しのぶwaves

有馬忍 ライブ情報 日々記

夢どろぼう 15

2005-07-02 19:18:16 | 物語
テーブルベッドで、シドの夢ランチを食べ終わったエルマーちゃんと少年が、夢から目覚めると、
ウィニーが静かに2人の目覚めるのを待っていた。2人の満足気な笑顔が、ランチの美味しさを物語っていた。「シドのランチは、如何でしたか?」透き通る様な肌に、シドの青色に縁取られた宮殿の窓辺が反映して、2人は思わずうっとりとウイニーを見つめた。
「実は、お二人にお話しておきたい事があるのです。」ウィニーの顔が少しだけ翳る・・・
「シドの国にこうして客人がお見えになったのは、シドの歴史上大変珍しいことで、以前一度だけ下界からの訪問者があっただけ・・・」
その時、エルマーちゃんの良く聞こえる耳に、聞いた事の無い不思議な音が聞こえてきたのです。
タンタン、タンタン、ドォワンドォワン、ギュウェン、ギュウウェン、トタントタン・・・くりかえし・・・「あら、ウィニーさん?どうしました?」
みるみる内にウィニーさんの顔色が、赤く変色してぎゃっと叫んだ瞬間に白いドレスを両手に捲り上げて、シドの宮殿の青い廊下を、一目散に走り去って行ったのでした。
その時少年がエルマーちゃんより一瞬早く、飛んできた弓矢をよけてエルマーちゃんを抱きかかえると、右手に開かれていた窓から飛び出してシドの空中に飛び出したのです。
2人が落ちた場所は、フカフカの雲の上でした。頭上から、降ってくるのはへなへなした弓矢ばかり
2人は顔を見合わせて、雲の隙間に身をかくしました。
遠くから、聞こえてくるのは、シドの人々が赤く変色した顔で叫んでいるに違いないこんな声、
「夢ドロボー、夢ドロボーが来たぞー!」