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横浜地球物理学研究所

地震予知・地震予測の検証など

村井俊治氏の「南関東で大地震」との地震予測、やはりハズレました

2017年04月03日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
 
電子基準点のデータを使い、『週刊MEGA地震予測』および『nexi地震予測』という有料の地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。

これまで本ブログでは、村井俊治氏の地震予測を検証し、ほぼ全く当たっていない(デタラメである)ことを示してきました。今回も、最近の彼らの地震予測を検証してみます。


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村井俊治氏らは、昨年2016年の11月に、テレビ朝日の『グッド!モーニング』という番組内で、南関東で大きな地震が2017年2月までに起きる」と予測を発表しました。

   
   (テレビ朝日『グッド!モーニング』2016.11.22)


また、産経新聞および夕刊フジでも、「2016年12月から2017年1月に南関東で大きな地震」と予測を発表しました。

   
   (産経新聞2016.11.28)


さらに日刊ゲンダイでも、「2017年の1月か2月に南関東を大地震が襲う」と予測を発表しました。

   
   (日刊ゲンダイ2016.12)


…ところが、これらの予測に対応するような地震は全く発生しないまま、すでに2017年も4月になってしまいました。またも、予測ハズレです。


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村井俊治氏らJESEAは、毎週メルマガを有料で発行していますが、予測どおりに地震が起きない南関東に対して、実は依然として地震予測を出し続けています。このまま、地震が起きるまで、予測を延長し続けるのでしょうか。たとえデタラメな地震予測でも、こうして地震が起きるまで延長すれば、的中するのは当たり前ではないでしょうか。

村井俊治氏らの地震予測については、これまでもハズレ予測ばかりが繰り返されていること、肝心の被害地震を予測できなかったことなどを、以下の記事などにて検証しております。宜しければご参照下さい。


村井俊治氏らの『MEGA地震予測』は、間違いだらけ

2016年08月01日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
電子基準点のデータを使い、『週刊MEGA地震予測』および『nexi地震予測』という有料の地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。 2016年8月1日発売の『週刊ポスト』では、南関東に大地震が起きると警告しています。

  MEGA地震予測 南関東が初の最高警戒レベル5へ(週刊ポスト)
  http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160801-00000005-pseven-soci


この記事のなかで、村井俊治氏らは、南関東が危険だと予測する根拠として、以下のように言っています。

(1)6月後半から伊豆半島、伊豆諸島を中心に天城湯ヶ島7.08センチ、三宅8.59センチと、7センチを超える大きな変動が続いている

(2)長期的な隆起・沈降のデータでも伊豆諸島の三宅島が隆起している一方、近くの式根島と神津島は沈降し、その高低差は拡大を続けている。境目には相当な歪みが溜まっている

(3)「水平方向の動き」でも、伊豆諸島の大島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島などがそれぞれ別々の方向に動いており、複数の場所で歪みが蓄積されている


…しかしながら、これらの主張は、まったくのデタラメです。このようなデタラメによる地震予測を信じないようにご注意下さい。以下に説明します。



 ■ ただのノイズを地殻変動だと勘違いしている(偽っている)

上記した(1)で、村井氏は「天城湯ヶ島7.08センチ、三宅8.59センチと、7センチを超える大きな変動」と言っています。では、実際のデータを見てみましょう。天城湯ヶ島の電子基準点の座標値(高さ方向)の変動です(出典:国土地理院)。

  

村井俊治氏は、赤矢印で示した値の上下を「異常」と指摘していますが、まずこんなのはいつものことなのです。青矢印で示しましたが、昨年も同じような(むしろもっと大きな)変動があったことが分かります。昨年、この変動のあとで、南関東で大地震が起きましたか? 起きてませんよね?

