さて、2.26対応のWWF No.35「押井学会」の編集も終わったのでとりあえず更新。
その前に、ウェブサイト
http://www.yk.rim.or.jp/~h_okuda/wwf/index.htm
も更新。同人誌のページ作成しただけだけど。
で。
>>JTが「禁煙反対」の組織票、ネットアンケに社員動員
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070215i401.htm?from=rss
>神奈川県が、公共の場所を全面禁煙にする全国初となる条例の制定について
>賛否を問うインターネット・アンケートで、日本たばこ産業(JT、東京都港区)
>が社員を動員し反対の“投票”をさせていたことが14日、わかった。
>
> 先月26日の締め切り直前に、反対が賛成を逆転。県はネットを使わず
>アンケートをやり直す。
正直、これはひどいと思いましたですね。
インターネット上には、半ば都市伝説的に「JTが会社ぐるみで掲示板などを監視したり書き込みをしたりして、世論操作を行っている」というような説があります。私はいままで、そういう根拠のない風説というか、陰謀理論じみたこと言うのはやめなさい、という立場を取ってきました。(http://www.yk.rim.or.jp/~h_okuda/wwf/wss_200308_01.htm
「タバコ会社の陰謀理論」とか参照)しかし、こうなるともはやかばい立てできませんね。
私はタバコ産業という業界自体、ビジネス倫理学的に大きな問題があるものだと考えていますが、しかしたとえばJTという個別の企業そのものが悪という発想はできるだけ避けてきました。タバコという経済財が多くの問題を内包したものであるのは確かですが、それは現代に突然出現したものではなく、歴史的経緯のもとに在るものであり、JTにその存在そのものの責任を問うのは酷だと思うからです。また、内容に大きな問題はあるものの、「マナー」の啓発というような行動も行っている部分は評価するべきだとは思っていました。(問題というのは、携帯灰皿を「マナー」としている点です。あれは本来タバコの汚煙をまき散らすべきではない場所でも、無差別な汚煙まき散らしを引き起こす可能性を増大させる危険のあるもので、到底「マナー」と呼ぶべきものではありません)
しかし、こういうことを実際に行っていることが発覚したということは、JTの化けの皮といいますか、「マナー」だのなんだのとキレイゴトを言っていながらその実は非常に汚い体質をもった企業であることが露見したわけです。
昨今日本では、コンプライアンス(Compliance)という言葉がよく聞かれるようになりました。多くの企業で、「企業倫理」に関する部門が作られています。しかし、多くの場合、「コンプライアンス」や「企業倫理」の意味を「法令遵守」に限定して捉えているケースが多いように思います。企業倫理という概念は、単に法律を守っていればよいというような矮小な概念ではありません。社会的道徳であるとか「ヒトの道」というような、暗黙知的社会規範への準拠ということも含むものです。
JTの行為は、社会的な非難にさらされてしかるべきものです。その割には社会全体の反応が鈍いのは困ったものですが、たとえば仮に、自動車会社が飲酒運転の罰則強化に対して反対のロビー活動をしていたことが判明したとしたら、その企業は事業継続性に問題が生じるほどのダメージを被ることでしょう。まあ、JTが悪辣な「ならずもの企業」であることがはっきりしただけでも収穫だとは思いますが。
写真は最近新横浜プリンスの1階にできたイタリアンレストランのスパゲティ。ミーハーなので早速入ってみました。できたばかりのせいか、ややサービスがバタバタしていましたが、味はなかなかよかったですな。