[WWF]へーげる奥田の空談言説

サークル「WWF」主宰・へーげる奥田が適当に告知したり興味の対象について論じたりするウェブログである。

動画アップロードサイトについて

2007-10-29 00:37:46 | Weblog

このところ興味を引く記事はいろいろあるんですが、ちょっとこれが気になりました。

アニメ製作者が、アニメの違法アップロード&ニワンゴに問題提起
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1047553.html
>「偽まる」こと川瀬浩平(GENEON)、「UPLIFT」こと伊平崇耶
>(Showgate)、アニメプロデューサーの里見哲朗の3名が、
>ネットラジオでアニメの違法アップロードに言及。
>(略)
>「youtubeはおもしろい。自分の作った創作物をみんなに見てもらう、そういう場としては良いと思う。
> ただ、俺達が作った物をお前が上げる権利はどこにも無い、っていう(笑)」
>
>「タダで見れる環境に満足してる人たちがいる。」
>「人が汗かいて作った物に対して、お金を払わなくなっちゃった。」



これは大変難しい問題だと思います。私自身、コピーレフト的な考え方をもってはいますが、同時にコストをかけてソフトウェアやコンテンツを制作した人は十分な対価を受け取るべきだとも考えています。DVDで売り出されたパッケージをそのままアップロードされたらなるほど死活問題でしょうねえ。

よく言われる意見ですが、動画アップロードサーバに上げられたために宣伝効果を生み、結果として売れたコンテンツもあるでしょう。ハルヒとか。また、音楽の話ですが、Winnyでダウンロードして満足してしまう人は、アップロードされたものを視聴しようとしまいと結局パッケージは買わないという調査もあります。


>http://www.mainichi-msn.co.jp/it/coverstory/news/20050307org00m300062000c.html
(毎日新聞2005/03/07;リンク切れ)
>
>モバイル社会研:Winnyで売り上げ下がらず? 研究成果発表
> 活発な議論が行われたモバイル社会研究所のシンポ
>
> 急速に普及している携帯電話が社会にどのような影響を及ぼすか
>調査するためNTTドコモが「モバイル社会研究所」を設置してから
>まもなく1年となる。研究所では5日に、この1年の成果を社会に還元
>するためのシンポジウムを東京で開催した。著作権侵害として問題に
>なっているファイル共有ソフト「Winny」がCDの売り上げ減少には
>つながらない、衣服ごしでも非接触式ICカードの情報が盗み取られて
>しまうなど、貴重な研究成果が報告された。【柴沼 均】
>
>■■WinnyでCDの売り上げは下がらない?
>
> 田中辰雄慶応大学経済部助教授は「著作権の最適保護水準を求めて」
>との研究成果を発表。WinnyがCDの売り上げの相関関係を計量経済学的に
>分析したところ、売り上げ減少につながっていないとの結果がでた。
>
> 調査はオリコン売り上げ上位30枚のアルバムとWinnyのダウンロード数
>をプロット。CDの売り上げが増えるほど、ダウンロード数も増えると
>いう関係がわかった。これはダウンロードで売り上げが増えるわけで
>なく、人気があるからダウンロードが増えると推定される。
>
> このため、ダウンロード数が売り上げに及ぼす効果を操作変数法を
>使って分離した。ダウンロード数の係数が有意に負になっていれば、
>CD売り上げ減少になっているが、推定値は0.879であり、両者の関係は
>見出せなかったという。
>
> また、学生500人にアンケート調査を行い、1年に買うCD枚数を調査
>したところ、Winnyを使用前と使用後でも購入枚数に差がなかった。
>田中助教授は、「オリジナルがほしい人はコピーの有無にかかわらず
>購入し、コピーを利用する人はコピーを禁止されても購入するわけでは
>ない。両者の需要が違うため、影響はないのではないか」と分析した。
(後略)


たしかに、私もユーチューブとかでたまにTVシリーズの動画を観たりしますが、観なくてもたぶんDVDは買いません。やたら高いし。でも買うべきものは買います。押井守作品とか。

ただ、「宣伝になっている」というのは、たまたまそういう一例があるというだけで、全称的に一般化して論じていいとは言えないようにも思えます。また、音楽におけるWinny利用(悪用?)のダウンロードと販売傾向とに相関関係が認められないという説は、そのまま動画配信サーバとDVDとの相関関係に結びつけていいのか、という疑問が大きいように思えます。それは、Winnyに比べてユーチューブやニコニコ動画は非常に手軽、すなわち工数的コストがかなり低いことなどから想像することでこれまた確たる根拠はないのですが。

どちらにせよ、前に中国のいんちき遊園地でニセキティちゃんとかがあったのと似たような現象であることは確かですね。本来なら彼らは然るべき対価を払わなくてはならないのに、コストの負担は拒否するわけです。韓国なんかも日本のアニメとか観放題ですよね。違法アップロードサーバで。こういうのはメシの食い上げでしょうな。

ここからは単なる愚痴モードなのですが、私としては現在のDVD価格が高すぎるというのも一因だと思うですな。まあ制作費に2千万とかかかるのはしょうがないし、それはどこかでペイしないとダメでしょうが、30分モノが2本入って6,000円とかの価格設定はどうなんでしょう。そんなに強い所有欲持ってないですよ当方は。となると貸しビデオ屋とかで借りたり、友人に借りたりして済ませちゃったりするわけです。

この価格に関しては、ビジネスモデルに問題がある部分が大きいようにも思えます。まず、この業界で喰ってる人はみんなちゃんと仕事してるのかという点です。昨今は多くの業界で、コストダウンとか業務の最適化とかでたいへんな苦労している訳ですよ。そういう中で、上の記事にも「既得権益です」とか平気で言ってるという状況がある。きょうびこんなんで許される仕事というのはどんどん減ってきていますね。おりしもJ-SOX的な流れで、丸投げ、すなわち元請けが仕事しないで下請けの仕事をピンハネするのは会計報告的に厳しくなるっぽい話も聞きます。この業界も、苦労して付加価値を創り出した者がきちんと対価を受け取り、仕事もしないしリスクも負担しない者が既得権益でカネをつまむという状況をなくしていくことが「あるべき姿」でしょう。

そのための方法としては、結局のところ課金方式だと思います。ユーチューブなりニコニコ動画なり、部分的に有料にするというか、「カネを払えるようなしくみ」を作るのがよいと思います。実際、私は「これはおもしろい」というコンテンツにはカネ払う気はけっこうあります。が、現在では、個人がリリース元にカネを払うルートが、「DVDを買う」という部分にしかない。これは面倒なのでけっこうダメです。私なんかめんどくさがりですから、そんな面倒をするならいいや、ということになります。

一方で、私はけっこうiチューンストアで音楽データを買います。わりとめんどくさくないし、けっこう安いからです。CDは比較的買いません。なんと言っても、CDを1枚買うと欲しくもない抱き合わせ曲が入っていて、3,000円とか払わされるからです。動画もこの方式を採るといいんではないでしょうか。動画アップロードサーバには、解像度を絞ったものを載せて、いい画像の画像データは画像のよさによって500円、1000円、2000円とか値段をつける。著作権制限とかしなくても、カネを払える、オヒネリを投げられるルートさえあれば、けっこうみんなカネ払うと思うんですが。あ、でも高すぎるのはダメです。価格設定はある程度みんな納得するぐらいの水準に押さえて、薄く広くサラミ法的に取るビジネスを考えないと。少数からどーんと取るビジネスはどんどんうまく行かなくなってきますよこれからの時代は。まあ、これをやると一部テレビ局、特に地方局は大きなダメージを受けることとなるでしょうが、時代に合わなくなった業種には退場していただくのが経済のならいです。しようがないですな。

