安晋三2019年「桜を見る会」前夜祭パーティ:安い金額で飲食させた利益供与か、タダで飲み食いさせた利益供与か

2020-02-10 11:59:22 | 政治
  政治家が支持者に対してポケットマネーで飲食をさせる。あるいは政治資金を使って飲食させる。あるいは支持者
 が支払うべき飲食代の一部分をポケットマネー、あるいは政治資金で補填する。これらの行為は公職選挙法で当選を
 得、もしくは得しめ、または得しめない目的をもって選挙人(選挙権を有する者)または選挙運動者に対し金銭、物
 品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み、もしくは約束をし、または供応接待、その
 申込み、もしくは約束することを禁じる「買収及び利害誘導罪」に当たるだけではなく、政治資金を使った場合、当
 然、そこに収支の実態が生じるものの、公職選挙法に抵触することから、政治資金規正法によって作成・提出の義務
 付けがある政治資金収支報告書に載せるわけにはいかず、政治資金規正法自体に抵触することになる。

  第2次安倍政権成立翌年の2013年から2019年までの7年間の毎年4月、総理大臣主催の公的行事「桜を見る
 会」が新 宿御苑で開かれている。この毎年の「桜を見る会」に合わせて、その前日夜に安倍晋三後援会主催の支持
 者を集めた 懇親パーティが前夜祭として大手一流ホテルで開催する慣わしになっていた。パーティの会費としての
 飲食代はいずれも5000円となっていて、一流ホテルとしては相場よりも低いと見られていることから、相場との差
 額はホテル側から後援会側への財産上の利益の供与か、その差額が安倍晋三がポケットマネーで埋めるはずはないか
 ら、自らの政治資金の中から補填した場合は買収及び利害誘導罪に当たる疑いが浮上、野党が国会で追及することに
 なった。

  安倍晋三は様々な国会質疑で前夜祭が公職選挙法の点でも、政治資金規正法の点でも何ら疚しいことはないと、そ
 の正当性を主張しているが、その前夜祭がどのような仕組みで開催されているのか、飲食代5000円の領収書をとのように発行したのかを安倍晋三が立憲民主党の大串博志を相手に答弁している次の国会質疑から、その正当性を探ってみることにする。大串博志は東大法学部卒の54歳。文飾は当方。

 2020年2月5日衆議院予算委員会 

 大串博志「次に『桜を見る会』の今までの審議に関してですけども、昨日、『桜を見る会』に関する質問がありました。総理、かなりヒートアップ(同じ立憲民主党の黒岩宇洋―東京大学文科一類、法学部進学後中退。53歳―に対する答弁を指す)されていらっしゃいましたですね。やや焦っていらっしゃるような印象すら、私は受けました。焦っていらっしゃっとは言えですね、ように見えましたけども、人をこう、間違った事実に基づいて嘘つき呼ばわりすることはあってはならないと私は思いますが。

 きのうの黒岩委員が総理が『桜を見る会』の前夜祭に関して安倍事務所が契約したのじゃなくて、参加者個人が契約したんだということの論点に関して黒岩委員がキャンセルとか、あるいは人数が変わるとか、こういったリスクがある、リスク負担をホテルニューオータニの規約に基づいて、どういうふうにしてるのか、こういうことを問うたときに安倍総理は、『今根拠のないことを仰ったということが明らかになりましたね。別にこれはニューオータニの規約にあるわけではないですよ。そんなことを言ったところで。だから、それは根拠がないことをおっしゃってる。嘘をついてるということと同じですよ、はっきりと申し上げて』というふうなところまで。

 しかし規約を黒岩委員が手に持ちながら、規約にはちゃんと人数が減じたとき、キャンセルしたときには、こうこうしますよということが書かれてる規約があるわけですよ。あるにも関わらず、総理がどう認識したのか分かりませんが、規約があるわけじゃないですよと勝手に決めつけて、で、『嘘をついたことと同じことですよ。はっきり申し上げて』。こういうふうに申し上げてた。、これに関して私たち理事会で総理の(発言の)撤回と謝罪を求めております。しかもテレビ中継が入ってる場で、国民の皆さんが見てらっしゃる場での発言でありますので、なお一層看過できません。

