[WWF]へーげる奥田の空談言説

サークル「WWF」主宰・へーげる奥田が適当に告知したり興味の対象について論じたりするウェブログである。

戦争論、というか憲法9条について

2006-11-26 17:20:26 | Weblog
戦争論
http://antonin.exblog.jp/6077173

安敦氏は、旧YOMINET(読売新聞社のポータルサイト。後にヨミウリオンラインに取って代わられた)時代からの知り合いでありまして、相当に強力な論客です。
この文章においてもいろいろな思惟をかき立てられました。

最初に結論めいたことを言えば、上記の議論には総論としては賛成であり各論としては「?」であります。比喩的に言えば、アプリケーション層の議論では賛成ですが物理層の議論ではツッコミどころ多しといった案配でしょうか。

日本という国は、少なくとも当面はいわゆるシーパワー系国家として生きていかなくてはアカン国ですから、権謀術数とかヒキョーな外交戦略とか使ってでも平和にやらなきゃいかんのが基本です。ランドパワー系国家がコワモテで威張っていればいい(いなければいけない?)のとは大きく違いますな。

そういう意味で、憲法9条という法律は大変便利で経済的な法律です。ベトナム戦争みたいな状況が生じても同盟国に合力しなくてもいいわけですし、この憲法はほかならぬ宗主国様に押しつけられたものなので、と言えば世界のジャイアンであるアメリカも沈黙せざるを得ませんしね。そういう意味では私はこの条項は残した方がいいのではないかと思っています。ただ、この憲法の有効性はあくまでもアメリカとの安保を前提としないと成立しない非常に脆弱なものと言わざるを得ません。この前提のもとで「平和」という理念ばかりでは説得力のあるロジックにはならないでしょう。

護「憲法9条」派の意見の多くは、理念的かつ原理主義的になってしまっていて説得力に乏しいところがあります。たとえば情報セキュリティの世界では、「リスク」とは「情報資産」×「脅威」×「脆弱性」によって定義されますが、これはそのまま安全保障のメタファーとしてもとらえることができます。憲法9条というのは、「脅威がゼロであると見なすことによって脆弱性をあえて保持すること」をその具体的方法として定義しています。しかしこの方法には問題があります。つまり、「脅威」の存在は日本以外の国に依存する問題なので、いくら日本人ががんばってもこれを操作することが主体的にはできないということです。これを操作するとすれば、軍事的な方法以外――たとえばワイルドカード使用可のデスノートとか――によって日本に対する脅威となりそうな勢力を根こそぎ絶滅させちゃうとか、そういう方法によってリスクを低減させることが可能です。

あと、「資産」をゼロにする方法なら日本の主体的判断でできます。つまり、国家を荒廃させて、現在のイラクとかアフガニスタンみたいな状況にすれば、どの国も好きこのんでそんな国に侵攻しなくなりますね。まあ非現実的な話はこれくらいにしますが、憲法9条という理念的な法規を本気で運用しようとすると、相当にいろいろな問題点を覚悟する必要があるということです。

もし現在、憲法改正するので9条を残すか削除するかどっちか決めろと言われたとしたら、私もかなり考え込んでしまいます。ほかならぬアメリカ様に押しつけられたから……という体のいい言い訳も60年もたつとそろそろ苦しいものがありますし、また自衛隊が「戦力でない」と言い張るのも、防衛戦争は武力行使じゃないし交戦権とも関係ないというのも現実から乖離したものと言わざるを得ないでしょう。

私としては落としどころとして、9条に第3項以下を設けていろいろ但し書きを入れるとか、海外派兵は必ず国連安保理の全会一致がないとしてはならないとかいったシバリを入れるとか、そのあたりの現実に即した項目にするという案でしょうね。ダメですかね。


私は地球市民なので地球市民的な視点で話をしますが、たしかに憲法9条の理念は人類全体に展開するべきものだとは思います。特に、アメリカとかチャイナみたいに軍事的圧力を国家政策の主柱にしている国には特に採用させるべきですな。でもおそらく、アメリカやチャイナは憲法9条を採用しないと思います。その理由は護「憲法9条」派の方々が考えてみるべきでしょう。

そして護「憲法9条」派の方々に課せられた地球市民的使命は、現在紛争を起こしている当事国である北朝鮮やイスラエルなどにこの憲法条項を採用するよう働きかけることですね。私は無理だと思いますけど。

実は、この憲法条項には致命的欠点があるのです。それは、この憲法は、軍事的・政治的に完全制圧された国が他律的な圧力によってしか採用できない可能性が非常に高いという点ですね。しかし、もし日本の護「憲法9条」派の方々が見事にじょんいるを説得して北朝鮮にこの憲法を採用させたら、私はただちに謝るですよ?
まあがんばれ無防備マン! キミならできるっぽい気がする!!


