しのぶwaves

有馬忍 ライブ情報 日々記

シドの夢見ランチ 13

2005-06-30 21:31:58 | 物語
さて、美しい女の名前は、ウイニー。
エルマーちゃんと少年は、なにしろ、お腹がペコペコ。
少年と出合ってから丸々1日何にも食べてないんだから。
そこで、自己紹介もつかの間、ウイニーに頼んで食事をとる事になった。

シド王国の宮殿は、白いふわふわのカーペットが敷き詰められていて、机や椅子は地面から数センチ
浮かび上がっていた。2人が通された部屋は宮殿の食堂で、少年のメロン畑が10個分入ってもまだ余るほど広くて、その中央に2人が仲良く食事を取るのには、大きすぎるテーブル?が浮いていた。
ウイニーが言った、
「シドの食事を召し上がるに当たって、ひとつお願いがあります。実は、この国で見えているものはすべて、夢の中の事なのです。シドの国は下界に住むすべての生き物の夢で成り立っているのです。
ですから、お2人が食事をとるためには、あちらの、テーブルベットでまず、眠りについてからでなければなりません。」
2人は顔を見合わせたあと、うなずいた。でも、眠った後どうやって食べたらいいの?
ウイニーが続ける、「眠りに入ると、青色のメニュウが頭に浮かんできます。その中からお好きな物を選んで、頂ければけっこうです」
2人がテーブルベットに横たわると、それは羽根布団のようにフカフカで、綿菓子のように甘い香りに包まれて、あっと言う間にぐっすり眠りに入っていったのでした。


シド王国へ 12

2005-06-30 08:42:41 | 物語
深い空の切れ目から、ブルーの階段が2人の前に現れた。
急いで階段に飛び移って、みるみる消滅していく竜巻を見送った。
青色の階段を何段も何段も上って、もうこれ以上は無理と思ったその時、
美しく青い石柱の門が見えてきた。
「ここは、どこかしら?」
「君の、答えの場所だろ?」
「そうね、じゃあ、シドの国ね!」
2人が門をくぐると、白い着物を風になびかせたきれいな女の人が、
こちらに向かって歩いてきた。背丈は少年より少し高く髪は長くて雲のようにふわふわしている。
瞳は、深いブルーで肌は向こうが透けて見えるほど白かった。

竜巻に乗って行く 11

2005-06-29 22:25:31 | 物語
みるみるうちに近づいた竜巻に飲み込まれた2人は、しっかりと抱き合ったまま、竜巻の中心を
エレベーターみたいにスゥーっと上がって行く、遥か彼方に少年の住んだ「くだらん、つまらん」
ランドが砂埃にチリジリに吹き飛んでいくのが見えた。
竜巻のてっぺんで2人は寄り添って、空高く泳ぐ竜のような竜巻に身を任せるしかなかった。
分厚い雲を何度も何度もくぐり抜けて、竜巻の勢いもしだいに弱まると、2人はそのまま地面に
落ちて死んでしまうのか、不安になってきた。
「頑丈じいさん、が、言った通りなぞなぞ掛けたら、本当に答えが現実の物になっちゃったわ!」
エルマーちゃんが言うと、少年が言った
「ねぇ、もしかしたら、君のなぞなぞって、ただのなぞなぞじゃないんじゃない?もう一度、なぞかけ、してみたら?このままだと、僕達地面にまっさかさまだよね・・・」
「そうね、ならやってみる。ええと、ええと、・・」
竜巻の力がどんどん落ちてきて、2人の身体が今にも放り出されようとした時、
「空の上には、何があるでしょう?」
エルマーちゃんが叫んだ!その時だった、

腸トンネルからの発信信号 10

2005-06-29 13:12:38 | 物語
さて、さて、エルマーちゃんの空腹がピークに達した。
少年も今や、老人ではなく、食べ盛りの少年に戻っている。
少年はこの国で、白い砂をただただ噛んで過ごしてきたのだが、
今、見渡す限りの砂地を見ても美味しい食べものなんてないのがわかる。
その時だ!{プップー、プププッウー}と少年のお腹から変な音がする。
エルマーちゃんが耳を近ずけると、聞き覚えのある声がした。
「エルちゃ~ん!ヒント!ま~だ・・・?」
「あ!頑丈じいさん!私はここよ!聞こえますか?応答せよ!」

「聞こえるぞぉ~今行くぞぉ~!ヒントは~?」
エルマーちゃんが、言った。
「とにかく、私を助ける方法はないのかしら?」
頑丈じいさん、
「なぞなぞかけて!なぞなぞかけて!」
エルマーちゃん、
「おいしい、のりまき食べた~い、はらまきはあったか~い、では、巻き込まれたくない、まきって
な~んだ?」

その時だった、遠くの方から、ぐんぐん近ずいてくる大きな大きな何かは!?(答えて!助けて!)

