僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

「別れ」

2021年05月17日 | Wish
家内が誰かと電話で話をしている。
長い電話だ。

しばらくして家内が部屋に入ってきた。
「ねぇ・・・井上さん(仮名)亡くなったって」

だれ?・・井上さんって。
とっさに誰のことかわからなかった。

「福岡の井上さんよ。
 4月8日に亡くなったそうよ」

今、奥さんから電話があったの、
という家内の表情も呆然としていた。

どうして・・・。

身体の調子が悪いので診察を受けたら
肝硬変だったそうです。

腹水もたまっていて、
治療を続けていました。

入信して一週間後に様態が急変して。
そして、帰らぬ人となりました。

二週間の闘病生活。
どうして、こんなことに。

誰に連絡したらいいのかわからなかったそうで、
机の上にあった「星降る街」に気が付いて、

電話をくれたそうです。

社会人からお坊さんなり、
破天荒な人生を歩んでいました。

お酒が好きで、
「そんな生活を送っていたら、
 いつかは血を吐き路上に倒れて、そのまま死ぬ」

なんて冗談半分に、
何度も注意をしていました。

現実は病院のベットで、奥さんに見送られたけれど、
まさか本当に死んでしまうなんて・・・。

信じられない。
さみしいよ・・・。

「これからも星降る街を送ってね。
 私が彼の代わりの読むから」

奥さんの言葉が、なぜか哀しい。

人はいつかは死んでしまう。
それは誰にも避けられないもの。

それでも・・・こんな別れは嫌だよ。

「お誕生日のお祝いをLineで送ったのよ。
 でも、その時はもう死んでいたのね」

家内の言葉が、僕の心から消えようとしない。
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