放射能除去と骨炭 一筋の光

私たちの想いを全国に

福島事故を抱えた日本の無関心は異常である

2012年04月17日 | オルタナ

 

 
村田光平・元駐スイス大使
「福島原発4号機の深刻な状況はもはや世界の重大関心事になりつつある」――。村田光平・元駐スイス大使は4月8日、枝野幸男経済産業相、細野豪志環境・原発担当相、米倉弘昌日本経団連会長に対して、使用済み燃料プールが破損した場合に甚大な被害が予想される4号機への速やかな対応を求めた。

福島第一原発の4号機には、1535本もの使用済み燃料がプールに保管されている。このプールの構造は今回の震災で脆弱な状態にあり、次に大地震や不慮の爆発が起きたときにプールが損傷すれば、甚大な被害が予想されている。

4号機のプールから150メートルしか離れていない場所には、6375本の燃料棒がプールに保管されている。

村田氏は「いまだに毎時1億ベクレル近い放射能を出し続ける福島第一、世界を脅かす4号機問題などの本来最優先課題として対処すべきことがなされていないことがついに国際的に明確に問題にされ出した」と指摘。

「問題の本質が全世界の命運に関わるだけにこの勢いは止まらない」と警鐘を鳴らしている。

その上で、原子力委員会の専門部会の提案にもある「第三者機関」の設置を強く両大臣に求めた。

米倉会長に対しては「日本の、そして世界の命運のかかったこの問題がこのように関心を招くのは当然のことで、福島事故を抱えた日本の無関心は異常である」として、日本経団連会長としての理解と支援を求めた。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)


福島の実情とかけ離れた政府の除染事業

2012年02月25日 | オルタナ

政府はなぜ効果の無い除染作業をやり続けるのか?

阿部博士工法で放射能除去に成功したではないか!

命の重さを考えて欲しい!

 

畑の除染作業

福島市在住の深田和秀さん(63)は、東電の原発事故後、線量計を常に持ち歩いている数少ない市民の1人だ。

2011年6月には毎時100μSv(マイクロシーベルト)を超える場所が何カ所もあった。だが、大企業は通学路に面した敷地内の除染にも無関心で、協力してくれなかったという。年が明けてようやく環境省が動き出したが、市民にとっては縁遠く、限られた場所だけアピールのためだけのように映る。

■住民の手による除染の限界

5月の連休には、年間20mSvという避難基準に匹敵する地域が、県内にかなり広がっていた。それ以来、深田さんは市民団体「放射能除去・回復プロジェクト」の中で、主に学童の生活圏に対処するために、住民の手でできる除染方法の実験を繰り返してきた。

「一軒につき70万円の除染予算なのに、実際は2倍近くかかっており線量はそれほど下がらない。コンクリートなどと結合したセシウムは容易にはがれない。膨大な労力をかけて除染しても、隣家や山からの落ち葉ですぐ元に戻る」と、除染の限界を早くから身を持って体験した。

梅雨時の線量は、最近の公式発表値毎時0.98μSv(高さ1m)の約2倍あった。だが、福島市が「雨で流れるから除染の必要はない」と伝えたため、町内会は動かなかった。細野大臣が除染宣言した9月以降にやっと動き出したものの、効果はなく住民の被曝が懸念されるだけだ。

効果の高い特殊な技術は町内会の住民には使えず、高圧洗浄か表土をはがすことしかできない。はがした土の仮置き場が決まらないので除染が進まない。やっと仮置き場が決まり除染を始めても、被曝防護の知識もない住民が借り出され、毎時10μSvの泥土を扱うそばで子どもたちが遊んでいたりする。過去の除染経験を生かすことなどとても無理だ。

「たとえ毎時2μSvの線量でも、除染は我々住民がやるべきことではない。専門の業者がやるべきだ」と、深田さんは訴える。

除染事業には地元企業を潤わせる目的もあったはずだ。だが、割に合わないと撤退した地元企業に代わって、大手が受注し下請けにまわすようになっているという。

■ 避難住民を帰すための除染は幻想

今年の元日から「放射性物質汚染対処特別措置法」が施行、21日には環境省福島環境再生事務所が開かれ、国の除染事業がやっと本格的に動き出したかにみえる。

細野豪志環境相は、「自治体や住民の考え方を尊重する、除染計画も効果の検証なども自治体に任せる」と国会で答弁した。環境省は前述の特措法に基づく自治体の実施計画を待っていたのだろう。2011年12月の時点でも、除染面積や工程などを把握していなかった。、自治体と住民の考え方が一致しなければ、どちらを尊重するつもりなのか。

空き地の除染作業 (写真提供:守田敏也)

福島市は定点計測地点周辺を真っ先に除染した。その結果をメディアが報道、汚染値が下がったとアピールして、避難している県民を呼び戻すためだ。

一方、除染の限界を思い知らされた深田さんにとって、避難住民を帰すための除染は幻想にすぎない。

雨が降るたびに上流の山地に溜まった放射能が下流の住宅地に流れてくるので、上流から面として除染しなければ効果はない。だが、政府は住民が移住しないように住宅地から除染する。

古い住宅地では、地震による排水溝の破壊や詰まりで水が溢れている場所があるが、市は把握していない。そんな場所で、安くて手軽な高圧洗浄による除染を行うので、放射能汚染水が拡散されるだけだと、深田さんは危惧する。

責任者である環境相が、除染に関する研究・技術の蓄積も人材も豊富な原子力研究開発機構(文部科学省所管の独立行政法人)が主力になると言い、農用地や森林の除染には農林水産省が関与するなど、縦割り省庁の弊害も健在だ。おまけに、除染と避難の管轄が環境省と経済産業省に分かれているため、相互補完的に機能しない。

深田さんは、除染現場は原発内作業と同じで、無用な被曝を避けるため子どもや妊産婦は避難させるべきだと言う。「それでも私たちが今除染するのは、落ち葉が腐葉土になったら何世代にも被害を及ぼすから。除染が遅れるほど、影響がもっと後まで引き継がれるからです」。(環境ジャーナリスト 川崎陽子)