 ですから、同じ環境下、テレビの中継が入ってる審議の場に於いてこの件に関して嘘ではなかったわけですから、安倍総理にちゃんと撤回と謝罪を求めるということを理事会に求めております。改めて委員長にこの件に関して総理の謝罪と撤回求める理事会協議をお願いします」

 委員長「後刻、理事会で協議を致します」

 大串博志「なぜこういった議論で切り出したかと言うと、前夜祭に関してなぜそれを政治資金収支報告書に上げて出さなかったのかということが一点。安倍総理の説明の道具は只一つこれは個々人の参加者の方々が契約をニューオータニと直接されたからだと、この一点に拠っているんですね。

 このほそーい1点に拠っているということです。誰も800人の皆さんがニューオータニと5000円の直接的な契約を一人一人、結べるとはちょっと考えづらいですね。考えてづらい。だもんだから、これはおかしいなーと、やはり安倍事務所主催であり、実質的に安倍事務所の事業なんだから、収支報告書に収支を載せるべきなんじゃないかという声が上がるわけですよ。

 この契約は直接、安倍事務所がじゃなくて、個々人がやったということは、これまでの答弁を見ても、合点がいかないことなんですね。先週月曜日(1月27日)、黒岩委員が質問されたことに対して安倍総理こうも仰っていますね。この前夜祭に関して。

 『多少のキャンセルが出てもよいということとして契約をした』、それから『子供さん方に関しては料金を取らないという了解のもとに行った』

 先週月曜日の黒岩委員の質疑に対する安倍総理が使った『契約』とか『了解』とか、これは誰がホテル側と結んだんですか。安倍総理の事務所の皆さんでは、なかったんですか」

 安倍晋三「ちょっとですね、誤解をされておられるんだろうと、こう思うわけでございますが、先ずですね、契約主体は参加者であるということ。それとですね、収支が一切発生していないということ。収支は一切発生していないわけでありますから、当然、それは政治資金収支報告書には載せないということでございます。

 そして参加者一人当たり5000円という価格については800人規模を前提にその大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情等を踏まえ、ホテル側が設定した価格であり、価格分以上のサービスが提供されたと言うわけではありません。ホテル側に於いて問い合わせると、価格設定通りのサービスが提供されたものと承知をしております。ホテル側とのですね、合意に基づきまして、夕食会場入り口の受付に於いて安倍事務所の職員が一人5000円を集金をし、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたものと承知をしているわけでありまして、安倍事務所には一切収支はないというわけであります」

 大串博志「聞いたことだけに答えてください。先週月曜日、黒岩委員に対して総理が答弁した、多少のキャンセル出てもよいということで契約した、子供の料金は取らないという了解のもとだった。この契約や了解をしたのは安倍総理の事務所の皆さんじゃないですかってことなんです。その一点だけを答えてください」

 安倍晋三「契約について先ず説明させていただきます。契約の主体はですね、これは参加者である。これは今でもずっとも申し上げていることでありまして、そん中の遣り取りを一つ一つ取り上げてですね、そのような指摘をされたのでございますが、それは契約の主体はですね、参加者であるということが一点。それとですね、子供から取らない。18歳以下は取らないということは、いわばホテル側がそれを言い渡しをされたということで、それを事務所側がですね、参加者に伝えたということでございます」

 大串博志「多少のキャンセル出てもよいということで契約したということ、この契約は『契約』という言葉はなかったと。何だったんですか」

 安倍晋三「それは合意をしていると、事務所側と合意をし、それを事務所側は仲介をしておりますから、この参加者側との関係に於いてもですね、それは我々の事務所として仲介をしている以上ですね、それを合意して、それをしっかりと把握していなければならないということでございます」