このような短期的な高さ方向の変動は、ただのノイズです。GPSに代表されるGNSS測位では、高さ方向は大きな誤差が残ってしまうのです。大気中の水蒸気量などの影響で、数センチの値の乱れは日常茶飯事です。村井氏は、このようなノイズ変動を取り上げて、「地殻変動だ」「地震の前兆だ」と騒いでいるに過ぎません。実に低レベルです。

このグラフで見られる変動が実際に起こったとすると、ある日に地面が急に4センチも沈降し、次の日には8センチも急上昇したことになります。そんな変動があれば、すでに大地震が起きているはずです。地震も何も起こさずにこのような変動が起きたという荒唐無稽な彼らの主張は、信じないようにしましょう。



 ■ 三宅島の地殻変動についても総合的な判断ができていない

また、上記(2)では、村井氏は「三宅島が隆起しているが、隣の式根島と神津島は沈降していて、歪みが溜まっているので大地震が起きる」と言っています。

ですが、これは三宅島に前々から見られている、火山活動に起因する地殻変動の結果にすぎません。詳しくは、三宅島についての気象庁の資料をご覧ください。

「三宅島の火山活動解説資料(平成 28 年6月)」気象庁(PDF)
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/monthly_v-act_doc/tokyo/16m06/320_16m06.pdf

つまり、三宅火山でマグマの移動によると思われる隆起が、ずっと以前から観測されているというだけなのです。当然、相対的に、周囲の観測点とは高さ方向の差が生じます。ですが、だからと言って、そこで歪みが溜まって大地震が起きると主張するのはナンセンスです。ある火山でマグマが上昇してきて隆起がみられることは、よくあります(噴火に至らないケースも多い)。ですが、そんなとき、ほとんどの場合、その火山のまわりで大地震などは起きません。



 ■ 地殻変動についての知識がまったくない

きわめつけは、上記した(3)です。大島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島が、それぞれ別の方向に動いていると主張されています。ですが、国土地理院のサイトで参照できる、この1年間の地殻変動(水平方向)を見ますと、以下のとおり、そんな事実は全くありません

  

実は、地表面はプレート運動にともなって各点が動いているので、絶対的な基準点というものはありません。便宜上、ある点を固定点として、そこからの相対的な運動をみるしかないのです。以上の図は、福井県の越前を固定点にとったものですが、固定点を適当にとれば、任意の各点が別方向に動いているように見せることができるのです。村井氏らは、おそらく国土地理院から取得した数字をそのまま使って、たまたま伊豆諸島の各点がバラバラに動いているように見えたのでしょう。プレート運動による動きをより現実に即して見られるよう、海溝から遠い固定点をとれば、上図のように伊豆諸島の各点は同じ方向に動いています。

いずれにしても、「大島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島が、それぞれ別の方向に動いている」という主張は噴飯ものであり、地殻変動の観測についての知識を、彼らが全く持ち合わせていないことを如実に表しています


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…以上のとおり、村井俊治氏らJESEAによる『週刊MEGA地震予測』は、とても科学的に正しい内容であるとは言えない、ハッキリ言って低レベルの子供騙しのような代物です。このような情報を、真に受けないでください。伊豆半島や伊豆諸島が、特別に危険であると言う事実はありません。もちろん、日本中どの場所にも地震の危険がありますので注意は必要ですが、そうした認識を持ったうえで、伊豆方面にも伊豆諸島にも気にせず出掛けて頂きたいと思います。

最後に、村井氏らの『週刊MEGA地震予測』は、今年4月の熊本地震を全く予測できなかったことも、付け加えておきます。
村井俊治・東大名誉教授は、2016年熊本地震(最大震度7)を、全く予測できませんでした




「熊本地震の場所は言い当てていた」という村井俊治氏の釈明は本当か?

2016年05月09日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
 
電子基準点のデータを使い、『週刊MEGA地震予測』および『nexi地震予測』という有料の地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。 フジテレビ『Mr.サンデー』や小学館『週刊ポスト』誌において繰り返し紹介され、通信大手のNTTドコモが本格的に協力を開始するなど、かなり注目されている方です。

ですが、前回の記事(こちら)でご紹介しましたように、村井俊治氏は、2016年4月の熊本地震を、全く予測できませんでした。

ところが村井俊治氏は、「熊本地震の時期は予測できなかったが、場所は指摘していた」と繰り返し釈明しています。つまり、以前から熊本で地震があると指摘していたが、時期の予測がちょっとズレただけだ、と主張しているのです。


  
        (※村井俊治氏のツイッターより)

  
        (※『週刊ポスト』4月26日配信の記事から抜粋)


