西伊豆(宇久須)だより

山・海そして里が広がる西伊豆町。都会の喧噪を離れて、一緒に豊かな自然、健やかな社会とは何か、探っていきませんか?

復活し始めたヤーコン

2012-06-29 15:35:34 | 日記
 台風4号で痛めつけられた、第2休耕田の植物たちは復活の兆しを見せております。

 サツマイモ

 サツマイモとサトイモ

 サトイモ

 ヤーコン全体像

 復活し始めたヤーコン

 あすは橋谷さんがお仲間と釣りがてら、草取りにもこられるそうです。たくさん釣れるといいですね。(A)




アジ121匹の釣果

2012-06-27 20:25:10 | 日記
 6月22日
 梅雨前線上を,台風崩れの低気圧が猛烈な勢いで通り過ぎ、明け方多量の雨が降りました。台風4号で塩をかぶった私の車もおかげできれいになりました。

 今日の授業は午前中の2コマ。お昼ご飯を食べながら,午後の過ごし方を考えました。9時頃まで雨が降っていましたので畑には入れません。

 偶然目にしたスポーツ新聞の釣り情報に「浜名湖で小アジが50匹」の記事。天気も曇天で海も濁っている。潮は中潮周り。午後はアジ釣りに決定。

 帰りにセブンイレブンに立ち寄って、コマセ(アミエビ)250円で購入。そのまま釣り道具を持って桟橋へ。



 春合宿の時、釣り組に62匹を釣らせてくれた桟橋です。5mの延べ竿に4号トリックを付け、えさ台でえさを付け海に投入。いきなり強い当たりが来ました。

 15㎝ほどの刺身サイズのアジです。その後3回続けて唐揚げサイズの小アジ(宇久須ではジンタと呼ばれています)3匹ずつ釣れました。



 今日は釣れると確信し、休みで自宅にいた次男を呼びに家に帰るとすぐに駆けつけました。その後、休みだった長男も合流し最終的には3人で121匹のジンタやアジ、ムツやシマアジも釣れました。

 仕掛けにはタコが入っていました。



 我が家の長男がスーパーの鮮魚部に勤務していましたので、外の魚をおろすための流しで、刺身にしたりわたを取ったり処理します。



 20匹くらいを刺身にして、残りは唐揚げにして南蛮漬けにしました。我が家は今6人家族ですので1人あたり15匹。



 今晩の夕食は唐揚げにしたアジの南蛮漬け、大きなアジとムツの刺身、そして仕掛けに入っていたタコの刺身がメインのおかずです。

 付け合わせは、私が栽培したキャベツとキュウリのキムチ風の漬け物です。歯ごたえが有り美味しかったです。



 この夜はお米を除けば、買ったものはほとんどありませんでした。消費税が上がっても怖くない生活を目指します。 (F)


懇談会「西伊豆の山を知る」(6完)

2012-06-24 16:04:30 | 日記
――ご覧いただいた財産区の分収林あたりも、あと50年くらいすれば、すごい価値のあるものになるという可能性も?

 桜井 僕は現在だって、これは買う人さえあればちゃんと売れるし、収入が入るだろうと思うんですよ。ただそれでもって、そこだけで間に合うかというと、それは難しい。橋谷さんがいわれたような、いろんな仕事のうちの一つにあれもあるよということである。農業研究所の連中と話をしたときには、一家がありまして、父ちゃんは会社から車で帰ってくる。母ちゃんもパートから帰ってくるでしょ。爺ちゃんも牛引いて帰ってくるんですよ。婆ちゃんは山から木を取ってきたりしてね。ということを話題にしました。そう大きくないけど、山もあって、たんぼもあって、なにもある、みんな土日には農業をやる、そういう生活というのがあるのではないか。

 それがさらに、会社の収入が多くなって仕事がきつくなってくると、一次産業はとりあえず放っておけと、草だらけになっていくし、間伐はしなくなるということだろうと思いますね。

 よそからお金が入っているうちは、たぶん一次産業は要らない。よその国が売ってくれているうちも第一次産業は要らない。だけど、何年か前にタイ米しか食えなくなった、日本が飢饉になったことがあります。気候もこれから先どうなるか、非常にあやしい。

 最近の新聞では、日本はまた中型の寒冷期が来るんじゃないか、ちょうどあの、忠臣蔵で討ち入りの日に雪が降った程度の寒さが来て、イギリスのテームズ川が昔凍ったという話がありますが、その時期が来るんじゃないかといわれているのを聞きますと、1700年代のああいった飢饉がまたこれから来るかもしれないとなったときに、日本に売ってくれなくなる可能性がある。米がなくなるとかね。

 そういうのもあるので、余って無駄だったんじゃなくて、余ってよかったねというように世界を考え直し、今度の津波と同じような考え方をしなければいけない時代が来るんじゃないかという気はします。材木の場合には、放っておいても、ちゃんといざとなれば、伐れるんだからというのなら、とっておいた方がいい。

 これもどれくらいうまくいってるかわからないんだけど、15年位前に先ほどの田中敦夫さんの別の本に書いてあったことで、いまどこの山にどれだけの木があって、どれだけ買えるんだという事がやれるように、それを情報で流すということで、結構うまくいった例があるという。

 それをやった人は林野庁を辞めちゃった人で、自分でいろんな山を知っているもんだから、あちこちからそれを集めてきて、データベースを作ることで、公務員をやっているよりいいという。現在それがどうなってるのということは、まだ追跡してないのでわかんないんですけどね。

 売れる木がきっちりあって、どうなっているのかというのがあると、引き合いがくる話というのはずいぶん聞きます。それから、家を建てる人たち、パナハウスなんかもそうなんでしょうけど、彼らは大体2年くらい先を見越して生産計画を建てるわけです。そこの材木をどこから買ってくるかということを決めるわけです。

 その選定の基準は値段が高い安いではなくて、安定して来るかどうか、安ければもちろんいいんですが。安定して来るかどうかが重要なんです。それが来ないと、家が建てられないわけですから、会社が潰れちゃう。そういういうことなんで、確実に安定した量が一定のまとまり、ロットとして来るものが、どこだというと、外国であったりする。日本の山元は信用できない、何べんかひどい目にあったという話をしていました。

 もう一つは、売れ始めると値段が上がる。そうすると日本ではこの値段じゃ売らないよといいだす。外国は2年後の計画までしちゃったら、上がる上がらないということがない。日本は2年後だといっても、だってこれだけ上がってるんだから、これじゃ売れないよと言い出す。というのが、どうも日本の契約が成り立たない理由だということを、その住宅会社の重役が言ったことがあります。

 そういったところをある程度直す、市町村はこの作業は合うんじゃないのかな。国有林はその間の、真ん中の調整を出来ないのかよということを、国有林の木材担当に聞きましたら、出来ないわけじゃあないけど、随契(入札でなく特定の業者と相対で契約を交わすこと)ができないんだよ、などといいます。長い計画でやるやつも、簡単には出来ないんだよな、てなことをいって、なんだかんだとまともにやりたがらない。お役所もそれじゃだめだねというのがまだ結構問題にあるようです。

 これもとにかく、いまの皆川(芳嗣)長官というのはそういうところをわりと真面目に考える事務系の方で、色々と何か考えているとは思います。だが、考えるんだけど、実際に動きが出てこないということは、現場の方がうまく動いていない、そういう気がします。皆川さんというのは、林野庁のトップですね。次になるだろうと思われる人も、けっこうまともな人が揃ってるんで少しは良くなってくれないと困りますね。

 ただ、この再生プランについては、私自身はちょっとあまり期待が持てない状態であります。一番もとのけん引役の、コンクリートから人へ、木材へという民主党が、まともにあれをやれる状態になっていない。別の方が忙しくて。という気がします。

 ――国有林の植林オーナー制度というのを林野庁が奨励して、それに対して、値段が出ないということで投資家が大損したという、あるいはクレームがつく。これがなぜ失敗になったのか。

 桜井 損失補てんしたかどうかは知りませんけど、投資というものはそういうものですよねというのが一つですね。
 いま株買った人なんてのは、そういう状態になってますね。あのときの値段で将来を見通して、お宅にはこれくらいのものがありますよといったけれど、先のことは分かりませんよと一札は入っているはずなんですよね。

 これだけ材木価格が下がっちゃったら、資産価値が落ちたじゃないですかとしかいいようがない。国は大騒ぎしたとし、新聞なり、週刊誌なりが書きましたけど、そこのところで開き直れるほど林野庁は強くないですからオタオタしてますけど、ない袖は振れないし、仕組みはそうだから、それはしようがないでしょうということしかなくて、国有林の売り方は、いまみたいなこういうやり方を一切とってませんので、買う側の値段がいくらになるかで決まっちゃう。

 そういうお役所商売のところに手を上げちゃったひとは、やはり夢を買ったということで、50万円は良かったですねと、国土保全に役立ったと思ってくださいというのがたぶん原則、根本的な問題だと思います。

 それについては、財産区の方もそうですね。結構いろんな人に対する気持ちとしては大変なので、あれに対してのお返しをどういうふうにするのかということは、いろいろ考えてもらう必要があると思うんです。

 夢については、買ってもらった夢は放ったらかしではなくて、宇久須だよりをまわすとか、そういう話をやって、少なくともおれの買ったこの場所で、値段が下がっちゃったけど、でも木は生い茂ったぞというようなところで考えて貰う。

 でないと財産区の方でお金を補填して返さなければいけないとなると、その責任も法律上全然ないわけですから、ないことをやったら、町民に対しての背任行為になりますので、とにかく皆さんごめんとしかいうしかない。

 本来ごめんなさいという必要はないんで、投資というものはそういうものですよねとしか言いようがない。
 オーナー制度をやるときには、やっぱり相当文句が出てますよ、お上がそんなことやっていいのかという意見は出ました。税金で返すのか。返せるわけねえだろ。これは経営基金ですから、あくまでも投資です。ただ、あんまりいい商売じゃなかったですね。

 ――国民との関係が、ちょっと疎遠になって、しまったという形になって…

 桜井 そのへんがどうなっているかは、実は分からないんですよ。出資した人のうち、どうみたって情勢そうなんだから仕方ないよねと考えている人がどれくらいいて、おれは損させられたと思っている人がどれくらいいてというのは、統計とってないんですね。あれは30年だか、40年だか期間があったんですね。

 将来に向けて森林を、森を育て利用するという気持ちとかマインドを起こさせるようにするには、どういうふうにすべきか。環境教育とかそういう、広いとこから見ていく、色々な策があると思います。

 そのへんは、国が国民にこうしろああしろと教育しなければいけないものなのか、国はこう考えているけど、国民がこう考えているから、国はそれに従って動けというふうにいうのか。国が国民に森を大事にしろというんじゃなくて、これが大事なんだよ、そのためにはお前らを公務員という名前で、俺たちの税金で雇ってるんだろうと、ちゃんとやれよというふうになるのがスジじゃなんじゃないかなと私は思うんですね。

 ただそのベースの人間がそうなってないとすれば、やがてその国は崩壊するんだろうなということでありますし、そうならないためには、理科で言えば基礎生物、生態学というところでの考えかたを持ってちゃんとした森をつくれよ、って言う国民になって貰うのが大事だと思うんです。

 それは国がこうなれという話ではなくて、それをさせるために50万円で皆さんから寄付を募りますとやって、あわよくば儲かりますよといった。この儲かりますがたぶん駄目だったよな。そんなものを国がやったらいけないんだろうと私自身は思ったんですけど、ああいうことを考えた役人もいたということです。そういうことを認めた長官もいたんです。ああいう長官が責任をとらないのは、いかんと私は思ってます。

 ――森の癒し効果、森林セラピーについてする施策があるか

 桜井 それ自体は財産区だけではなくて、宇久須の皆さんに期待するというか、お願いしたいんですけど、これだけの森林が、一杯ありますよね、人工林もあるし、天然林もある。売ったら、伐ったら、これで俺ん家こんなものが出来るよなと、森林の価値が分かる程度の道ができたらいい。

 そういったものを見て回れる道を作って、場合によればそれをセラピーロードと名付けるのもいいですけど、セラピーロードでなくても、いま宇久須のまわりを歩く道を随分作ってますよね、あれのなかにごく普通の宇久須地域の植物群を歩き回るという道を作って貰う。

 これもまた最近の直感というか思い付きですけど、大津波が来たら逃げて回れる道を作る。そこにつながってくるようなものを作っちゃうということも、いいのではないか。ついでに、ふだんから見て回っている場所が、あそこにいけばどうなるこうなるということがわかればもっといい。

 それからよそから来た人たちは、そこを連れて回るというのと海とを両方つなげていくといいのではないか。どこを見たらどんなふうな森林社会があるというような説明を作れということくらいだったら、私もこの辺にちょろちょろ来ている間に、藤原先生と一緒に歩きながら作りたいと思いますので注文して下さい。お前じゃいかんということであれば、もう少しまともな人も紹介できます。そういうのをあちこち、ここだけじゃなくて作ったらいいと思うんですね。特に逃げ道にもなるというのも大事だなと、最近は思ってます。

 先ほど、ここに来る前に、もし津波が来たらどこに逃げようかとこの辺を歩き回ったんですけど、歩けないわけではないなという道が、結構ありました。けど、しっかりした道が出来ていない。

 美谷島 素人の考えなんですけど、いまの日本の林業に足りないものは、林業における「クロネコヤマト」だと思います。何を言いたいかというと、かつて数十年前に日本農業が今の林業と同じようなことを議論していました。農家の規模が小さい、だから集約化・大規模化して単価を下げないと、外国産品と対抗できないという。そのあたり、今の林業の議論とよく似ていると私は思います。しかし、現在の農業では小さな農家がしっかりと生き残っています。それはご存知のように、小さな農家が、自分の田畑で出来たものを、小さな個人の家庭を相手に直接販売しているのです。イオンや西友などの大手を相手にするほど大きな量を生産できなくとも、小さな個人を対象にして立派にやっています。それを可能にしたのが、私はITと「クロネコヤマト」だと思うのです。

 つまり、そこで使われているツールというのが、一つは現在のIT技術ですね。農家と個人の家庭を結ぶ情報網です。もう一つは、小さな農家が一軒一軒の家庭に大根やニンジンをデリバリーするわけにはいきませんから、それを全国一律に「クロネコヤマト」がやってくれているわけですね。この二つの環境が整備されたことにより、小さな農家でも生き残ることが出来た。いやむしろ、それをうまく利用して立派にやっているわけです。

 同じことが林業にも当てはまるのではないかと思います。いまの日本の林業で、規模の大きさを追求するというのは難しいでしょう。しかし、ツールとしてのITはあるのだから、山元と製材所のようなエンドユーザーを結ぶ情報網を作ればよいわけです。つまり、どれだけあるか知りませんが日本中に小さな山元はたくさんある。ただし、毎日一定のものを必ず出しますよというほどの大きな山はない。だけど5年に1度、3年に一度くらいは出せそうだという規模の山ならある。その情報を多分ITでつなげたら、常に一定量の木材を市場に供給できるのではないでしょうか。問題は、桜井先生がおっしゃっているように、プロデューサー(山元)とユーザー(製材所やホームセンターなど)の間を、具体的に情報や木材をデリバリーする人がいないことが問題なのだと思います。

 ここで、先ほど言った林業の「クロネコヤマト」が出てくる訳です。多分、この役割を最初の間は国がやればいいんですよ。しばらくは赤字だと思います。 クロネコヤマトも、最初は個々の家からどれだけのニーズがでてくるか分からなかったのでかなり苦労したらしいですね。でも我慢して続けていたら、今日あれだけの規模の会社になりました。

 いまの林業で「クロネコヤマト」の役割を先ずは官が担って、日本中に点在する山元とユーザーを結び付けてデリバリーを行う。それがある程度進んでいくと、こんどは俺のところにも来てくれよ、俺の山でもこれだけのボリュームとこういう質の材木が出てくるという情報が「クロネコヤマト」に集まってくるようになります。実際に商売になると分かれば、情報は自然と集まるものです。一方で、ユーザー側からも需要情報が「クロネコヤマト」に寄せられてくるようになるでしょう。

 日本中のそういう、いままで林野庁が把握できなかったような情報が、その「クロネコヤマト」には自然と集まってくると思われるのですが、どうでしょうか?

 桜井 いまの美谷島先生の話は、私は非常に良いと思います。現在ですね、マイナーな段階ですけど、森の駅発という、森の駅推進協議会というのがあります。

 あちこちの道路に道の駅という地域の特産物を販売する休憩所がありますが、あの道の駅を立ち上げた地域交流センターというのがありまして、そのあと海の駅だとか、町の駅だとか、作ってやっている。盛り上がっているのは道の駅ですけど、やっぱり森の駅だといいだしましてね。

 森の駅は生産側もあるんだけど、利用側もある。両方をつなげようということをいいだしまして、「森の駅発」という、ローマ字で「morinoekihatsu」、「つ」はtsuなんですけど、これでネットを探しますと出てきます。あるいは漢字で「森の駅発」でいいんですけど。そこのところでは、信用出来る材木をこれで出しますよという話です。

 そこでいま欠けているのは、いまいわれました運搬です。それから、先ほどから私も言っているのは、これだけの材木があるんだよ、財産があるんだよ、伐れるんだよということを、これが板までつながるよと、最後にユーザーがいるんだよ。これも、マスで売ろうではなくて、個別に考えなければたぶんいけない。

 この間を誰がどうつなぐのか、実はわからない。これは財産区に全部お願いしているわけじゃなくて、財産区の方はたぶん目録を作るのがそちらの仕事だと思うんですけど、そこから先は、できればNPOグループでも出来ないかと考えています。

 いまの運搬屋さん、北相模の連中がときどきいろんなことをやるんですけど、丸太をですね、4メートル弱とか、根曲がり丸太とか、ちっちゃい丸太とか、これを勝手に3000円とか1万円つけて、ネットグループもいたのでネットで出したことがある。そうしたら、それがちゃんと売れたというんですね。それはクロネコヤマトが運んでくれる。そんなこといいましてね。

 それは、やっぱりいまのデリバリーをしっかりやれるところ、あるいは業者がちゃんとその材木を最後のところにつなげる。大工は「この木だ」とは言いますけど、その木が板になってもらわないと使えませんから。その間をつなげなければいけないんだろうということになりますし、場合によったら森本工場も働いてもらうことが出来るし、働いてくれるかもしれない。

 そんなのでやっぱりいまの話を、参考にしてチョコチョコここにくるのならば少し考える必要があるかなと、思います。
(2012.5.11 宇久須防災センター)



懇談会「西伊豆の山を知る」(5)

2012-06-24 15:58:27 | 日記
 ――いままでわれわれが常識ということでもないですが、間伐についてあちこちで聞いた話とはだいぶ話の内容が違うんですが、一つ視点を変えて、混みすぎると下草が生えないということで、山の荒れの原因になる、あるいは鹿が下におりてくる原因になるだろうということをいっていますが。

 桜井 それもおそらく私が思うのには、風評だと思います。普通の場所で、二等地以上、二等地、一等地の地域では、スギですと15年過ぎて25年くらいまでの間が一番葉っぱが茂る時期です。葉の量も多いです。最初はそこしか植えてませんから葉はうんと少ない。その後ざあっと増えてきます。1回びっしりになります。そのとき真っ暗になります。

 それから減ってきます。この真っ暗になった、ちょっと後に間伐を入れる、いい木だけを残すために、間伐を入れます。その時期にちゃんと間伐してくれればいい。

 ちゃんと間伐というのは、空きすぎない程度に、そして下草はそこそこあればいい。なぜ下草がないといけないかというと、雨垂れが問題なんです。上から雨がすとんと落ちますね。落ちると下の土をぽんと跳ね上げる。雨がいっぱい降る時は、表面にも水が流れます。このなかにぽんと跳ね上がった土粒が入り、一緒に下に落ちる量がうんと増える。この増えた土が、最後は海に流れて、白砂青松の砂浜になるんですが。いま、土が流れないように砂防ダムをいっぱいつくっちゃったから、砂浜がどんどん減るということになった。これはそういう、防災、砂防の人たちの見解なんです。

 日本でも造林地を造成するのは傾斜25度くらいまでの所までにした方がいいんじゃないでしょうか。いまは35度、40度でもやってますからね。

 間伐を適度に入れるのはかまわないけど、入れすぎるのはもったいない。光をどう使うかだから。植物が成長するのは、光をどういう風にうまく使ったかにもよるので、下草が生えるように使うのか、材木が増えるように使うのか。材木だけが増えるのはさっきおっしゃるように、問題が起きると思います。でも、そんなに長い期間ではない。40~50年たつと大体、林は空いてくるというのが、今まで色々調べた人の結果かなあという感じがします。あまりそう神経質にいう必要はないと思うのですが、そこをNPOとかボランティアの方々は神経質に言い過ぎていると思います。

 橋谷 全然関係ない話で申し訳ないんですけど、私もバイオマス関係とか、いろんな情報を中から見聞きしてきたことで、いくつか話しておこうと思ったんですけど、ひとつは、さきほど、なんかうまい成功法とか、成功した事例はないの?という話がちょっとでましたが、それがない訳じゃないんですよ。

 だから、そういう情報を集めて、何が自分たちには利用出来るかなということを考えていくのもいいのかなと思うんです。そういうことで、一つ二つ私が知っている事例で、桜井先生のおっしゃってることには、合致しないことが多いと思うんですが、別な意見として聞いてください。

 たとえばひとつは、自伐(じばつ)林業というのがあるんです。自分のところで伐って、下ろしてきて、生活を何とかする。自伐林業家というんですけど、四国の方とかあちこちで一応何とかやっているというのもちょっと聞いているんですよね。

 最初に話があったように、林業だけで食おう、というのは多分日本では、なかなか難しいでしょう。林業だけでうまくいって、昔いい時代もあったかもしれない。当分の間は、まあ事情が変わればと先生もおっしゃいましたけど、多分需要が変われば変わりますね。一時期外材が安いからなんていってましたが、今では逆に日本材のほうが安くしか売れてないという、状況なんですね。

 ところが自伐林業家というのは、自分で木を下ろしてきて売るということをやれている。大型機械でばんばんやるというやり方と違って、簡単なワイヤーを使って木をおろしてくるというやり方で、やっている。