 大串博志「安倍事務所の皆さんが多少のキャンセルが出てもいいということで合意をしたと。その合意って、一体何ですか」

 安倍晋三「何回もこれはお答えをさせて頂いておりますが、夕食会の費用についてはですね、ホテル側との合意に基づき私の事務所の職員が一人5000円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者側からホテル側への支払いがなされたものであるということでありまして、ホテルとの契約主体は参加者個人になるものと認識をしているところでございます」

 大串博志「もう一点聞きます。法律的な性格は何なんですか」

 安倍晋三「これまさに合意でございまして、夕食会のホテル費用についてですね、ホテル側との合意、契約主体は参加者でございますが、ホテル側との合意につきですね、いわば、例えばですね、例えば20人、30人に於いてですね、この集会、この会をやろうというときにですね、『一人5000円ですか』、「5000円で結構ですよ』、『あ、そうですか』ということで参加者に伝え、参加者がですね、個々の費用を払った場合は当然、これは後援会の親睦会であったとしても、この収支報告書には載せないというのは当然のことであろうと。

 そしてそこで合意がなければですね、合意がなければ、参加者に5000円であるというところを伝えることができないのではないでしょうか。まさにそういう意味で合意ということを申し上げているわけでございます」

 大串博志「国会の中で答弁されていることは非常に重要な言葉があるんで、答えられる言葉がコロコロ変わるんでね、言葉の定義がしっかりしなきゃいけないんですね。

 そして安倍総理、個々の参加者が契約をしたと仰いましたが、この契約というのは民法上の契約ですか」

 安倍晋三「これは契約主体が参加者ということでございます。ですから、ですから、ホテル側はですね、領収書を、ニューオータニの領収書を出して、そしてそれをですね、参加者にお渡しをしているということでございまして、手書きでですね、金額をニューオータニ側が書き、そして摘要を書き、日付を書き、担当者の名前も手書きで書き、そしてそれをいわば参加者に、宛には出した。いわば後援会宛に出したわけではないというわけでございます」

 大串博志「質問だけに答えてください。参加者が個々に契約したというのは民法上の契約ですか。総理に聞いてます。総理が言ったことですから、総理に聞きます」

 安倍晋三「今、法律上はどうなのかということでございましたから、その法律上について確認を致しました。そういう確認ぐらいさせてくださいよ。何か私が、つい何かですね、正確性を欠く言葉を言ってですね、揚げ足取りをしようという意図があるのではないかと言う人もいるわけですが、私はそう考えているわけではありませんから。大串さんはそういう方ではございませんから。そういう方がおられないから、(ヤジで聞こえない)私も許してるところでございます(揚げ足取りをされても、許しているということか)。

 いわばこれはですね、ホテル側が対価に見合うサービスを行ったということに於いてですね、みなさんに領収書を、その対価に見合うサービスを行い、そしてそのサービスを受けた側がですね、対価を、対価、サービス対する対価をお支払いをしたということであります。であるからこそ、ホテル側は領収書を発行し、そしてそれをですね、参加者が受け取ったということであります。

 これはまさに対価を払う相手はですね、参加者であり、その、いや、対価、サービスを提供する相手は参加者であり、その対価に対して支払った参加者であると、そういうことであります」

 大串博志「委員長、私の質疑時間は限られています。3回目の質問になります。これで答えて頂かなかったら、質疑を続行することは到底できません。民法上の契約ですか。それだけをお答えください」

 安倍晋三「民法上でかということであればですね、予めご質問を頂かなければですね、この六法全書を見て、確認をしなければいけないわけでございます(笑いながら)。まさに総理大臣として答弁をしておりますから、今この答弁をしなければいけないわけでございますが、それはですね、いちいち質問通告をしないいものをどんどん出せばですね、そのたびごとに国会が止まるということになってしまうということでございます。

 ですから、先程、私が申し上げたのはまさにそのとおりでありまして、契約者ということに於いてはまさにサービスが提供された側、対価を払った側ということに於いてですね、対価を払った側は参加者であると。(ヤジで聞こえない。「サービスを」と言うことか)提供した側はホテル側であると言うことは、これは明確でございます」 

