かれこれ50年前の那覇での話。近所の子供たちが集まり遊んだりするのは、与儀8班に区分けされている幅4メートルの裏通り。三角野球、花火、犬虐め、猫捕獲などほとんどの遊びが手ぶらで遊べる簡単なもの。時々は度胸ためしで、通りと並行して流れるドブ川を飛び越えて向こう側のブロック塀にヤモリの様にへばり付く事もやる。3人に一人がヤモリになり損ねてドブに転落してみんなの大笑いを誘う。生活は貧しかったけど(水道の無い家庭も有った)等しく幸せな時代。放課後はいつも少なくても4,5人は通りで群れて馬鹿遊びに忙しい。
ある日ちょっとした事件が起こる。よしはる君のお姉さんの友達?恋人?良く判らないが外人さんのボブさんが遊びにやって来た。ボブさんは黒人の兵隊さんで休暇をもらい、よしはる君に会いに来たのです。
「ハイ、ボブデス」身長180センチの大男がはにかみながら挨拶し、一番年上のまもる君で身長150センチぐらいだから小人に囲まれた巨人のように見えた。みんなは最初ビビッていたが徐々に慣れて、真っ黒なボブさんの顔や手に振れたりして「お~すごい」なんて言い始める。最初は言葉遊びやジェスチャーで意思の疎通を図り、慣れてくると自然に体を動かす遊びが始まる。
「神中のグラウンドで遊ぼうよ」と誰かが言ったので全員(7~8名)で移動する。学校も子供たちに校庭を自由に使わせたし、怒る用務員なんていなかったね。
始めは鬼ごっこだったけど体が大きくて足の速いボブさんが鬼になるとあっと言う間に捕まってしまい、ボブさんがわざと鬼になっても結果は同じ。それでも楽しくて1時間は鬼ごっこ。それから馬乗りもやったけどボブさんに乗られて潰されべそをかいたのはともたか君。
「わかった!!だるまさんが転んだがいい。これだったら体格差は関係ないから」とよしはる君が提案しボブさんに簡単なルールを、見本実演で覚えてもらいOKと言ったのでボブさんを鬼にして全員鬼包囲の体制でスタート
「ダルサンが~ころだ!!」ぐわはは~ボブさんの片言日本語で腰が抜けそうなほど笑いながらも、しっかりとフリーズしつつ徐々に鬼に迫る沖縄県民の子供のわしら。
「ダ、ダルサンが~ころだ!!」
「ぐわはは~変な言葉、笑える~」「ゲレンか~?」「わはは~」わしら腰を抜かしつつのだるまさんが転んだゲームで我を忘れハマりまくる。
「オメ~ら今笑たなボブ見ただ~」と4人一度に捕まるも、つっかえ、つっかえのボブさんの「ダ、ダルサンが~ころだ!!」と言うあいだにあっと言う間の救出で元の木阿弥のボブさん。
日没が遅い夏の日も夕暮れ時になり、怖いお母さんの顔がちらほら。みんな少しずつ帰っていきます。それでも僕とよしはる君とみのる君とボブさんは真っ暗になるまで遊んでいました。僕が最後の鬼になり「だるまさんが~転んだ」と顔を上げた時校庭には誰もいませんでした。とっても寂しいのと怖くなってしまって走って家に帰りました。
その後ボブさんは二度と現れなかった。
今思うに彼は18,9歳の少年兵だったんだろうね。
読んでくれてありがとうございます。
お礼に
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます