今年2019年ももうすぐ終わりますが、今年の干支は亥でした。ところで、亥年は大地震などの災害が良く起きるという説があるそうです。たとえば「FNNプライム」では、次のように言及されています。
「イノシシ年は災害の年などと言われる。過去には1923年に関東大震災が発生。
1995年には阪神・淡路大震災。2007年に、新潟県中越沖地震が起きるなど、
大地震が発生している」
https://www.fnn.jp/posts/00049297HDK/201912052033_livenewsit_HDK
実際のところは、どうなのでしょう。簡単に調べてみました。
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まず、比較的詳細な記録が残る明治以降について、大災害が発生した年の干支を、犠牲者数順に見てみます。カッコ内は、死者・不明者数を四捨五入したものです。
関東大震災(10万5千): 亥
明治三陸地震(2万2千): 申
東日本大震災(2万1千): 卯
濃尾地震(7千): 卯
阪神淡路大震災(6千): 亥
伊勢湾台風(5千): 亥
福井地震(4千): 子
枕崎台風(4千): 酉
昭和三陸地震(3千): 酉
北丹後地震(3千): 卯
…たしかに、関東大震災、阪神淡路大震災、伊勢湾台風による被害が、亥年に発生しています。しかしながら、亥年だけにそれほど偏っているわけでもありません。
実は、12面体のサイコロを10回振ったとき、その全てで違う目が出る確率は、わずか0.3%です。同じ目が出てしまう確率のほうが、圧倒的に高いのです。つまり、ある干支に大きな災害が数回重なってしまうことは、確率的に言ってごくごく当たり前のことで、単なる偶然であると言えましょう。
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ついでに、明治より前の主な大災害の発生年も見てみますと、以下のとおりとなります。
安政江戸地震(1万?): 卯
善光寺地震(9千): 未
島原大変肥後迷惑(1万5千): 子
慶長地震(1万?): 巳
八重山地震(1万2千): 卯
宝永地震(1~2万?): 亥
明応地震(数万?): 午
永仁関東地震(2万3千?): 巳
…このなかでは亥年は宝永地震だけで、他の大災害は他の干支の年に起きています。亥年が特段、大災害が集中する年には、やはり全く見えませんね。
でもその周期以外にも、酷い災害や戦争が起きているとすぐに気づき、その説が正しいかどうかを自分なりに調べて、「うん、これは違うな。逆に何でもこじつけ出来ちゃう」と、悟ったことがあります。
結局こういう「特定の周期に〇〇が起きる」という話は、それが間違っていても当たっているように錯覚させられることができる詭弁なんですよね。
心理学的に言うバーナム効果という奴です。村井先生やその他の地震予測商法が当たっているように見えるのと、同じ理屈です。
この手の話をうのみにして「亥年は危険」と怯えるのではなく、「災害は何時でも起きる可能性があるから、これからも気をつけていかないとね」と、前向きに考えられる人が多くなってほしいなぁと思います。
その結果、最も地震が多かったのは『辰』年、二番目に多かったのは『卯』年でした。
M7.0以上に限定すると、最も多かったのは『子』年で、次に『卯』年と『亥』年でした。
震度6以上では、最も多かったのは『申』年で、次に『卯』年でした。
何が何でも干支と地震を結び付けるというのなら、『亥』年ではなく、全ての項目で2位だった『卯』年なのかなと、思いました。
2番じゃダメなんでしょうか? (^^)
それ以前の話になりますが、特定の干支で災害が発生するのなら、災害が干支によって支配(制御)されていることになってしまうので、非科学的!って誰でもわかる話ですよね。
こんな内容をメディアが書くのはどうかとは思いますが、目くじら立てるほどではないのかなと。
私も含めて・・