 大串博志「契約という言葉が合意という言葉に今日いきなり訂正されたりね、言葉の定義がコロコロ変わるもんですから、しっかりしなきゃいかんなというふうに思って、確認しているわけです。

 しかも、安倍総理自身が契約という言葉は何度とこの国会の中でも自ら使われている言葉ですよ。ほかの人がそうじゃないんじゃないですかと言いながらも、安倍総理がわざわざ自分で、『いやいや、これはここの人たちが契約してるんです』と。

 繰り返し、繰り返し、強調に強調を重ねて答えられてる言葉ですよ。使われている言葉ですよ。だから、当然、その意味するところは、十分熟知した上で答えられていらっしゃるんだなと思うもんだから聞いているわけです。それを昨日の流れて聞いてるわけであって、質問通告している、してないという問題では私はまったくないと思いますよ。

 あの、それでは同僚議員からも確認させて頂きたいと思いますので、きちんと民法上の契約かどうか確認してください。午後の質疑で聞く議員がいるかもしれなませんから。午後の質疑でいつでも答えられるような形で準備をしておいて頂きたいというふうに思います」

 (以下は「前夜祭」に関係しない質疑だが、参考のために記載することにする。)

 大串博志「次に参ります。あの参加者ですね、ちょっと聞いてください。質問しますからね。参加者ですね、『桜見る会』の参加者。夫人からの推薦がどうだったかっていう問題がありました。これに関して総理は夫人からの推薦を『私自身』、総理が参考にして、それを事務所に伝えたと。こういうふうに答えております。

 ご夫人の推薦でこの『桜見る会』に出られたという方、一杯いらっしゃるということがこの委員会でも取り上げられましたね。百何十人、あるいは20人のグループ、何年も続けて、名刺だけ交換したら何回も、招待状が来たみたいな話が続きました。ところが安倍総理の答弁を聞くと、夫人が安倍総理に推薦をしたものを安倍総理が参考にされて、事務所に伝えられたっていうことを言われたので、これ確認したいのですけど、夫人がこの人呼びたいなというふうに推薦されてきた方々を安倍総理がちょっとこの人やめた方がいいということではねられたケースあるんですか」

 安倍晋三「従来から答弁をさせて頂いておりますが、私の事務所に於いてですね、幅広く希望、参加希望者を募る過程で、何度も答弁させて頂いていることですが、私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者について私の意見も言うことがありましたが、その際、各界で活躍されている人を幅広く把握する観点から、妻の意見を聞くこともありました。妻の意見を参考として事務所の担当者に私の意見を伝えたところでございまして、私は妻から、こういった方を呼んだ方がいいですねって言われたら、そうだなって言うときもあれば、それはどうなんだろうと言うことも当然あるわけでございます。

 その上で私から事務所の担当者に伝えて、事務所から内閣府に伝えているということでございます」

 大串博志「ご夫人からも推薦があって、総理自身が聞かれて、参考にして、『うん、これはいいな。この方はいいな。この方は避けた方がいいな』って。どういう方々を避けられてんですか」

 安倍晋三「あの、これはまさに個人のプライバシーに関わることでありますから、答弁はですね、差し替えさせて頂きたい。そこまで答弁することは差し替えさせて頂きたい、ま、このように思います」

 大串博志「個人のことは聞いてないです。個人のこと聞いてなくて、どういう観点からこの人はふさわしくないなという方はよけられたんですか」

 安倍晋三「例えばですね、私自身が既にこれは招待をしていたことがあるということの記憶がある人物もいるわけでございます。そういう方々等もあるわけでございますが、それ以外についてですね。こういう人ということについてはですね、非常に個人的なことにもなるので、答弁は差し控えさせて頂きたいと思います」

