斎藤元彦 冷血の知事「週刊文春」編集部 知事の能面を剝ぐ NO2
兵庫県知事・斎藤元彦 パワハラ告発
元局長を自死に追い込んだ「7人の脅迫者」
== 「週刊文春」編集部 2024/07/17 ==
== 「週刊文春」編集部 2024/07/17 ==
2024年3月、斎藤元彦知事のパワハラやおねだり疑惑など兵庫県政が抱える
7つの問題点を糾弾した文書は当初“怪文書”扱いされた。
それから4カ月、文書は今、県政を大きく揺さぶっている。
それから4カ月、文書は今、県政を大きく揺さぶっている。
作成者の死と引き換えに――。
7月7日午後8時半。
7月7日午後8時半。
兵庫県姫路市の静かな住宅街の一角はものものしい空気に包まれた。
赤色灯のついたパトカーや救急車が、ある民家の周りに集まっている。
赤色灯のついたパトカーや救急車が、ある民家の周りに集まっている。
近隣住民が訝しむ。
「あの家、空き家やったはずやけどどうしたんやろ」
家の中には、60歳の男性の遺体があった。
「あの家、空き家やったはずやけどどうしたんやろ」
家の中には、60歳の男性の遺体があった。
この春まで兵庫県で西播磨県民局長を務めていたⅩ氏は、
今は誰も住んでいない生家を最期の地に選び、静かに命を絶ったのだった。
彼のスマートフォンには、最愛の家族へのメッセージと共に、
今は誰も住んでいない生家を最期の地に選び、静かに命を絶ったのだった。
彼のスマートフォンには、最愛の家族へのメッセージと共に、
こんな文言も遺されていた。
◆「死をもって抗議する」
Ⅹ氏が「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題する
◆「死をもって抗議する」
Ⅹ氏が「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題する
A4判4枚の文書を作成したのは、2024年3月12日のことだった。
元局長が著した「告発文書」
元局長が著した「告発文書」

文書には、『知事のパワハラは職員の限界を超え、
あちこちから悲鳴が聞こえてくる』
『知事の自宅には贈答品が山のように積まれている』など、
7項目にわたる疑惑が記されていました。
7項目にわたる疑惑が記されていました。
告発文書は匿名で県関係者や報道機関に送付され、知事の目にも入った。
県はすぐに文書作成者がⅩ氏だと断定。
片山安孝副知事が自ら人事課長と共に西播磨県民局まで足を運び、
3月25日にⅩ氏の公用PCを押収。
3月25日にⅩ氏の公用PCを押収。
中には告発文書データがあった。(地元記者)
その2日後、斎藤知事は定例会見で文書について問われ、こうまくし立てた。
その2日後、斎藤知事は定例会見で文書について問われ、こうまくし立てた。
「業務時間中に『嘘八百』を含めて、事実無根の文書を作って流す行為は
公務員として失格です」
知事の口を衝いて出た嘘八百のひと言。
知事の口を衝いて出た嘘八百のひと言。
これ以来、X氏は苛烈な“脅迫”を受け続けることになる。
そもそもⅩ氏が告発したのは斎藤知事だけではない。
片山副知事、県職員の総務部長、産業労働部長、
若者・Z世代応援等調整担当理事の4人への言及がある。
「この“4人組”は、みんなもともと人事課出身。
2013〜16年に当時総務官僚だった斎藤知事が宮城県に出向していたころ、
東日本大震災の復興関連で、兵庫県も職員を派遣することが多かった。
東日本大震災の復興関連で、兵庫県も職員を派遣することが多かった。
するとこの4人組と斎藤知事は仲良くなり、いつも仙台でつるんでいた。
兵庫県庁では知事以下5人を『牛タン倶楽部』と陰で呼んでいます」(県職員)
2021年、大阪府財政課長だった斎藤氏は、
大阪維新の会の松井一郎前代表に抜擢されて兵庫県知事選に出馬、当選する。
「知事になった斎藤は、『牛タン倶楽部』のメンバーを側近として重用。
同時に『根回しは嫌い』を公言し、
県庁職員とのコミュニケーションを拒み、4人組への依存を深めていくばかり。
敵対的と見なされた者は次々と排除された。
最近は、斎藤に意見できる職員は誰もいなくなっていた」(県OB)
Ⅹ氏による告発も、斎藤知事や県政の在り方に不満を持つ者たちの声が
集まったものだったという。
「しかし、知事が勢い任せに『嘘八百』と口にしてしまったことで、
「しかし、知事が勢い任せに『嘘八百』と口にしてしまったことで、
県はあの文書を『嘘八百』と結論づけるための内部調査しかできなくなった」(同前)
だが4月16日、読売新聞が疑惑の1つとして指摘された知事の業者への
おねだり体質を裏付けて報道する。
怪文書として握りつぶされかけたⅩ氏の告発文書が、にわかに息を吹き返したのだ。
以来、兵庫県政はおぞましく蠢き始める。
