忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

スカイツリー、日本の技術を結集(朝日新聞)>2012.5.23

2012年05月23日 | 過去記事

    



スカイツリー、日本の技術を結集(朝日新聞) - goo ニュース

< 22日に開業する「東京スカイツリー」は、足元からてっぺんまで日本企業の最新技術に支えられている。地震にも風にも強く、ながめも快適で、夜のライトアップもみせる。企業は、ここで得た技術を生かした新ビジネスの獲得にも期待を膨らませている。

 ツリーに使われた技術の中でも、重要度が高く、世界初なのが、塔のど真ん中にある「心柱(しんばしら)」をつかった制振システムだ。日建設計と大林組がつくった。鉄筋コンクリート製の高さ375メートルが、ツリー本体とは分離した形で立つことで、地震などの際に本体とは違う動きをして、ツリー全体の揺れを抑える。

 設計した日建設計によると、ヒントは日本古来の木造建築「五重塔」だ。地震による倒壊例が少ない。心柱と周囲のはりが離れていて、それぞれが揺れを相殺し合うとされる。スカイツリーの場合、心柱の内部は非常階段になっている>








京都駅前に水族館ができた。職場の同僚にまだ行っていない、と言うと「すごいよ!」と教えてくれた。「人の数が?」と問うと、やっぱり「それもあるけど」とのことだった。もうすぐ終わる「ツタンカーメン展」の話題も出た。行った人がいて「すごいよ!」ということだったから、私も興奮して「ファラオの内臓を入れていたという壷はどんな??」と質問したら、それなに?とか言われて驚いた。脅かしてやろうと「ファラオの呪い」も話してみたが、発掘のスポンサーだった「カーナヴォン卿」が急死したことも知らなかった。

要するに「古代エジプト」についてまったく興味がないのに「黄金の秘宝展」とか行って、金を払って並ぶだけのことだ。4時間待ちだったそうだ。本当の感想は「疲れた」だった。ちなみに7月16日まで延長された。「古代エジプトに住んでいた。ファラ男(名字はエジプト)のことはよく知っている」と豪語する妻が行きたがっているから、もしかすると行くかもしれない。妻のためなら数時間並ぶくらいなんでもない。

5月22日。私の41回目の誕生日を祝って「東京スカイツリー」の営業が開始された。予想通り、テレビではコレばっかりだ。年間、ツリーや周辺施設への来客数は2500万人、経済効果は880億円が見込まれる、ということだが、墨田区の商店街に金が落ちるとは限らない。ツリーの中には300店舗以上、各種テナントが営業する。客を逃がすはずもない。

私は性根が曲がっているから、このような「熱狂」ぶりには冷めてしまう。天望回廊かなんかしらんが、高いところに登るだけで3000円も4000円も払うのはイヤだ、とか思ってしまう。強風が吹いてエレベーターが止まり、天望回廊から降りられない客が十数人いた、とか笑ってしまう。滋賀県東近江市で起った交通事故、追突した女性ドライバーの「金環日食に気を取られ、脇見をした」を聞いて呆れる。世間がわぁわぁやると、どうしても天の邪鬼になってしまう。私の好きな作家さんの曽野綾子女史も毎日新聞で皮肉っていた。

<東日本大震災前に計画されたものだから、ぜいたくに浮かれたんですかね。日本人って本当に無駄、ぜいたくをしていました。しなくていいことをして、買わなくていい物を買って。ひとのぜいたくを何とも言えませんけど、嫌なのは『これを見ないと』というあの熱狂ぶり。それを『軽薄だ』と教える人がいない、教育不在ですね>

この人はまだ小さかった娘さんと街を歩いているとき、道端で何かのキャンペーンか、トマトを配っている人がいて、娘さんがそれを受け取り「得したね」と言ったとかで引っ叩いた、というエピソードがあった。さもしいこと言うなと。そこはせめて「嬉しい」で止めなさいと。これに私は多いに感銘を受けたのだった。これこそ日本人の教育だと思った。


しかし、曽野さんはこうも言う。

<一番ばかな発言は、『こういうものがある町を誇りに思う』という言い方。テレビで地元の教師が言ってました。出身地から誰が出ているから誇りを持てるとか、そんなこと何も関係ないですよ。うちの村からあの有名人が生まれたと威張る人がいるけれど、個人とは無関係。その人の才能や努力とは何の関わりもないことですから。それを子供にはっきり教えないといけません>