 これはそういう機械自身は20万、30万で買えるウインチみたいなものですからね、機械を利用してワイヤーを吊ってこう巻くやつ、そういう下ろし方もある。

 さきほどの列状間伐というのは、あれは下ろすための間伐なんですかね。択伐という、選んで伐る方法も勿論あるんですけど、これは間伐材の処置だと思うんですよ。大きな木は無理だから、間伐したのを下ろして、それを利用する。

 もう一つは、さきほどの林業だけではといったのがいい例なんですけど、農業とあわせて、農業やってる人が下ろしてくるという、そんなやり方をしている。これも四国だったかな。土場まで下ろしてくれば、チップにするとかなどでなんとかで、製材所など設けたり、いろいろなかたちで、立方メートルいくらか知りませんが、4トン車でせいぜい5000円とか1万円もしないと思うんですよね。それで買ってあげるよということで、下ろす方法を色々やっているところもあるんですよ。

 それは商売というよりは、野良の仕事の帰りに持ってくると、まあいっぱい飲むお酒代くらいはでるよということで、始めたのがうまく流れている、結構集まってるという話を聞いたんです。

 だから、大規模経営的にやるというやり方というのは、またこれは非常に技術がいると思うんですよ。また、これに成功しているところもあるんですね。本当の専門屋を入れて、うまく間伐の方法とか、択伐の仕方とか、そういうのをうまく指導しながらやってもらって、林業を何とか成り立たせる、山から下ろしてきて、普通は下ろす手間と、売る材料がプラスとマイナスでどれだけ残るかということだろうと思うんですけど、それがプラスになっていけば何とか成り立つという、そういう専門屋をうまく雇ってやってるところもある。

 そういういくつかの例がありますんで、何がやれるのかなということを探っていく手もあるのかな。
 それと、もう一つは、林業だけで食おうというのではなくて、それを貸して、利用することによって、山の手入れをする資金を逆に言うと、稼いでいるというかな。それで山を健全に維持しておいて、将来は高く売れるというものをつくる。

 これがあと何十年後には、いいものが揃うかもしれない。そのための手入れをする。いまいう不動産業でも何でもいいけど、財産区からほかの収入を見つけ出して、手入れをすることによって将来の山を、うまく活用、生かしていける方策もあるかな。

 そういういろんな見方でやっていかないと。基本的に林業だけでうまくやっていく方法はないの? この山だけで木を下ろしてきて、木をうまく活用して生活できないの? というのは、かなり厳しいと思うんです。それ以外の考えも入れて、農業とか山の何とかの家の手入れじゃないですけど、そういうのも含めて山を管理して維持して行くやり方もあるんじゃないかなと思ったりしているんですけど先生どうでしょう。

 桜井 いまの、いいと思いますよ。ここに木材屋さんがありますね、

 ――森本製材所

 桜井 あそこの材木屋さんは、宇久須の周りの材木をどんな風に使っているんでしょうか。

 ――たぶんよそから持ってきていると思いますよ。

 桜井 あそこのところの製材屋さんで、たとえば賃引きをするなり、なんなりというのが出てくれば、自分家のおかしくなったところを、結構いま、そこの宿舎も古くなってるんですけど、一部分取り替えるなんてのが、地場のものを使って安く出来るんじゃないの、という感じはします。

 私は群馬県の田舎の出なんですが、子どものころには家の柱が、野縁がおかしくなった、垂木が変になったという時には、そういった家の横に転がしてある丸太を、賃引き屋に持って行って挽いてもらうのを、父親がついて来いというんで、よく手伝いをやりましたけどね。

 そのうちにそれ専門では食えなくなっちゃったというのがあるんですが、空いてるときに、この日だったらやってやるよというのがあれば、そういったものが出来るんじゃないのとか。そもそも、そこのところにある程度材木を出して、積んで置けば自然に乾燥しますから、そういったものを町の財産にする、共有材で財産区のほうから小売が出来るように見直す。そういうところからも、使えるものがでてくるのではないか。地元で自分らが使うという所から始めるというのもあるのではないかという気がしました。ただ、こんな話にあの木材屋さんが乗ってくれるかどうか。

――かつて伊豆半島には、各村々に製材所がいっぱいあったんです。みな商売にならなくなって、やめてやめてやめて。今は限りなくか細く、多少動いているというところですね。地元産の杉は、あまり良い杉じゃないんです。仕上げ材、特にあそこにはなかなか使えない感じで、まあ極端に言えば、貫と間柱くらいはとれるが、ほかのものはとれないというふうな木が多いわけです。それで地元産のものを挽いても商売にならないというのが、たぶん現状じゃないかと思いますけど。

 桜井 材木の質から見て、そんな風に極端に悪いということはたぶんないので、これは多くの場合は、地元のやつは嫌がっているだけのことという感じがします。

 ――ご覧になったと思うんですけど、赤身がね、きれいな赤い身が取れないというのがあるんですよ。黒っぽいのが。なんか仕上げ材には使いにくいというようなことを聞いています。

 桜井 合板なんかをつくっている、薄く削いだりする場合には、黒芯(くろじん)の方が残りに赤が残る、赤身は薄く削いだらみんな白くなっちゃうということがあって、かえって具合がいいんだとか、まあ色んなことをいうやつがでてきます。
 ですから思うほど、たぶん物理的な問題は差がないんだろうと思うんです。馬鹿にするのは簡単ですけど、銘柄作り直すのは非常に大変なので、普通のものついては、化粧材につくる場合ではないときには、実際にあるものをいかに使うかを考えるのも要るんではないか。

 それはまず自分でやるしかないと思うし、やってくれる方も、ある程度の量がなかったらたぶん面倒くさいからやらないよというふうになるんで、お互いやろうよというようにしないと、これはいつまでたっても同じことの繰り返しかなと思うんですね。伐って、割って炭作るだけが能ではないと思います。

 ――昔、20年代、30年代のころ、材木というとラワン材とか熱帯雨林からの材木がたくさん入っていた時期がありました。結局、熱帯雨林があれだけ崩壊して、いまはシベリアとかカナダとかアメリカから結構入っているわけですけど、絶対無限に存在するわけではないもんで、これの先の見通しはどんな感じなのか、教えていただけますか。

 桜井 そんな難しい話、これもわかんないんですけど、ただ一時期、日本の材木使用量というのは、1億1000万立方メートルくらいあった。どのくらいの量かといいますと、日本人は1億2000万人いますから、単純計算した場合には1立方メートルの材木を毎年1人使っていた。いまは7800万立方メートルくらいかもしれませんが、そういう時代があったんですね。その時の40%以上が熱帯材が来たんですよ。

 ラワンは仕上げ面がざらざらするんですね。日本人は素足で歩くし、手で触りますから、ラワン材というのはしょうがない木で、どうにもならないと非常に嫌われたんです。いまや、ラワン材は丈夫だし、長持ちするし、大変な高級材になりまして、値段は日本の国産材の倍以上になってますね。しかし、保護が徹底してきてフィリピンのラワンは伐れない。ラワンというのはそもそも、真っ直ぐでいい木だという土地の言葉からが来てるんで、同じ品種でもタイなんかではメランティという別の名前になります。

 ロシアはもう日本にほとんど売らなくなりました。中国がどんどん買ってます。ロシアは値上げしたのもありまして、今は買わなくなりました。買えなくなった。

 ニュージーランドはラジアタパインというのを日本に売ろうとしてがんばりました。枝打ちまでしたんだぞ。そんなに手間暇をかけたものは高価で誰も買ってくれないので日本が買うしかない。ちょうど、牛肉を買わなかったらえらいことになるぞ、損するぞと、日本向け肉牛を育成したオーストラリアに怒られたようなもんです。

 現在彼らはほとんど、みんな中国にターゲットを向けている。逆に中国は、日本のスギがいい、内装材はスギがいいと言って、結構、年間1万立方メートル位すでに買っている。中国はマンション買うときは、コンクリート打ち抜きで買い、中身は自分でつくるんだそうですが、日本のスギは、しっかり目が出るからいい。彼らなんかは、赤い木より、黒い木がいいもんだから、黒地に近いほうがいいという可能性が高い。そういったことがあって、日本人の常識は、世界で結構通用しないんですけど、結構日本に来なくなっている。

 ウェアハウザーというさっきいった世界で最大の木材会社も、狙いは中国といっています。日本はうるさい、ごちゃごちゃいう。乾燥材をKD材、キルンドライというんですが、キルンというのは釜ですね。キルンで乾燥させた材しか買ってくれない。グリーン材という生の材木は、アメリカ、USAに売るんだ。あいつらは文句を言わないからという言い方をカナダ人はしてましたけど、日本はグリーン材もちっとも買ってくれない。そういう時代になっている。

 それで、うるさい連中は弾かれる可能性があるし、いま中国はまだ貧乏で日本でいうと1割程度が儲かってるだけじゃないかというけど、1割程度というと、あそこは1億3000万人になりますから、日本人より多いんですね。

 そういう国が大陸の沿岸地方で金儲け始めており、とにかくちょうだいよ、というところで始めるので日本人が買うよりも高く買っちゃう。日本はこれからどうなるかわかりませんけど、結構苦しい状態が来る可能性はある。

 ただ、いま商社を通じてあちこち木を植えて回って、パルプ会社などはチリもそうですね、オーストラリアでも植えてます。パルプ材のもとをつくって、権利を買っている。だけど儲かり始めれば、よその国に売った方がとなれば、王子製紙にしろ三菱製紙にしろ、日本に売らずに外国に売る可能性がある。

 その可能性は考えられるので、結果的には持っている方が勝ちだろうなと私は思うので、私自身は何で今日本は広葉樹造林を一生懸命進めるのよ、と思います。せっかくスギ林で、あるいはヒノキ林でいい林が出来るのを、なんで変えちゃうのと。ちょうど、キャベツ畑、大根畑でいいものが出来たのに、ポピーを一生懸命植えるとか、という世界に変えちゃうわけだけど。農作物の場合は、半年、一年で変えられますけど、樹木の場合には、30年、50年かかりますんで、間違うと結構苦労するんじゃないのという気がします。(その6へ続く)

懇談会「西伊豆の山を知る」(4)

2012-06-24 15:49:10 | 日記
 ――日本で一番問題なのは、一個一個の対象の場所が狭くて、ちまちまやっている。大きな機械を持っていればいるほど、持って行く費用が大変かかる。使えば使うほど償却費は効率的にいくんですけど、それが効かないというのがどうもある。

 桜井 財産区で一番考えないといけないことは、どれだけ収入があってどれだけ出てるんだという流れをはっきり掴むことですね。収入が少なくて出るのが多ければ赤字だから、持ってること自体がマイナスになる。全然財産区じゃなくて不良財産区になっちゃうんですね。そういうことになりますと、当然管理運営費には税金を充てなくてはならなくなりますに回っていくはずです。入るを増やして大きくして、出るのを減らすか、とにかく入る以上には出さないようにがんばるかする必要があります。たぶんそのために成長して増えた分だけ、あるいは伐期がきたものを伐るかすることになると思います。



