忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

「愛妻弁当とは何か」

2011年02月05日 | 過去記事
「愛妻弁当とは何か」

昼休憩に「太巻き」を喰っていた。察しの通り、2月3日の残りモノだ(笑)。妻は「おかず屋さん」で働いているから、節分になると「太巻き」を巻きまくる。これの残りを大量に買ってくるのだ(従業員割引あり)。

妻が「今年はどっち向いて食べたらいいの?」と聞くから、私は南南東だと教えてあげたのだが、妻は私のほうを向いて食べていた。私が座っているのは、たぶん北北東だ。しかも、食べている最中、あれほど「しゃべったら福が逃げる」と教え込んでいるのに、途中でずっとしゃべっている。妻曰く「息継ぎなしで食べるのは無理。というか、全部食べるのが絶対ムリ」とのことなので、まあ、それも仕方がないことだ。それに我ら夫婦は、ちょっとくらい「福を逃がす」ほうがいい。あまり独り占めはよろしくない。

妻が美味そうに食っているのは「海鮮巻き」である。私と倅は普通の「太巻き」だった。値段を問うと、妻のは980円だった。私と倅の太巻きは380円だ。これが我が家だ。

ともかく、まだ、ある(4日夜現在)。明日の朝は焼いて喰う(泣)。


今日は朝早く起きて、妻が「たべたい!」と言っていた「ツナサンド」を作った。もちろん、私が、だ。倅の分は知らないが、それをひとつ妻に喰わせて、残り物の「太巻き」を袋に入れて職場に行ったのだ。私はそれを昼飯として喰っていた。すると、だ。

一緒にいたおばさんが先ず、反応した。それって、昨日の残りモノ?とか嬉しそうに聞いてくる。私は「はい、そうですが、なにか?」と返すのだが、その隣にいた30代前半の独身男が「あれれ?愛妻弁当じゃないんですかぁ?」とまた続く。私はまた「ああ、まあ、今日は・・・」とだけ返しておいたのだが、これがまた、人様の「太巻き」をネタにして、御昼休みのウキウキウォッチングの始まりとなる。

「だから、オレは結婚とか、アレなんですよねぇ~」

とか聞こえる。オバサンも続けて、

「うちの旦那やったら、絶対にそんなん、アレやわ」

と感心している。私はようやく、この二人が何を言いたいのかわかる。

つまり、こうだ。

結婚して当初、あるいは、付き合っている最中は「手作り弁当」とかあるけれども、何年も過ぎて熱が冷めると「節分の残りモノ」を旦那に持たせて仕事に行かせるのかいな?と言いたいのだろう。失礼ながら、私は笑ってしまった。

「結婚して何年です?」

私が、入籍してからはまだ数年ですが、一緒に住んでからは15年以上になりますな、と答えると、まさに我が意を得たり、嬉しそうな顔で「でしょう!」と何かを決めつけている。

ニヤニヤしているだけでもアレなので、私からも問うてみた。先ずは、オバサンだ。

「ご主人、節分の残り持たせたら、怒ります?」

持って行かないだろう、ということだった。それにお昼は弁当ではなく「お昼ごはん代」を渡しているのだとか。ま、いろんな夫婦があっていい。そして、次は30代前半だ。

「結婚したら、毎日、弁当作って欲しい?」

そりゃ、まあ、たまには・・・ということだった。理由は「飽きる」だ。ならば、この「太巻き」も結構・・・・うむ。たしかに飽きてはいる(笑)。というか、だ。


『私は今朝、妻の朝御飯を作りました。その日によりますが、果物で生ジュースを作るときもあります。今朝はね、私が“コレ持って行くから弁当はいいよ”と言ったんです。というのも、2日前に妻は髪を切りましてね。妻が気分転換で髪を切るときは疲れているときが多いんです。妻は私に“ごめんね”と言いました。私が“巻き寿司は好きだからいい”と言うと笑ってました。妻の“お仕事ご苦労様”という気持ちがあれば、これがコンビニ弁当でも、私には愛妻弁当なんですよ。妻が作っているだけなら、製造者が妻なだけですからね。それにこれは残りモノの太巻きですよ?つまり、残り福です。御蔭様で感謝しながら頂いてます』


と言ったら二人とも黙ってしまった。私はまた嫌われたかもしれない(泣)。

恋愛は愛情になる。愛情は情愛になる。そして、最後は「情」が結晶化する。我ら夫婦はまだ、そこに辿り着いてはいない。

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