…こうした村井俊治氏の釈明は、信じて良いものなのでしょうか。以下に検証してみます。


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以下に、熊本地震が発生する前、今年2016年の2月17日に村井俊治氏らが発表していた、実際の地震予測を示します。色と数字は警戒度(レベル)を表し、数字が高いほど、震度5以上の地震が発生する可能性が高いという予測です。

     
     (村井俊治氏らJESEAによる有料地震予測サービスnexi地震予測のサンプルより)


…いかがでしょうか。確かに九州にも地震予測が出されてはいます。ですが、九州以外にも、実は日本の大部分に予測を出していたことが分かります。しかも、九州の予測が「レベル2」(下から2番目)であるのに対し、九州以外の地域はもっと警戒度が高い「レベル3」「レベル4」の地震予測が一杯出ています。

村井俊治氏は「熊本地震が発生する直前まで九州にも予測を出していたのだから、場所は言い当てていた」と主張していますが、その実態は、「九州以外にも、日本の大部分に予測を乱発しており、しかも九州以外に出していた予測のほうが警戒度が高かった」のです。

そのうえ、警戒度の高い予測を出していた地域(九州以外の地域)には、どこにも震度5弱以上の地震が全く起きませんでした。上図の予測図で言えば、空振り(ハズレ)が9、的中が0です。地震予測としては、「これ以上ないというくらいのデタラメ」であったことが分かります。

こんな全く的外れだった自らの地震予測をもって、「場所は言い当てていた」と主張するのは、あまりにも苦しい釈明であるどころか、かなりみっともない言い訳としか言いようがありません。


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私は、地震予測をしてみて、それが外れること自体を、批判したい訳ではないのです。色々な可能性を検討し、チャレンジしてみること自体は、何ら責められるべきではなく、むしろ応援したい試みです。それに、一度の予測失敗を取り上げて、出鱈目だと断定しようというものでもありません。

ですが、自分の地震予測を過大に評価し、「場所は当てていた」などと、嘘だと言って良いくらいの誇張を言って、それを宣伝文句に使い、有料の地震予測サービスを継続するような態度は、かなり控えめに言っても、「読むに堪えない暴言を浴びても文句は言えない態度」だと思います。

ぜひ村井俊治氏らJESEAの皆様には、真摯な態度で研究および事業を見直して頂くよう、強く希望します。

村井俊治・東大名誉教授は、2016年熊本地震(最大震度7)を、全く予測できませんでした

2016年04月15日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
 
電子基準点のデータを使い、有料メルマガ『週刊MEGA地震予測』で地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。 2016/3/6放送のフジテレビ『Mr.サンデー』において紹介され、通信大手のNTTドコモが本格的に協力を開始するなど、最も注目されている地震予測研究と言えるかも知れません。

それでは、この村井俊治氏らのメルマガ『週刊MEGA地震予測』は、2016/4/14に熊本で発生した熊本地震(M6.5・最大震度7)(※4/16に本震と思われるM7.3)を、予測できていたのでしょうか。直前に発行されたメルマガの内容を、以下に検証してみましょう。


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熊本地震の発生直前に発行されたメルマガ『週刊MEGA地震予測』(4/13発行)に記載された地震予測は、以下のとおりです。

レベル4(震度5以上の地震が発生する可能性が極めて高い)
・南関東地方(相模湾、駿河湾・東京湾に面する地域、伊豆諸島、小笠原諸島)


レベル3(震度5以上の地震が発生する可能性が高い)
・北信越地方、岐阜県
・南海、東南海地方
・東北、関東の太平洋岸
・奥羽山脈周辺
・釧路、根室、えりも周辺


レベル2(震度5以上の地震が発生する可能性がある)
・鳥取県、島根県周辺
・南西諸島


レベル1・何らかの異常変動があり今後の推移を監視する
・山形、福島、茨城のL字型エリア
・北海道道南、青森県



…それでは、これらのエリアを、以下に地図に書き込んでみましょう(国土地理院地図より作成)。





…いかがでしょうか。あわせて10か所、日本の半分以上をカバーする広大なエリアに地震予測を発していますが、震度7が発生した熊本は、完全なノーマークです。これ以上ないというくらい、見事なまでの予測失敗と言えます。


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今回の地震は、彼らが有料メルマガ『週刊MEGA地震予測』を始めて以来、初めて震度7を観測し死者など多大の被害が出る地震でした。それをこのように予測し損なったわけで、さすがに言い訳はできないでしょう。

