徴用工問題:非は安倍政権にあり、韓国にはない 西松建設最高裁判決は適用不可能 無礼は河野太郎

2019-07-22 12:39:51 | 政治
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 日本の首相安倍晋三センセイが加計学園獣医学部認可に首相としての権限を私的に行使し、私的に行政上の便宜を図る形で政治的に関与し、私的便宜を与えたとされている疑惑を国会答弁や記者会見から政治関与クロと見る理由を挙げていく。自信を持って一読をお勧め致します。読めば直ちに政治関与クロだなと納得できます。よろしくお願いします。

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 様々なネット記事を道案内させて貰って、記事を進めていく。

 2018年10月30日、太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」と主張する韓国人4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判で、韓国大法院(最高裁判所)は「個人請求権は消滅していない」として、賠償を命じる判決を言い渡した。対して安倍政権は1965年の日韓請求権協定により元徴用工の個人請求権は「完全かつ最終的に解決済み」との立場を取り、この立場から安倍晋三は「国際法に照らしてあり得ない判断だ。毅然と対応する」と述べ(息巻き?)、河野太郎は「日韓請求権協定に明らかに反し、日本企業に対し不当な不利益を負わせるものであるばかりか、1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない」と批判した(息巻いた?)。そして韓国政府に対して問題の解決を求めた。

 対して文在寅(ムンジェイン)韓国大統領は「個人請求権は消滅していないという観点から解決していくべきだ」という点と、「三権分立の中で行政府が司法府の判断に関与できず、尊重しなければならない」という点で政府としては動かない姿勢を示した。

 文大統領が「個人請求権は消滅していない」と発言していることは1991年8月27日の参議院予算委員会での当時外務省条約局長で、政府委員(現在の政府参考人)として出席した柳井俊二の答弁を根拠にしているのだろう。

 柳井俊二「日韓請求権協定におきましては両国間の請求権の問題は最終且つ完全に解決したわけでございます。その意味するところでございますが、日韓両国間において存在しておりましたそれぞれの国民の請求権を含めて解決したということでございますけれども、これは日韓両国は国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。

 従いまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではありません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます」(文飾当方)

 「外交保護権」とは、外国によって自国民の身体・財産が侵害された場合、その侵害を自国に対する侵害として、国家自らが、いわば自国民に代わって相手国の国際法上の責任を追及することだという。その「外交保護権」を相互に放棄した。

 このことを裏返すと、国家の関わりのないところで個人が個人として自らの侵害に対して訴える分に関しては、いわば国家による外交保護権の行使という形式を採用しない訴えであるなら、そのような訴えを日韓請求権協定は可能としているという意味を取る。このことが柳井俊二の「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではありません」という答弁となって現れた。

 だが、安倍晋三にしても、河野太郎にしても、官房長官の菅義偉にしても、この国会答弁などなんのその、1965年の日韓請求権協定を根拠に元徴用工の個人請求権は「完全かつ最終的に解決済み」との立場を取り続けて、韓国政府に対して1965年日韓請求権協定第3条の紛争解決の規定に基づいた対応を求めたが、応じなかったために「国際裁判も含め、あらゆる選択肢を視野に入れ、毅然ととした対応を講ずる」との強い姿勢を示したが、韓国側の静観の構えは変わらなかった。

 日本政府は2019年7月1日になって徴用工問題をめぐる対抗措置であることを否定しつつ、韓国向けの半導体素材の輸出管理強化措置、いわば輸出規制の強化を発表。対して韓国側は「経済的な報復措置だ」と反発、WTO提訴も辞さない姿勢を示した。

 安倍晋三が2019年7月7日のフジテレビ番組で、韓国向け半導体材料の輸出管理強化措置の理由について「不適切な事案があった」と発言、この「不適切な事案」とは韓国が日本からの輸入品を北朝鮮に横流ししているというものだが、これは事実として日本政府が明言していることではく、横流ししているという見方があるという程度の事実であって、官僚の誰かからのリークがマスコミに流れて、そういった見方が浮上した見方なのか、官邸側が輸出規制の理由をデッチ上げるために官僚の誰かを使ってマスコミにリークさせて浮上した見方なのか、いずれかが考えられる。

 勿論、韓国側は北朝鮮への横流しを否定、輸出管理を厳格に履行していると主張している。

 また、韓国向け半導体材料の輸出管理強化措置が徴用工問題に於ける韓国側対応の日本側が望む内容となっていないことに対する対抗措置との見方があることに関しても日本側は否定している。

 「世耕弘成記者会見」(経産省/2019年7月16日)

 記者「韓国の文大統領は、昨日、改めて今回の措置について、重大な挑戦であるとか、国際機関の場で検証すべきということを改めて言っていますけれども、これに関してはいかがでしょうか」

 世耕弘成「日本としては当初から、今回の見直しは、安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点から、運用を見直すものであるということを明確に申し上げています。対抗措置ではないということも、最初から一貫して説明をしてきているわけでありまして、昨日の文大統領の御発言にあるような指摘は、まず全く当たらないということを申し上げておきたいというふうに思います」