あと、どうでもいい話ですが、私はニコニコ動画は敵対勢力と決めつけているのでアクセスしません。というか「あなたのユーザIDはアクセスできません」とか言って排除されるので2回しかアクセスに成功したことはありません。新しいIDだけがダメという不平等なシステムがムカつくので「じゃあこねえヨ」という感じです。いったんそうなるともう何もかもムカついていかんです。そういう不平等なシステムのくせに「あなたのブログに動画を貼りましょう」とか外部に出てくるのも腹立たしいですな。一部の人間には見せないというポリシーなら一般化すんなって話です。ってまあヤツアタリなんですが。どうも相性が悪いですな。


亀田さんとこのドタバタについて

2007-10-19 00:45:07 | Weblog

亀田一家のことなんですけどね。

まず前提として、私はボクシングの世界のことは全然知らないし、スポーツというのがあんまり好きでない人間でして、一方どっちかっていうと学生時代なんかは熱烈なプロレスファンだったわけでしてね。ああいうキャラはプロレスでは普通にいましたし(悪の正太郎君ワカマツとか)、あんな反則どってことないじゃん5秒以内だし、などと思うわけですよ。

悪役で売った例で思い出すのは、ラッシャー木村です。もともと国際プロレスでは「エース」だったのに、会社がつぶれて新日本プロレスに行ったもんで、なんだかヒールで売ることになったわけですな。で、アニマル浜口・寺西勇のトリオで「国際軍団」とか言って悪逆をつくしたわけですよ。もう、当時は憎々しくてね。私はイノキ主義者だったんで、髪切りマッチで乱入して猪木の髪の毛ジョキジョキ切った時なんかマジに怒ったりしましたが、今となってはいい思い出です。

問題は、その後なんだかんだで木村氏も浜口氏もけっこう活躍したりなんかして次第にイイ奴になったりなんかして、悪役からうま~くソフトランディングしたわけですよ。亀田家の場合、そのへんがえらく甘いですな。ああいう路線で売るんだったらそれなりの売り方をしないと、ちょっとでもコケた時ハードランディングでいろんなところに激突してぶっ潰れます。実際、いままでテレビ局の強引な売り方にいいかげんムカついていた方々の怒りをもろに喰らってしまったみたいですし。

だいたい打突系格闘技ってのはけっこうミズモノですから、負けた時のストーリーをちゃんと作っていないというのはどういう気でしょう。亀田家の行動規範の大半は少年マンガみたいなんだから、少年マンガのパターンをシミュレーションしとけばよかったんですよ。つまり、最初は「いてまうぞコラァ」とか「こんな奴ゴキブリや」とか言ってて、12ラウンド戦って負けた場合、おもむろにマイクを持って「完敗や。やるやないか」とかなんとか、なんかそれ系のこと言ったりするパフォーマンスをするなんてのは、「やられるとイイ奴になる」という少年マンガの黄金パターンですよな。キャラを生き残らせる場合はこれやんなきゃ。

まあ、あの亀田父の人はかなりマジに無教養でダメビトみたいですから、マンガしか読んでないわりにはウケるマンガのパターン分析なんかしてないみたいだし、こういった状況を解決するような能力はなさそうです。まあ、最近はみんなすぐ忘れますから一ヶ月もすればホトボリさめるでしょうけど。

あ、ちなみに私、亀田一家の連中ってすごい嫌いです。ああいう下品さ無教養さはどうもいかんですね。でも私、自分の好きとか嫌いという感覚をあまり重視していないんですね。たとえば昔、『大東京ビンボー生活マニュアル』という漫画がキライでキライで、もう超アグレッシブにキライだったので全巻揃えちゃいました。ああキライだ。重視すべきは、好きかキライかでなく観たいか観たくないかということなわけですよ人生は。ってことで、面白ければOKです。

沖縄の教科書問題

2007-10-09 00:54:22 | Weblog

いやどうも、沖縄の教科書問題はいろいろとスラップスティックを展開しております。なんか朝日を始めとする左巻き陣営(笑)は、11万人参加という主催者発表を知っててかウラ取りを怠ってかそのまま発表して産経に突っ込まれたり、ニュース番組で11万人とか4万人とか数が問題じゃないでしょうなどと開き直ったりいろいろ大変ですが、まず最初に報道機関がこの種の人数についてウラを取らずに事実と異なる報道をしたとしたら、それはかなりとんでもなく危ないことです。まあ、けっこういつもやってる水増しだし、なんと言っても主催者がそう言ってる以上もし違っても主催者の責任なのでいいやってえんで気にせずやっちゃったんでしょうが、昨今はグーグルアースとかもあったりして、現場にどのくらい人間が集まれるのか一発でわかっちゃったりするのでやな世の中になりましたですな。ともかく、新聞記事は何百年も残って一次資料となる可能性があるのだから、確信犯的ウソはものすごい悪事だという自覚を持ってもらいたいもんです。

しかし、なんといってもよくないのは、今回の教科書問題に対して「町村官房長官は、渡海文部科学相に対し、教科書の記述を再修正出来るかどうか、検討するよう指示した」というような感じで政治が介入しつつあることです。これはいろんな意味で非常にいかんと思います。

歴史教科書など歴史解釈については、学術の手に任せるべきだと私は考えています。こういう問題は、感情やら利害やらで恣意的に変更するべきではなく、学術的な方法で、Evidenceと専門家同士の批判精神で決めていく問題だと思います。よく、馬鹿な素人が「ウリはこんなに本読んでるので偉いので本当の歴史はこうニダ!!」とか言って得意になってるのを見たりしますが、しょせん素人です。プロはもうホント情報量も時間投資も覚悟も桁違いですから、こういった歴史上の事実についての問題はお任せすべきです。私なんかにしても、たとえば「南京虐殺はあった」だの「なかった」だの、そういう事実の有無には言及したことはありません。あくまで論者の思考方法や、中国なんかの発表が恣意的に変わってきたりする状況や、シチュエーションに対する疑問などに対する言及だけです。だってそんなんわかんないもん見てないし。見てないから、当時の資料を丁寧に注意深く時間かけて調べるしかなく、そういう作業は素人の手には余る問題だからです。

今回の、日本軍による自決指示についても、あったのかなかったのかもちろん私にはわかりません。ただ、状況として、「軍による直接指示があった」ことになっていないと困る人たちがいるという事実がどうも鼻につきます。つまり戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用による年金や弔慰金の支給対象にならなくなっちゃう人たちというのが少なからずいるということで、直接経済的利害に直結する問題なわけですね。どっかの高校生による高校野球の宣誓みたいな文言で「ウソを教えないでください」だの「私たちは本当のことが知りたいのです」とかありましたが、まったくもってそのとおりです。私なんかは別になんの利害関係もないし、だいたい当時の状況から有形無形の軍による自決奨励があってもちっとも不思議じゃないと思ってますが、もし年金とかの支給によるオトナの事情によって歴史がひん曲げられていたとしたら、正しい内容に修正していただきたいなあ、程度の興味があります。

ただ、やはり今回に関してはやたらやすやすと政治が介入したということはまずいです。というのは、韓国による日本の歴史教科書の記述に対する介入に対して、「政治は教育に直接介入できない」という説明を行ってきた経緯があるからです。いままでは、いくらデモとかして騒いでも、日本には学術の独立の問題があるから政治が教科書問題に介入するルートはぜんぜんなく、従っていくら圧力かけてもダメですと説明してきたのに、いきなりコロっと政治が介入しているというのはダブルスタンダートと言われても反論できないでしょう。いままでそういう説明してきた韓国に対して非常に失礼だと思います。実際、

---引用開始-------------------------
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=91669&servcode=200§code=200

<取材日記>教科書問題 日本の二重基準

♯1.2005年4月7日、日本の町村信孝外相は向かい合って座った潘基文(バン・キムン)韓国外交部長官から激しく抗議を受けた。 当時、扶桑社の中学校歴史・公民教科書の独島(ドクト、日本名・竹島)関連部分が検定の結果、「韓国が不法占拠している竹島」という表現で記述されたからだ。 また「従軍慰安婦」表記はすべての教科書から消えた。

