マンションの怪 9

2021-08-09 12:04:09 | 日記
ドスンという重たい何かが胸にのしかかると、今度は、人の気配。

そして、ゆっくりとした呼吸が聞こえてくる。

もちろん、自分のものではない。

「…それって、何?」

「わからない…。」

「Y子以外誰もいないんでしょ…」

「…うん。」

Y子は少し涙目になっている。

冗談や悪ふざけでは無さそうだ…。

「…それだけじゃないの…」

「まだあるの?」

「うん、むしろ、こっちの方が深刻…」

何故かY子は周囲を見回した。

それは、人の気配を察する見回し方ではない。

まるで見えない何かに怯えるかのような仕草のようだった。

「やっと眠りにつくと…今度は…」

外から誰かに呼ばれる声が聞こえた。

「後でね」

恐怖の限界の時に、話を中断された。

こんな状態がさらに恐怖を煽ったと思う。