 伐期についても日本の伐期は、財産区の伐期も同じだと思うんですが、柱に合うサイズ、三五の角、3寸5分の四角柱、一辺が10.5センチですよね、これを対角線で1.414倍しますと、だいたい15~16センチの直径の丸太から取れることになるんです。15~16センチの木が平地にあれば、まっすぐな木だったら柱がぽっと取れるわけです。そうしていくことで、だいたい16センチか18センチの材木がとれる、それがいっぱいとれるまでの育成年数を伐期というんですね。

 それから4寸角でしたら一辺は12センチですから、実際には20センチくらいの末口がないととれない。20センチから22センチくらいの。これがとれるときが4寸角柱材生産用の伐期なんです。

 一般的には杉は35年から40年、ヒノキですと40年から50年ということになります。だけど、すぐ伐ってもその柱は売れないので、売れないときには損ですので、伐るまでの年数を倍にしましょう。長伐期にしましょうということをいっています。

 倍にというのは伐期を2倍にしようということで、40年で切るつもりだったものは80年にしましょう。50年で切るつもりだったものは100年にしましょう。役人に屋久杉は千年だぞ、100年程度で長伐期かというと、まず100年、まず80年。80年でものが多くなったら160年、200年の長伐期にしましょう、というようなことをいっていました。

 いまは40~50年のものが多くなりました。でも、それをもってしても売りにくいといいます。だけど、片方ではそんなことはなくて、WW材ではないものを欲しいという人達も結構でてきてはいる。とくに、こだわり大工、天然住宅などをやっているような地元材を使いたい人は、そんなことをいってらっしゃる人もいると思います、自分の国のものを使いたい。それがリーズナブルである。それだけのもので売れるんだったら、国産材をこういうふうに使いたい。使うことによって、この人たちにちゃんと次の植え付け、下刈りをやるだけの余力を残せる代金を渡したい。そういう相対の考えは出来ているのだと思うんですよ。とくに地域のものを考えている人の場合には。

 買いたたくと元がなくなる、やる人がいなくなってしまうということを、分かっていれば、ハゲタカファンドばかりではないだろう。そこのところで、お互いというところを考えたバランスで生き物を扱うときにはやっていくしかないことを理解してもらうのが一番だろう。一番大事なのは、一番川下の大工、設計士、あるいは買う人、この人達が分かっていれば、色々となにかしたい、あるいは欲しいという人がいるはず。ただ数が今は少ない。安ければいいという人もいないわけではない。でも今回のように、いろんな震災なりの被害を受けますと安ければいいわけじゃないなと考える人も結構いると思いますけどね。そういうのはもう説明するしかないんでしょうね。

 あそこのものはいいということを、信用してもらうしかない。一生の買い物であれば、そんな簡単に買い換えるわけには行かないんでしょうね、ということを分かって貰いたい。それが分かるために、子どものころから自然を分かる人を作っていこうというのが、環境教育の一つの狙いです。自分で信用出来るものを作っていく、木の温くもりをわかっていく、木の温くもりとはかっこいいことではなくて、普通に材木にはあるんだよということを分かって貰えるような教育を、いまはやらなきゃいけない時代です。

 私は日大にいましたけど、森林科学に来る学生のうち、山でキャンプをしたとか、飯盒炊さんしたとか、自炊したとか、焚き火をしたとか言う経験を持った人は3割くらいですね。7割のうちのさらに3割くらいはコンクリートの世界しか知りません。ディズニーランドに行く人はいるけど、藪の中に入ると、あちこちに蚊がいる蜂がいるからいやだとかね。

 山の調査に卒論で連れて行くんですけど、「先生、トイレ」とくる。トイレなんかあるわけないから、そのへんでやっておけというわけです。トイレがないところなんて、とくに女の子の場合は、出来ませんといって、便秘をしたりですね、膀胱炎になったり大変なんです。そういうのは早めに、山にいくら大便、小便を置いても1週間もたずになくなるんだから、みんな平気なんだよ、大地の自浄能力は高いんだよということを覚えさせるところから始めなければいけない。

 ――大きく言うと、国産材の経営が成り立たない現代の日本のなかで、誰が見ても林業経営は苦難の時代ですね、方法論がないというように私どもは思っているんですけど、なんかその視点を変えてですね、思いつきでも結構ですから、とくに宇久須の、西伊豆町の山林の経営に関して何か画期的な方法とかないですかね。

 桜井 ほかに関連する意見ありますか。

 ――ここの財産区は、要は不動産賃貸業みたいなもので、借地料収入で収入を得て、それでもって山の手入れをしているところがたぶん実態ですね。山の木を伐って、売って、それを循環させながら、造林しながら回転という形態はもう、だいぶ前にやめたというか、出来なくなってきている。

 ここの県は列状間伐というのを推奨してるんですけど、等高線と垂直に伐ってるんですね。これって防災上非常に危険になるんじゃないかと私は思う、大雨降ったら大変なことになるんじゃないかと個人的には思うんです。等高線と平行方向にやっている列状間伐というのも例があるのか、そのへん全国的に見て、地形の問題もあるんでしょうけど、出来るのかできないのか。結局40年を過ぎたようなのをばんばん間伐してるんですけど、それを市場に出しても採算が取れないからとりあえず間伐しておくというのが現状なんですね。地形の問題と、柱材になるような品質の木がなかなか取れないというのが地域的な特徴としてあるものですから、その辺含めてお願いします。

 桜井 いまの話は若干最初と違うので、別々に話をします。
 最初のほうの話は、いい方法というのは、多分あるんでしょうけど私は知りません。林野庁もある部分は期待しているけど、今まで出している施策、方策、みんなうまく動いていない結果として、ここ30年くらい続いていますので、いい方法が見つかっていない。

 儲かる林業研究会というのを鹿児島大学を中心に九州地方でやっています。この研究会も5年続いてますけど、儲かってる人もいます。儲かってない人が多数だといっていますが、さっきも言ったように、儲かっている人というか、損をしないで生活している人も、工場経営しつつやっている人もいます。でもそういうことで、一般的に言える具合がいい方法というのは今のところどこからも出てきません。

 そこで考えていただきたいのは、いままで言われていることの中で、林業が業として成り立って儲かった時代というのはどれくらいあったんだろうかということです。一部の大山持ち、江戸時代とか、戦前とかで、材木があってどうのこうのとかいうのはありますね、江戸の大火があると紀伊国屋文左衛門が丸太を持っていってえらい儲かった、紀州のミカン舟があったよ、そういう時代もあったでしょうし、戦争のころ、儲かった人もいるでしょうけど、普通の方が業として成り立ったのはないんですよね。

 戦後の一時期、焼野原の日本を建て直すために材木の値段が高騰した。このときは、非常に青空天井で日本の材木が儲かっていった。輸入しようにも外貨がなかった頃です。だけど自動車が出来る、家電が出来る、工業製品が売れてお金が手に入り外国の木材を買えるとなったら、とたんに世界標準の値段になったのがその後の日本です。

 ですから、あの頃はもう絶対に来ないというのがいまの共通認識であると思います。材価が低迷してという言葉はもうやめて、材価はこんなもんだというところから始めましょうね。

 信用していない人もいっぱいいますけど、もう30年も40年も材価は低迷している、低迷しているといっている。昭和50年代の初期のころを境に材価はずっと落ちています。昔は1立方メートルで10人、20人の人夫を雇えた時代がありましたけど、いまは2立方メートルで一人しか雇えない時代になっています。現在、平均的な話をすればそういうことになります。

 ただ、まともな材はいまでも1立方メートル5万、10万、20万いってます。100万、200万するというのはめったにない。
 いまでも1立方メートル1万5000円、2万円で買ってくれるところもあります。それから、先ほどいわれた材木が、伐っても金にならないとおっしゃいますけど、財産区の山でもそうでしたし、あちこちの山でもそうですけど、伐って転がっている山はタダなんですね。持って帰ってもいいよといっても持っていかない。しかし、もって帰らなくてもいいくらい、材木を必要としていないか。必要としている人は安いといわれる木を持ってかえらずに帰るんですよね。

 でも安いかどうか。スーパーマーケットなりDIYの店に行って見ますと、そこで考えてみたらいいと思うんですよ。こんな柱、丸太、木杭が300円します。だけど、18センチの丸太1本を製材所に持って行っても、私の盛岡での経験ですが、1本100円でしか買ってくれない。そういう状態でもありました。

 だから、売りに行ったらそういう値段になってしまうんですね。そういうところで、どうやったら、いい方法があるかといわれると、ないですとしかいいようがないし、多くの方は材木の値段で生活を現在していない。別のところで生活をしているから。そういうことを考えなければいけないんだろうなと思います。

 けど、材木は欲しい。欲しいときにどこから持ってくるか。そこを考えてもらうのが、一番大事なのですね。それを持って行くだけではなくて、持って行ってくれるようなものを作っておく必要がどうしてもあるので、さっきもいったように棚卸なり、自分のところの資源そのものを、売り物にするものとして、ちゃんと用意して、それから出口の方で使ってくれる人を探して、その間に連絡をつける。これしかないんだろうと思います。

 実際にそれをやっているのに高知県の梼原(ゆすはら)町森林組合というのがあります。FSCの森林認証協議会(フォレスト・スチュアード・カウンシル)というのを自治体で初めて取得した所の組合です。この森林認証協議会の認証を受けた材木を、認証を受けない材木と同じ値段で、でもこのところの、この木ですよといって、それなりに引き合いが出ている。
 四国ばかりで売ってるのかと聞いたら、大阪まで行くこともあるし、岡山に行くこともありますよと言っておりました。その人の隣の人がやはり買うとか、そういう関係をつなげるということを、そういう手の方々はがんばってやっているから、そういうところに食い込んでいくという努力がいるんだろうなと思うんです。

 いい方法はないんですが、ただのものがそこに転がっていることを考えたら、これは少しでも売れたらいいなというのが普通だと思いますが、現在は売るために人手をかけるのは大変なので、当面は何もしない状態にあるということだろうと思います。
 もう一つ。若者にそれをやらせるためには、若者がちゃんと3食食えて、自分の子どもがせめて自分のたどってきたような履歴をたどれる程度の教育を受けるなりの応援をしてやれる収入を用意したい、そうするとやっぱり500万程度の収入が要るんじゃないか。これが保障できなかったら、そのうちの一部分ですむのなら一部分でやって貰うとか、そういうことの計算もしながら、就労環境を作っていくんだろう。これで全部やれっていうのは無理なら、これもあるよという選択肢になるのだろうなというのが最初の方に言える私の考えです。

 2つ目のお話のなかで、借地の話ですが、財産区は借地で儲かっているからこちらへその資金を回せるんだとすれば、森林整備、整備というと普通現在の状態じゃ、間伐ですね、ツル切りも、植え付けも、下刈りも整備ですが。間伐入れるんだけど、その間伐の金をですね、そういう金の使い方をしなかったらもっと財産区の財産が豊かになって、町民のためのいろんなお金に使えるかもしれない。そういうところの使い方も考える必要があるのかなと思います。

 ただし、整備というのはどの程度、どのくらい手を抜いたらいいのか、それもきっちり考える必要があるし、先ほど申し上げたように、整備をした結果、質を落としてしまうような結果が残るのはまずいだろうというのが一つあります。

