LOVE&DESIRE

沖縄で頑張る爺バンドのブログだったがいつの間にか爺の独り言(涙)。

白い帽子の女の子

2018-10-29 09:37:06 | 日記

 古い白黒の写真。団体旅行の記念撮影で場所は京都か。20名以上の大人たちは着飾り、写真の中央には銀幕のスター松方弘樹さんが時代劇の扮装で堂々と腰かけている。大人たちはカメラ目線でシャッターが下りるのを待つが、ただ一人、最前列で母親の隣にしゃがみ込んでいる、10歳の女の子は、 小さなふたつの膝小僧と片手は母親の膝に、そして白いまんまるな帽子とワンピース姿の彼女はカメラを見る事無く、その視線は斜め上の憧れのスターに向けられているから横顔で写っている。その瞳は憧れ(今、目の前にいるスターと逢っている現実も含め)、夢、そして始まったばかりの自分の人生を前向きに生きていく力強さに溢れているから限りなく美しい。

 僕が生まれてから物心がついた頃、いつも傍には一コ年上のマーコねぇちゃんがいた。兄弟は多かったが、マーコねぇちゃんが一番の仲良し。時々は大喧嘩もしたけど、いつのまにか仲直り。小学校の上級生になる頃グループサウンド、タイガースにハマったマーコねぇちゃんに連れられて(と言うか女の子ひとりで映画はいけないね、だから二人ならいいさ~と母親を安心させるためのアリバイ工作?)東宝劇場(旧沖縄三越)で映画を見に行った。当時の映画は2本立て入れ替え無しだったから、タイガース、ゴジラ、もう一回タイガースと3本見るのが当たり前。僕はゴジラ、タイガース、ゴジラの順番で見たかっただったけど年上には勝てないね。

 中学、高校、大学とお互い別の人生、青春時代を過ごし社会人になり、真面目なマーコねぇちゃんは会社一筋。時々は一緒に遊んだ。ごく普通の人生だったけどハワイアンフラを始めてから劇的に変わった。大勢の友人、踊りの先生、仲間たちに囲まれて本格的なショーに参加したり古典に取り組んだりと、あの時期が一番輝いていた。

 結婚、家庭、子供は持たなかったけど、孤独ではなかった。沢山の甥、姪に恵まれ、まるで自分の子どもの様に面倒見て皆から愛されて慕われていたから幸せだったはず。それと結婚には至らなかったが大切な人も一緒にいたから寂しくないね。大きな仕事も終え、ホッと一息、さあ、もっと楽しもうと話していた矢先に急逝・・・

 悲しすぎて涙も出ない。

 ある人の言葉に「人は2回死ぬ。まずは肉体を失った時。そして故人を覚えている人が居なくなった時」

 あの白い帽子の女の子は心の中で生きているから、時々は思い出して皆で話しますね。そしたら彼女も嬉しいはず。

マーコねぇちゃん サヨウナラ

 


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