放射能除去と骨炭 一筋の光

私たちの想いを全国に

福島原発廃炉作業の絶望

2012年06月01日 | 日刊現代

 

本紙記者がまざまざと見た 福島原発廃炉作業の絶望


30~40年では到底ムリ 東電は電力事業から手を引くべきだ

福島原発事故から1年2カ月余り経った今月26日、東京電力が原発施設の一部を報道陣に公開した。同行取材した本紙記者があらためて感じたのは、廃炉実現に向けた作業の難しさである。野田首相は昨年12月に「収束宣言」し、政府は廃炉までに「30~40年」と公表している。だが、現地を取材した印象は「絶望的」だ。「30~40年」どころか、今世紀中に廃炉できるのか。それすら怪しいのが実態だ。
記者を乗せた大型バスが福島原発の「免震重要棟」を出て真っ先に向かった先は4号機。バスを降りて原子炉建屋の南西70~80メートルの位置から見上げた地上約50メートルの建物は、水素爆発で屋根が吹き飛び、無残な姿をさらしている。事故後、ガレキを一部処理したとはいえ、ほとんど手付かずの状態だ。厚さ1~2メートルの分厚いコンクリートの壁はボロボロで、辛うじて残った壁や柱も、ちぎれた鉄筋があちこちから飛び出している。事故直後のような生々しさだ。
東電は「4号機建屋は震度6強の地震に耐えられる」と説明しているが、次に大地震や津波の直撃を受けたら「倒壊」は避けられないことは容易に想像がつく。「メルトダウンしたら世界が終わる」と世界を震撼させている計1535本の核燃料が、そんな“ボロ屋”に今も保管されている。
東電は来年末から、4号機の燃料取り出しを始める計画を立てている。7月にも、使用前の燃料をクレーンで試験的に取り出す方針だ。使用前の燃料は、核分裂させた使用済み燃料とは異なり、取り出す際のリスクが低い。“本番”の使用済み燃料の取り出しは、建屋南側に屋根を覆う形の「L字形建物」を造り、燃料を1本ずつ引き上げる予定だ。ところが、建設予定地には震災時に発生したガレキや鉄骨などがごちゃごちゃに埋まっていて、工事は「ようやく基礎工事に入った段階」(東電関係者)。燃料取り出しどころか、建物建設計画すら怪しいのだ。

◆線量計は鳴りっぱなし
しかも、今回の現地取材であらためて分かったのは、怖いのは4号機だけではないということだ。
取材バス車内で、記者たちが自前で持ち込んだ線量計が一斉に「ピーピー」と大きな警告音を発したのは、3号機から2号機のタービン建屋裏の海側の道を走っていた時だ。



「線量は、1500マイクロシーベルト(1・5ミリシーベルト)です」

同行した東電担当者が叫び、バス内に緊張感が走った。1・5ミリシーベルトといえば、通常の年間基準線量(1ミリシーベルト)を1時間で軽く超える。4号機は事故当時、定期検査中だったために原子炉が損傷せず、線量もそれほど高くない。重機を使った作業も可能だ。しかし、1~3号機は線量が今も高く、人の作業はムリだ。敷地や建屋周辺には「即死レベル」の高線量地域がゴロゴロある。
となると今後、もっとも懸念されるのは、作業員の確保になる。福島原発では現在、1日約2500~3000人が復旧作業に当たっている。しかし、全面マスク、防護服を着た作業のつらさは想像を超える。

記者も全面マスクをかぶり、防護服を着たのだが、気密性を高めたマスクは、骨格が合わないと顔の左右のこめかみ部分を“ウメボシ”されて痛くなる。そのうえ、常に息苦しい。大声で話さないと言葉を伝えられないし、相手の声も聞きにくい。少し歩いただけで汗が噴き出す。たった2時間、着ただけだったが、最後は酸欠状態で、生アクビが出る始末だ。
防護服に慣れたベテラン作業員でも、「作業は連続2時間程度が限界」(東電関係者)という。夏場の作業は過酷極まりない。積算線量が高くなれば、オーバーした作業員はどんどん現場からいなくなる。

