原発の恐ろしさ表現 版画家 杉本美子(すぎもと・よしこ)さん=松山市出身
1986年、旧ソ連で発生したチェルノブイリ原発事故が画業に大きな影響を与えた。当時、三男はまだ7カ月。小さな子供への放射能の影響は計り知れない。「原発の恐ろしさを追及し、自分の考えを版画で表現したかった」と事故に真正面からぶつかった。
武蔵野美術大在学中、故アンディ・ウォーホルらに影響されてシルクスクリーンを手掛けるようになった。その技法は今や「私の腕みたいなもの」とほほ笑む。
チェルノブイリ事故からしばらくして、原発を素材にした活動は止まっていたが、2011年に東京電力福島原発事故が発生。原発に向き合うことをやめていたことに自責の念が募った。
チェルノブイリに再び取り組み、その後、テーマは福島へ。事故を伝える新聞記事を背景に、津波に襲われる原発、復旧に当たる作業員らを画面に浮かび上がらせた。「原発を素材にした活動は、今度はずっと続けていくと思う」
首都圏では個展をたびたび開き、海外への出品歴も多々。未経験の愛媛での個展は目標の一つだ。神奈川県横須賀市在住。60歳。旧姓・竹内。