 これから50年も100年もたてば、その時代にはもう日本に売ってくれなくなる時代が来るんじゃないか、と私は思ってるんですけど、今から放っとけばあの木は、結構な財産として残る可能性が高い。いやー、うちの先祖は良くやってくれたなあ、じいちゃんの親父はよくやってくれたなと、いう話が残るんじゃないかということはありうる。世の中どう変わるかわかんないから、ものを持っているのは強い。山火事などで燃やしちゃったらだめですけど。

 間伐の必要性はある程度あるけど、間伐を全然しなかったらその林は駄目かというと、私はそれも担当していますが、しなくちゃ駄目という山もあるかもしれないが、多くの山は別にしなくても大丈夫なのかもしれないですね。そういうふうには思います。

 間伐はどういうものかといいますと、皆さん方はご存知だと思いますが、作物を作る、菜っ葉を作る、大根を作る、この時にタネをばらばら蒔くわけですが、たくさん生えてくるわけですね。これがまともなキャベツになるためには、まともな小松菜になるために、間引きをしているわけです。大根がごそっと生えたのをそのままにしておいたら、大根にならずに小根ばかりになるんですけど、これを抜いていったら大根が出来る。あるいは1個しか撒かないような努力をしなければいけない。

 1個しか蒔かなかったら、木を1本1本広げたらどうなるかというのは、また別な理屈になるのですけど、そういったふうに植えた木が混み過ぎてきたら、それを伐るんだけど、良く見てもらえればいいんですが、お互いに全部がモヤシのように駄目になりそうな伸び切っている林というものは、まあ半分もないですね。2、3割。デコヒクがついてるわけですよ。デコヒクヒクがいっぱいいるから、混んでいるようにみえるけど、このヒクは伐っても伐らなくったって、残っているでっかい木には何の影響もない。

 そんなもの伐る必要はないと私は言っています。伐れば鋸の歯は目減りするだろうし、かかり木になったりしてかえってマイナスがおきるだろう。放っときゃいいじゃないか、そんなもの、という風に思うんです。

 そういうところのチェックをしっかりして、相手も生き物ですから、1ヘクタールあたり太さ30センチの木が500本残るか600本残れば、あとのは放って置いていいだろう。そういう判断は出来るわけですね。

 列状間伐は、林野庁が今推薦しているのが、去年の森林林業白書、ここに載っています。間伐は通常縦に水平線に対して縦に伐ります。それはこれが一番出しやすいからです。

 とにかく1回目はそれで伐れと。2回目からは、列状間伐の継続はやめて、その筋を使って出すという説、それに残った要らない木を伐れ。要らない木じゃなくて、残したい木の邪魔をする木を伐れ。そういう説明をしているはずです。

 それでも実際に山に行きますと、土木屋さんが結構伐ってる実例結果があるんだといっていますが、ひどい伐り方がですよというところが随分あります。

 ひどい伐り方の説明は話が込み入ってきますので止めます。で、間伐をやるのは何かというと、育てる木、育てたい木に着目して、その木の邪魔をする木を伐るんだ、これが間伐だという風に考えて貰って、その選木が出来る人に頼むようにお願いします。

 列状間伐があの状態では、国土保全上問題があるかどうか私は分かりませんけど、一応、それの専門家はたぶん問題ないだろうと言っています。私も問題あるというレベルの問題ではないだろうと思います。

 去年、和歌山で起きました深層崩壊、2メートル3メートル下からどんと落ちる、ああいう場合は樹木はほとんど崩壊防止力がありません。木の根っこなんてのはせいぜい、30センチくらいです。抗根という、深く張る根の場合1mくらい入ってますけど、多くの根は20、30センチほどのところにしかない。

 樹木の根の土壌保全力は上の方しかもちませんので、表層崩壊はかなり防げるけど、深層崩壊は防ぐことが出来ません。それから木の5割くらい先まではかなり根っこが広がっているというのが今までの、根っこを洗い出して調べた結果の報告でした。
 普通の20年生、25年生の林を一列伐った位ですと、多分3年か4年でほとんどの場合隣の列の枝葉と重なってくるんじゃないでしょうか。5年経てば次の間伐を考えなければいけないと、ちょっとこれは思いますね。

 現在の植栽間隔は3.3立方メートルに1本、1.8メートル置き、この割合で植えていきますので、だいたい3.6メートルの間があくだけです。列状間伐は、私は良くない方法だと林野庁に言いましたけど、何もやらないよりはましだろうというのが、あれを採用した理屈です。

 列状間伐は機械間伐、メカニカル間伐というそうですね。いい木も悪い木もとにかく、列の分だけ一列伐って2列残すんだったら、3分の1をとにかくいい木も悪い木も伐る。そういうことをやるわけですね。

 だいたい1ヘクタールに3000本植えますが、最終収穫期に柱材ですと1,200本くらい、板材ですと600本、大きな木ですと300本に減らしていくんです。それが間伐。ただその時に、ちっちゃい木は別に伐らなくてもいいじゃないか。伐ったつもりにすればいいでしょうというのが、造林担当の私の意見なんですが、もっという人は、きれいにしたいもんだから伐っちゃえと言うのだと私は思ってます。(その5へ続く)

懇談会「西伊豆の山を知る」(3)

2012-06-24 15:43:31 | 日記
 次に利用のためですけど、私は利用のことは全然わからないのですといいましたけど、桜祭りというのが相模原市で4月の初めにありました。ここに出てくる相根さんというのは、「天然住宅」という住宅を造っている会社の経営者です。この方はいま2008年の栗駒大地震、岩手・宮城大地震ですね、栗駒山あたりはものすごい被害をうけたわけです。それの跡地復旧のための建築屋として応援している人なんです。



 この人が、たまたまこういうことをやっているときに今回の大地震がおきたんで、すぐに対応して、いま向こうの東日本大震災の復興住宅の応援をしています。彼は無料の仮設住宅を作ってやるんじゃなくて、営業者が損をしないように、でも安い家を造る。木造で450万円で30坪の家を造りますという、そういう活動をしています。

 その材木は現地のものを買います。現地の木材業者ともちゃんと話をつけてます。その彼は神奈川の木があるんなら、私は使いたいと石村さんにいったんです。そういう需要が建築側にはあります。それ以外に実は建築士はけっこういろんなことを言っています。そういう材木があるんなら自分は使うぞ、この家を作るんだったら、この位の材木がほしい、このくらいのお金だすから、という、こういう商売がなりたってくるんですね。

 一番安いのを買ってきて作るんじゃない。ただ、作るためには、この位の予算だとすれば、1坪60万で作ってくれるか、70万で作ってくれるかに応じて、この木を使う、あの木を使うということにいたします。

 山元を裸にはしませんよ。山元からちゃんとこれだけの分を取りますよ、ということをいって、つまり逆に言えば石村さん、それだけのものを出してくれるように、相模原市にいってちょうだいという話がでたんですよね。

 そのときにそういった材木屋を相手にするのには財産リスト、さっきいった棚卸し=森林簿ですが、それを見せて、どの材木を伐って提供出来るかという情報を用意しましょう。このために、本当に出来るかどうか山主さんなり、財産区でしたら、財産区の管理者6人全員の意見と、そこの意見は市のところにいっても全然文句をいわせないよねという、根回しをちゃんとする必要があるんだろうと思いますが、それをやってもらう。

 利用側へは伐採した木を最終的に材木で渡さなければいけないんですから、伐採した後、乾燥させ、製材加工して利用するまでの手続きの手を完全ではないですけど、大方は用意してあげないといけない。それを買い主にやらせたら買い主は、たぶんいなくなってしまうということで、一番最後の出口までの連絡をしっかり作る必要があるんでしょう。それぐらいは相模原市にやらせなさいという話をしたつもりなんです。

 この場合、利用者はだれかといえば、それは設計士、施工者、大工、加工工場などですが、彼らと密接な連絡がとれるような情勢をつくって、彼らが必要とする資源管理者、提供者の立場から、収穫加工の計画をつくってやる。

 最終的には家を注文した施主さんに、その家に提供する材木の実態をみてもらうことが出来るとすれば、私の木はそこらとちがうという品質保証ができて、たぶんブランド材になるんじゃないのということをいっているわけです。

 不特定多数に売るというのは、これは市場原理に任せてやった場合には、目いっぱい買いたたかれる場合がでてくるわけですが、そういう一般材ではなくて、素性の知れた履歴記録のあるものということを考える必要があるのではないか。そのためには、買う相手にも分かって貰わなければいけないが、これは繰り返ししか多分ない。えんえんと続けるしかない。

 嫌なやつが相手でも、嫌なやつのいいところを探していいやつにする、友達にならなければいけない。自分以外の他人はだいたい嫌なやつなんだから、嫌なやつの嫌でないところを探せば、いい社会がつくれるんだろうなというぐらいのことを考えなければいけないんじゃないだろうか、というような話で、それがお互いに信用出来る関係という意味であります。

 もう一つは基本常識として、いまどこの市場ではいくらで売られている、というのを見ておれば、「それ安く買いたたいてないか」くらいのことは、いえるわけです。

 それだったら、おれこっちには売らないよ、こっちの市場にもっていけといえるので、どこの会社でどうだったかということも調べる必要があるのではないでしょうか。これは、NPOの緑のダム北相模にやれといっているのではなくて、こういうことをやるように市の役人にいって、市の役人がそういったバイヤーなりを作る必要があるのではないか、そんなつもりです。

 ということでこれを渡して、本当にそれをやりたい相模原市だったら、お前ら無茶苦茶言ってるだろうと思うけど、ここのところはやったから、お前も外部委員でもやってくれるかいという話がくるかもしれませんが、石村さん、そういうときは考えて、簡単に承知しちゃダメだよと、私はいってるんです。

 ここ(宇久須)の事例は一つだけ中をよく歩き回ってみましたけど、間伐としてはなかなかよくやれている場所を見せて頂いたと思います。しかし、実際にあそこのところの財産価値がどれくらいあるのかということを、そのような目でしっかりみてもらう必要があるのではないかと思います。

 それから浅賀議長には申し上げましたが、伐った林の木、伐られずに残された木があまりにひどい被害を受けている。将来残すためには傷が多すぎる。今から多分3、4年や4、5年の間だったら、あの傷のついた木も出せれば売れます。でも、10年、20年したらあれはたぶん腐る。

 だからそういう傷ついた木は残してはだめだし、ああいう傷つくような作業をやった業者は実は損害賠償をとってもいいんだろうと思いますが、選ばないようにするというのが大事だと思います。

 最初からけんか腰でする必要はないんですけど、向こうもそんなこと考えてもいなかったかもしれない。ここ30年くらいは木を大事にしてそれを育てるために、ていねいに傷つけないように伐るという基本常識がなくなっている業者が非常に多い。本数だけの数でやっている。伐ったものは外に出さないんだから、あんなものはどうでもいいだろうと思っている人はずいぶん多い。伐ることが仕事であって、間伐することが仕事ではない、なんのために間伐するかということを考えていない状態に今はなっているように思います。

 ですから、そういう状態のところで、この作業をやってくれた人達を責めるのも、なかなか難しいんではありますが、でも、間伐というのは、残った木を大きく育てる、価値あるものに育てるためにやるんだから、それを傷つけることは意味がない。

 そういうことは、やっぱり考えた方がいいし、ごく普通の神経でいけば、そうなるはずだ。そうすればいい財産林になるとは思いますが、財産になるためには買ってくれなかったら資源にはならない。あと100年くらい置いていても腐らない、傷んでない木は腐らないと思いますが、でも、常時ある程度の収入を得てゆく必要があると思いますよ。4年の任期の間にはこれくらいの支出をやって、これくらいの収入が上がったという、説明責任がたぶんあるんだと思いますから、そういったのを今後は考える必要があるんだろうなという意味で申し上げました。
 ちょっと長くなりました。

 藤原 ありがとうございました。なにか、外国語を聞いているような感じで私にはほとんど理解できてないんですけど、理解できているひとには理解できていると思いますので、どんどん意見あるいは質問等を出していただきたいと思います。

 ―― 北欧とか北米で充分安く木がだせるのに、一般的に日本の林業は価格競争力がないといわれている。地形とか伐ったり出したりする設備とかに大きな差があるのかなと思っているんですが、そのへん皆目みたことがもんで、先生ご覧になった範囲でなんか回答になることがあれば。

 桜井 北欧・北米、これはかなり土地の傾斜が緩いです。25度を超えるともう普通の林業はしません。切りっぱなし。択伐であとの更新は天然力に任せる。天然力に任せるとあとは勝手に生えてきます。あのへんは1万3000年くらい前までは氷河に覆われていたということがあって、競合植生が、植物の量が非常に少ない。コケモモだとかガンコウランだとか、日本ではいわゆる高山植物、これが普通のところに生えています。

 日本の場合、植物が非常に多い。ススキが生えたり、セイタカアワダチソウとか、これは外来種ですが、いろんな草が生えて苗においかぶさって植えた苗が枯れちゃうということがありまして、あとの都合がいろいろ違います。

 それからもう一つは、オーストリア、ドイツ、これはかなり地形が急な所があります。あまり急なところはやってませんけど、そこのところでは、道がかなりしっかりついている。とはいうものの、この間、ドイツのフォレスターが来ましたが、1ヘクタールあたり200メートルの道を作るなんていうのはバカだよなんていってました。山が崩れちゃう。あそこの国はそこまで入れてない。日本は150メートル、200メートルなんていっているのがいるんですよ。そこまでのことはやってない。その場合、やっぱり機械力をずいぶん使ってます。

 機械の利用ともう一つは団地化がしっかりできている。団地化というのは、あちこちに小さな場所があるんじゃなくて、大きくまとめた伐採地でまとめた量を出している、このスピードが違うのは先ほどいった一人当たり4立方メートルなんとかという数字と、8立方メートル以上、10立方、15立方という数字が出てくるというこの違いがある。

 団地化が大きいのと、大型機械が走れる環境が出来上がっているというその二つ。伐り過ぎちゃうと困るんですけど、それは管理する側がしっかりするしかないんで、これは日本の場合と同じです。

 伐採する木自体は日本も向こうも大きさはそんなに違いがなくなりました。昔は外国が大きかったが、最近はそうでもなくなった。

 先日、大日本山林会という団体の会議で座談会を聞いてきたんですが、そこでは個人が持っているいろんな山を各個人がそれを株券みたいな意味で投資をして、経営管理会社というのをつくって個人の山もなにもみんなまとめた運営をして、切って売って植えて、その収益を応分に、株と同じような返し方をしていこうという話があった。

 以前、そこの連中がそういう話を本に書いたんですが、書いただけで誰も動いていないので、あれの可能性というのを少し探ろうという話がでてきておりました。林業家も結構その会議に加わっているので、実際のもので動ける可能性が出てはいます。でも最終的にたぶん、出口で使える流れができていないと、おそらくうまくいかないだろうと危惧します。

 向こうの国の場合には、僕がみたのはカナダと北欧で、ドイツは話だけなんですが、そこでは最終出口の会社が管理も植えるところまで全部責任をもってやっているところが多い。山持ちさんに全部まかせて、材木を勝手に持って行っちゃって、後の再造林はお前らやれという世界にはなっていないようです。

 一番でかい木材会社であるウェアハウザーというのがアメリカ西海岸にありますが、これは飛行機でダグラスファーの種をまく。これは焼き払い地拵えをして種をまいて、生やして、最後は皮まで全部使ってということを繰り返している。60年から80年ということで転がしているそうです。

 植造林木の林をセカンドグロスといってますが、オールドグロスというのはもともとあったダグラスファーの原生林で、もう切り尽くして天然記念物的なものしか残っていないから、いまは次世代、セカンドグロスというものを生やしてますけど、そこのところはそういう経営をしていて、つぶれていないからうまくいってるんじゃないでしょうか。(その4へ続く)

懇談会「西伊豆の山を知る」(2)

2012-06-24 15:35:49 | 日記
 田中淳夫さんの資料に戻ります。ここで言っているのは、森林経営計画の目的のところで、これが問題になっているよと指摘しています。



 それからもう一つ。森林林業基本法、再生プランでは、年間7800万立方メートルという量の材木を現在日本人は使っているんですけど、そのうち1800万立方メートルくらい、総使用量の28%くらいが国産材です。3900 万立方メートルが約50%になるから、国産材を50%自給しましょう、というのを大きなスローガンにたてたのが再生計画だといっていいと思います。そのためにはどういうことをするかです。

 それから再生プランでもうひとつは、将来にわたって残った林が、とくに人工林の場合には放っておいたら共倒れする危険性がある。ちゃんと間引きのできたいい、農作物に負けない林作物を作ろうと、そういう二つが入っているのだと思います。

 その中で田中さんの言っているコメントは、「この新制度は森林の所有者や森林組合が隣接する森林を数百ヘクタール規模ごとにまとめて間伐計画や林道の整備計画を策定した場合に助成対象とし」、助成という事は補助金を出します、ということです、あんたが出すお金の半分、3分の2か、7割くらいはあげますよということです。コスト削減をすることによって国産材をいっぱい切って出そうということをいっている。そのあとにこれを諄々と彼が批判をしています。

 今回提案の森林経営計画というのは、これまで所有者あるいは所有者の代行者がやっていた仕事に助成していたのを、今度は変えまして、まとめて大きなものにしたその団体に補助金をあげることにした。それを誰がまとめるんだということをいっております。

 森林組合なら順当だが、それは今だって森林組合の仕事じゃないか。いままで森林組合がやらなかったのじゃないの、みたいなことをいっているわけであります。

 そのあといろいろ書いてありますけど、一番むつかしそうなものは、その集約化だろうと書いています。財産区のことを考えますと、財産区はすでに100ヘクタール規模以上で、集約化ができちゃっていると言えます。

 ですから、隣や周りの山を巻き込んで一緒にやろうぜというのが実現すれば、かなり大きな山を、そこの山を使って自分らが長い将来にわたっていわば無限に、一定の量の木材を売ることによって、一定の収入が入るようにしようということが可能になるでしょう。財産区をそういう風にもっていけるといいでしょうね。ただし、だれがまとめあげるのといいますと、これは財産区の議会がやるんです。議会がやるんだけど、じゃあ自分がやるわけじゃないで、やらせるんです。やらせるものが、出来るかどうか。そういうことが田中さんの批判です。

 ところで林業再生とは、簡単にいって林業を産業として成り立たせるということでして、言い換えると現在は採算があっていないものを合うようにすることです。

 田中さんというのは、割とまともな提案をする人だと私は思っています。採算が合うようにするためには利益を出るようにすることが肝心だ。いま木材を利用することが赤字を生むことになっているがそれはおかしい。ビジネスとして利益が出るようにするにはどうしたらいいかと検討しています。

 一つはコストダウンで、一つは値上げだ。
 コストダウンはもう目一杯しちゃっただろうという、こういう風になってきてるわけですね。

 この計画ではコストダウンしかいっていない。つまり、大きな団地にして、林道を通して大型機械を入れて。
 われわれが知っている森林組合で成功している歴史は、京都にある日吉町森林組合という森林組合で、日吉町森林組合の湯浅さんという参事がいうには、一人当たりの木材を伐り出せる量が、1日8立方メートル以上にならないと採算がとれない。

 現在日本ではだいたい2立方メートルくらいです。普通の大型機械がないところは、0.8立方メートルくらい、かなりがんばった日本の普通の山では、4立方メートルくらい。

 でも北欧、それからドイツあたりでは、8立方メートル、10立方メートルときには20立方メートル出しているところがあります。という風なことで、よそは出来るじゃないかといったのは、さきほどの梶山恵司さん。俺は見てきた、というところから始まるんですが、伐ればいいという話ではないだろう、材の値段は今でも安いのにどんどん切ったら、材木出したらもっと安くなるじゃないか。こういう意見もあります。

 いい方法がいまのところないから林野庁も困っている訳ですが、商品の価値を上げて、価格を高くするという施策が見られない。なぜなら木材価格は国際的な取引で決まってくるから、値上げすると売れなくなると思いこんでいる。もしかしたら建築業界の反発がこわいのだろうかと書いている。このへんは嫌みですね。

 利益が薄いから量で稼ごうとするわけですけど、いま以上に伐採を進めると、はげ山が増えることにつながる。再造林と育林がちゃんと出来るようにしない以上、絶対に資源が枯渇するんだよ、というふうなことが、この人の結論で、いい方法は、いってない。簡単には売れない、出来ないことも知っているわけです。

 どっちにしろ、木材産業と建築業界だけはもうかるとしても、山には利益は還元されずにはげ山が増えるだけになりかねない。

 この下に書いてある森林施業計画とはというのは、現行の森林施業計画がどんなものかという、これも林野庁のコピーです。このへんは参考にしてもらえればいいと思います。

 最後に「石村様 桜井」と書いたレポートです。この石村さんというのは、「環境(森林)破壊という負の遺産を子孫に残してはならない」という宣言をいたしまして、「緑のダム北相模」というNPO法人をつくり、とにかく15年間えんえんと個人の山を借りまして、森林整備という名前のもとに一般の人を集めて、月1回の活動を、旧相模湖町(現相模原市)の嵐山という相模湖のほとりでやっている人です。

 また、小原という中山道の与瀬町の奥の地域に、いろんな人が権利をもっている50町か80町の小さな団地の山を、集約化できないかとクビを突っ込んでやってます。半分、4分の3くらいまではとにかく境界測定くらいまではやろうということで、了承をもらったというところまで来ているそうです。

 そこに、相模原市が平成の大合併で、相模湖町ですとか、あのあたりの山を合併いたしまして、神奈川県で3番目という政令指定都市になりましたが、ここがいままで市面積の3%くらいしか森林がなかったのが、突然50%以上森林がある市になっちゃった。

 その結果、山のことなんか知らないという役員ばかりで山の管理運営ができない、わからない、ということになったのですが、ついでにガタガタとうるさくて文句の多い、北相模の石村さんよ、なにか教えてよという話が回ってきたそうです。最近は緑のハブシティ相模原という案を出して、こうハブにして山の材木を相模原なり東京に売ったらどうだという、緑のハブシティ構想なんて打ち上げているのですが、具体的にどうするのといって、市の側から話をもってきたそうです。

