僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

「消えてしまいたい」星降る街

2024年03月14日 | Wish
桜の花が咲き誇る季節。

街は春の陽射しに包まれて、
穏やかな時間が過ぎていきます。

季節はすっかり春の装い。
暖かくなりました。

月忌回向に向かう車の中でくるろいでいると、
眠気が襲ってきます。

大きなあくびをすると
家内にたしなめられています。

皆様いかがお過ごしですか。

そんな春のある日のことです。

私は近所のお寺様に、
鬼子母尊神祭のお手伝いに行きました。

その日は準備が遅れて、
焦っていました。時間に遅れる。大変だ。もうパニックです。

玄関で靴を履こうとしたとき、
目薬をさしていないことに気が付きました。

私はドライアイです。
乾燥防止の目薬は必需品です。

ただこの目薬

使用すると
十分間目が見えなくなるという

欠点がありました。

その日も目が見えなくなりましたが、
何とか靴を履いて車に飛び込みました。

よかった、間に合った。
私は安堵しました。

でもこのことが、
私の生涯の恥となることに、

そのときの私には知る由もありませんでした。

皆様横ご存じのように、
私は雪駄ではなく、

靴を履いてお寺の仕事をしています。

最初はギョッとしていた檀家さんやお寺様も、
最近は何も言わなくなりました。

変人だと思っているのでしょう

いつものように靴を履いて、
お寺を出発した私と家内。

その日も時間通りに
近所のお寺様に到着です。

よかった。
私は胸をなでおろしました。

さてと・・・。
私は車から降りようとしました。

あれ?
靴が履けない。

足に伝わる、妙な違和感。

恐るおそる足元を見ると、
なんとそこには・・・。


家内のスニーカーがありました。

なんだ、これは!
私は絶句しました。

目薬で目が見えなくなっていたとしても、
これはあまりにもひどい。

常識の範疇を逸脱している。

そう思っても後の祭り

私は小さくなりながら
お寺様の玄関に入りました。

白い目です。
咎めるような、笑いをこらえるような

様々な視線の中、
私は靴を下駄箱に隠しました。

とうとう僕もここまで来ました。
人生の終わりは近い。

「がっかりしないで、
あなたらしくていいじゃない」

慰めになっているのか、

それとも
傷口に塩を塗っているのか。

家内の言葉が胸にしみました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする