恋のコワイ話し 11

2020-03-26 07:20:59 | 日記
いつもの居酒屋に来た…。

どの人が慎二さんの奥さんなんだろう…。

ひとりで飲んでいる女性はいない。

「いらっしゃいませ~!」

女性が入ってきた。

若い💦💦



…待ち合わせの人のところへ行った…。

奥さんじゃなかった…。


扉が開く度にふりかえる…。

時間とともに心拍数が上がる。


「いらっしゃいませ!」

え?!

…慎二さんが入ってきた。

え?どうして?
 

「慎二さん…。」

「え?ど、どうして君がここに?」

『それはコッチのセリフ』

…と、ユミさんは思った。


「ごめ~ん、少し遅れた~?」

あわてて入って来て、慎二さんの背中に駆け寄ったのはマリエだ。

「マリエ…」

「あっ…」

マリエは、ユミさんを見つけ、あわてて慎二さんから離れた。

「慎二さん。」

「……?」

「慎二さんが、今日ここへ飲みに来るのを知ってる人はいる?」

「い、いないよ…。」

「マリエとLINEやりとりした?」

「あ……うん……」

やっぱりだ…。

今日、ここでマリエと待ち合わせてるのを奥さんがLINEを見て知ってるんだ…。

ここで3人を会わせる…という計画にはまった。

振り回されている自分に腹がたった。

「あの、偶然店の前で慎二先輩に会って…」

「もう、いいわよ。」

マリエの無駄な言い訳にも腹がたった。

つづく。。。


恋のコワイ話し 10

2020-03-25 07:16:45 | 日記
ブー、ブー、ブー。

また、電話だ…。

ここ数日、電話に怯える日々…。

電話を替えようかとまで思った。

だけど、慎二さんがいる限り、奥さんも電話をすることが出来る…。

何をしても無駄だ…。

着信拒否も出来る…。

だけど、それも、ネガティブな結果になるこもしか想像がつかない…。



「会っていただけませんか?」

「……」

嫌です…と言いたかった。


「主人とあなたが会っていた居酒屋で待ってます」

強引に決められてしまった。



会いに行く。

何を言われても自分が悪い…。

直面しているトラブルは、対峙しない限り解決しない…と思った。

とにかく謝罪して、許しをこうしかない。




「お疲れ!」

慎二さんが笑顔で肩をたたいてきた。

彼もユミさんとの距離の取り方に悩んでいるのがわかる。

『温泉行くの?』『マリエと?』

まったく気にならない…と言ったら嘘になる。

だけど、マリエとの関わりがある限り、奥さんからの電話は続くだろう…。

「慎二さん!…ちょっと話しがあるの!」

二人で、使われていないコピー室へ。

「マリエと付き合っているの?」

「そんなことより、最近の君変だよ。どうして避けるの?」

「そんなこと、どうでもいいの。とにかく、マリエと付き合っているかどうか教えて!」

「付き合ってなんていないよ」

「わかった…。」

本当の事を言うとは思えないけど…、慎二さんの唇の端が少し上がった。

慎二さんが嘘をつく時、誤魔化す時に、唇の端が上がる。

奥さんに会いに行こう…。
 
つづく。。。


恋のコワイ話し 9

2020-03-24 07:01:57 | 日記
奥さんからの電話だ…。

「………はい。」

「…出てくださらないかと思いました。」

「………。」

「会っていただけませんか?」

「あの…、もう私。」

「知ってます。主人とはもう切れたみたいですよね…。」

「…なので、もう、電話を掛けないでください。」

「…ですが、間違えないでください。あなたが不倫をしていた事実は消えませんから。」

「………。」

「主人と切れれば許されると思ったんですか?」

「………。」

「お願いしたはずです。主人と原口マリエさんとの縁を絶って欲しいと…。」

「…え?」

それじゃ…、奥さんの目的って本当に慎二さんとマリエとの縁を絶つことなの?


それからユミさんは、意識してふたりの様子を見守ったが、特に発展している様子にも見えなかった。

いや、もしかしたら、発展しているからこそ、自分たちの行動を意識して抑えているのかも知れない…。

もし、ふたりが進展していても、それを阻止する力なんてない…。


「お願いだから、マリエとは別れて!!
マリエのせいで、私が奥さんからの電話に怯える生活送っているんだから!」

…っと、叫びたい。

とりあえず、私が、マリエとのことを"知ってる"ことは、慎二さんは知らない。

どうしたらいいのか…。

「話題の温泉、行ってみたいなぁ…と思ってたの~❗」

マリエの会話が聞こえてきた。

…温泉?行くの?もしかして、慎二さんと…?!

つづく。。。


恋のコワイ話し 8

2020-03-23 08:30:12 | 日記
慎二さんと、仕事の打ち合わせで入った喫茶店…。

客はそれほどいない。

ガラス張りの向こう…、外側からも見通しがいい。

ユミさんは、落ち着かない…。

どこからか見られている気がする…。

「どうしたの?」

さすがに慎二さんも、そわそわするユミさんが気になったようだ。

「さ、仕事の話しは終わり。これからどうする?」

「……帰ります。」

「ちゃんと話し合おう。最近の君、変だよ。いったいどうしたの?」

「……」


やっぱり…慎二さんは知らないんだ…。

奥さんが私に電話してること…。

「飲みに行こう!」

「私、帰ります。」

慎二さんが立ち上がったと同時に急いで店を出た。


いつも、逃げるように慎二さんの誘いを振りほどく。

全く、奥さんの思うつぼだろう…。

こうして自分が見えない『誰か』に怯えて過ごす…、結果、不倫が終わる…。

また、慎二さんの手を振り切ってしまった。

いつか終わらせ無くては…と、思ってはいたが、こんな終わり方だなんて…。



その後も、慎二さんとコンビを組んだ仕事も粛々と進んだ。

慎二さんもユミさんの気持ちを察して、無理に踏み込むこともせず、一定の距離を保ってくれた。

会社内で慎二さんと会話をすることも、仕事終わりに話しながら歩くことも気にならなくなってきた。

少しずつ日常が戻って来た気がした。


ーーそしてまた、ユミさんの日常を脅かす電話が鳴った。

奥さんだ…。


つづく。。。

恋のコワイ話し 7

2020-03-22 07:30:53 | 日記
ずっと慎二さんからのメールも電話も無視している。

電話恐怖症になってる…。

会社でも、慎二さんを避けていた。

「何かあったの?」

はじめの頃は慎二さんも人目を避けながらユミさんに話し掛けて来ていたが、一週間もすると、慎二さんの方も諦めたのか、話しかけることをしなくなった。

これでいいんだ…。

慎二さんの奥さんの策略にはまったのかも知れないけど…、もともと行く先の無い恋だったんだから、これで良かったんだ…。

そう思うようにすると、マリエのことも気にならなくなってきた。

慎二さんの携帯を見ているんだろう…と思われる奥さんも、これで落ち着いてくれると思う…。


数日経ったある日、ユミさんの生活も落ち着きはじめた頃…。

くじ引きで、会社のイベントのスタッフに任命された。

ところが、もうひとりのスタッフに慎二さんが選ばれてしまった…。

こんなタイミングで…。

とりあえず、打ち合わせで、ふたりで話し合うことになった。

「居酒屋…より、喫茶店の方がいいかな?」

慎二さんが何かしらを察して、打ち合わせ場所の提案をしてきた。

「喫茶店で…お願いします」


本当なら、ふたりで会いたくない…。

やっと落ち着いて来たのに…。

つづく。。。