 大串博志「そうすると個人的な理由でこの人はよくないなーっていうことで跳ねられた方がいらっしゃるということですか」

 安倍晋三「これはそもそも私がですね、それはふさわしいかどうかという取り纏めを行うのは内閣府に於いてこれは行うわけでございまして、私の基準というのはですね、まさにこの私はこの事務所にこういう人はどうかということを伝えた方がいいかどうかということでございます。そん中でこの伝えさせて頂いている、こういうことでございます」

 大串博志「ちょっと不思議なんですけど、この人がいいな、この人よくないなという基準は各界で功績のある人かどうかっていう基準じゃないですか」

 安倍晋三「あの、これはそうですね、地域で様々な活躍をしておられる方がおられます。その、ですから、一定の基準が曖昧であったことからですね、今回は中止させて頂いたところでございます。それも今でも申し上げていた通りでございます。

 その中に於いてこの、私が事務所に伝える上に於いてですね。あの、私の観点からまさに私から伝えるわけでございすから、ここは私が伝えた方がいいかという中に於いてですね、伝えていたと、こういうことございます。これが全てでございます」

 大串博志「前から(?)聞いたときにですね、どういう人が呼ばれたかっていうことは国民の関心事でもあるし、まず隠すべきことはないと私は思うですね。にも変わらずリストがないということで、全部今検証できない状況になってるわけですよ。中止したこと自体が適切かどうかということを確認する術すらなくなっているわけですね。リストはない、消去した、ログもない。こういう状況になってるもんだから、あまりにおかしいことでお尋ねしてるわけですよ。何かね、ログは確認すらしない。確認する必要すらない。切って捨てたように言っている。

 これも本当によく分からないことなんですけども、何か私、この状況を見てるとね、10年ほど前に中国で高速鉄道の事故があったときにですね。高速鉄道が橋梁から下に落ちました。その直後に政府はそれを埋めた。その場で埋めた。その後の事故の検証も何もできないようになっちゃうという批判があるにも関わらず全部埋めちゃった。何とかのものには蓋をするように全部埋めちゃった。そんな雰囲気すら感じるんですよ。ヤバいから蓋をしたみたいな感じに思える。

 当時ね、10年前、中国で起こった高速鉄道の事故、そして落下した車体をその場で即時に埋めた。当時ね、現代の焚書坑儒って言われたんですよ。現代の焚書坑儒。即ち思想と考えがヤバいなと思ったことに対しては蓋をするという意味で歴史的なね、現代の焚書坑儒って言われた。大変中国政府、非難されたんですよ。私は似たような雰囲気すら覚えますよ。そういう意味から聞かせて頂いてるわけです。いずれにしても、先程の前夜祭に関する総理の契約という言葉、この一点だけで今総理は、これが政治資金収支報告書に載るかどうかというところで(説明を?)拒否してらっしゃる。

 それが民法上の契約かどうかも、明らかに、これだけ答弁されて、今できない。、ここにきちんと確認させて頂きたい。その上でその性格に応じてさらに議論を深めさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。さらに問題に関して、明日行きます」

 カジノ問題に移る。

 一般的には、常識的にも、この手のパーティはホテル側と後援会事務所側が会費、集金方法等の契約を結んで行うものだが、一般的を離れて、あるいは常識的を離れて、ホテル側と参加者一人ひとりと契約を結んだパーテイだとするのは、事務所との契約とした場合、何らかの不都合が生じることになり、その不都合が露見することを避ける必要性が立ちはだかっているからであろう。

 何の不都合もなければ、公職選挙法にも、政治資金規正法にも違反していないことを前提とすることになり、ホテル側と契約を結んだのは安倍事務所だとしても、その一般的であることと常識的であることから、野党に疑惑を嗅ぎ取る隙きを与えることはなかったはずだ。

 つまり普通に構えていれば、普通に事は進む。

 ところが逆で、結果的に野党は国会質疑で疑惑追及の時間を多大にかけることになった。安倍晋三は自分に関係している事柄なのだから、疑惑追及の時間を最小限に留める責任を首相として負っていながら、それができないでいる。その理由は、当然、一般的であることと常識的であることから離れて、前夜祭パーティをホテル側と参加者個人個人の契約としている点にあるはずである。