◆チェルノブイリでは6万~8万人が作業した
京大原子炉実験所助教の小出裕章氏はこう言う。
「86年のチェルノブイリ事故では、事故から石棺までの間に(7カ月間で)6万~8万人が作業に当たったといわれています。チェルノブイリはたった1基の事故だったが、福島原発は4基同時に事故を起こした。今後、どのくらいの作業員が必要になるのか想像もできないし、日本だけで作業員を集められるのかどうか分かりません。そんな状況で30年後、40年後の廃炉など不可能です」
こうなったら、東電は電力事業からさっさと撤退し、福島原発廃炉作業に全力を傾注するべきだ。

今のように片手間の作業でケリがつかないことは現場の東電関係者、作業員がよく分かっている。
勝俣会長や清水前社長以下、事故当時の役員を全員引っ張り出し、東電グループの社員を「徴兵」してかき集め、復旧作業に当たらないとダメだ。

野田首相 大飯原発「再稼動」 重大疑惑なぜ消えた「原発なしでも電力確保」の関電文書

2012年06月01日 | 日刊現代
野田首相 大飯原発「再稼動」 重大疑惑なぜ消えた「原発なしでも電力確保」の関電文書


とうとう野田首相が、国民の反対を押し切って、原発を「再稼働」させる方針を固めた。きのう(30日)開かれた関西電力「大飯原発」の再稼働をめぐる3閣僚との会合で、「原発は日本経済にとって重要だ。最終的には私が判断する」と、近々、再稼働にゴーサインを出すと宣言したのだ。遅くても6月中旬までには、再稼働させるとみられている。

原発推進派は「原発なしでは真夏の電力需要は賄えない」と、電力不足を煽(あお)って、一気に「大飯原発」を再稼働させるつもりだ。



しかし、再稼働させないと本当に電力が足りないのか疑問だらけだ。ほんの2週間前、関西電力自身が「再稼働させなくても停電しない」と認めていたからだ。ジャーナリストの横田一氏が言う。
「大手メディアはほとんど報じていませんが、5月15日に行われた大阪府市エネルギー戦略会議で、関西電力は『再稼働なしでも停電させないようにする』という方針を打ち出し、資料まで配布しているのです。需給ギャップを埋める具体策や目標値も示した。資料には『吸気冷却装置を設けることで、出力向上運転を行います』などと対策が記され『これらの追加対応策により、停電を回避する』と表明しています」

大阪府市の特別顧問である「環境エネルギー研究所」の飯田哲也氏にも、関西電力の社員から「この夏は再稼働しなくても大丈夫」というメールが送られていた。

関西電力が「大飯原発」の再稼働を断念し、原発なしで夏を乗り切ろうと準備を進め、電力確保にメドをつけていたのは間違いない。なのに、野田首相が強引に再稼働させようなんておかしい。どういうわけか、関西電力も一昨日(29日)になって態度を一変させている。
「大阪府市エネルギー戦略会議が29日に開かれたのですが、関西電力の説明資料から『再稼働なくても停電させない』という文面や数値が消えているのです。原子力村から、圧力がかかったとしか思えない。翌30日に、野田首相が『最終的には私が判断する』と、再稼働にゴーサインを出すと宣言している。タイミングを計ったとしか考えられません」
(電力関係者)
なし崩し的な「大飯原発」の再稼働は許されない。本当に電力が不足するのか、徹底的に解明する必要がある。




田代検事不起訴なら暴動が起きるゾ

2012年06月01日 | 日刊現代

司法改革を実現する国民会議」が発足

◆法務省に真相解明を申し入れ

陸山会事件で石川知裕衆議院議員を取り調べた際に、ウソの捜査報告書を作成して刑事告発された田代政弘検事(45)=現・法務総合研究所教官=の処分が今月中に決まるという。

大新聞が繰り返し「嫌疑不十分で不起訴の方針」と報道しているから、まぁその通りになるのだろう。

だが、不起訴処分なら間違いなく暴動が起こる。ここまで検察のデタラメが明らかになった以上、マトモな国民は黙っちゃいない。

きのう(29日)は、参議院議員会館で「司法改革を実現する国民会議」が開かれた。呼びかけ人は森ゆう子参議院議員、新党大地の鈴木宗男代表、そして、「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」の八木啓代会長ら。一般市民も200人以上集まり盛況だった。
「東京地検がやったことは、不祥事などというレベルではない。組織ぐるみの犯罪です。この問題を放置すれば民主主義の根幹が崩れてしまう。小沢さんだけの問題ではなく、国民一人一人にとっての重大事なのです。それなのに、まったく動こうとしない国会議員には憤りを感じている。議員が何もしないなら、われわれ主権者たる国民が声を上げるしかないと思って参加しました。会議では、法務省や検察庁に具体的な要請を行う緊急アピールを採択。その足で法務省に文書の申し入れに行きました」(参加した一般市民)
田代検事の不起訴処分を決定した場合、検察はその経緯や調査結果を公表するとしている。どうせ“仲間内”の司法クラブ記者にだけこっそり公表するつもりだろうが、法律のプロとしての判断に自信があるのなら、この「国民会議」にも出てきて堂々と説明すべきだ。
有力政治家を陥れ、国政を停滞させた“最高捜査機関”が大甘処分の頬かぶりなんて、民主政治国家で許されるハズはない。

