しのぶwaves

有馬忍 ライブ情報 日々記

27

2005-09-28 22:05:43 | 物語
2人は、その声に導かれて水中を、どこまでも泳いでいきました。王様の泡も、静かに2人の後についていきました。
「シー!聞こえた?今、確かにこのあたりで・・・」
「うん、僕にも聞こえたよ、ほら、ごらんよ、光が見えるよ!」
光の差し込むその方向へ、3人は上って行きました。
水面のように見えた、平面は夢格納庫の床に続いていて、3人がたどり着くとシドの国の人達が苦しそうに助けを求めていました。バスタスもエルマーちゃんも、驚いて、叫びました。
「ああー!大変!皆死んでしまう!」人々はすでに、息も止まりかけていました。
その時、エルマーちゃんの足に結ばれていた糸が、するすると登っていって、夢格納庫の床の隙間に入り込みました。あっという間に、真四角の扉が床ごと抜け落ちてすべての人々がだーっと水中になだれ込みました。皆、息をしています!
そして、昔からここに居たように、スイスイと泳ぎながら、王様の周りをぐるぐる回って歌いました。
   すべては 貴方の 眠り
   すべては 王様の 安らぎ
   幸せは 幸せは 自由の 国へ
バスタスは、エルマーちゃんと手をつなぎ水面へ向かいました。
顔を出すと、そこは、シドの国をひっくりかえしたドシの国でした。

最新ライブ情報

2005-09-28 20:24:39 | ★☆ライブ情報☆★
9月10日(土)ソルティーヒロシライブにてゲスト出演。

9月17日(土)TIPITINAにてライブ、8:00~
        チャージ1000円
   有馬忍(G、Vo)、タケちゃん(B)

10月1日(土)ソルティーヒロシ、ライブにてゲスト
出演  8:00~ リベルテ
          045-321-3463
10月2日 RagTime祭り 泉多摩川河川敷
      ゲスト出演

10月15(土)成田祭り出演 12:00~
               15:00~
               17:00~
               3ステージ
有馬忍(G、VO)向島ゆりこ(バイオリン)
竹岡隆(ベース)

ひっくりかえるドシの国 26

2005-09-27 20:11:19 | 物語
エルマーちゃんは、足から大理石の床の中へしゅっぽんと飛び込みました。
目の中に少し冷たいけれど澄んだ水がさっと流れ込んだその時、バスタスの姿が
目の前にありました。バスタスはエルマーちゃんを見つめてそーっと云いました。
「今、僕の口から出た一つの泡の中に、王様が入りました。そして、眠りについたんです。このまま、眠り続けたらきっと夢の国は滅ばないよね!」
エルマーちゃんとバスタスは、静かに王様の入った泡を見つめてブルーに透き通る水中でうっとりと見つめあいました。その時、遠くから声が聞こえてきました。
それは、とても悲しいコーラスでした。2人は驚いてその声の方向へ進みました。
その声はこんな風に歌っていました。
   夢はどんなふうに 生まれてくるの?
   苦しいと、何度も、言っているのに
   新しい 夢を 見る事を 許されない
   罪を 犯した 罪人のように ただ祈る
   夢は なぜ 新しく 生まれ変わる事を
   拒むように 美しく 切なく 現れるの?
   もう もう 息ができない 
   もう一度だけ 聞きたい 愛の歌を

25

2005-09-27 13:26:11 | 物語
その時、ソドの国ではヘビ使い達がお城を灰色のとぐろで覆い尽くしていました。
ダガールの歩く後からお城の輝く白いふかふかの絨毯がじっとりと湿った苔に姿を変えていきました。ヘビ使いの面々が深深とこうべえお垂れて、ダカールを迎え入れようとしています。ソドの人々は宮殿の夢格納庫にぎゅうぎゅう詰めに詰め込まれ涙ながらに、助けを呼んでいました。その声はむなしく響いて夢格納庫の中に人々の涙が溢れて、始めは足まで、あっと言う間に、腹まで、そしてついに頭のてっぺんまで達してしまったのです。その時エルマーちゃんは宮殿の食堂から消えたバスタスを追って大理石の光る床の匂いを丹念に嗅ぎながら、僅かな夢枕の匂いに向かって云いました。「コロコロころがってだんだん小さくなるものなんだ?」
すると、床のなかから一本のブルーの糸がするすると出て来てエルマーちゃんの足に結びつきました。

バスタス王様になる24

2005-09-26 22:33:47 | 物語
ころころ転がった王様の元に枕を投げようと、バスタスが枕を掴んだとたん、バスタスの腕から身体ごと枕の中に飲み込まれていきました。
その瞬間王様の姿まで、消えてなくなりました。枕の中は、エメラルド色の水中でバスタスの口からぷくぷくと泡が出ていきます。王様がニコニコ笑いながら、手招きして言いました。「ブバスブタブ君~こぼちぶらばへべ~」バスタスも話てみました。「おぼうさばぁ~どぼこぼへべ~」2人は水中を魚の様にスイスイと泳いで進んでいきました。王様の身体は丸いフグのようにプカプカスィーっと進んでいます。バスタスはまるで生まれた時からずーっと魚だった様に王様の後に横に並んで進んでいきました。バスタスの肺に不思議なしびれが感じられて人間だった頃の空気の残りがプクっと一つ、くちびるから飛び出したその中に、王様がすぅーっと入り込みました。そして、王様は大きくあくびを一つしたかと思うと、静かに眠りについたのでした。