これも以前から書いていた。たしかフィギアスケートの有名選手をして「出身が同じだからどうした」みたいに書いていた。毎日新聞は喜ぶだろうが、実は、私はコレがわからない。

例えば、日本人はイチローを誇って良い。そこらの腹の出たオヤジが「イチローはすごい」と言ったところで、そのオヤジとイチローの努力や才能はまったく関係はないが、オレの国のプロ野球選手にはすごいのがいる、という自慢は健全なナショナリズムではないのか。

私は京都に住み始めてずいぶん経つが、やっぱり清水寺がある京都は誇らしいと思う。ドライブをしても「京都に住んでいて良かった」とか思う。だから墨田区の教師がツリーがあるから誇らしい、と言ってもおかしくないと思う。墨田区民が「王貞治は墨田区出身」と喜んでいてもおかしくない。墨田区は東京都にある。東京は日本の首都である。オラが町自慢とは郷土自慢、それは愛国心に繋がる健全足る公共心ではないか。

1949年に湯川秀樹が「中間子の存在の予想」でノーベル物理学賞を受賞したとき、敗戦で打ちのめされた日本人は「初の日本人受賞者」に勇気づけられた。出身地の京都府京都市だけではなく、日本中が自信を取り戻した。これを「中間子とか知らないのに何を喜んでいるのだ?」という人はいただろうか。湯川秀樹は湯川秀樹、あんたはあんた、何も関係ないから威張るな、という人はいただろうか。威張って良いし、誇って良いのではないか。

いや、むしろ、そうすべきなのである。日本人は日本人の功績を知らな過ぎるのだ。先の大戦における日本人の英雄的行動、あるいは戦後、奇跡の復興を果たした日本人の偉業を知らぬ存ぜぬ、オレには関係ない、とするニヒリズムの弊害は言うまでもないのである。

墨田区の野球少年がへこたれたとき、コーチは「この墨田区は王貞治が育った地なのだ」と叱咤してもよろしい。どころか、その墨田区在住の野球少年が「公式戦通算本塁打数868本」とか「日本で最初の国民栄誉賞受賞」の偉大な先輩・王貞治を関係ないね、と知らないほうがおかしいのである。



私は東京スカイツリーにまったく興味もない。東京に行ったとしても立ち寄らない自信もある。高いところは嫌いだし、人ゴミも勘弁して欲しい。墨田区の商店街は潤わないだろうし、近隣住民は既にゴミやら違法駐輪などで困っているから「よかったね」とも思えない。しかし、それでも<ツリーに使われた技術の中でも、重要度が高く、世界初なのが、塔のど真ん中にある「心柱(しんばしら)」をつかった制振システムだ>などは知識として吸収するし、さすが日本の建築技術はすごい、と誇らしい気持ちになる。もちろん、私は建築に興味はないし、経験も知識も素人なわけだが、それでも嬉しいと思ってしまう。



今月18日。種子島宇宙センターから「H2A」21号機が発射された。これで日本国産ロケットは15回連続打ち上げ成功なわけだが、これに「アリラン3号」という韓国の観測衛星が積まれていた。韓国は自前でロケットを飛ばせないから、日本のロケットに積んでくれと頼んだわけだ。憎い日本に頼んだのは価格の問題。ロシアよりも100億ウォンも安い193億ウォン(約13億円)ということで涙を飲んで日本に頼んだ。

韓国のテレビは特集番組を組んだが、その映像を見るとあったはずの「日の丸」が消えていた。ロケットに書かれていた「NIPPON」の文字も消され、代わりに「KOREA」というCGが入った。三菱重工業も度肝を抜かれただろうが、そもそも韓国の観測衛星「アリラン3号」は独自開発ニダ、ということだが光化学機器の開発はEADS アストリアム社が行った。使用されている光化学機器はカール・ツァイス社の製品だ。どこを切っても外国製なわけだが、コレが韓国人の手にかかるとロケットもなにも、ぜんぶがウリナラマンセ―になる。彼らはこれを「誇らしい」とかやる。

曽野綾子さんの言う<その人の才能や努力とは何の関わりもないことですから。それを子供にはっきり教えないといけません>の言葉は彼らに向けられるべきだ。




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