 だが、世耕弘成はこの「対抗措置ではない」治する発言とは異なる発言を自身のツイッターで述べている。

 「世耕弘成ツイッター」(2019年7月3日)

韓国への輸出管理上の措置について、なぜこの時期に?等の疑問がまだ寄せられているし、マスコミもまだ完全に理解できていないようなので、今回の措置に至る経緯を改めて説明します。

経緯①
従来から韓国側の輸出管理(キャッチオール規制)に不十分な点があり、不適切事案も複数発生していたが、日韓の意見交換を通して韓国が制度の改善に取り組み制度を適切に運用していくとの信頼があったが、近年は日本からの申し入れにもかかわらず、十分な意見交換の機会がなくなっていた。

経緯②
また近時、今回輸出許可を求めることにした製品分野で韓国に関連する輸出管理を巡り不適切な事案が発生している。

経緯③
さらに今年に入ってこれまで両国間で積み重ねてきた友好協力関係に反する韓国側の否定的な動きが相次ぎ、その上で、旧朝鮮半島出身労働者問題については、G20までに満足する解決策が示されず、関係省庁で相談した結果、信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない。

経緯④
輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されているものであり、経緯①〜③を勘案した結果、韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていると判断し、厳格な制度の運用を行い、万全を期すこととた。(文飾当方)

 かくこのように徴用工問題で日韓の「信頼関係が著しく損なわれた」ことを輸出規制の動機の一つに加えている。

 このツイター発言で特に問題な点は輸出規制のメインの理由として「従来から韓国側の輸出管理(キャッチオール規制)に不十分な点があり、不適切事案も複数発生していた」ことと、その是正に関わる「十分な意見交換の機会がなくなっていた」ことを挙げているが、だとしたら、「韓国側の輸出管理の不十分な点」と「不適切な事案」を具体的かつ明確に明示しなければならないにも関わらず、明示しないままに徴用工問題で韓国側から満足な解決策を示されないことを輸出規制の理由の一つに上げていることである。

 メインの理由を具体的に明示できずに対抗措置ではないとしている、当然、理由の一つに挙げる必要のない徴用工問題を輸出規制の理由の一つとして明示できる。この明示できるか否かによって、どちらがメインの理由か、自ずと姿を現すことになる。

 1991年8月27日の参議院予算委員会で日韓請求権協定によって個人の請求権は消滅していないとしていながら、それを無視していることも不明朗(隠し事や誤魔化しがあり、はっきりとしないこと・goo辞書)なら、輸出規制は徴用工問題に対する対抗措置ではないとしていながら、輸出規制の一つの理由としていることも不明朗そのものである。

 色々とネット上の情報を探っていくと、この不明朗はこじつけに行き当たる。2018年11月14日の衆議院外務委員会で共産党の穀田恵二が質問に立ち、「元徴用工の請求権については政府は日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している、判決は国際法違反だとの姿勢」だがと切り出して、上記1991年8月27日の参議院予算委員会の質疑に於ける外務省条約局長柳井俊二の答弁を取り上げて、個人の請求権は消滅していないとしていると追及している。

 対する河野太郎の答弁。

 河野太郎「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございませんが、個人の請求権を含め、日韓間の財産請求権の問題は日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決済みでございます。

 具体的には、日韓両国は、同協定第2条1で、請求権の問題は完全かつ最終的に解決されたものであることを明示的に確認し、第2条3で、一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対する全ての請求権に対していかなる主張もすることができないとしていることから、このような個人の請求権は法的に救済されません。

 日韓請求権協定において、請求権の問題は完全かつ最終的に解決され、個人の請求権は法的に救済されないというのが日本政府の立場でございます」

 要するに「個人の請求権が消滅していないが、日韓請求権協定第2条3によって全ての請求権に対していかなる主張もすることができないとされているから、このような個人の請求権は法的に救済されない」との意味を取らせている。だが、言っていることがよく分からない。この答を政府参考人として出席した外務省国際法局長三上正裕が理解させてくれる。

 三上正裕「先程申し上げたように、(日韓)請求権協定の中には財産、権利及び利益並びに請求権ということで入ってきているわけでございます。柳井局長が実体的権利と申し上げたのは、その四つのうちの財産、権利及び利益、確定的に実体的に存在しているものということだと理解しております。それを日本国内法の措置法で消滅させたということを言っていると思うんですが、請求権、慰謝料の請求権はその消滅させた実体的権利の中に入っていない、ただ、請求権は請求権協定の中には入っているので、この請求権協定で全てが解決されているということでございます」

 実体的権利に関して、「Yahoo!知恵袋」で次のように解説されている。

 〈実体的権利とは、具体的権利と同義と考えてよいと思います。すなわち、法律上ないし確立した判例上認められた権利で、かつその権利に基づいて裁判所に出訴し、救済を受けることができるものです。〉
 
