昨年2016年の9月から、早川正士・電通大名誉教授という方が、「予知するアンテナ」という有料地震予測サービスを開始しています。サービス開始以降、「予知するアンテナ」は色々な夕刊紙や週刊誌などで取り上げられ、「地震予測の的中率は7割ほど」だと宣伝し、次々と地震予測を披露してきました。
この早川正士氏がこれらのメディアで発表した地震予測を、以前の記事で検証した結果(こちら)、今年2017年の1月までの14件の地震予測は、「的中率7割」どころか、なんと全てがハズレでした。
ところが、『夕刊フジ』という媒体が、その後も「早川正士氏の地震予測はゾッとするほど当たる」などと宣伝を繰り返し、早川氏の地震予測を発表し続けています。では、それらの地震予測は、果たしてどれくらい的中しているのでしょうか。検証した結果を、以下に示します。
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2月14日の夕刊フジでの地震予測
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20170214/dms1702141130006-n1.htm
2月16日までに東北M5.5 →ハズレ
2月18日までに東北~関東でM5.0 →ハズレ
2月18日までに九州M5.0 →ハズレ
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2月21日の夕刊フジでの地震予測
http://news.goo.ne.jp/article/fuji/nation/fuji-dms1702210006.html
2月27日までに東北地方でM5・0最大震度3 →ハズレ
2月27日までに東北地方の南側から千葉北部でM5・0~M5・5 →ハズレ
2月27日までに福島、茨城、千葉で最大震度4 →的中(※)
2月27日までに九州、沖縄で最大震度4 →ハズレ
※2月27日に福島県沖でM4.9(最大震度4)が発生しました。
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4月16日の夕刊フジでの地震予測
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20170416/dms1704161000002-n1.htm
4月17日までに福島、茨城、千葉で最大震度4前後 →ハズレ
4月19日までに北海道の道東で最大震度3前後 →ハズレ
4月19日までに東北地方の太平洋側で最大震度3前後 →ハズレ
4月19日までに九州で最大震度3前後 →ハズレ
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6月25日の夕刊フジでの地震予測
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170625/soc1706250004-n1.html
6月25日までに北海道、青森、岩手で最大震度3前後 →ハズレ
6月30日までに宮城、福島、茨城で最大震度4前後 →ハズレ
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…以上のとおり、今年2月から6月まで、早川正士氏は夕刊フジで地震予測を13件発表していますが、そのうち的中はわずかに1件だけです。
昨年2016年の9月からの通算で言いますと、早川正士氏がメディアで発表した27個の地震予測のうち、的中は1件。的中率は、わずかに3.7%となります。
これだけ地震の多い日本で、東北や関東など地震が多い場所ばかりに地震予測を出し、たった3.7%しか当たらない…これは控えめに言っても、「ほとんどデタラメ」と言って良いのではないかと思います。
率直に言って「サイコロを振って予測したほうが当たるのではないか」とも思えるくらいの地震予測を、「ゾッとするほど当たる」とか「的中率は7割」などと宣伝し、地震予測を発表し続け、外れた予測については事後に何も言わずに黙殺するというのは、研究者としてもメディアとしても、決して褒められた態度ではないと思います。早川氏と夕刊フジには、改善を強く願いたいと思います。
なお、過去に発生した地震は気象庁のホームページで検索できます。興味のある方や、私の検証が信じられないという方は、ぜひ早川氏が発表した予測とご自分で照らし合わせてみてください。