中に入ると、まずは初めに天井の高さに息を呑む。
天井の高さ42.3m。数あるゴシック建築の中でも最大級の高さを誇る。交差リヴが軽やかなリズムを奏で、その天井から朝の光が差し込み、波状のアーチが明るく前後左右に広がってゆく。
奥行きは145m、広さ7700㎡。果てしないほどの広がりを支える柱は、側面に装飾柱を加えて全く重量感を消し去っている。
主祭壇のある内陣は鉄柵で仕切られて入れないが、上方に見える窓の青さが目に染みる。
身廊中央まで歩くと床に描かれたラビリント(迷宮)に気付く。このラビリントは234mもの長さで聖堂床面のほぼ全体に広がっている。
中央には石板があり、着工年と建築を指揮した大司教エブラールと3人の建築家の名前が記されている。
北と南の交差部からは2つのバラ窓を見ることが出来る。
後陣に回った。3つの礼拝堂があるが、中央は聖母マリアに捧げられた礼拝堂だ。赤と青の鮮やかなステンドグラスが設置されていた。
そこにちょうど朝日が差し込み、ステンドグラスの色が周囲にこぼれ出してきている。
側廊のあちこちに色の恵みが広げられて、幸せ感が漂っている。
特に黄金のマリア像は、その身にあでやかな紅の衣を纏って、一層神々しく輝いていた。
そのまま後ろを振り向くと、右手をこめかみに当てた天使像がみつかる。17世紀、ニコラ・ブッセの手になるこの天使像は、第一次世界大戦の時、戦時下の生活の苦しみ、悲しみを天使の沈痛な表情と重ね合わせたことで、「すすり泣く天使」と呼ばれるようになったという。
聖歌隊席には約4000体もの像があるとされるが、残念ながら中には入れない。隙間から見つけた小さな像を何とか1枚。16世紀初頭、10人ほどの熟練工がこれらの像を丹念に仕上げていった。
ジャンヌダルクの像も。フランスの教会では本当によく見かける。
説教壇への階段も面白い。