マンションの怪 7

2021-08-07 09:02:53 | 日記
引っ越しをしてから遅刻が多くなったY子。

オーナーに詰め寄られても、言い訳もせず頭を下げる。

遅刻した理由が言えない?

ただの寝坊だとしても、少し前のY子なら

「寝坊なんです‼️これから気をつけます❗」

…と、いい放つタイプだった。

そして、こんなに何度も寝坊などしない…。

目の下のクマもひどい…。


「ね、クマ、ひどいよ」

ロッカールームで声を掛けてみた。

「濃いめのコンシーラーあるけど…」

「あ、うん。貸して」

Y子は、自分のクマにも気づいていたようだ。

そして、濃いめのコンシーラーを目の下に塗った。

…それでも隠しきれていない…。

「眠れてないの?

「………。」

「何かあった?」

「………。」

Y子は、目の下にパフを何度もたたき、隠しきれないクマをファンデーションの上塗りで、何とかごまかしていた。

言いたくないのかな…。

これ以上聞けない…。

「…変な夢を見るの…。」

「…え?」


マンションの怪 6

2021-08-06 09:12:17 | 日記
それからのY子は、時々遅刻するようになった。

遅刻をしない日でも、ギリギリに駆け込む。

慎重で仕事に対しては真面目だったY子らしくない…。

「アンコ、今日もY子は来てないけど…、休みじゃないよね。」

「…休み…とは聞いてないです」

「昨日もギリギリだったし…。どうしたの?」

「さぁ…。」

仕事場のオーナーは、怪訝な顔で私に聞いてくる。

「まぁ…アンコはY子と一緒に住んでるワケじゃないから、聞かれても困ると思うけど…」

…その通りです💦

「痩せたよね。Y子」

…そういえば…確かに、目の下のクマも目立つようになったし、やつれた気がする。

「…すみません、遅れました。」

今日は10分遅れで登場してきた。

「Y子、いったいどうしたの?」

オーナーが突然険しい顔でY子に詰めよった。

「最近、遅刻が多いし、遅刻じゃない日だって、いつもギリギリ…。前は、遅くとも10分前には来てたじゃない?」

「…すみません…」

今までのY子なら、何かしらの理由を話す人なのに、

深く頭を下げると黙ってしまった。

マンションの怪 5

2021-08-05 12:27:43 | 日記
「ピンポーン、ピンポーン」

……。

「ピンポーン、ピンポーン」

……。

どうしたんだろう?

窓…というか、ベランダを開けっ放しで、出掛けたのかな?



「ピンポーン、ピンポーン」

……。

やっぱり留守なんだ。

こんなに来客のベルに気づかない鈍感なY子じゃない。


カチャカチャ…。

え?

チェーンを外す音がして、ゆっくりと扉が開いた…。

「Y子、いたの?」

「ごめん。寝てた」

「心配したよ」

「今すぐに用意して出かけるから」


とても疲れたY子の顔が扉の間から見えた。

…どうしたんだろう…。

何かあったのかな?

彼氏と揉めてるとか…?

いやいや、別れた彼氏はこのマンションを知らない…。

新しい彼氏?

…まさかね…。

結局、Y子は1時間遅れで仕事場にたどり着いた。


マンションの怪 4

2021-08-04 09:14:53 | 日記
引っ越しをしてからのY子は、新しい生活、マンションライフを満喫しているようでしたが、一週間ほどしたある日、異変が…。

時間になっても、彼女は仕事に現れない。

連絡も無い。

電話をしてみた。

…出ない…。

あ、この頃まだ、スマホはおろか、携帯電話も普及しておらず、電話といっても、自宅の電話にですね。

『出掛けているのかな?』

『何かしら、急に出掛けないといけない事が起きて、連絡もできない状況なのかな?』

彼女は、とても真面目な人なので、連絡もなく休むなんで、あり得ない。

「ね、アンコ、(←私)Y子の新しい家、知ってるんでしょ。今からちょっと行ってみて。」

急遽、Y子の家に向かうことに。

歩いても15分くらいの場所にあるマンションなので、私が様子を見に行くことに。

外から彼女の部屋を見ると…。

あれ?どうしたんだろう…。

その日は寒い日だったのに、ベランダの窓が開いている…。

閉め忘れて出掛けたのかな?

とにかく、彼女の部屋を目指した。


マンションの怪 3

2021-08-03 09:41:22 | 日記
Y子は、たくさんの不動産屋さんのパンフレットの中から選んだのは、小さめなマンションの4階。

今までは、こじんまりとした2階建てアパートの2階に住んでましたから、ちょっとした出世です。(笑)

もちろん、別れた彼氏には、引っ越し先は教えません。

彼女は、常に円満に恋愛を終わらせるタイプなので、過去の恋人とも時々連絡を取ることもありましたが、引っ越す先は教えない…という、自分なりのルールを持っていました。

さて、今度の住まいは、白い外壁の築年数は新しいキレイなマンション。

新しいカーテンを買ったり、買い物を楽しむ様子もあって楽しそうだった。

ところが、引越しが済んで一週間ほどしたある日、彼女は仕事場に来ない…。

連絡もない…。
どうしたんだろう…。