に「5千円以外に事務所が支出をしていないか」と尋ねたところ、秘書は「懇親会が始まった2013年に政治資金収支報告書に会の収支を記載していなかったため、事実と異なる内容を安倍氏に答弁して貰うしかないと判断」、「5千円以上の支出はない」とウソの説明をしたと報道している。

 秘書というものは雇い主に対して従属関係にある。雇い主が秘書に対して従属関係にあるということは聞いたことはない。秘書が持つ神経は雇い主に対する従属性に馴染んでいなければならない。ところが安倍晋三の政策秘書はいくら安倍晋三に長年忠実に仕えてきたとしても、天下の総理大臣に国会でウソの答弁をさせることのできる、従属性を蔑ろにした神経を有していたとは俄には信じられない。

 信じられないことだが、秘書は安倍晋三に国会でウソをつかせた。そのウソの報告に基づいて安倍晋三自身は事実と異なる国会答弁を繰り広げていただけという本人の説明となる。見積明細書や請求明細書といった類いの明細書に関する答弁も伝聞形式で発言しているから、秘書のウソの報告に基づいて発言していたことになる。当然、安倍晋三自身は会費に関わる意図的な利益供与に関わっていなかったということになる。

 この本人の説明は一人宛会費5千円を上回る一人宛サービスがホテル側から提供されていたことも、その差額をホテル側に支払っていたことも、収支報告書に記載の必要が生じていながら、記載していなかったことも自身は一切関知していなかったという説明にまで広げていることになる。

 勿論、説明と事実が異なるケースがゴマンと存在することは周知の事実となっているが、説明と異なる具体的な事実を見つけ出さない限り、説明が事実という体裁を取り続ける。
 
 安倍晋三は特捜の任意聴取に対して同様の説明をしたのだろう。結果、公設第一秘書は政治資金収支報告書に約3000万円の懇親会の収支を記載しなかった政治資金規正法違反の罪で略式起訴されたものの、真の標的である安倍晋三本人に対する告発は不発に終わり、「不記載を把握していたり、共謀していたりする証拠は得られなかった」、つまり全ては秘書たちがやったこととして嫌疑不十分で不起訴、無罪放免となった。政治資金規正法違反も犯していなかったし公職選挙法違反も犯していなかった。

 安倍晋三は一連の報道を受けて、2020年12月24日午後6時から事実と異なる答弁を続けてきたことに対する釈明記者会見を開き、翌12月25日には衆参議院運営委員会で虚偽答弁修正の機会を与えられた。記者会見の発言を「産経ニュース」(2020.12.24 18:39)記事から安倍晋三が目的としている発言を取り敢えずは一つまみして、後で明細書に関しての発言を見ることにする。

 安倍晋三「こうした会計処理については、私が知らない中で行われていたこととはいえ、道義的責任を痛感しております。深く深く反省するとともに、国民の皆さまに心からおわび申し上げます」

 要するに秘書が全てやったことで、私は一切関知していなかったとのこの発言に記者会見の全目的を置いているはずだ。勿論、「私が知らない中で行われていた」は安倍晋三自身の事実に過ぎないが、誰もが認める既成事実化に向けた意図の元の発言なのは当然のことである。

 安倍晋三「事務所に幾度も確認をし、当時の私の知る限りの認識の限りのご答弁させていただいたつもりであります。しかしながら、結果としてこれらの答弁の中には、事実に反するものがございました。それが故に国民の皆さまの政治の信頼を損なうこととなってしまった。

 このような事態を招いてしまったことに対し、当時の行政府の長として、また政治資金については本来、率先して襟を正さなければいけない自民党の総裁として、そして何より国民を代表する一国会議員として、国民の皆さまに、そして野党全ての国会議員の皆さまに対し、深く深くおわび申し上げたいと思います」

 「事務所に幾度も確認をし、当時の私の知る限りの認識の限りのご答弁させていただいたつもりであります」も、「秘書が全てやったことです」の言い替えに過ぎない。だから、「それが故に国民の皆さまの政治の信頼を損なうこととなってしまった」という繋がりとなる。政治の信頼を国民に損なわせることになった責任は秘書の雇い主である安倍晋三自身が負うべきであって、その自覚もなく、責任を秘書のウソの報告に置いているから、「政治の信頼」の失墜をその結果とさせているに過ぎない。

 一般的ケースなら、他人のウソを鵜呑みにしてきた場合は自身の常識の程度(世間知らずと言い替えることができる)に恥じ入るものだが、安倍晋三にはそれが一切ない。秘書と共謀して補填が必要となる格安の会費設定を承知の上で懇親会を開いてきたとしたら、秘書のウソを鵜呑みにした自身の常識の程度に恥じ入るプロセスは生じない。

