忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

忘憂之物 1

2013年06月26日 | 過去記事


池袋のビジネスホテル。不惑を2年過ぎて早起きになった私は「朝食バイキング」に急ぐ。名物の「手作りサンドウィッチ」を堪能してからコーヒーのお代わりを入れる。

時間もまだ早いから新聞を読もうと周囲を探した。すると、見当たらない。しかし、他の中高年サラリーマンも新聞片手に朝食を取っているから、どこかにあるはずなのだろうと思ったら、フロント近くに「売っている」のを見つけた。普段、あまり読まない読売新聞を買った。

席に戻ると違和感がある。私以外の数人は「朝日新聞」を読んでいたからだ。さすがは天下の左巻き新聞、右にならえが大好きな日本民族によく売れる、大したものだと感心した。

コーヒーをもう一杯飲んで、それからマルボロが吸いたくなったから切り上げた。部屋に戻ろうとフロントを通り過ぎるとき「タネ」がわかった。朝日新聞だけが馬に喰わせるほど積み上げられて「無料」とあった。ちゃんとコーナーも設置されて「今日の朝日新聞」のプレートまで用意されていた。要するにタダにしなければ手に取ってすらもらえない。

こちらは金を払った読売新聞。世の中タダより怖いものはない、と安心して開くとTBSの「時事放談」でお馴染み、御厨貴が「総理大臣の靖国参拝はアメリカが怒る」とか書いていた。安倍総理はアーリントン墓地と靖国を同列に語っているが、それはちょっと違うのだということだった。なにが違うのかと不思議に思ったら、日本の場合は「侵略戦争」の軍人がいるでしょう、という理屈だ。つまり、アメリカがやった正義の懲罰戦争にケチをつけることになる、それでもいいのかと。左に巻いた馬鹿の見本だ。

朝っぱらから野中とか土井たかこの話を聞いているとこうなる。世界にはテロリストを崇め奉る馬鹿な国もある。それでも国内的には勝手にさせておくほかない、というのが国際常識だ。結果的に国のためにならなかった馬鹿でも英雄視する自由はある。ましてや日本人として外国と戦争した日本の兵士を、日本人、及び、日本の政治家が英雄視してなにが悪いのか。その理屈なら世界のどの国でも軍人墓地は作れない。ヨーロッパからは墓地がなくなる可能性もある。

ところで、御厨は民主党が政権を盗ったとき、国の先行きを案じた多くの日本人に対し「民主党の政策がまとまっていないという指摘があるが、政権を獲ったことがないから仕方がない面もある」と産経新聞に書いた。最も心配された安全保障、外交においては「現実路線を踏まえて軌道修正すればいい。わからない問題に無理やり答えを出す必要はない」と無茶な庇い方もした。しかし、いよいよ民主党政権の阿呆さと売国が隠しきれなくなった2011年、御厨は素知らぬ顔で「安全保障上の危機が発生したときには、今の民主党政権では対応不能」(中央公論)とやる。

たぶん、舌が何枚かあるのだろうが、この読売の記事も同じだ。なんとなく「時流」とやらを読んだつもりで流している。いままでの流れのまま、惰性でモノを考えている。次の8月、本当に安倍総理が靖国参拝して支那朝鮮から非難轟々、となれば「ほらね」と威張る。日本の言い分など絶対に認められないアメリカが「懸念を表明」したら鼻息が荒くなる。でも、今回は「その後」がある。いままでのようにはいかない。安倍政権の支持率も下がらない。むしろ上がる傾向にある。アメリカも知っている。

日本を叩いてさえいればよかった阿呆メディアも気づき始めている。テレビで「何が悪いんでしょうね」というコメンテーターが出現し始め、マトモな学者も「これは内政干渉と言いまして」とかやり出す。そのとき、必ず、御厨などの連中は慌てて歩調を合わせる。



東京から戻る際、ちょっと足を延ばして靖国神社に参拝させてもらった。小雨が降る中、汗だくになった私は大鳥居の前でネクタイを締め直すと、不思議と背中に冷気を感じ始めた。参拝を済ませて喫煙所にいく頃には汗が完全に引いていた。時間も遅かったから「遊就館」も閉まっていたが、それでも警備の方が何人もいた。「立ち小便事件」からだろう。

お疲れ様です、と会釈して立ち去ろうとすると、中学生くらいの少年が数人、熱心に「パール判事」の石碑、説明文を読んでいるのに気づいた。そのまま警備員室前を通り過ぎ、裏から出ようとしたら、ベビーカーを押した若いお母さんが立ち止まって一礼していた。

今朝読んだ御厨の話を思い出した。本当に馬鹿だと思った。




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