あみだくじメロン 9

2005-06-29 09:49:39 | 物語
毎年のように、メロン大会を楽しみにしていた国民達は今年も勢い込んで、
日の出と共に国王のもとへと集まった。一等賞は、もちろん「ロマンチックメロン賞」
2等賞は「デカデカメロン賞」3等賞は「質より量賞」の3つだ。
3等も、2等も、一目瞭然で決定するのだが、1等だけは別室にて、厳かな空気の中で、10人の審査委員によって、決められる。メロンが一口大に10皿切り分けられると、
審査委員の前に並べられる。まず、色合いを審査、点数を書き込む。次に香りを審査、点数を書き込む、次に味見審査ーと、すかさず、審査委員一人一人の至福の表情を審査する、審査委員が10人現れるのだ。とにかく、ロマンチックメロンとして競うメロンの味ときたら、ああた!
「うまい。」では、収まらず、とにかく、長く長く一日かかっても終わらぬ陶酔の味が、身体中を満たして脳内幸せ度がピークに達するとき、審査委員一人ずつが、見せるその表情といったら・・・
言葉では言い表せない、顔、顔、顔、が10パターン。
その幸せ度の長さまでも審査対象なのだが、今年はなんと!1ヶ月と10日も審査が長引いてしまったーその理由は?もちろん、少年のメロンの味が他に比べて抜きん出てしまい、一度食べたら、その審査委員達ちが、現実に戻るのにそれだけ、時間がかかってしまったからだ。
ところが、困ったことに、1等賞のメロンをまだか、まだかと待っていた王様が、やっと食べられた頃には・・・メロンが、腐っていたのだった!・・正気に戻った審査委員がどう言い訳しても、
怒った王様は、少年に1等賞を与えず、代わりに罰として、小さな老人として、「くだらん、つまらんランド」を与えた、という訳なのだ。

ロマンチックメロンの発明 8

2005-06-29 09:03:26 | 物語
くだらんランドも1年前は、丸い緑の国で土地の地図は、それぞれが畑に植るメロンに記されていた。
なかでも、もっとも甘く大きいメロンを発明すると受賞できるのが、「ロマンテックメロン賞」だ。
少年の畑には、甘くて大きなメロンが毎年夏になると
うっとり顔に夢見がちなメロンたちで埋め尽くされるそんな、ステキなメロンを育てるために、毎晩の様に少年は自作自演の歌を歌ったり、詩を読んだり、雨の日には共に雨に濡れながら過ごさなければならなかったのだ。そして、ついに完成した少年のメロンは、朝陽の中ひときわ輝く緑色した顔に美しく土地の地図をくっきりと表した、ロマンテックメロンの名にふさわしいメロンの中のメロンだった。



くだらん王出現! 7

2005-06-29 09:02:45 | 物語
「お前のせいで、昼飯も食っとらん!それに、さっきお前をわしの腸で運んだせいですっかり腹がくだってしもうた・・・くだらんが、くだった・・うひ・うひ
・いししし・・」と、しわくちゃの顔が伸びたり戻ったりしながら、老人が笑った?
「おじいさんったら、うふふ、冗談がお上手!」
「なんだと!わしがいつ冗談なんぞ言った!お前のせいだ、おまえがさっきわしにかけたなぞなぞのせいでくだらん、冗談をいってしまったのだ!」
老人が足を踏み鳴らして悔しがってるその時だった。
老人の背丈が1メートルほどぎゅるると伸びたのだ!
それだけではなく、顔の皺まで伸びて、右と左を同時に探っていた瞳がまっすぐにエルマーを見つめている
。エルマーの目の前に立っていたのは、年頃15歳ぐらいの少年だった。少年が面白そうに言った・・・
「たい、は、たい、でも喜んでうれしい、たい、はなあに?」
エルマーが答える、「もちろん、○○○○よ!」{なんだ?}
2人は微笑んで抱き合った。少年がすべてを思い出したかの様に話し始めた。



くだらん!ランド 6

2005-06-29 09:02:02 | 物語
「ここは、何処かしら?ああ~なんだか、すごく、つまんない気分だわ・・」

長い事、くだらん!つまらん!収縮をされていたせいか、頭の中は何を見ても、くだらなく、なにを聞いても、つまらなく、思えて、エルマーちゃんはとぼとぼ砂の土地を歩いていきました。
「あ!そうか、私羽根があったんだ!」
やっと思い出して、お腹にあるオヘソボタンを探しても、すべっとしてる?
「あれ?ない・・ボタンがないわ!あら、それにしてもこの指どうしたのかしら?」
長くて器用な5本の指が、硬い爪に変わっている・・
でも、長く砂の上を歩くにはその方が歩きやすいと自分を励ましながら、エルマーちゃんは足元の砂を掻いた。今、何時ごろかしら・・お腹がすいてますますつまらなく感じて、エルマーちゃんがポツリと言った。
「虹は虹でも、お腹のすく虹って、どんな虹?」
その時だ、足元の砂がどぉーっという音となって、抜け落ちるように煙となって消えうせると、目の前に
しわくちゃの顔をした背丈50cmほどの老人が怒ったような口ぶりでこう言った。
「くだらん!実に、つまらん!お前のおかげで、ゆっくり昼ねもできん、とっととわしの国から出て行け!」
「あら?おじいさん、こんにちわ!ごめんなさい。私おじいさんの昼ねのお邪魔をしてしまったのかしら?」
「ふん、小ざかしい悪ガキのくせに、お前のくだらん謎かけのせいで、腹は壊すわ、昼ねは出来んわ・・ブツブツ・・」
おじいさんは、右目は右上を見上げ、左目は左上を見上げながら、プンプンしている。そして、急にエルマーちゃんに焦点を戻すと言った。
「○○○じゃ!いひひひ、実に実にわしは、頭がよろしいんじゃ!」{答えは、どんな虹?}
「本当ね!じゃ何か食べる物はないかしら?私お腹がすいてもう歩けないの・・・」