 要するに確定的に実体的に存在している財産、権利及び利益に関しては日本国内法の措置法で消滅させてはいるが、「請求権、慰謝料の請求権はその消滅させた実体的権利の中に入っていない」、いわば「実体的権利」から除外されているゆえに日本国内法の措置法で消滅されてはいない、請求権は日韓請求権協定内の扱いとなっているから、その協定が個人の請求権は全て解決済みとしているとおりになるということになる。

 さらに三上正裕は次のように答弁している。

 三上正裕「最初に申し上げたように、権利自体は消滅していない。しかし、裁判に行ったときには、それは救済されない、実現しませんよということを両国が約したということだと思います」

 個人の請求権が“実体的権利外”、いわば “法律上ないし確立した判例上認められた権利外”のものであるなら、当然、裁判で救済されないことになる。

 但し1991年8月27日の参議院予算委員会での柳井俊二の答弁と矛盾することになる。
 
 柳井俊二「いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではありません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます」

 柳井俊二が「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させてはいない」、ただ、「外交保護権の行使として取り上げることはできない」、いわば外交保護権行使外であるなら、取り上げることができるといった趣旨の答弁をしているのに対して三上正裕は実体的に存在している「財産、権利及び利益を日本国内法の措置法で消滅させた」が、「実体的権利の中に入っていない」「請求権、慰謝料の請求権」は消滅させていないと答弁している。要するに柳井俊二が言っている「個人の請求権そのもの」を「実体的権利外の請求権、慰謝料の請求権」にすり替えている。

 三上正裕が言っているように「権利自体は消滅していない」、いわば「個人の請求権は消滅していない」が、このことに反して裁判での救済は実現しないとしている根拠が、上記2018年11月14日の衆議院外務委員会で共産党の穀田恵二も取り上げているが、第2次大戦中に強制連行され、広島県内の水力発電所の建設現場で過酷な労働をさせられたとして中国人の元労働者ら5人が西松建設を相手に約2700万円の損害賠償を求めた訴訟に対する最高裁判決であることを置いているということを2019年4月29日付「ハーバーピジネスオンライン」が伝えている。その「最高裁判決」をダウンロードしてみた。

 1972年の日中共同声明で中国側が戦争賠償に対する請求権を放棄したことを前提に、〈日中戦争の遂行中に生じた中華人民共和国の国民の日本国又はその国民若しくは法人に対する請求権は、日中共同声明5項によって、裁判上訴求する権能を失ったというべきであり、そのような請求権に基づく裁判上の請求に対し、同項に基づく請求権放棄の抗弁が主張されたときは、当該請求は棄却を免れないこととなる。〉として日中共同声明5項に基づく請求権放棄の対象と看做して、控訴をいずれも棄却している。

 但し中国側が日中共同声明で戦争賠償の請求権を放棄したことを控訴の棄却理由としている最高裁判決を日韓請求権協定に当てはめて、「裁判に行ったときには、それは救済されない、実現しませんよということを両国が約した」(三上正裕)とするのこじつけそのものであろう。大体が韓国側は「個人請求権は消滅していない」という態度を一貫して取り続けている。日本側だけの言い分を主張して、それを押し通そうとしている点についても、こじつけ以外の何ものでもない。

 河野太郎は日本政府が日韓請求権協定に基づいて第三国を交えた仲裁委員会の開催を韓国政府に求めていたが、韓国政府側が7月18日の最終期限までに応じなかったために翌7月19日午前、駐日韓国大使を外務省に呼び、強く抗議している。「NHK NEWS WEB」(2019年7月19日 12時27分)記事から河野太郎と駐日韓国大使の発言を拾って、纏めてみる。

 河野太郎「今回の対応は非常に残念だ。国際法に違反している状況を放置しているのは極めて問題で、韓国政府が今行っていることは第2次世界大戦後の国際秩序を根底から覆しているに等しいものだ」

 駐日韓国大使(輸出規制を念頭に)「日本側の一方的な措置で両国民と企業が困難な状況に陥り、被害が発生している。韓日関係の根幹を損なわせ、両国の基本的な関係に損傷を与える状況は、一刻も早く解消されるべきだ」

 河野太郎(駐日大使が「徴用」の問題の解決に向け、先月、韓国政府が提案した案を説明しようとすると、発言を遮り)「その提案は以前、国際法違反の状況を是正するものではないと伝えている。それを知らないふりをして改めて提案するのは極めて無礼だ」

 「知らないふりをして改めて提案するのは極めて無礼だ」としても、政府参考人が一度は「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではありません」云々と、消滅否定の答弁したことを、と言うことは徴用工問題で非があるのは安倍政権であり、韓国にはないことになるが、「(個人的請求権の)権利自体は消滅していない。しかし、裁判に行ったときには、それは救済されない、実現しませんよということを両国が約したということだと思います」と、結果的に消滅させているこじつけの無礼から比べたら、駐日韓国大使の無礼はたいしたことはない。にも関わらず、無礼としたことは、河野太郎の方が無礼な態度を取ったことになる。

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