食べれる幸せ

☆木曜薬膳

白身魚のムニエル
あんかけロールキャベツ
南瓜煮
菜の花お浸し
山菜とかまぼこの和え者
みかん寒天
漬物
雑穀ご飯

「お姉ちゃん、あんたは食欲があってええねえ」

25年前の春、腎結石で入院していた私と同室だったおばあさんの言葉が今でも忘れられません。

そのおばあさんは80近くの年齢で、胃を全摘出したばかりでした。

配膳された食事の盆を廊下に出しに行くためドアを開けた私は、作り笑いをしながらおばあさんを振り返りました。おばあさんはほとんど手付かずの食事を前にため息をつき、さらに言いました。

「若いし、元気あるし、お見舞いに来る人も多いし、よく食べれる。うらやましいね」

私は、返す言葉もなく空になった器を見つめました。

戦慄が走るほどの激痛に体を苦しめた石は、大量の点滴で姿を消し、すっかり健康を取り戻した入院中、私は上げ膳据え膳の病院食に大満足だったのです。

家に帰ったらまた食事作りが始まる。主婦って結構大変だわ。一週間の入院バンザ～ イ！

そんなお気楽な私は、ひまになると友達を呼んだり、屋上や売店に出かけたりと落ち着かず。

しかし、おばあさんは家族もあまり来ず、本当に寂しそうでした。

おいしく食べれる幸せ。

そうだよね。感謝しなければ。