 安倍晋三は「参加者一人当たり5000円という価格については800人規模を前提にその大多数が当該ホテルの宿泊者であるという事情等を踏まえ、ホテル側が設定した価格であり、価格分以上のサービスが提供されたと言うわけではない」ゆえに「収支が一切発生していない」」、だから、「政治資金収支報告書には載せなくてもいい」と答弁している。

 「価格分以上のサービスが提供」されていない以上、いわばホテル側が設定した5000円という価格が実際に出した飲食物の価値相当であり、掛け値なしということなら、公職選挙法で禁じている利益の供与にも、買収にも、利害誘導にも抵触しないことになるが、であるなら、なぜホテル側と参加者一人ひとりの契約とする理由がどこにあったのだろう。

 安倍晋三は1月27日(2020年)の月曜日に立憲民主党の黒磐宇洋に対して「多少のキャンセルが出てもよいということとして契約をした」と答弁しているが、当然、その契約はホテル側と前夜祭パーティに出席した参加者個人個人の間の契約ということになり、出席の予定が欠席したとしても、参加者はキャンセル料を支払わない、ホテル側もキャンセル料を取らないという契約となっていることを示すが、その金銭的便宜は安倍後援会事務所主催の前夜祭パーティへの出席者であることを前提とした便宜であるはずだから、それが僅かな金額であっても、間接的には安倍後援会事務所への便宜ということにならないのだろうか。

 いわばキャンセル料分、公職選挙法が禁じている「財産上の利益の収受(受け取って収めること)」に当たることになって、安倍後援会事務所はホテル側から利益の供与を受けたことにならないのだろうか。

 安倍晋三は領収書の発行について二通りの答弁をしている。

 最初は「ホテル側とのですね、合意に基づきまして、夕食会場入り口の受付に於いて安倍事務所の職員が一人5000円を集金をし、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたものと承知をしている」と答弁、安倍事務所の職員が集金して、領収書を参加者に「手交」、「受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡」したとしている。

 現金の管理と領収書の「手交」だけを受け持ち、領収書は安倍事務所の職員が書いたのか、ホテル従業員が書いたのかはこの答弁から窺うことはできないが、安倍事務所の職員を受付の主役に置いた口振りとなっている。

 もう一つは「これは契約主体が参加者ということでございます。ですから、ホテル側はですね、領収書を、ニューオータニの領収書を出して、そしてそれをですね、参加者にお渡しをしているということでございまして、手書きでですね、金額をニューオータニ側が書き、そして摘要を書き、日付を書き、担当者の名前も手書きで書き、そしてそれをいわば参加者に、宛には出した。いわば後援会宛に出したわけではないというわけでございます」と答弁、受付の主役をホテル従業員に置いた口振りとなっている。

 ホテル従業員が領収書の全ての記入を行い、その領収書を「参加者にお渡しをしている」、あるいは「参加者に、宛には出した」と、領収書の「手交」は最初の答弁のように安倍事務所の職員ではなく、ホテル従業員が行ったことにしていて、最初の答弁と矛盾している。

 「参加者に、宛には出した」が、宛名書きの欄にホテル従業員が宛名を書いただけだと主張することもできるが、となると、「手交」はあくまでも安倍事務所の職員だとすることができるが、この方法だと、安倍事務所の職員でもいいが、参加者から5000円を受け取ってから、ホテル従業員が手書きで領収書に金額を書き、摘要を書き、日付を書き、担当者の名前を書き、そのようにして仕上がった領収書を、領収書が手渡されるのを待っている目の前の参加者に直接渡すのではなく、一旦安倍事務所の職員に手渡してから、安倍事務所の職員が参加者に「手交」したことになる。

 僅かな時間差ではあるが、こういった不自然なことをするだろうか。この不自然さを解消するとしたら、ホテル従業員が金額も、摘要も、日付も、担当者の名前も同じだからと前以って領収書を量産する形で順次記入して仕上げていき、安倍事務所の職員が参加者が受付に現れ次第、仕上がった領収書の一枚を5000円と引き換えに「手交」していく流れ作業を行ったとしなければならない。