 ちょっとメモでもちょうだいと石村さんがいうので、簡単なメモを私が書きました。表向きいろいろ書いてありますが、材木というのはとにかく資源だとまず考えて欲しい。相模原市に考えさせて欲しい。それは環境だけじゃなくて、伐って家を作るための材料にして売る、建物を作るなり、パルプを作るなり、色んなものを売るということを考えるための提案をするのが良いのではないかと言うことです。

 そのために何をする必要があるかというと、こんなことがあるんじゃないか。これを県、市にやらせたらどうか、というつもりで渡したものです。

 まず森林の区画を明確にすることが必要です。地図の上には、皆さんの個人の土地も町の土地もそうですが、線は引いてあるんだけど、現地にいくと、どれがどれだかわからないというのが随分あります。ただ、スギが植わっている場所で、でっかいスギが植わっている場所、小さいスギが植わっている場所、広葉樹が植わっている場所、これらの区分は見たら相観でわかるんです。

 分かるけど、それを地図の上に全部描けといわれると、わからない。測量し直さなければいけない。現実に日本の国の山の測量実績は、たぶん3割か4割以下なんですね。それ以外は、あるはずだ、書いてあるからあるんですけど、現地にいくと分からない。こういう状態です。そういう状態でもって、土地の売り買いがされたり、いろんなことがされています。

 次にどこを経済林として、どこを環境林とするか、あるいは保安林とするのはどこか、これをしっかり分けてください。共通して使う部分も含めて機能区分をして欲しい、要するに経済林でもあり、環境林でもありということも含めて分けてください。
 ただし、この区分は人が変われば、あるいは要求が変われば、みんな変わるものなのです、変わっていいんです。

 環境林はさておき、経済林ではそれをどう管理し、どう利用するのか計画を立てなきゃいけない。第三者が計画を立てても仕方がないので、やはり関係する人が立てるのでしょう。その上で、第三者はその計画についてが文句をつける立場です。

 対象林は地図上で決める。この地図はやがてしっかりしたものに、活動した結果改善されたものになっていくんですが、ついでに決めた森林は林相ごとに区分して下さい。林相ごとに区分されたまとまりを林分といいます。

 通常、まず林班という、そう簡単に変わらない、地勢、尾根ですとか川ですとかそういったもので、大きな区分けをします。これを一つのまとまりとして、その中に、植えた、植えなかった、伐った、伐らなかったというのがモザイクに出てきますので、そのモザイクをまた図面上に描く。これをだいたい普通、小班といっていますが、小班に区分けをする。

 林分というのは、そういった小班レベルのまとまり分です。林分というのは林があって、その一部を取り分けているから林分というのです。

 小学校の時に習いましたが、「線」というのは、無限に向こうから続いてこっちまで一本の線がずっとあり、その一部を取り払ったのが「線分」ですね。普通われわれが線といっているのは線分なんです。林といっているのも林分だというふうに考えてもらって、その林分に区分をしていただく。

 林分ごとに管理利用計画をつくることが大事です。地図上にも記載するし、位置測量はGISを使った簡単なものでいい。最初はそれでいいけれど、必要に応じて精密に測量するときには、確定をするときには山主にも立ち会ってもらいます。とくに個人の山主がいる場合には、ここのところから向こうまでがオタクだよね、俺こっちだよねということをカチッとやってもらうのが大事です。

 奥多摩の山持ちの田中惣次さんという人が、簡単な調査でだいたい1ヘクタールで3万円くらい掛かるといってましたから、結構簡単な話なんです。だから、そこのところにいっぱい精力をつぎこむことはないんです。合間合間にやってもらう。けど、その林分測定に国はまだ補助金をだしているはずです。

 それから、林分ごとに資源の内容を把握する。資源の内容というのは、毎木調査を行いまして、まず森林簿をつくるんですけど、これで資源棚卸しノートが出来るはずです。

 林分毎に(林班・小班といいかえてもいい)、どんな木が、何という種類の木が、どの位のサイズの大きさの、痛んだ木か痛んでいない木か、どれくらいの高さの木が、どれだけありますと、いうふうなことが大事で、それをしっかりわからないとダメです。

 樹種別の量と質の台帳を作るということですが、直径は林尺(輪尺とも書く)をあてて測定してもいいし、樹高は目測でもいいけどとにかく粗くてもいいからまずつくる。けど、これは売り物ですということを考えてやってください。

 だから、どのサイズの木がそれぞれどれだけあるか、柱材や板材、パルプ材のどんなものがどれくらいつくれるか、というのは、利用者が決めることですが、お宅の柱ですか、じゃあいますぐ太さ1尺こえる材木はこれだけありますよと教えるとか、何センチのものはどれだけありますよ等と、全部わかるようにしてあげるのが大事だろうということを、この前は浅賀さんにもいいました。

 利用経級に達している樹木のある林分はあるんだけど、伐ろうと思ったらその木は伐るなと言われちゃったら困るので、伐れるやつはどれだ、伐っちゃいけないのはどれなんだと、これもしっかり分かってないと売り物を提供する商売はできません。

 伐れるんだけど、それは林外に搬出できないよ、林道がないよというのも、これもないやつを売ろうとすると詐欺ですからこれもだめ。ということは、この様な情報管理、情報提供ももしっかりしていただきます。

 どんな林から、どんな木が、どれだけ出るのか、出せるのか、実際搬出できるのか、まずこれが一歩です。それから、利用経級に達しない林分については、あるいは長伐期にする、いまは伐らないという林分は、保育作業手順をきめて、これは相模原市を対象にした考えのやつですけど、目標林型という系、こんな林を最終的につくるつもりですよという目標を立てる、そのためにはこういった育林手順がありますよ、いくらかかるはずだから、これだけ金をかけていいか悪いか決断しなければならない、最後はそこにいきます。

 計画を立てるにあたり、ここが大事なんですけど、資源を循環利用するためには、伐りすぎちゃだめ、全体のバランスを見てください、もうかるからどんどん伐るなんて馬鹿なことはしないでください。いまもうかるけど、あとでもっともうかるかもしれないし、裸にしちゃった後はそのあとの経営はものすごく金がかかるかもしれないことがありますので、次代育成も計画してください。

 国だったら広いからあちこちに伐採林分を分散することでバランスを取れます。でも、他の所では一回収穫したあとにも同じ量再収穫出来るためには、成長した分だけしか伐っちゃいけないのですが、次に伐るまでの期間までを、これを回帰年といいますが、注意しなければいけません。地域レベルでは伐り過ぎる年が予算の都合上あるかもしれない。でも、別の年にはそうでもない年があるかもしれないから、長い期間では平準化してくださいね、ということがあって、最終的には伐ったら植える、植えたら育てることが原則です。(その3へ続く)

懇談会「西伊豆の山を知る」(1)

2012-06-24 15:22:29 | 日記
  遅くなりましたが、2012年5月1に 宇久須防災センターで開いた懇談会「西伊豆の山を知る」の記録です。長文注意。

司会・藤原 皆さん、今晩は。回覧板でお知らせしましたとおり、「西伊豆の山を知る」というテーマで懇談会をいたしたいと思います。先日、桜井先生に牧場の家の方から、仁科峠をへて大沢里、それから林道倉見線を戻って来まして、だいたい西伊豆の山をほぼ見ていただきました。懇談会ですので、どんどん意見をだして桜井先生にいろいろ疑問をぶつける、桜井先生が自分の感想を述べる、そういった会にしたいと思いますので、ご協力よろしくお願いします。とりあえず、桜井先生の方から。



 桜井尚武 私はこの3月まで日本大学の森林資源科学部というところで、造林学、森林生態学、樹木学、こんなものを学生に教えておりました。3月31日で定年退職いたしました。何となくよくわからない性格の会ということで今日は集まっていただきました。

 そもそもの発端はと申しますと、砂漠化の進む中国の緑化をして日本人として少しでも貢献したいと、中国の大同というところで活動している「緑の地球ネットワーク(GEN)」というNPOがあります。高見邦雄というのが事務局長をやっておりまして、1992年、そこに飛び込んで20年間緑化活動をおれはやるからやらしてちょうだいよといって続けてきました。ことしで20年たったから、さあこれからどうしよう、そんなことをやっている団体なんですね。

 その団体の活動に賛同、あるいは興味を持っている人たちが集まったうちの関東部分の世話人を立教大学の上田信先生というのがやっております。
 私も高見さんと知り合いだったこともあり、何となく巻き込まれた次第で、GENに顔を出しておったということです。そこに藤原さんがお出でになりまして、町おこしというか、宇久須をもう少し元気にする活動をやってみたいよなというお話が最初に出た。

 「緑の地球ネットワーク」そのものは、中国の緑化がメインだからそこの活動ではないけれども、地域でそういう活動をやっているのは、それはそれで面白いのではないだろうか。いまのところよくわからないけれども、そういうところに人が沢山集まるというのはどっかに何か解決策が見つかるのじゃあないだろうか、そのようなこともありまして、宇久須でとくに木を燃やして炭を作っている藤原さんのところにいってみようじゃないかと、いうことになりました。

 ことしもそこの東海工業の所長宿舎の跡を9月まで借りて、あしたは藤原さんを中心にやっています地域起こしの元気づけのいろんな仕事の中にクビをつっこんで、自分でなにかを育てようかということをやってみようとしています。
 ここには農業ばかりではなくて、財産区の森林という大きなものがあるということですから、この森林資源をなんとか活用できないかということもありまして、桜井は少し森林の担当をしているから何とかしろということであろうか思います。
 先々週でしたか、浅賀さんらに現場をみせてもらいました。そこで何か問題があるか、あるいは何かいえることがあるかというふうな話がありました。

 緑の地球ネットワークにも、いろんな自然利用活動にがんばっておられる方がいますので、上田先生が指揮をとりながら、とくに西伊豆の森林にかかわっている方々といろんな話をしていけば、そこから意見が出て、なんらかの打開策なり、今後の活動方針が見つかるんじゃないか、あるいはタネが出来るんじゃないかと、いう話です。
 これは桜井が得々として喋るんじゃなくて、あいつがなんか、どっかで見たことがある、知ってることがあるということを、こちらの方で考えている問題に対していろいろと意見を答えてみようとか、言って貰おうとか、そんな場にしようと考えました。

 まず最初に私が何が出来るのかということも含めまして、たたき台的にちょっと30分くらい喋ってみたいと思います。資料をいくつかお手元に用意しました。ほとんどは役所のホームページからひっぱりだしたものです。

 まず財産区から。財産区というのは何なんだということを、当然浅賀議長を始め地元の方はよくご存知でしょうが、初めての方もいらっしゃるようなので、用意しました。

 これを読んでいくと、各地域にある財産区はそれぞれ、みんな違ってますよ、過去の履歴も違うし、現在の運営の仕方も違いますよ、という書き方をしています。でも、親分、すなわち持ち主は市町村長であります。

 その市町村長のもとで、ここでは議会を作っているということでしたが、いろんな運営委員会、財産区議会議員といったものがあります。非常に厳格に運営されるべきスジのものでありますよということが書いてあります。

 それぞれの地区の経済的活動を便利に容易ならしめるために応援するような仕組みでつくったんだというのが、最初にいわれております。

 ネットで調べていきますと、西伊豆宇久須財産区森林整備事業補助金交付要綱がありまして、これが次のページでは西伊豆町宇久須財産区議会は、宇久須は西伊豆町と合併したんですかね、それで色々変わったよという話が書いてあります。色んな運営の仕方が書いてあるかなり細かいものまで、ホームページでは出て参りました。

 この付則の一番最後の所に、賀茂村の宇久須財産区議会設置条例は、賀茂村の分については廃止して、新しいものを今度はやりますよ、新しいというのは西伊豆町宇久須区になりますよということが書いてある。基本的に中身はほとんど変わってないと思うんですが、それを適用してやってくださいよという、こういうことをもっても、作られた山がかなりいい山としてあるということではないかと思いました。この前見てきたんですが、もちろんよくないというか、これからよくなるような状態になっている山もずいぶんあるんだろうと思います。

 それをどう使うか。財産区を本当の財産区として、資源として地域の活性化のためにどう使うというのを考えるのが、財産区の議会の仕事ですけど、それを利用する側の、管理する側以外の人達の仕事でもあるんだろうと思うのです。それから、財産区の資源にまつわる地域の方々あるいは、影響されるとくに川下といわれる人たちの仕事でもあるんだろうとも思います。というところで、何か使う道があるんだろうと思うわけです。

 いまでも材木というのは大事な資源で、実はかなりしっかりと使われている。私の友達にも山持ちがいまして、工場をつくってプレカットをつくり、俺ん家のヤマの材木を使った住宅資材ということで丸々売って、それなりの会社を経営しています。

 彼は大学のころ一緒にいろんな仕事をしたことがある人です。材木は安い安いというけれど、あれからずっと現在まで、会社もつぶれずにやっているから、儲からないという割は、潰れない程度の仕事はちゃんとやれているということですね。

 子どもを慶応や早稲田に行かせることが出来る程度の生活費が稼げているということであって、ちゃんとやれるじゃないかと思いました。昔みたいに左うちわにはならないかもしれないけれど、やれてる林家がある、そういうふうにやれてる山が実際ある以上、この宇久須財産区の山の木もそういったことが出来るとはずだというところで、それを考える道をつくってほしいと思うのです。

 私は山の運営は出来ませんし、材木を実際に使う側のことについては、口先労働者のレベルなので、あまり出来ませんけど、可能性がある以上は出来るんだろうということで、少し説明したいと思います。

 資料のタネとして田中淳夫(あつお)さんという方が書いた文章のコピーを用意しました。田中淳夫さんのブログから写したものですが、2010年6月11日と書いてあります。田中さんは林業ジャーナリストだと自分をいっております。おれしかいないんだ、林業ジャーナリストは、なんていってますが、静岡大学の林学科を卒業した物書きで、ゴルフ場は自然がいっぱいとか、割り箸が森を守るだとか、いろんな変わった視点での本を書いてる方です。

 最近、森林林業再生プランというのができました。これは、梶山恵司(ひさし)という人の考えたプランです。この人は、ドイツで勉強した人ですが、菅元総理がまだ総理でない時分に、将来の民主党の政策として、コンクリートから木材へ、コンクリートから人へというタネをつくるもとになるようなアイデアを与えた人です。

 ドイツの山を見ると、ドイツの国内で材木がちゃんと売れている。しかもドイツの北側の北欧の材木がいっぱい日本に来ている。それから、アメリカ西海岸のカナダ、アメリカのホワイトウッドといわれている樅の仲間とスプルースというトウヒの仲間、この二つの木でWWウッドというんですが、それが日本に随分きてますね。

 プレハブなんかの材料に使われてます。それにスギ材が負けている。材質から見ると、スギ材の方が絶対エライ。ヒノキはもっと丈夫、しっかりしている。でも、そういったものに負けているのを見て、日本の材木もちゃんと出せば使われるはずだったんだ、ドイツではこんなにうまくいって、オーストリアもこんなにうまくいっていると、梶山さんは菅さんを連れまわして、全部説明したんですね。菅さんはいたく惚れ込みまして、彼が民主党のトップになって、まずコンクリートから人へ、木材へと言い出しました。

 それで一昨年ですか、実際に梶山さんを総理府の内閣官房国家戦略室内閣審議官というのにつけまして、12月くらいから去年の5月くらいまでがんばらせました。その結果、森林林業再生プランというものができました。

 私はその時、それの管理人の方の側にいまして、こんなもんでよろしいかと答えを作るというところにクビをつっこんでおりました。でも実際には、林野庁の中枢の方には相談がきませんでして、いつのまにか先に話が進んじゃって、何だあの話はと、私はちょっといったことがあります。

 そのなかでひとつ、森林経営計画というのが話題になっていると田中さんのブログには書いてあります。
 森林林業基本法というのがあります。森林林業基本法で日本の国をうまく作るぞ、いままでの林業基本法ではなくて、生物多様性も考えた森林林業基本法に変えるぞということで、2003年に変えました。それを実行に移すために、森林林業基本計画という計画をつくりました。だいたい10年間を見通した計画を作りまして、5年ごとに見直して新しいものに作り直します。

 今回、民主党が政権をとったために、いままでの自民党が作ったやつよりはもっといいもの、それはコンクリートよりは人へということで、森林林業基本計画の見直しというのをやりました。それと並んでもう一つ、資料の中に「森林法の一部を改正する法律の概要」というのがありますが、これも林野庁のホームページからとったものですが、森林法の一部を改正するよ、というのを出しました。森林林業再生プランをやりやすくなるように法改正をやったわけです。

 その中身として、まず田中淳夫さんの文書に、「森林経営計画」というのが出てきます。それから「森林法の一部の法律を改正する法律の概要」という資料の一番下のところに「(3)森林計画制度の見直し」というのが出てまいります。

 森林所有者が作成する現在の森林施業計画を森林経営計画に改める。これが変わったところです。
 集約化を前提にして、これはあちこちにある山をぽちぽち切るのではなく、大きくまとめてしまって、一本の林道を通したら、その林道の上下で間伐も主伐も、あるいは新植もなんでも出来るという、まとまった団地にしましょうねということです。

 森林計画というのは、農林水産大臣が15年間先までを考える全国森林計画という計画を作ります。地域の計画は、民有林については県知事が作ります。これは10年間を対象にした計画です。国有林のは森林管理局長がつくります。その下の森林計画、地域計画は市町村長が作ります。そういう市町村長の計画のもとに、持ち主があるいは持ち主の委託をうけた森林組合などが、もちろんこの場合財産区も入りますが、こういったところが、森林施業計画というものを作ります。施業計画を作っているところには補助金をあげます、作ってないところにはあげないよ、こういう言い方で国は縛っているわけですね。

 その仕組みの細かいのは、県の農林担当のところにいくと教えてくれます。その施業計画は40ヘクタールプランをつくれ、40年間を見通して5年分をつくれと、こういう計画なんですけれども、これに対して、150ヘクタールあるいは300ヘクタールくらいの大きさがなかったらいろいろなものは引き合わない、ということで、大きな団地をつくろう、そのためには森林施業計画というものではだめじゃあないか、名前を変えて経営計画にすればいいじゃないか、簡単にいえばそういうことだと思うんですが、それに変えた。

 ついでに、「国会における修正の概要と」いうのがありますが、「新たに森林の土地の所有者になった者について届け出義務を課す」とあります。これは最近、国有林あるいは民有林を某国のひとたちが買う。外国人が買っていいのかよと、色々いってる問題がありまして、それについての歯止めというか、チェック用にこれを付けたということです。もとを正すと、なぜこんなことをやっていなかったのかと思うくらい馬鹿馬鹿しい話ですが。

 また、無届け伐採が行われた場合、伐採の中止命令が出来ることになった。まあ、こんな売りの文言が入ってますが、大きいのは森林計画制度の見直しです。(その2に続く)

台風4号被害&草刈り隊募集

2012-06-22 13:59:37 | 日記
 宇久須の藤原さんから台風4号の被害状況が届きました。伊豆は結構被害があったようです。それから草も茂ってきたようで、草刈り隊が必要なようです。30日の関東ブランチ例会にでも話し合おうかと思っていましたら、Hさんが30日に行くようなことをおっしゃっていますね。(A)

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宇久須の藤原です。
 18日(月)3時頃から雨が降り始め、夜間には猛烈な風が吹きました。
 夕方6時半頃には満潮を迎え、「高潮警報」が発令されました。
 その満潮と西風が重なったせいでしょうか、中央農道まで潮風が吹き抜けました。今日、仕事が無かったのですが、土肥高と土肥こども園へ様子を見に行きました。それほど被害が無かったため安心して再生休耕田へ様子を見にいきましたら、潮風にカボチャ・ヤーコン・サツマイモなどが被害を受けて、黒くなっていました。


 第2休耕田のヤーコン


 第1休耕田のヤーコン

 万次郎カボチャ

 下の畑のトウモロコシ

「主人の足音、肥料より効く」
 6月17日(日)いつもGENの合宿の時に、猪鍋やおにぎりを作って下さる、手作り味噌の会「雛の会」の方々が、第Ⅱ再生休耕田にダイズの種まきをするということで、労働力のお裾分け(結い)に出かけました。
1時から4時頃まで草取りをして4時から種まきをしました。昨年、万次郎カボチャを作った所のほうが排水が良いため譲りました。
 そしたらスローライフ部会の一員の浅賀和美さんが「おーい、藤原さん。7月10日頃までにGENのメンバーを呼んで,草取りをしないと,ヤーコンは別にしてサトイモやサツマイモが雑草に飲み込まれるぞ!!」といわれました。
 「大丈夫、6月30~31日に3名やってくるから…」と答えたのですが、6月の月例会と重なってしまっていたのですね。そこで,昨日予定していたサトイモの追肥・土寄せと、ジャガイモ(男爵)の収穫が終わりましたので,草刈り機を持って第Ⅱに急行し、畝間の雑草だけは刈っておきました。株間の除草までは間に合いませんでした。

 明日は台風の影響で作業ができるかどうか?GENの管理圃場には手を出さないつもりでいましたが、緊急避難的に手を出してしまいました。モットーは「主人の足音、肥料より効く」で す。

 別件ですが、「放射能No!ネットワーク取手」の竹内さんという方から、丁寧なお手紙をいただき、お盆前後に10日間ほど来たいとの事でした。その頃に宇久須へ来訪の方がおられましたら、お知らせください。もっとも5部屋有りますので,重なっても問題ないかなとも思います。
 交流もできますし、草取りもやって下さるみたいです。(F)

定植3週間後の写真

2012-06-12 20:57:15 | 日記
藤原さんから、定植3週間後の写真が届きました。
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 宇久須の藤原です。
 東海大学の関先生と学生4名も充実した日を過ごしたみたいです。
 私は第二再生休耕田で雑草との戦いでした。学校へ行った方が休まると実感です。
 第二再生休耕田の写真を添付します。
(F)


 サツマイモ

 サトイモ。草も元気。

 ヤーコン1.

 ヤーコン2

 行灯の中の万次郎

 大豆播種前のマルチムギ.

 隣の畑のキジ