 


日刊ゲンダイ本紙記者がまざまざと見た 福島原発廃炉作業の絶望

2012年05月30日 | 日刊現代

日刊ゲンダイ本紙記者がまざまざと見た 福島原発廃炉作業の絶望

30~40年では到底ムリ
<東電は電力事業から手を引くべきだ>

 福島原発事故から1年2カ月余り経った今月26日、東京電力が原発施設の一部を報道陣に公開した。同行取材した日刊ゲンダイ本紙記者があらためて感じたのは、廃炉実現に向けた作業の難しさである。野田首相は昨年12月に「収束宣言」し、政府は廃炉までに「30~40年」と公表している。だが、現地を取材した印象は「絶望的」だ。「30~40年」どころか、今世紀中に廃炉できるのか。それすら怪しいのが実態だ。

 記者を乗せた大型バスが福島原発の「免震重要棟」を出て真っ先に向かった先は4号機。バスを降りて原子炉建屋の南西70~80メートルの位置から見上げた地上約50メートルの建物は、水素爆発で屋根が吹き飛び、無残な姿をさらしている。事故後、ガレキを一部処理したとはいえ、ほとんど手付かずの状態だ。厚さ1~2メートルの分厚いコンクリートの壁はボロボロで、辛うじて残った壁や柱も、ちぎれた鉄筋があちこちから飛び出している。事故直後のような生々しさだ。
 東電は「4号機建屋は震度6強の地震に耐えられる」と説明しているが、次に大地震や津波の直撃を受けたら「倒壊」は避けられないことは容易に想像がつく。「メルトダウンしたら世界が終わる」と世界を震撼させている計1535本の核燃料が、そんな“ボロ屋”に今も保管されている。
 東電は来年末から、4号機の燃料取り出しを始める計画を立てている。7月にも、使用前の燃料をクレーンで試験的に取り出す方針だ。使用前の燃料は、核分裂させた使用済み燃料とは異なり、取り出す際のリスクが低い。“本番”の使用済み燃料の取り出しは、建屋南側に屋根を覆う形の「L字形建物」を造り、燃料を1本ずつ引き上げる予定だ。ところが、建設予定地には震災時に発生したガレキや鉄骨などがごちゃごちゃに埋まっていて、工事は「ようやく基礎工事に入った段階」(東電関係者)。燃料取り出しどころか、建物建設計画すら怪しいのだ。

<線量計は鳴りっぱなし>

 しかも、今回の現地取材であらためて分かったのは、怖いのは4号機だけではないということだ。
 取材バス車内で、記者たちが自前で持ち込んだ線量計が一斉に「ピーピー」と大きな警告音を発したのは、3号機から2号機のタービン建屋裏の海側の道を走っていた時だ。
「線量は、1500マイクロシーベルト(1.5ミリシーベルト)です」
 同行した東電担当者が叫び、バス内に緊張感が走った。1.5ミリシーベルトといえば、通常の年間基準線量(1ミリシーベルト)を1時間で軽く超える。4号機は事故当時、定期検査中だったために原子炉が損傷せず、線量もそれほど高くない。重機を使った作業も可能だ。しかし、1~3号機は線量が今も高く、人の作業はムリだ。敷地や建屋周辺には「即死レベル」の高線量地域がゴロゴロある。
 となると今後、もっとも懸念されるのは、作業員の確保になる。福島原発では現在、1日約2500~3000人が復旧作業に当たっている。しかし、全面マスク、防護服を着た作業のつらさは想像を超える。
 記者も全面マスクをかぶり、防護服を着たのだが、気密性を高めたマスクは、骨格が合わないと顔の左右のこめかみ部分を“ウメボシ”されて痛くなる。そのうえ、常に息苦しい。大声で話さないと言葉を伝えられないし、相手の声も聞きにくい。少し歩いただけで汗が噴き出す。たった2時間、着ただけだったが、最後は酸欠状態で、生アクビが出る始末だ。
 防護服に慣れたベテラン作業員でも、「作業は連続2時間程度が限界」(東電関係者)という。夏場の作業は過酷極まりない。積算線量が高くなれば、オーバーした作業員はどんどん現場からいなくなる。

