ハッブルとプラスネジ

2009-11-21 20:06:42 | Weblog
最近観たテレビの中ではハッブル宇宙望遠鏡を救うミッションに基づいた報道番組が面白かった。これは今年5月に行われたミッションで、スペースシャトルで宇宙に飛び、病んだハッブル宇宙望遠鏡を捕獲して約1週間にわたる船外活動によって故障箇所を修理した、というのだ。大変な困難が予想されたミッションだった。数年にわたって綿密に準備し訓練をした結果が試される場でもあった。
ところが実際に宇宙で船外活動をしてみると、最もてこずったのがネジだったようだ。普通のどこにでもあるようなプラスネジである。これが2度にわたって宇宙飛行士を悩ませた。要するにネジが外れないのだ。回し過ぎるとネジの山が壊れてしまいネジはオシャカになる。
どうしてもネジが外れなければ(たとえ1本でも)その時点で修理全体を断念しミッションを放棄するしかないのだ、という。ネジに関する最初のケースでは、ネジを回す力が限度を越すと自動的にネジが回らないように保護する回路をオフにして、いわば「強引に」回してみよ、という指令が地上から出された。結果は正解で、ネジはみごとに回った。
ネジに関する第二のケースは、ある機械の取っ手の固定ネジだった。これが回らず取っ手が外れなければその他の作業が開始できないのだそうだ。このネジが回らなければけっきょくはミッション全体がアウトになる。
けっきょく取っ手そのものを引っ張って壊せ、という指令が送られた。これが正解で、力まかせに引くと取っ手は外れたのである。

いずれにせよ、現代テクノロジーの結晶ともいえるハッブル宇宙望遠鏡について最もクルーとチームを悩ませたのが平凡なプラスネジだった、というのはなかなか面白かった。テクノロジーの限度について示唆的でもある。
そもそもハッブルで金属を固定するのにプラスネジが使われていることは意外だった。(ネジは練りに練った材質の金属で出来ているのだろうけれども)

面白い。

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