 このことは衆参議院運営委員会終了後に記者に問われて、「説明責任を果たすことができた。来年の選挙には出馬をし、国民の信を問いたい」と述べていることにも現れている。いくら記者に「来年の総選挙には出馬するのか」と問われて応じた発言だとしても、今後、何回当選しようと、「桜を見る会」だけではなく、森・加計疑惑、黒川検事長定年延長等々の疑惑がついて回ることを頭に置くこともできず、地元有権者の支持を受けた当選を確実視して、その当選を以って地元有権者からの信任を国民からの信任に替え、潔白の証明に使う。

 裏を返すと、自身も関わっていた利益供与であるから、自らの常識の程度に恥じ入る理由はなく、よくあることで政治の行いとカネの使い方を別次元に置いていることから政治の信頼を損なっていると自らを省みることもなく、その上、全てを秘書がやったこととしている公の理由があるからこそ可能となる変わり身の早さなのだろう。

 安倍晋三のように一つや二つの失敗や間違いがあっても、全体としての自己は優秀だと信じ込んでいる自己愛性パーソナリティ障害の傾向があり、その思い込みから、自分が原因となって起きた不都合な事実であっても、なかったことや人のせいにするウソを自分に事実だと信じ込ませる才能を有していて、会計処理に安倍晋三自身が関わっていたとしても、国会で答弁したり、記者会見で発言する内に全ては秘書がやったという事実にすり替わっている可能性もある。

 それを明らかにする方法はないが、マスコミ報道では2020年12月25日の衆参議院運営委員会での態度は12月24日午後の記者会見と同様、全て秘書がやったこととする確固とした姿勢に何ら変わりはなかった。結果、野党側から言わせると、埒は明かなかったことになる。報道記事から主な発言を一つ拾ってみる。

 安倍晋三「会計処理などは私が知らない中で行われていたこととはいえ、当然、道義的責任はある。今回の反省の上に立って、国民の信頼を回復するためにあらゆる努力を重ねていきたい。身を一層引き締めながら、研鑽を重ねていきたい」

 秘書がやったことを前提としている発言が報道されている以上、いわば安倍晋三が立ち往生する状景説明となっていない以上、安倍晋三自身の説明による安倍晋三関与なしの安倍晋三の事実を突き崩すことはできなかった。関与なしが事実なら、「道義的責任はある」の反省は生きた言葉となるが、実際は関与していたなら、道義的責任すら感じず、腹の中でせせら笑っている心の風景が見えてくることになる。

 以下、「桜を見る会」前夜の安倍後援会事務所主催懇親会の一人宛会費5千円が補填が必要な格安設定だったという事実、秘書がその事実を隠して、安倍晋三にウソの報告をし、そのウソの報告を鵜呑みにして事実とすることができた安倍晋三自身の常識の正当性という観点から、2020年2月17日の衆議院予算委員会で立憲民主党の辻元清美との「桜を見る会」懇親会についての遣り取りを参考にして、果たして安倍晋三自身は事後の会計処理に関与していただけはなく、一人宛会費を一人宛サービスよりも安く見積もって5千円とする意図的な利益供与そのものの会費設定にも関与していたかどうかを探ってみることにする。

 辻元清美は冒頭、安倍晋三に対して明細書と領収書を出したら、この問題は終わるのではないかと、それぞれの提出を求めた。

 安倍晋三「まさに政治資金の出入りは、これは透明化しなければならないわけでありますし、まさにその考え方に則って私は政治資金の処理をしているということははっきりと申し上げておきたい、このように思います。

 そして、夕食会の主催者は安倍晋三後援会であり、同夕食会の各段取りについては、私の事務所の職員が会場であるホテル側と相談を行っております。事務所に確認を行った結果、その過程において、ホテル側から見積書等の発行はなかったとのことであります。

 そして、参加者一人当たり五千円という価格については、8百人規模を前提に、その大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事実等を踏まえホテル側が設定した価格であり、価格以上のサービスが提供されたというわけでは決してなく、ホテル側において当該価格設定どおりのサービスが提供されたものと承知をしております。

 なお、ホテル側との合意に基づき、夕食会の入り口において、安倍事務所の職員が一人5千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受け付け終了後に、集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたものとしておりまして、安倍事務所には一切収支は発生していないということでございます。

 また、既に御報告をさせていただいておりますが、明細書につきましては、ホテル側が、これは営業秘密にも関わることであり、お示しをすることはできない、こう述べている、こういうことでございます。

 そして、領収書につきましては、これは一部新聞等にそのときの領収書が写真つきで出されているということを承知をしておりますが、これはまさに、出席者とホテル側との間で現金の支払いとそして領収書の発行がなされたものであり、私の事務所からこれは指図できるものではない、こういうことでございます」

 安倍晋三の発言のほぼ全てが虚偽答弁だったことになる。一人宛会費設定は5千円であったとしても、補填していたのだから、ホテル側が宿泊のサービスも引き受ける点を考慮して格安に5千円に設定したという話にしても、秘書のウソの報告に基づいて行った安倍晋三の虚偽答弁の一つということになる。
 