<チェルノブイリでは6万~8万人が作業した>

 京大原子炉実験所助教の小出裕章氏はこう言う。
「86年のチェルノブイリ事故では、事故から石棺までの間に(7カ月間で)6万~8万人が作業に当たったといわれています。チェルノブイリはたった1基の事故だったが、福島原発は4基同時に事故を起こした。今後、どのくらいの作業員が必要になるのか想像もできないし、日本だけで作業員を集められるのかどうか分かりません。そんな状況で30年後、40年後の廃炉など不可能です」
 こうなったら、東電は電力事業からさっさと撤退し、福島原発廃炉作業に全力を傾注するべきだ。今のように片手間の作業でケリがつかないことは現場の東電関係者、作業員がよく分かっている。
 勝俣会長や清水前社長以下、事故当時の役員を全員引っ張り出し、東電グループの社員を「徴兵」してかき集め、復旧作業に当たらないとダメだ。

関東地方でのホルムアルデヒド騒ぎは「セシウム隠しの謀略か 雪解け水と一緒にドッと流入?

2012年05月24日 | 日刊現代

関東地方でのホルムアルデヒド騒ぎは「セシウム隠しの謀略か 雪解け水と一緒にドッと流入?

関東の利根川水系の浄水場にて、ホルムアルデヒドが検出されている問題で、日刊ゲンダイ5月22日号に興味深い記事が掲載されています。
 
流入したホルムアルデヒドの量があまりにも多く、化学工場などから流出したならば、すぐに原因が特定されてもおかしくないのに、今回は5月15日の流出発覚から一週間経っても一向に原因が特定されないのは異常である、雪解け水と一緒に流入した放射性物質の検出を隠すための騒ぎであることを疑うホタル研究者の阿部宣男氏のコメントを紹介しています。
 
これまでもネット上で放射性物質の検出の可能性を疑うツイートやブログ記事は出ていましたが、水質にも詳しいホタル研究者がこのようなコメントを寄せていることは、その疑いが更に濃厚になる話だと思います。
 
予防原則として、利根川水系の給水地域においては、水道水はまず飲まないこと、採水場所の分からないドリンク類も飲まないこと、可能であれば調理でも水道水を避けること、風呂もシャワー程度にしておいて、湯船に浸かることも当面避けた方が良いかもしれません。
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雪解け水と一緒にドッと流入!?
2012/5/22 日刊ゲンダイ 



化学物質ホルムアルデヒドは、いったい、どこから紛れ込んだのか。環境省と厚労省はきのう(21日)、連絡会議を立ち上げて、利根川水系の浄水場を直撃した水質事故の究明に乗り出した。


一部報道では工場からの排水が疑われているようだが、「放射性セシウムの検出を隠すための意図的な騒ぎではないか」と指摘するのは、理学博士の阿部宣男氏だ。板橋区の「ホタル生態環境館」で長年、水質に敏感なホタルの研究に携わってきた。ホタル研究の第一人者だから、水の汚染にも詳しい。


数値から推測すると、流れ込んだホルムアルデヒドの量は、メッキ工場とか化学工場とかが爆発したぐらいのレベルになります。それほど大量のホルムアルデヒドが知らぬ間にどこからか流れ込んだとするのは、あまりに不自然。しかも、これだけの量が検出されながら、いまだに発生源が分からないという。浮いた魚が発見されただけで大騒ぎし、必死で原因を突き止めるはずの国や自治体の動きも、今回は鈍い。本気で原因に迫ろうとしているのか疑問です」(阿部氏)


そこで考えられるのが「放射能隠し」という。放射性物質が大量に検出された事実を隠しながら給水を止めるため、別の汚染源を用意したという見立てだ。
「山林に蓄積されていた放射性物質が、雪解け水と一緒にドッと流れ込んだのでしょう。山から下流の浄水場まで、およそ1カ月ぐらいかかります。例年ならゴールデンウイークごろに検出されておかしくないのでしょうが、今年は雪が多かったから解けるのも遅かった。恐らく浄水場ではセシウム137やコバルト60、イットリウム、ジルコニウムなど、原発事故で飛散した物質が大量に検出されたはず。それを隠すため、塩素でも消えないホルムアルデヒドが検出されたとして断水に踏み切った。その後、放射性物質の数値が落ち着き、給水を再開したのだと思います。これが当たっていれば、7月ぐらいまで同様の騒ぎが繰り返されるでしょう」(阿部氏)


