電子基準点のデータから、有料メルマガ「週刊MEGA地震予測」などで地震予測サービスを行っている、東京大学名誉教授の村井俊治氏(JESEA・地震科学探査機構)という方がいます。
本サイトでは、そもそも彼らの電子基準点データの取り扱いはデタラメであり、実際に地震予測もほとんど当たっていないことを説明してきました。
今回は、2015年1~5月について、彼らの予測実績を検証してみましょう。
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今年1月発売の『週刊ポスト』誌において、村井俊治氏らは「異常変動全国MAP2015」なるものを発表しています。「警戒ゾーン」なるものが全国に5カ所指摘されており、これが今年1月時点での彼らの地震予測だと言えます。
彼らは週刊朝日誌上で、「異常変動から地震発生までは5ヶ月くらいかかる」とハッキリ言っています。ですので、この年初の地震予測発表時から、5月までに発生した地震を検証すれば、妥当な(かなり甘目の)評価ができるはずです。
今年2015年の1月から5月に、実際に発生した震度4以上の地震は、以下のとおりです(気象庁のデータベースより作成)。
村井氏らは震度5以上の地震を予測できるとしていますが、震度4でも「当てた当てた」と事後によく喧伝していますので、震度4も含めました。
それでは、これらの地震の震央を、上に示した「異常変動全国MAP2015」と重ねてみましょう。最大震度5弱以上が赤色の丸、最大震度4がオレンジ色の丸です。
…いかがでしょうか。率直に言って、ほとんど予測が当たっているようには見えません。なお、与那国島近海、奄美大島近海、小笠原諸島西方沖での地震については、震央が地図にさえ含まれていないので、図中のプロット位置は不正確です。
震度4以上を観測した地震が18個ありますが、そのうち「警戒ゾーン」で起きたのは4個だけ(しかも3個はゾーン境界ギリギリ)です。これだけ広い警戒ゾーンを5カ所も設定しながら、震度4以上の地震がその間を縫うように起きており、逆の意味で見事です。
また、こうしてみると、村井氏も週刊ポスト誌も「またズバリ的中」と騒いだ徳島県の地震が、数々の予測のうちたまたま当たった1つに過ぎず、数々のハズレ予測や見逃し予測が無視されていることが、よくわかります。そもそもこの「南海・東南海警戒ゾーン」は、実は昨年9月に発表した「異常変動全国MAP」からずっと継続して設定され続けていた(こちら)ものなので、統計学的に言って、これが1つだけ当たったからと言って、有意な予測能力は全く感じられません。
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以上のように、電子基準点のデータも取り扱いがデタラメである上に、地震予測も実際に全く当たっていない村井俊治氏らのサービスを、信じるべき理由は全くないと言えます。
コメント誠に有難うございます。
まず、地震予測を検証することは、地震予測における立派な「研究」の一環だと思うのですが。
一方で、本ブログで行っているような客観的な検証を(なぜか)しない村井氏やJESEAの方が、「真っ当な研究をしようとしていない奴ら」ではないかと思います。
ありがとうございます。
統計学から検証して、結果をわかりやすく、
理解しやすくされるのは重要だと思います。
これがきっかけで理論的な視点で判断する
ことに興味を持つ方が増えること切望します。
村井氏の警戒ゾーンは、震度5弱以上を観測する可能性がある地域でしょうか。それとも、震度5弱以上を起こす地震が発生する地域(震央)でしょうか。
震度は、地震の規模、震源域からの距離、地盤などで変わってきます。
震度を予測するためには、少なくとも地震の規模と発生場所を予測できなければなりません。
もし、村井氏の警戒ゾーンが震央を予測しているのであれば、震度予測を旨とする氏の地震予知と相いれません。
逆に、村井氏の警戒ゾーンが震度5弱以上になる危険性を予測しているなら、横浜地球物理学研究所様の解析は、少し的を外しているのではないでしょうか。
私が見たところ、村井氏の警戒ゾーン内で震度4以上になった場所は、半数程度でした。
