しのぶwaves

有馬忍 ライブ情報 日々記

王様の枕 18

2005-07-07 21:01:15 | 物語
「ご主人様に、早いとこお知らせしないと、2人ともご褒美なしだしだしな。お前のアホ頭で考えても無駄だしだし、わかったか!」
一人のヘビ男が舌をしゃーしゃーだした。もう一人が言った。
「おめーに何がわかっとんじゃじゃ、この道はさっきもいっぺん通っとんじゃじゃ、それもわからんくせして、偉そうに言うんじゃねーじゃじゃ」
やはり、舌がしゃーしゃー出ている。最初の男が言った。
「なにおー!そんくらい、わしゃーもわかっとるんじゃ~じゃ~(舌がでている)、ご主人様はな、
この秘密通路のどっかに、この国の宝物があるとわかっとるそうじゃーじゃー、それを早いとこ見っけて、ご褒美いっぱい貰いたくねえのか?」
2人は、肩をこづきあいながら、右ての通路を突き当たると、又しても二手に分かれた道をうらめしそうに見つめた。エルマーちゃんと少年は、ヘビ男達が今度は左に曲がっていった後ろ姿を見送ってから、立ち止まって、今来た道を振り返った。
ウィニーは、格納庫に行く道は、目でみて解るのでなく、夢みて知ると言っていた。
夢を見るなら、目を閉じて眠りにつこう、でも、こんな状態で眠れるわけが無い。
そこで、2人は単純に王様の夢格納庫へたどり着くことを、心から夢見ることにした。王様の夢のお部屋は何処?私達を、どうか、連れて行って下さい。2人は静かにめを閉じて夢を見た、しっかりと手をつないで。
すると、不思議なことがおきました。2人の足元から、真四角に切り取られた石段が、ゴーっという
音と共に真下に下りて行ったのです。切り取られた石のエレベーターはどこまでも落ちていきまし
た。2人の髪の毛はその速さに逆立って、今にも身体が宙に浮く寸前、目の前に青色の丸型の扉が開いて、2人をまるで吸い込む様にその中へ運び込んだのです。
エルマーちゃんの身体の白い毛は、うす灯りの中で青く染まってキラキラと輝いています。
少年の黒い髪まで、青い光で不思議な色に変わっています。

王様の枕 17

2005-07-07 08:20:14 | 物語
少年とエルマーちゃんはこっそり宮殿にしのびこみました。宮殿の中は灰色に変色しているものの
シンと静まり返っていました。ウィニーに聞いた通り、食堂の階段を下りた右手の扉が、秘密通路の入り口だ。2人は足音を忍ばせて暗い部屋に足を踏み込んだ。通路はひんやりとした空気で不思議と薄明かりで足元が見える。壁際に蝋燭が灯っているようだ。足元は大理石の廊下がひんやりとした空気をなおさら増して行く様に続いていく。突然行く手の道が二手に分かれて2人は顔を見合わせて迷いました。その時です、二手に分かれた道の左手の方から、話し声が聞こえました。
「お前の、そのアホ頭のせいだす、せいだす、まった間違えちまっただす、だす。」
「この、ばかでか頭の人のせいにするズルズルズルイ男のくせに、偉そうな口きくでねーだすだす」
2人は、元来た通路の暗がりに身を寄せて息を詰めて待ちました。現れた声の主は、灰色のマントを頭からすっぽりとかぶった2本足で歩くへび男で、マントの下から白い尾っぽがクネクネと大理石を這いながらしゅるしゅると音を立てていました。マントの中の顔は、暗くてよく見えませんでしたが、見えなくて良かったと少年とエルマーちゃんは同じことを考えていました。
2匹のへび男が右の道へ通り過ぎるのを待ってから、2人はそっと、その後をつけていく事にしました。ヘビ男達の言い争いを聞きながら、彼らに任された任務を理解したのです。
それは、この様な内容でした。