 但し秘書のウソの報告に基づいて行われた、結果的に虚偽答弁となってしまったというのが安倍晋三自身の事実ということになる。尤も何度となく繰り返してきた答弁に過ぎないが、この中に明細書や領収書の発行、一人宛価格5千円決定の経緯が全て含まれている。

 一人宛会費5千円については既に触れているように安倍晋三が昨年末に国会答弁に備えるために秘書に「5千円以外に事務所が支出をしていないか」と尋ねていて、それに対して秘書が「5千円以上の支出はない」と答えていることを安倍晋三自身が明らかにしていて、この遣り取りが事実とすると、一人宛会費が表向きは5千円となっていることは承知していた。

 では、このことをいつ承知したのだろうか。「桜を見る会」とその前夜の懇親会が国会で問題視される昨年末以前でなければならない。一般的にパーティ等の一人宛の会費を決める場合には主催者側が一人宛会費の目安を決めて、場所と飲食等のサービスを提供する側の業者に目安とした一人宛会費でのパーティを申し込む。対してサービス提供側の業者は一般的には提供する飲食やその他の各サービスと各サービスに応じたそれぞれの単価を書き入れた見積明細書を作成して、それを顧客側に示して、明細書に記してある各サービスに関わる提供の可否・承認を問い、契約に至った場合はそれを証拠として残しておくのために顧客側に発行、業者側はこれも証拠とするための控えとして残しておくのが社会一般的なごくごく当たり前の常識的な手続きであろう。

 勿論、契約後にこの料理は別のに変えてくれとか、飲み物にワインを付け加てくれといった顧客側からの申し出があれば、会費に上乗せ金額を求めるか、料理の量を減らすかして、目安の会費相応に押さえる等の調整は行う。

 そして一人宛会費と会費に応じたサービス内容に基づいた契約終了後、安倍後援会事務所の例を取ると、事務所は公設第一秘書が代表を務めていたとしても、主(ぬし)そのものは安倍晋三であり、懇親会は安倍後援会事務所が主催者であったとしても、安倍晋三を頭に置いた懇親会である以上、社会一般的なごくごく当たり前の常識からすると、安倍晋三に報告し、了解を得ているはずである。

 一人宛会費額もサービス内容も安倍晋三に報告せずに懇親会を開くということは、安倍晋三が主催者である安倍後援会事務所の主(ぬし)であるという立場上も、安倍晋三を頭に置いた懇親会であるという関係性からも、社会的常識上、先ずあり得ない。少なくとも2013年に最初に行った際には報告したはずである。

 その際、そもそもからの初っ端に秘書は一人宛会費は5千円ですとウソをついたのだろうか。

 秘書にしても報告し、了解を得る際、社会一般的なごくごく当たり前の常識から言っても、5千円でもない一人宛会費を5千円ですとウソをつく理由はない。立憲民主党の黒岩宇洋が12月25日の衆議院議院運営委員会で特捜部発表数字を用いて、20016年~20019年の一人宛5千円会費総額が1157万円、1157万円を一人宛会費5千円で割ると、同時期の懇親会参加者数合計は約2300人、同時期補填金額708万を参加人数2300人で割るとほぼ一人宛補填金額が3000円ずつとなる。この3000円に一人宛会費5千円をプラスすると、実質会費は8千円になると発言していた。

 と言うことは、最初から一人宛会費を8千円見当と目安を付けていて、そのまま8千円ということに落ち着いたのか、あるいは1万円見当と目安をつけた上でホテル側は宿泊のサービスも引き受けることになり、その分の利益を見込める点を考慮して1万円のサービスはそのままに会費だけ勉強してくれと要求されて、8千円と決めたのか、いずれかが考えられる。

 どちらであったとしても、ホテル側との価格交渉の時点では一人宛会費5千円の目は最初からなかった。その目が出てきたのは実質会費から値引きする際であった。勿論、5千円という目に決めたのはホテル側の事情からではなく、安倍後援会事務所側の事情によるものなのは断るまでもない。懇親会に関わる安倍後援会事務所側の事情というのは事務所の主(ぬし)であり、安倍晋三を頭に置いた懇親会である以上、秘書の一人や二人によって決められる事の次第ではなく、最終的には安倍晋三自身が決める事の次第なのは社会一般的なごくごく当たり前の常識であろう。

 このような常識からすると、答えは一人宛会費を5千円と決めたのは安倍晋三を措いて他にないということになる。このような答にすることで、実際には天下の総理大臣に国会でウソの答弁をさせていなかったことが分かって、秘書というものが備えるべき雇い主に対する従属性に添っていたことになり、全てに納得がいく。