 このような方法を用いたとするなら、安倍晋三の答弁の矛盾は一切解消する。但しホテル従業員は受付に現れる参加者をなるべく待たさない時間内に約800枚の領収書を順次、せっせと量産していかなければならない。

 だとしたら、金額も、摘要も、日付も、担当者の名前も同じなのだから、受付開始よりも早い時間にホテル側は、例え手書きであっても、領収書を約800枚+アルファ枚分を前以って、なぜ用意しておかなかったのだろうか。あるいは大手ホテルの領収書なのだから、それなりの体裁を見せるために手書きではなく、約800枚+アルファ枚の手書きという煩わしい手間を省くためにも、今ではパソコンで、形式を整えるのに少し時間はかかるが、形式さえ整えれば、何枚でも量産できるソフトも存在するし、電子タイムスタンプを使えば、複写で控えまで取ることができて、一流ホテルらしい見栄えのいい領収書を簡単に効率よく作成できる。

 しかも毎年のことだから、一度の準備で効率よく片付けることができる。

 だが、こういった簡便で見栄えのいい、効率もよい作成方法を採用せずに手書きで、しかもパーティが始まる前に用意しておくのではなく、パーテイ会場が開いてから、約800枚の領収書を受付で来客に合わせるようにして手書きで仕上げていった。果たして一流ホテルがすることだろうか。このような場面を自然と目に浮かべることができるだろうか。

 ネット上に2015年と2018年と2019年の領収書が流布している。画像にして載せておいたが、2015年は毎日新聞、2018年は「asahi.com」が記事で紹介していて、2015年は金額が手書きで「5000-」と入っているのみで、宛名の欄には「上様」の文字すらなくて空白、摘要も空白となっていて、2018年は5000円の金額と摘要が「お食事代」と入っているものの、宛名は2015年と同様、「上様」の文字すらない空白で、一流ホテルが発行する領収書には見えない。

 誰かが提供したものであったとしても、単に領収書が発行されたことを証拠立てて、安倍晋三が政治資金規正法にも公職選挙法にも抵触していないことを合わせて証拠立てる意図からの提供ではない証拠は画像からは窺うことはできない。

 2019年の領収書は「KSL-Live!」なる団体がネット記事の中で、〈2019年のものは宛名が入っている。〉と紹介しているが、その宛名は黒塗りにされている上に記事は親安倍で彩られていることから、この領収書が2019年4月12日の前夜祭パーティの際に実際に発行されたものかどうかを窺うことはできない。

 このような疑いを払拭するためにも、プライバシーだ何だと言わずに本人に断って名前を出すべきだったろう。パーティに出席したことが何の不名誉でもないのだから。

 このほかに7年もの間前夜祭パーテイを開いていながら、この3枚の以外の年の領収書がネットに流布していないことも、実際に領収書が発行されたのか、疑わしい点となっている。

 上記「KSL-Live!」が別記事で「領収書を誰も見ていない」と証言している下関市議について書き、その下関市議が反安倍勢力であることを一つの理由としてその証言の信憑性に疑義を呈しているが、このことをそのまま裏返すと、親安倍勢力の証言の信憑性にしても疑義を呈さなければならなくなる。

 もし5000円以上の飲食物が提供されていたなら、その差額をホテル側が補填していたとしても、安倍事務所側の要求に従ったことになるし、安倍事務所側が政治資金から補填していたならなおさら、買収及び利害誘導相応の罪に相当する。

 もし会費を徴収せず、領収書の発行は事実でなく、タダで飲食をさせていたとしたなら、とんでもなく公職選挙法のみならず、政治資金規正法にも違反することになる。

 一流のホテルでありながら、なぜ約800枚もの領収書をパーティ会場の受付の場で手書きで記入し、発行することになったのかが鍵を握っている。

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