まあ、確率的にみて、これくらいはまぐれ当たりしないと説明が難しくなります。
コメント有難うございます。
このようなタイプの検証でよろしければ、過去にも
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/15ce32c0a66f9db75e0aa36a63e2b0c6
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/51b8dd178cae1a58be6cb9a3bf70c304
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/4c47e624fd7acddc4a56560fa2c24039
などで行っていますので、よろしければご参照ください。
コメント有難うございます。仰ることは良く分かります。村井氏は震度予測を旨としていて、警戒ゾーンも震央ではなく震度の予測だと、彼は主張すると思われます。
ただ、例えば東北を震源として地震が起きたときに、警戒ゾーンの関東が震度5弱で揺れたのなら、たとえ東北を警戒ゾーンとしていなくても「予測的中」なのだ、とするような検証に、科学的な意味は全く見いだせません。
東北を震源として地震が起きたとしても、軟弱な地盤や地震波の反射によって、関東でだけ震度5弱以上を観測することはあり得ます。その場合には、電子基準点の前兆異常は、東北ではなく関東に出ると、村井氏は言っていることになります。東北で発生する断層のズレを、関東の基準点だけが知っていることになり、ほとんどオカルトです。
このように、震央ではなく震度を予測するのだ、などと主張をしていること自体が、村井氏のレベルの低さを物語っていると思っています。
理論の実績を検証するのは、立派な研究なんだよ。阿呆が。
その程度の常識を知らぬ貴殿に、少さ佐の肩書きは分不相応。「二等兵以下」と改められよ。
横浜地球物理学研究所さん。
いつも理論的な検証ありがとうございます。とても分かりやすいです。
しかしかの御仁の信者たちは、「18個中4個的中。確率22%だからすごい」とか言い出すんだろうね。
全国で89回起きましたが、"警戒ゾーン"で起きた地震はわずか7回でした。約7.9%です。
JESEAの地震予測はマグニチュードと関係なさそうです。
にもかかわらず、JESEAのサイトには、
「マグニチュードが小さな地震は前兆現象が表れず予測できない場合があります。 震源が浅い場合は大きな地震となる可能性があります。
また、マグニチュードが大きくても震源が非常に深い地震の場合も前兆現象が表れない可能性があります。」
と書いてあるのがおかしすぎて笑えます。
それから、「Skeptic's Wiki」という懐疑的な情報をまとめているサイトに、村井氏の項目がありました。
参考までに・・・というかこのサイトが参考にされていますね。
http://skepticswiki-jp.org/wiki.cgi?page=%C2%BC%B0%E6%BD%D3%BC%A3%BB%E1%A4%CB%A4%E8%A4%EBGPS%C3%CF%BF%CC%CD%BD%C3%CE
お返事、ありがとうございます。
私のコメントにも書いておりますように、震度を決定するためには、地震の規模と発生場所を予測する必要があります。
村井氏は、その二つを飛び越えて、いきなり震度を予測している点で、無理があります。また、規模と発生場所を予測できていて、その上で一般に分かりやすいように震度に置き換えているのなら、津波の有無も予測可能になりますが、村井氏は津波への言及はしていないようです。
私が言いたかったのは、横浜地球物理学研究所様のお返事の内容や前述のような矛盾点が大切であり、震央が警戒ゾーンの中か外かは、曖昧な地震予知しかしない村井氏にはデータは意味がないということです。
こちらの批判はなるべく恣意性を排しようとされたうえで、村井予想に対して論理的にアプローチされている。
なぜ意味もない誹謗中傷をする人がいるのか、いつも理解にくるしむ。そのようなことをするまえに、村井予想を自分で批判してみるべきだろう。ここをのぞくたびに、わが国の教育レヴェルの低さ、民度の低さ、マスコミの無責任なあり方などについて考えてしまう。