町村外相は潘長官の追及に「日本の教科書検定過程は韓国と違う。 一連の過程を経た個別の記述については、政府が削除や修正を要求したり修正したりすることはできない」と言って対抗した。

その数日後に日本を訪れた韓国国会議員団に対しても「ご存知ないようですが、(修正が)できなくなっているシステム」と短く語った。 さらに日本外務省のホームページに「日本教科書検定制度」というコーナーを設け、親切にも英語・ハングル・中国語の翻訳版まで付けた。 専門家で構成された教科書検定調査審議会が下した判断に政治は介入できない、というのが主な内容だった。 結局、韓国の修正要求は1件も受け入れなかった。 (後略)
---引用終了-------------------------

というように中央日報は怒ってます。正論です。それにこんな、デモだか決起集会だかによって恣意的に政治が教科書検定に介入するということは、なんか軍国主義チックで嫌ですね。日露戦争なんかのとき、最も積極的に戦争を主張したのは当時の「輿論」だったようです。煽ったのは朝日新聞とかですしね。いつか来た道ってやつです。グンクツの音が、です。
特にフクダ内閣は、相手のいやがることはしない主義だそーですから、竹島が日本の領土であるという主張も撤回するべきなんじゃないスか? まあ、韓国の新聞もだんだんオトナになってきていて、

---引用開始-------------------------
http://www.chosunonline.com/article/20071007000021
記事入力 : 2007/10/07 17:05:47
【コラム】韓国人は「沖縄集会」を取り違えるな(下)
(略)
 もちろん日本政府は沖縄に関しては教科書の内容を修正しても、韓国に対してそうすることはない。それは韓国が独立を取り戻した国だからだ。だから韓国には沖縄のように、市民が集まって抗議を表明する必要もない。われわれには政府もあれば、独自の教科書もあるからだ。われわれは真実を記した教科書を子孫に伝え、韓国政府を通じて偽りの歴史を語る日本を非難すればよい。
(略)
---引用終了-------------------------

と、韓国による日本のの教科書に対する修正要求は、「内政干渉だから」というロジックでダメなのだ、と事実上日本のダブルスタンダートを擁護してくれています。

しかし、どうも現内閣はなんかあぶなくてしょうがないですな。いやはや。

死刑について

2007-10-01 00:51:44 | Weblog
先日の、鳩山法務大臣が死刑はいちいち法務大臣が指示しないとダメなシステムは是正できないか発言に対し、亀井静香氏が因縁つけた件についてなんですが。

まあ、政治屋さんの発言はポリティカル・コレクトネスな点に気をつけないとダメということがあってちょっと迂闊でしたが、私は基本路線は間違っていないと思います。逆に、死刑反対論者というのはどういうつもりなんだか知らないけどなんでどいつもこいつもああいう攻撃的なことばっかり言ったりやったりするんでしょうかね。平和主義なんてな人も似たり寄ったりな部分がありますが。自分の理念に対して反対する相手にならどんな暴力的な発言をしてもいいと思ってるみたいですね。例の弁護士軍団もなんだかロクなもんじゃないっぽい風体ですけど、死刑反対論者ってみんなあんななんでしょうか。

私は死刑問題についてちゃんと勉強していないのでミーハー的な見解しかありませんが、死刑の問題は次の点にあると思います。

1.冤罪の場合取り返しがつかないので困ったもんだ

2.執行する係の人間が仕事とはいえ殺人をしなくてはならなくてイヤ

3.国家とはいえ個人を物理的に殺していいのかという疑問があって、先進国的にはなんかカッコわるい

4.一般に刑罰は教育効果があるのに、死刑の場合それがないので、先進国的にはなんか(略)

5.死刑ってなんだか復讐みたいで先進(略)


