しのぶwaves

有馬忍 ライブ情報 日々記

ヘビ使い 21

2005-07-14 15:17:08 | 物語
ソドの国の下に続く空が、にわかに掻き曇り、雷鳴が遠くの方から近づいてきました。
その稲妻は、空からソドの国に向かってジグザグに、雷音を味方につけて昇ってきました。
ドーン、ドーン、ガラーン、ガラガラ、ドーン、雷鳴がますます近づいて、もうこれ以上耳をふさがづには居られなくなったその時です。宮殿のブルーの階段を真っ二つに引き裂いて、
鉤爪の五本の指を鷲の爪のように折り曲げた黒い腕が、鉄の扉を突き破りました。
真っ黒な手のひらの真ん中は目になっているようです。右や左を探るように動きながら、宮殿の中に入ってきました。ソドの住民はアリの様に逃げ惑うばかり、中には蝿や蚊の様に叩き潰された人もいました。
宮殿の厨房では、今まさに王様とエルマーちゃんと少年がテーブルベッドに投げ出されたところです。夢格納庫の中から、3人を追いかけてきたヘビ枕は、みるみる内に毒々しい色のへびに姿を変えて厨房の床からするするっと目にも留まらぬ速さで飛び出しました。