わがままこそ最高の美徳・・

ヘルマン・ヘッセ

新たな体験

また私はとばりが降りるのを見る
この上なく親しんできたものが見知らぬものとなる
新しい星空が招いている
魂はゆめみるように歩み寄って行く

またふたたびいくつものの輪の形で広がりながら
私の周りに世界は整えられてゆき
知恵をなくした賢者たる私は
子供のようにこの世界の中に置かれている

けれど以前くりかえした再生の誕生から
遠い昔の思い出が閃き浮かぶ
星たちは沈み　新しい星たちが生まれた
だから宇宙は空虚になることはなかった

魂は屈服して　そして起き上がり
永遠に生き続ける
寸断された糸から新たにより美事に
神の衣服が織られてゆく

１１月の物語・・

甘くて切ない１１月の物語があったな・・

女は、はかなく消える秋から冬への風のように振る舞い

男は、永遠に消えることのない季節を焼印のように押されて

１１月が甘い月だと言って、涙を誘った。

何度か映画を観たけど何度も同じところで泣いたっけ。

季節が移り変わる情景と命が去って行く切なさを愛の表現で描くとき

男と女はなくてはならない被写体になるのだ


紅葉がピークになった箱根の山に

私達はドライブに出かけた。日帰りで温泉に浸かり、ひとときの安らぎを

互いの心に刻む贅沢を持つ事を、さりげなく感じるのは大人の印。

ＣＭの短い画面いっぱいの理想的風景の中の２人。

大きくカーブした道路から真っ逆さまに転落していく車。

２人を乗せた車だとしても、安全運転のＣＭ。


学ぶことは沢山ある。

１１月の甘くてせつない物語の中で、あなたを探したけどもういない。

映画でよかったなぁーー思いどおりにならなくても、互いに生きていれば

次の季節が訪れる。冬から春へ、又夏へ。

甘くて切ない１１月が何度来ても、それはそれで素敵な季節。

１１月の詩・・

イチョウ並木のトンネルに吸い込まれていくタイムカプセル

赤いりんご型　黄色いかぼちゃ型　緑色のは漬け込んだピクルス型

この星で一番速い形は叔母さんが漬けたラッキョウ型だけど

それは我が家の秘密なのだ　何故なら

ラッキョウ型タイムカプセル１号に乗り込んだおじいちゃんは

あまりの速さで過去と現在と未来を一周したせいで

過去のまんまの姿で現在に到着してしまったのだ

今では孫と偽って暮らしている

だから　おばあちゃんはおじいちゃんをおんぶして

次のカプセルに乗る順番を今か今かと待っている

でも　おんぶしたまま乗り込んで帰って来たら

おじいちゃんがおばあちゃんをおんぶしていたんだ！

だから今年も　堂々巡りの旅支度をしてる

それ以来　ラッキョウ型タイムカプセルが一番速いことは我が家だけの秘密

でもいつか　おじいちゃんとおばあちゃんが釣り合ったら

ラッキョウ型が一番速いって　皆に自慢できるはず

今日は２人が戻ってくる予定

１１月のイチョウ並木からびゅんっと飛び出たラッキョウカプセルの皮を剥がす