彼らが予測を失敗したのは、今回だけではありません。これまでの予測もほとんど出鱈目レベルであり、そもそも電子基準点データの扱い方が完全に間違っていることも、本ブログでは繰り返し説明しています。よろしければご参照ください。


村井俊治氏(JESEA)の地震予測を検証します(2015年1月~5月)
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/b51f1ea8bcc23fc4109748dd16474e1b

村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(3)
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/51b8dd178cae1a58be6cb9a3bf70c304


「週刊MEGA地震予測」の内容は、全く信頼できません
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/98691b7b417e3670144d0d61fe544e41

村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(2)
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/47e78b9471e8cbc740b0c0efa0ef710a



村井俊治氏を信じる人は、「地震が起きない場所にも予測を出しているくらいなのだから、予測が出ていない地域は安全だろう」と思ってしまうかもしれません。今回のように予測が出ていない場所に地震が起き、油断して被害に遭ってしまうことも考えられます。出鱈目な地震予測は、詐欺的な行為であるというだけでなく、明らかに有害なものであると言えます。

自身の地震予測が出鱈目の精度しかないことを率直に認め、研究を直ちにやめるか、少なくとも真摯な態度でいちからやり直して頂きたいと、彼らには強く希望します。

 

村井俊治氏らの『週刊MEGA地震予測』の的中率は、わずか10%

2015年12月25日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
 
電子基準点のデータを使い、有料メルマガ『週刊MEGA地震予測』で地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。特に今年は、彼の地震予測がテレビや週刊誌などで多く取り上げられ、最も注目された地震予測研究と言えるかも知れません。

この村井俊治氏らのメルマガ『週刊MEGA地震予測』は、実際にはどの程度の予測精度があるのでしょうか。最近のメルマガの内容を、以下に検証してみましょう。


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2015年9月9日発行の『週刊MEGA地震予測』が、あるサイトで公開されていましたので、こちらを検証してみることにします。この号では、以下の10ヶ所に地震予測を発しています。

   

このメルマガでは予測期間は最大でも3ヶ月で、当該号のメルマガ本文でも、ほとんどの領域について「1、2ヶ月のうちに地震」、長くても「3ヶ月後まで警戒を要する」等と記載されていますので、この号の発行から既に3ヶ月以上を経過した現在であれば、客観的な(甘目の)検証ができることになります。


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では、当該メルマガ発行から3ヶ月間に、以上の10ヶ所のうちで、予測どおり震度5弱以上の地震が発生した地域を以下に挙げてみます。

   
   (9/12に、東京湾の深さ57kmを震源とするM5.2の地震が発生、調布で震度5弱)

…この1件だけです。ほかの9件は、全てハズレです。的中率で言いますと、わずかに10%です。この1件も、震度5弱を観測したのは調布市のわずか1点のみで、ギリギリ的中と言えるものに過ぎず、それほど大きな地震ではありませんでした。

以上に示したメルマガからの引用でも分かるように、10か所もある予測地域のそれぞれが、「東北・関東」や「南海、東南海」などと、非常に広範囲です。しかも今回、3ヶ月以上の猶予を持って、予測を検証しました。それでも、たったの10%しか的中していないのです。

以上のことから、客観的にみて、村井俊治氏らの『週刊MEGA地震予測』は、単に下手な鉄砲を数多く打つことによって、大きな地震があった後で、「この地震は予測していた」と主張できるようにしているだけであると思われます。つまり、村井俊治氏らの地震予測は、ほとんどデタラメを脱していないと結論できます。


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なお、村井俊治氏らJESEAの地震予測については、以下の記事においても検証していますので、ご参照ください。


村井俊治氏(JESEA)の地震予測を検証します(2015年1月~5月)
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/b51f1ea8bcc23fc4109748dd16474e1b

村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(3)
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/51b8dd178cae1a58be6cb9a3bf70c304



また、村井俊治氏らの理論のそもそもの疑問点については、以下をご参照ください。

「週刊MEGA地震予測」の内容は、全く信頼できません
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/98691b7b417e3670144d0d61fe544e41

村井俊治氏の地震予測を信じてはいけません(2)
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/47e78b9471e8cbc740b0c0efa0ef710a