写真はスープギョウザ。中華街の肉ちまきと一緒に食べましたデスヨ。

核武装議論の是非について

2006-11-19 23:38:10 | Weblog
ちょっと前の話になりますが、核兵器がらみの議論をすべきだという政治家に対して野党さんとかが議論するのもケシカランとか言った件について。

総論として、核兵器という兵器を実戦で使用することにはおおむね反対ですが、私の基本的立場は完全に議論肯定派です。とにかく、議論すらいかんというのは危険きわまりない。どんな問題でも原理主義化するとロクなことになりません。

なぜ核武装してはならないのか。「唯一の被爆国だから」ではなんの説明にもなっていません。事実日本政府はアメリカや中国やロシアなどが核武装している事実に対してはほとんど何の公式な非難も行っていないように見えますし(それともこっそり非難しているんですかね?)、アメリカのスミソニアン博物館のB-29展示とかに対して抗議したという話も聞きません(これもやっぱり聞こえないように抗議してるんですかね?)。インドに対抗して核実験を行ったパキスタンに対しても、ちょろちょろっとなんか言ってた感じがしましたが、「我が国は日本のように被爆国にならないために核武装するのだ」と言われてそのまま黙っちゃったみたいな感じがあります。

韓国の反日ネティズン(笑)の諸君も、「地球は丸い」と同じようなトーンで「チョッパリは悪い」と教えられたまま何の疑いもなく信じ込んでいたところ、インターネットの翻訳掲示板とかで小賢しいチョッパリに歴史上のEvidenceを提示しつつ反論されたらみんな黙っちゃったみたいな状況がありますが、これも似たような現象でしょう。

少なくとも人間の唱える理論には、どんなに自明の理と思われることにも、それなりの理由、誰が展開しても再現性のあるロジックというものがあります(そのロジックがいつも正しいとはかぎりませんが)。それがないような理論にはそもそも説得力はありません。私はテツガクの人間なので、そのへんにはけっこうこだわりがあります。
そもそも、文化相対論的な時代である現代においては、「自明の理」というものはあんまりないですよね。しかし日本人は、きちんとした議論を経てロジックを構築する作業を嫌がりますねえ。って、他国民に直接統計とったことがないのでこれが日本特有かどうかわかりません。そういえば韓国とかもすぐ「妄言ニダ!!」とか言って議論から逃げますね。少なくとも韓国の事情としては、古来の朝鮮では公的な議論に負けることは比喩でなく死を意味する状況というのがしばしばあったということで、大声を上げて罵倒するといった場外乱闘ノーコンテスト的逃げを打つということも文化として確立しています。日本も大同小異なのかもしれませんね。

「どうして核武装がいけないのか」という議論すら満足にできない国が唯一の被爆国として世界平和のどーのこーのなんて私のような地球市民から見ればちゃんちゃら可笑しいってな感じです。同時にわれわれも、子供に「なぜ人を殺してはいけないのか」とかいった問いにちゃんとロジックを紡げるようにしておくべきですね。


写真はカボチャの煮付け。照りがでていい案配ですな。

ファイル交換ソフトとか

2006-11-05 23:21:54 | Weblog

昨今、おそらくはどこの企業でも、ある種のP2Pソフト――いわゆるファイル交換用ソフトによる業務データ漏洩でやたらナーバスになってるのではないかと思いますが、いやなってないところもあるかもしれんですが、私が所属している企業もなかなか大変です。まああまり詳細は書けませんが、なんかこう下請けさんの社内パソコンは大丈夫かとか、社員の自宅のパソコンは大丈夫かとか、そりゃもうやたらうるさいですな。
私自身そういったファイル交換ソフトとかを取り締まったりする社内的ポジションを演じているのでナンですが、メディアとかエライ人とかはちょっとナーバスになりすぎというのは不謹慎でしょうか。

まあ実際にいろんな漏洩が起こっているので無理もない部分もありますが、だいたい漏れる漏れるってそんなに漏れたら困るもんなのかと問いたいところです。確かに「漏れる経路が存在する」こと自体が大問題であるというロジックもわかるんですが、なんかだんだん考え方が抽象的・象徴的な方向に行っちゃって、P2Pソフトを持ってるだけで危険人物扱いでもう大変なんてことになると、どうも座り心地の悪い世の中だなあとか思ったりします。

私は是々非々でものを考えることを是とするもので、一概にくくって考えることは出来るだけ避けようとするんですが、たとえばちょっと前に、原子力発電所のどっかの部位にヒビが入ってさあ大変……なんて話がありました。電気新聞なんかではいろいろ記事が出ていましたが、実はヒビといったっていろいろある訳で、世界の原子力発電所業界(?)ではぜんぜん問題になっていないような種類のヒビに関してまで「ヒビが! ヒビがあったニダ!!」みたいな感じで報道する一般メディアの姿勢というのは問題あるんじゃないかと思いましたね。とにかく一括でヒビがあったら全部ダメという態度が結果的に隠蔽とかそういう状況を生む一因(主因ではないにしろ)になったという気がした訳ですな。

ここんとこのファイル交換ソフトに関しても、それがどの種類のものでどんな性能をもっててどのくらい危険でそもそもそれは稼働していたのか、などなどの諸条件を適切に勘案して考えるべきだよなあ、などと思うんでありますが我が輩ナガイモノには巻かれるでありますよ。

写真は牡蠣鍋。そろそろいい季節ですなあ。