 要するに安倍晋三も関与していた値引きの事実と値引きに対する補填の事実を隠蔽するために政治資金収支報告書には記載できなかった。未記載の事実と利益供与や寄付行為となる事実をさらに隠蔽する必要上、秘書のウソの報告に基づいた安倍晋三の国会答弁に仕立てた。結果、政治資金収支報告書未記載による政治資金規正法違反で秘書のみが略式起訴される責任転嫁が、秘書の雇い主に対する従属性から自身への責任転嫁を快く引き受けるか、自ら責任転嫁を申し出たかしたのだろうが、成功、安倍晋三自身は嫌疑不十分で不起訴、無罪放免となった。

 このことは単なる勘繰りではない。既に取り上げた辻元清美の安倍晋三に対する次の発言が証明する。

 安倍晋三「明細書につきましては、ホテル側が、これは営業秘密にも関わることであり、お示しをすることはできない、こう述べている、こういうことでございます」

 ホテル側にとって個々の品物や個々のサービスに対する単価や内容といった明細は他社には知らせたくない「営業秘密」かもしれないが、だからと言って、これらの明細を顧客側に営業秘密を口実に明細書の形で渡しておかずに口頭のみで知らせた場合、万が一にも品数が足りない、単価相応ではないといったクレームがついたときにホテル側に控えておいた、サービス内容とその単価を書き込んだ明細書だけでは、クレームに対抗できる証拠能力は有しないことになる。あくまでも顧客側にも同じ内容の明細書を発行するという形で渡しておくことで業者側と顧客側との間に契約内容に関わる証拠能力は生きてくる。

 この証拠能力の確保という点でも、明細書を発行しないという選択肢は先ずない。全日空ホテルという大きな企業は特にないはずだ。だからこそ、明細書の発行は社会一般的なごくごく当たり前の常識的な社会慣行となっている。

 サービスを提供する側の業者が営業秘密を楯に明細書を発行しないというのは社会慣行に逆らうだけではなく、安倍晋三後援会事務所側からしても、ホテル側の営業秘密を口実に明細書を受け取らずじまいでいた場合、クレームが発生した場合のそれを裏付ける証拠を最初から持たないことになるだけではなく、領収書だけでは全体の金額の記載はあるが、個々のサービス内容とその内容に応じた個々のサービス単価の記載がないことから、安倍晋三後援会事務所の行事としての記録に残し、他日の参考にすることも不可能となるだけではなく、秘書のそのようなウソの報告を鵜呑みにして、何ら疑いを挟まなかった安倍晋三自身の社会的常識にますます正当性を与えることは難しくなる。

 総理大臣として欠いているはずはないこの手の常識を実際には欠いていないと説明するためには安倍晋三自身も承知していて秘書に指示して設定した格安会費であり、その結果の毎年の150万円以上から約250万までの間の補填ということでなければならない。

 辻元清美は安倍晋三から「明細書の発行はなかった」という答弁を改めて引き出してから、ANAインターコンチネンタルホテル東京(以下全日空ホテルと表記)に対して「2013年以降の7年間に貴ホテルで開かれたパーティー・宴席について」「4問の問い合わせ」を行い、得た回答を安倍晋三にぶっつけている。ここでは第1問の見積書、あるいは請求明細書に関してのみ取り上げる

 第1問 「貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったでしょうか」
 (回答)「ございません。主催者に対して、見積書や請求明細書を発行いたします」
 
 4問の問い合わせ全てに安倍晋三の答弁を否定することになる「ございません」の回答となっているが、第1問に対して次のように答弁している。

 安倍晋三「それは、安倍事務所にということですか」

 辻元清美「2013年から7年間に開かれた全日空ホテルでのパーティー、宴席全てについてでございます」

 安倍晋三「それは安倍事務所との間でどうなっていたかということについてお問合せを頂きたい、こう思うわけでございまして、その場においては、事務所から、それはいわば人数が多いものでありますから取りまとめを行ったということでございますが、明細書は頂いていない、こういうことでございます」

 質問通告してあったはずだから、前以って用意しておいた答弁なのだろうが、言っていることは安倍晋三後援会事務所との間では特別な取り決めがあった特別扱いであるとの宣言である。裏を返すと、安倍晋三後援会事務所は特別扱いだから、明細書の発行は受けていないが、特別扱い外の一般的な顧客に対しては明細書は発行されるという意味を取ることになる。

 辻元清美は最後に全日空ホテルが辻元清美の問い合わせに対してこのような回答を文書で出したのかどうか、「午後の委員会までに確認をして頂きたい」と要求、安倍晋三が「事務所に当たらせる」と約束、両者の質疑は終わるが、確かめなければならないことは辻元清美にどう回答したかではなく、全日空ホテル側と安倍晋三後援会事務所との間で明細書の発行はなしとするといった特別扱いの取り決めをしていたのかどうかであったはずだ。