1.の問題は、司法とかに頑張ってもらうしかないわけで、こないだのどっかの県警でオイコラで連れて来ちゃって踏み絵みたいなことやったりなんかした警官は、それこそコンプライアンス違反で牢屋に入ってもらうべきだと思います。
とにかく、やったやらないが争点となるようなレベルの犯人に死刑はなるべく適用するべきではないと私も思います。が、無期懲役とかもけっこうキッツイものがあって、精神に異常を来すひともけっこういるみたいですから、冤罪になったりするとどっちにせよ結局キッツイですよな。そのへんのオトシマエはどうつけてくれるんでしょうか。

2.の問題は今回の問題に通底する部分があります。執行官はたいてい一人じゃないですよね? 日本は絞首刑だったと思いますが、聞くところによると執行スイッチは複数あって、誰が押したのが本物のスイッチだかわかんないようになっているとか。これは執行官に対する配慮らしいですが、法務大臣だけが自分で有罪にしたわけでもない受刑者に手続き上とはいえトドメをささなくてはならないというのは、憲法の精神に反する可能性があります。こんなの、自動的に進むようにするべきに決まってると思いますよ? そんなこと言うんだったら他の刑罰だってみんな法務大臣がハンコ押すべきでしょう。死刑は特別というが、法務大臣に執行か中止かの意思決定権がない以上、ハンコ押すという行為がそんなに大それたものとは思えません。これが絶対君主で「こいつはカワイソウだから死刑中止な」とか言えるんだったら意味ありますけどね。こんなの単なる手続きの問題なので、当世コストダウンの世の中ですからさっさと自動化するべきでしょう。「間の命を機械みたいにボタンを入れておけば次から次に殺されていくようなイメージで扱っていいのか」って、そんなイメージでボロクソ言われちゃかないませんですな。これだから「理念」だけでモノ言う奴って困ったもんです。

3.は別に問題ないでしょう。警官だって自衛官だっててっぽう持ってますしね。社会に過剰な損害を与えようとする人はてっぽうで撃っていいキマリになってます。国家が人の命を奪うなんて人類の歴史上ぜんぜん普通のことです。そもそも先進国などという幻想の理念でものを考える時代はぼちぼちオシマイですよな。社会に対して過剰な損害を与え、また将来的にも与えうる人には現世から退場していただくという運用は合理的だと思います。むしろ、審査をいろいろ行う死刑は穏便なもので、現場での射殺とかに比べればまだ民主的だと思います。ただ、方法論として、これは社会から隔離すればいいので、終身刑を導入するという選択肢もあります。現在の日本の無期刑は早ければ数年で出てきちゃう(例は少ないようですが)ケースもあるので、社会からの完全隔離としては甘く、死刑との差が激しすぎるというのが問題になってます。亀井氏もたしか保釈のない終身刑を導入すべし論者だったと記憶してますが、私もこれには賛成です。ただし、犯人の衣食住を終身保証してやるという意味もあるので、これはたいへんなコストがかかりますが、まあ自分の食い扶持ぐらい強制労働していただいて、という解決策もありますね。

4.は、別に刑罰は教育だけが目的じゃないのでただちに却下です。こいつは教育してもムダだから教育される資格なし、という判断は世の中いたるところにありますね。一般社会で生活する資格および教育権の剥奪というのは、これはこれで合理的だと思います。問題は法解釈上の部分でしょうね。

5.はなんかもう宗教に踏み込みそうな部分ですが、刑罰はその根拠の構成要素に当然復讐を含むと私は考えます。個人の復讐権を剥奪して、国家が代行するという案配ですね。呉智英氏(私はけっこう尊敬してますが)は復讐権を復活とかムチャ言ってますが、そんなんするとワルモノは強力なボディーガードに囲まれて手が出ないという状況になるに決まってますから、やっぱり国家に復讐していただくのが妥当と思います。
だいたい、そういうな高邁な理念でモノ言う人っていつの世にもいるんですが、人間というのは神みたいなもんじゃないです。脳の一部には神の部分も持っていますが、神の部分が他の部分を超克できると信じた19世紀のアカデミズムは大失敗したわけですよな。いいかげんわかれって感じです。


写真はスイカ。残暑きびしかったけどようやく温暖化な夏も終わりですな。