いつまでも発生源が特定されなければ、政府発表は疑った方がいい。
 
 
 
氏名:阿部 宣男
ふりがな:あべ のりお
肩書き:板橋区ホタル飼育施設 施設長
出身都道府県:東京都
生年(西暦):1955
現住所:東京都
主な経歴:板橋区立「こども動物園」「淡水魚水族館」を経て、「区立温室植物園」の担当になり、無農薬生態園をつくることに成功。
1989年よりホタル飼育を区議会により可決し、担当に至る。また、受粉昆虫である在来種クロマルハナバチ等々の完璧なる繁殖に成功。特許出願中。
平成17年茨城大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。
平成19年1月14日「ホタルの累代飼育システム及び方法」で正式に特許を得る。特許番号3902476号
上記肩書き以外の「主な役職」:博士(理学)
(スポットライト)
 
あれもこれも放射能のせい
利根川・江戸川水系の浄水場で、相次いで有害物質のホルムアルデヒドが検出されている。原因特定が遅れる中、ネット上では「放射能の影響」とする説が拡散。放射能を過度に恐れる人たちが流した「デマ」として非難されている。
 
 
 
デマにみえるが……
ホルムアルデヒドが最初に検出されたのは、17日、埼玉県の浄水場だった。その後、千葉、群馬、東京などの浄水場でも相次いで検出され、千葉県野田市や柏市などでは断水も行われた。

上流域の群馬県でもホルムアルデヒドが確認されていることから、汚染源は同県内にあるものと疑われているが、21日現在、特定されていない。そんな中、Twitterで拡散されているのが、下記の情報だ。

【拡散希望】最近、関東の水道の水でホルムアルデヒド検出が相次いでいます。これは放射能の影響で何らかの自然環境変化により発生したものと思われます。他にも未検出の有害物質が放射能の影響で含まれている可能性があります。水道の水を飲む際には浄水器をつけるなど対策をした方がいいと思います。

原因はセシウム除染?
ホルムアルデヒド検出を「放射能の影響」とする説には根拠が薄いため、「デマ」と断じる声が多いが、実は無視できない論文が米国で発表されている。

セシウムの除去にホルムアルデヒド樹脂が効果を発揮する、というものだ。米の「SAVANNAH RIVER NATIONAL LAVOLATORY」が2007年に公表されたもの。

利根川水系の上流域で除染に使われたホルムアルデヒドが流れ込んだのでは、との推測がささやかれている。

有力視される矢木沢ダムの放流説
これとは別に、矢木沢ダムの放流を原因とする説も、一定の説得力を持つ。福島第1原発事故により、首都圏の水源である群馬県にも大量の放射性物質が降りそそいだ。放射性物質は雨水などに運ばれて低地に集まる傾向がある。

利根川の水源である矢木沢ダム(奥利根湖)では、今年1月に発表された環境省の調査データによると、湖底の泥から2,900ベクレル/kgのセシウムが検出されている。

湖水からは検出されていないが、大量放流などを行えば、湖底の泥がまき上げられ、高濃度のセシウムが水に混ざる可能性が高い。

セシウム134・137はβ線とγ線を放出する。このうちγ線には有機塩素化合物を崩壊させ、クロロホルムとアルデヒドを生成する作用がある、との研究結果を財団法人・高度情報科学技術研究機構が発表している。

実際、ホルムアルデヒドが検出された浄水場は塩素を使用している施設のみで、浄水にオゾンを使用している施設では検出されていない。18日から矢木沢ダムが大量放流を行っていたため、この説を有力とみる人も多い。

急がれる原因究明
ホルムアルデヒドは塩素と有機物質が反応することでも発生する。水中のプランクトンと反応して、生成されることもある。

ダムの放流が原因だとしても、まき上げられた泥などに含まれる有機物が塩素と反応した可能性もある。いずれにしろ放射線説が一定の説得力を持つ中、望まれるのはこういった説を一掃するだけの「証拠」を持つ原因究明だ。