 午後に質問に立った同じ立憲民主党の小川淳也が、「事務所に当たらせる」とした確認内容を早速問い質した。

 安倍晋三「私の事務所の方から全日空ホテルに連絡を致しまして確認を致しました。それをお答えさせて、纏めてお答えをさせて頂きたいと思います。

 私の事務所が全日空ホテルに確認したところ、辻本議員にはあくまで一般論でお答えしたものであり、個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答には含まれていないとのことであります。桜を見る会前日の夕食会は、平成25年、26年及び、28年の3回は全日空ホテルで実施。私の事務所の職員がホテル側と事前に段取りの調整を行ったのみであり、明細書等の発行は受けてないとのことでした」

 「個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答には含まれていない」と言っていることは個別案件は営業の秘密に関係することから、全日空ホテルとしては回答することはできないと言っていることになる。だから、辻元清美の問い合わせに対して一般的案件のみの回答であって、安倍晋三後援会事務所主催の懇親会等の個別案件は全て回答には含まれていないと言っていることに一致することになる。そして一般的案件に対して個別案件を置いているということは全日空側は個別案件を特別扱いしていることになって、安倍晋三が「それは安倍事務所との間でどうなっていたかということについてお問合せを頂きたい」と言っていることと符合する。

 要するに一般的には明細書等の発行は行うが、安倍晋三後援会事務所主催の懇親会は個別案件待遇となっていて、そのような待遇の一つとして営業の秘密に関わることとして明細書等の発行は行わないことになっているという意味を取る。

 当然、全日空ホテル側からしたら、明細書の発行は社会一般的なごくごく当たり前の常識的な社会慣行であるはずだから、明細書の未発行は全日空ホテル側の必要性からの営業の秘密ではなく、安倍後援会事務所側の必要性からの営業の秘密ということになる。そのために全日空側が協力して明細書を「営業の秘密に関わる」こととして発行していないという安倍晋三の発言ということでなければならない。

 このことは実質会費から5千円に値引きしたのはホテル側の事情からではなく、安倍後援会事務所側の事情によるものであることとマッチする。安倍晋三の持つべきから常識からすると、こういった経緯を取るということを理解できないはずはないが、全ては秘書のウソの報告に基づいていると仕立てた手前、「明細書は頂いていない」、「明細書等の発行は受けてない」を証明するためには社会一般的なごくごく当たり前の常識からは理解し難い営業の秘密を持ち出さざるを得なかったのだろう。

 このようなカラクリを考えた場合、安倍晋三は「問うに落ちず語るに落ちる」形で自身が指示して関与することになった会費値引きであり、その値引きを埋め合わせる補填であって、政治資金規正法違反も公職選挙法違反も承知していたことをうっかりと喋ってしまったと見ざるを得ない。

 そうでなければ、全日空側が営業の秘密に関わるからとの口実で明細書を発行しないという常識的な社会慣行に反することをすることの説明がつかない。

 安倍晋三が秘書と共謀して補填が必要となる格安の会費設定と収支報告書への未記載を承知の上で懇親会を開いてきたとしたら、秘書のウソを鵜呑みにして何も疑わなかった常識の程度に納得がいくし、一般的には他人のウソを鵜呑みにする自身の常識の程度に恥じ入るものだが、。安倍晋三にはそれが一切ないことにも納得がいく。

 但し安倍晋三は安倍晋三後援会事務所主催の懇親会の場合は個別案件として特別扱いされていると直接口にしたわけではない。答弁がそういう意味を取ると言うだけで、実際に特別扱いとなっていたのかどうかは本人に問い質して答えさせる以外に、答えればの話だが、見えてこない。

 安倍晋三の答弁どおりに特別扱いが存在していた場合、どのように具体的に取り決めた特別扱いなのかは推測しようがないが、両者の関係性から特別扱いに至った経緯に関しては容易に推測できる。

 相手が安倍晋三の後援会事務所というだけで、心理的な上下の力関係が生じる上に2019年の懇親会参加人数は800人規模だったことから考えても、多人数分の売上が見込めることからのより丁寧なサービスを心がけることによって発生する利益上の力関係、さらに宣伝効果を手にすることができることによって発生する力関係が懇親会を個別案件化していったに違いないと推測可能となる。

 そしてその個別案件化によって安倍後援会事務所側の必要性から「営業の秘密に関わる」こととして明細書を発行しないことになった。

では、安倍晋三「桜を見る会」国会虚偽答弁釈明会見から「明細書」関する発言を纏めてみる。

 「安倍晋三2020年12月24日記者会見」(産経ニュース/2020.12.24 18:39)

 記者「国会でホテル側からの明細書などの発行はなかったとも答弁しているが、真偽は」

 安倍晋三「明細書につきましては、私の事務所に確かめたところ、その明細書は残っていないということでありました。そして、事務所の者に確認したところ、『明細票を見たという記憶はない』ということでございました。

 ただ、ホテル側は、明細書といえば請求書ですから、恐らくそれを2枚紙か何枚か分からないんですが、そうした形で渡しているということを、ホテル側がもし言っているということ、そういうことを言ってるのではないかということでありますが、それは、そうであれば、そういうことだったのかもしれませんが、事務所の者は請求書を見たけれども、それで支払いを行ったという認識であったということでありました。

 先ほど申し上げましたのは、そういうホテル側の認識はそうであったというふうに私は承知をしているんですが、ホテル側の認識がそうであれば、そうかもしれないと私は思っております」

 記者「昨年11月8日の参院予算委員会で共産党の田村智子議員の質問に対し、各個人がそれぞれの費用で上京し、ホテルに夕食会の会費を直接払い込んだと答弁した。このとき、前夜祭の会計処理について具体的に言及したのはなぜか。ホテルの明細書に関し、国会でホテルから回答を文書で得るように求められたが、応じなかった理由は何か」

 安倍晋三「その段階においてですね、私自身は5000円の会費を徴収してると、そしてそれで賄っているという認識がございましたので、そのようにお答えをさせていただいたということであります」

 記者「ということは、前夜祭の会計処理が法に触れる可能性を認識していなかったのか」

 安倍晋三「それは先ほど来、答弁しているようにですね、全てそれで賄っているというふうに認識をしておりました。でありますから、5000円の領収書を発行し、個々の参加者にその飲食代と書いてですね、領収書をお渡しをしているということでありましたから、そこで完結しているという認識を持っておりましたので、そのようにお伝えをさせていただいたということでございます。

 明細書につきましてはですね、先ほど答弁させて、お答えをさせていただいたんですが、明細書については、事務所には明細書がなかったということであります。そして、事務所の秘書が明細書を見たというですね、そういう認識がなかったということでありました。

 勿論、請求書に対して支払いをしているわけでありまして、それに今から思えば、それにあれが、私は思えばですよ、恐らくついていたものをですね、私どもの責任者は請求書だけを見て支払ったのかもしれないと、これは想像でございます。今ちょっとお答えさせて、その上においてですね、その上において、いわばホテルが、この明細書についてはですね、ホテル側はそれを公開を前提にするのであれば、営業の秘密にもかかわるので出せないということであります。これは国会で答弁をさせていただいたわけであります。それはその通りでございます」

 記者「ホテル側に明細書の控えを保管する義務があるが、なぜ確認しなかったのか」

 安倍晋三「私がですか? 明細書、そのとき、私はなんとお答えしたのかな?」

 記者「事務所に明細書はなかったと言っているが、明細があるかどうかなぜホテルに確認しなかったのか」

 安倍晋三「明細書はあるんですよね。明細書はホテルにあるけども、ホテルの明細書はですね、営業の秘密があるから出せないということであったと」

 記者「営業の秘密は中身のことだと思うが、明細書があるかないかというのは答えられると思うが」

 安倍晋三「明細書があるかないかということについては、明細書はあるんだろうと思います。それは先ほど来申し上げておりますように」

 記者「国会では明細書はないと…」

 安倍晋三「明細書がないのは、事務所にないということです。明細書がないということは、私が答えられるわけないのであって、ホテルにあるかないかということであって、普通は明細書はあるんだろうと。しかし明細書は、今お答えしたのは、明細書がないというのは、私の事務所には明細書が残っていないということであるのと、秘書が明細書を見たという認識がないということを申し上げている。明細書がないということを申し上げたことはないというところだと思います」

 記者「なぜホテルに確認しなかったのか」

 安倍晋三「いや、だから、その確認というのはですね、確認というのは、明細書を出してもらいたいということですから、明細書は営業の秘密にかかるから、公開を前提とする上において明細書を出すことはできないというふうにお答えをしていると。明細書がないということではなくて、というふうにお答えをしているということです」

 「ホテル側は、明細書といえば請求書ですから、恐らくそれを2枚紙か何枚か分からないんですが、そうした形で渡しているということを、ホテル側がもし言っているということ、そういうことを言ってるのではないかということでありますが、それは、そうであれば、そういうことだったのかもしれませんが、事務所の者は請求書を見たけれども、それで支払いを行ったという認識であったということでありました」

 「先ほど申し上げましたのは、そういうホテル側の認識はそうであったというふうに私は承知をしているんですが、ホテル側の認識がそうであれば、そうかもしれないと私は思っております」

 安倍晋三は雇い主として秘書に事実関係を聴取しているはずだが、全てが非常に曖昧な発言となっている。秘書自体は記憶がはっきりしないことに関しては曖昧な言い方となるが、「秘書の記憶曖昧なもんですから」と断れば済む。殆どの発言が曖昧になっているのは安倍晋三自身に曖昧な言い方をしなければならない事情があるからだろう。もし秘書と共謀して格安会費を通した利益供与に関与していなければ、曖昧な言い方をする必要は何一つない。

 このような曖昧な言い方一つを取っても、心証的には安倍晋三の関与は確実視される。

 ホテル側は安倍後援会事務所側に1枚形式なのか、2枚綴りなのか、前者なら明細請求書、後者なら、別々となっている明細書と請求書を発行した。ところが「事務所の者は請求書を見たけれども、それで支払いを行ったという認識であったということでありました」と言い、「明細書については、事務所には明細書がなかったということであります。そして、事務所の秘書が明細書を見たというですね、そういう認識がなかったということでありました」と言っているから、1枚形式の明細請求書ではなく、2枚綴りのうちの請求書は見た覚えはあるが、明細書は見ていないということになる。

 全日空ホテルに発行する場合の請求書と明細書は1枚形式なのか、2枚綴りなのか問合せなければならない。1枚形式なら、安倍晋三と秘書の言っていることは、何らかの必要性がある虚偽発言となる。安倍晋三も虚偽発言者として付け加えたのは下の発言による。

 「事務所の者は請求書を見たけれども、それで支払いを行ったという認識であったということでありました」

 「けれども」の接続詞は逆説、あるいは否定の文章を続けることで文脈を成り立たせる。だが、そういう繋がりとはなっていない。いずれにしても、1枚形式の請求明細書か2枚綴りの請求書と明細書なのかが発行されて、事務所側はそれらに基づいて支払いを行った。ところがその支払いに補填分が含まれていた。秘書単独で行ったことなら、何も安倍晋三が言葉の繋がりを間違える必要性は生じない。淡々と秘書の発言を伝えれば済む。

 安倍晋三はここでも、「明細書はあるんですよね。明細書はホテルにあるけども、ホテルの明細書はですね、営業の秘密があるから出せないということであった」と言い、「明細書は営業の秘密にかかるから、公開を前提とする上において明細書を出すことはできないというふうにお答えをしている」と述べて、「営業の秘密」を持ち出して全日空ホテル側の公開できない理由としている。

 確かに安倍後援会事務所は極上の特別扱いで、サービス単価を飛び切りに安くしていたら、公表がマスコミを通して世間に知られて、全日空が困ることになる予想から、「営業の秘密」を口実に「出せない」としている場合もあるだろうが、国会では「営業の秘密に関わる」ことを理由に安倍事務所側が明細書の発行を受けていない趣旨の発言となっていた。発言の趣旨を変えること自体がやはり既に触れたように全日空側の必要性からの営業の秘密ではなく、安倍後援会事務所側の必要性からの営業の秘密ということでなければならないし、記者会見での曖昧な発言を併せ考えると、安倍後援会事務所側が不都合な事情を抱えていることからの「営業の秘密」を口実とした明細書の隠匿としか受け取ることはできない。
 
 2020年12月25日衆参議院議院運営委員会での共に立憲民主党の辻元清美と福山哲郎の追及を見てみる。両者の追及の目的は秘書一人が犯した政治資金規正法違反(未記載)ではなく、また罪に問われなかったが、安価な一人宛会費を通した利益供与による公職選挙法違反ではなく、安倍晋三も承知をしていて共謀した政治資金規正法違反であり、公職選挙法違反であることを立証することにあるはずだ。

 ところが、午後1時から行われた衆議院議院運営委員会での立憲民主党辻元清美は冒頭から追及の目的から外れて、民間の企業の社長が公の場で虚偽・ウソの説明を100回以上やって、社員に騙されましたと言い訳して、通用するか、民間の企業の場合はコンプライアンス失格だ、社長は辞職だと関係もない、意味もないことに追及の時間を費やした上で、やっと本題に入り、「明細書がホテルにあるなら、ホテルにこの明細書を請求して、本委員会に提出して下さい」と要求。

 対して安倍晋三は全日空側の「営業上の秘密」を口実に「明細書を渡さないと言うふうに私は承知をしております」と要求を拒否、「明細書ということについても恐らく検察側もですね、そうした説明等についてはしっかりと把握した上に於いてですね、今回の判断を下しているものとこう考えるところでございます」、「明細書の中がどうあれですね、それは今回の検察側の判断が変わらないわけでございまして、私たちがことさら明細書を隠さなければいけないという立場では当然、ないわけでございます」云々と明細書の提出はもはや意味がないことだとばかりの発言をしている。

 対して辻元清美はホテルニューオータニ開催の懇親会を取り上げて、安倍事務所側から領収書等紛失届が出ているにも関わらず政治資金収支報告書には補填金額が端数まで細かに出ているのは裏帳簿が存在するのではないかと追及、安倍晋三からそんな帳簿はないと一蹴されてしまう。

 確かにパソコンに記載できない収支報告を裏帳簿の形で隠している場合もあるが、表に出せる金額の場合はパソコンに整理して残しておくはずで、それを参考にしたと言えば、領収書を紛失したとしても、パソコンを参考に端数まで取り出すことができる。

 追及の目的が安倍晋三の関与の証明である以上、検察の判断は秘書一人の犯行となっているが、安倍晋三の関与を疑っているからこそ、その証明のために明細書の提出を求めているとなぜ重ねて言わなかったのだろうか。

 大体が質問冒頭から民間企業の社長を取り上げて、安倍晋三の虚偽答弁に重ねるなど、無意味な追及に、これでは安倍晋三を立ち往生させることはできないなと最初から期待はしていなかった。そしてそのとおりに終わった。

 参議院議院運営委員会は3時5分から始まっている。自民党の質問に続いて福山哲郎が追及に立った。最後のところだけを取り上げる。

 福山哲郎「総理はですね、ホテルからの明細書についてのきのうの会見、極めて曖昧なんです。ずっと国会では明確に明細書は発行されていない、受け取っていないと言われたんです。ところがきのう、突然、明細書はあるけど、事務所にはなかったと言い出したんです。

 あるでいいんですか。ホテルにあるんだったら、じゃあ、ホテルから取り寄せれば良かったじゃないですか。そしたらいきなり(営業の)秘密の話が出ているんですけど、それはホテルが本当に本当に言ったかどうか証明できません。

 それから5千円の設定も何度も答弁されてるんんですけど、この(政治資金収支報告書の)修正だと完全に安倍後援会がホテルと契約しているから、一人対一人の契約というのは本当に(聞き取れない。「虚構」と言うことか)だったということが明らかです。この設定、ホテルが決めていなければ、誰が決めたんですか。短く答えて下さい。

 じゃあ、もう言ってから(「自身が質問を終えてから」か)、答えて下さい。時間がないので申し訳ありません、ホントーニ疑惑ばかりです。何も総理は真摯に答えていません。あなたの政権になってから、あなたの尻拭いのために人生を変わってしまった人はたくさん出てきました。森友学園の財務局職員の赤木さん。改竄を強要されて自死されました。佐川さんも改竄の主犯格にさせられた。今度は安倍晋太郎先生の時代からの(秘書の)石田さん(?)。しかし実際は東京の秘書だと言われている。

 でも、その東京の秘書は今回の事件ではお咎めなし。じゃあ、国民は納得ができないじゃないですか。それで何であなたは議員に居座り続けられるんですか。今日の質疑で疑惑がさらに深まっているいます。前総理の不誠実な姿勢もはっきり見えました。来年の通常国会では今度は今日みたいな誤魔化しのできない証人喚問の場に出てきて頂きたい。そして初心に返った姿をお示し頂きたいと思います。司法判断が出たとしても、あなたの政治的道義的責任は免れません。この国会を蔑ろにした行政府の元長としての責任は決して小さくない。極めて大きいということを申し上げ、もしお答頂けるなら、お答え下さい。終わります」

 安倍晋三「あの、明細書はないと言ったのはですね、私の事務所にはないということを申し上げたわけでございまして、そして秘書はですね、明細書は、あの請求書は見ておりますが、明細書を見たという記憶はないということについて秘書から聞いたことをお伝えをさせて頂いた。それは今でも変わらないのでございますが、ホテル側はですね、明細書、請求書と恐らく2枚カンテキ(?記者会見で述べた「2枚紙か何枚か分からないんですが」ということなのだろう)に秘書に見せていると言うことでございましたから、それはそうかも知れないということでございます。

 ですから、私は明細書は存在しないと言ったことは一度もないわけでございまして(オーというような声が上がる)、いや、いや、明細書は、明細書はホテルにはですね、ホテルにはあるかも知れないということは申し上げてきているわけでございます。

 (福山席から何か言う)そこは間違いないんだろうと。だって、それをですね、私が、だって、ホテル側がないということを私が、それをですね、私が(ヤジ)申し上げたのはですね、私が申し上げたのはホテル側はですね、営業の秘密で公開を前提としては出すことはできないということを、私は答えているわけでございまして、それはしっかりと見て頂きたいと思います」

 時間切れで終了。福山哲郎は終了時間が迫っているのが分かっていたのだから、安倍晋三には痛くも痒くもない森友問題など持ち出して「あなたの政権になってから、あなたの尻拭いのために人生を変わってしまった人はたくさん出てきました」などと、安倍晋三自身の関与を追及するには役にも立たないことを長々と続けずに最後の最後まで安倍晋三自身も関与していたのではないのかとなぜ追及しなかったのだろう。
 
 福山哲郎は明細書が、秘書が単独で行った利益供与や政治資金収支報告未記載ではなく、あなた自身も関与していたことを裏付ける証拠となると見ているから、提出を要求しているのですと単刀直入になぜ追及しなかったのだろうか。

 追及するには安倍晋三が「桜を見る会」懇親会問題で国会で虚偽答弁を続けてきたことが秘書のウソの報告を鵜呑みにしていたことを理由としているが、鵜呑みにすること自体が安倍晋三が総理大臣として備えているはずの社会一般的なごくごく当たり前の常識と大きく食い違っていることに焦点を当てて、それを突破口にする以外に方法はないように思えるが、どうだろうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする