みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

ヤマネコ毛布

2007-03-12 | 心があたたかくなる絵本
 『ヤマネコ毛布
 山福朱実 作◆画  パロル舎

とても素敵な版画の絵本に出会いました。

ヤマネコは、意を決してハリネズミに言いました。
「たびに出ようとおもう。」
それを聞いて驚いたハリネズミは、森の仲間たちに
布とハリを配り、森の思い出を刺繍してプレゼントしよう
と提案します。
ヤマネコ、クマ、トラ、カワウソ、オオカミ、トリ、
ウサギ、ハリネズミ、みんなそれぞれ、ヤマネコとの
思い出を刺繍してその布をつなげ、すてきな毛布にしたてます。
しあげは、チョウチョたちのきらきらのりんぷん。

追いかけられてイヤな思いをしたリスだって、
やっぱり、これ・・・と、森のにおいをたっぷりつめこんだ
まくらを持ってきて、ヤマネコはおもわず「うわおん」

旅立ちの季節に、思い出たっぷりの毛布とまくらなんて。
ヤマネコにとって、何よりの餞別だったろうな。

山福さんの初の書き下ろし絵本だそうですが、
木版画がとても味わい深く、色も美しくてみとれます。
いったい何色刷りなんだろう?と思いきや、
すべて2色刷りなのだとか!
愛嬌のある動物たちの表情も、微妙な色合いも、すべて
手作業の賜物なんですね。

巻末にはなんと、切ってそのまま使える、ポストカードつき。
その8枚の図柄は、森の動物たちが刺繍した、ヤマネコとの
思い出の絵(刺繍)なのです。
なんとぜいたくな・・・。使えません!が、とてもうれしい♪

小林敏也さんの宮沢賢治版画絵本や、ライナー・チムニクなど
好きなシリーズの多いパロル舎さんの絵本。
さすがにこだわりが随所に見られて、一目ぼれしました!
(帯の紙まで好きな感じ)

検索してみたら、なんとご本人のブログがヒットし、
色指定の大変さが伝わってきます。(⇒
知らなかったけれど、12月にビリケンギャラリーで
原画展もあったのですね。
絵本出版前の原画展だったようなので、今後も機会があると
いいなぁと思ったら、どうやら近々その機会もあるようです。
(山福さんブログより) うれしいナ~♪


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10 コメント

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Unknown (ayano)
2007-03-12 15:34:05
ヤマネコ毛布、なんだか表紙に一目惚れ。
子どもにはもったいない・・・ってことはないでしょうが、自分がゆっくりお茶でも飲みながら眺めて、楽しみたいような感じです。
実際見たらどんな感じなのかしら。見てみたいなあ。
山福さんのブログも覗いてみました。書店平積みなんですね! 今度近所の本屋さんに行ったらチェックしてみたいと思います♪

それにしても、「たびに出ようとおもう。」という第一声がいいですね。
ああ、たびに出たい・・・なんてふらっと思ってしまったり、しました(笑)。
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いかにも (ひろのしん)
2007-03-13 00:55:02
宮沢賢治の本?と思わず思ってしまったのは、なるほどそういうわけだったのですね。
なんか雰囲気がね、それっぽい。
一連の宮沢作品の絵柄もすごくいいですよね。
この絵本の表紙も味があっていいですね~。
原画もきっと迫力満点なんでしょうね。
今度行かれた際の、報告の記事もなんとなく期待しちゃうな。
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春のたびだち (るる)
2007-03-13 13:17:25
版画って味があっていいですよね~私も好きです。画を製作するだけでもとても手間がかかっていると思われるのに、それを絵本に仕立てるのって、大変そう。だからこそ、いとおしく大切に味わいたくなります。

おはなしも、この季節にぴったりですね。旅立ち…
昨日、次男の幼稚園で謝恩会があり、担任の先生の涙を見たばかり。週末には卒園式なので、しんみりしそうだけれど、この森もみんなのように、子供たちの“旅立ち”を祝って応援してあげなくっちゃと、あらためて思いました。
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Unknown (ペンギンブルー)
2007-03-13 13:29:32
フラニーさん、こんにちは。
わぁ、本当に素敵な絵本ですねー!
なんて、幸せなヤマネコちゃんなんだろう。
こんな毛布持ってたら、つらいことがあった時でも、夜は慰めてもらえたり、励ましてもらえたりして眠りにつけますね。
卒業シーズンにも合いそうな絵本、お別れする友達に贈りたいような...。
版画も色合いとかキレイですね。
フラニーさんが、紙質がすきっていうのって、とってもよくわかる。
私も紙の匂いとか、感触とか、マット感でかなり印象が変わっちゃうので...
この絵本もまた探してみますね~。
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●ayanoさんへ (フラニー)
2007-03-13 23:08:43
わぁ、うれしい♪ayanoさんも、表紙に惹かれましたか!
わたしもほとんど一目ぼれししたので、なんだかうれしいです。
表紙も素敵だけど、中を一ページ一ページ繰るごとに、味のある版画に釘付けになりました。
色だってうっとりですよー。
そして極めつけは、巻末ですから!
あの写真からすると、大きな書店さんでは、平積みになっているんでしょうか。
わたしもまた、あちこちで、チェックしてしまいそうです(笑)

ふふ、「たび」にピピピッと反応しますよね
ayanoさんのバイクの音までちらりと聞こえてきそうです。
私もちょっと(いや、だいぶ!?)ヤマネコがうらやましいですよ~。かなり旅に出たい気分です。
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●ひろのしんさんへ (フラニー)
2007-03-13 23:35:07
わたしも最初のぱっと見、宮沢賢治かしら?と思ったのですよ。
山福さんご本人のブログを拝見していたら、この絵本の装丁には、小林敏也さんがかかわっていらっしゃるようで、なるほどーと思ってしまいました。
あの方、賢治のおはなしごとに版画の雰囲気もかえているくらいですものね。
大好きなシリーズです。全編読んでみなくては!

この絵本、中もとってもカラフルで素敵なんですよ~。
また原画を見ることがあったら、ご報告できるといいんですけど。
版画の原画って、見ごたえありますもんね♪
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●るるさんへ (フラニー)
2007-03-13 23:43:21
るるさんの次男くん、いよいよ週末は卒園式なんですね!
おめでとうございます♪ 
寒くなるような話も出ていますけど、お天気がよくなること、お祈りしてますね。
旅立ちの季節、新しい環境にまた一歩飛び出していく次男くんにエールをおくるー。(フフ)

以前はずっと版画の年賀状にしていたことがあって、*色刷りの気の遠くなる作業を思い出すと、やっぱりプロはすごいなぁ・・・と。
比べる話でもないですけど、思ってしまうんですよね。
出てくる動物たちもそれぞれ楽しいし、色指定された色は微妙な色あいがとてもすてきです!
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Unknown (maruko)
2007-03-13 23:50:28
私も表紙に魅了されてしまいました~
色もいいですね、これは書店に走らなくては!!
それにしても旅のお餞別に、思い出と友情をいただけるなんて
本当に幸せなヤマネコさんです
それだけみなに愛されていたのでしょうね
あぁまた別れを思いしみじみしてしまいますね…
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●ペンギンブルーさんへ (フラニー)
2007-03-14 00:02:25
ペンギンブルーさんの書いているとおり、しあわせなヤマネコは、夜な夜な”森ののにおいとおもいでに包まれて”思う存分眠ったんですよー。
私、「うわおん」の感激の泣き声も気に入ってしまいました!
本当に、遠くへ行ってしまう友達に贈りたくなる絵本ですよね。

紙質好き♪に共感してもらえて、また「うわおん」ですよ
けっこう、紙質うるさい派なんです(笑)
紙の匂いか・・・確かにそうですね~。ふふ、なんだかくんくんしながら、すりすりしている図を想像すると、笑えてしまいます♪
おつきゆきえさんなんかは、噛んでみることもあるとおっしゃって、さらに上手を実感しました(笑)
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●marukoさんへ (フラニー)
2007-03-14 00:09:57
marukoさん、お忙しいのにありがとうございます~♪
表紙絵、ビビビッと刺激的ですよね。
中の各ページもそれぞれ2~3色(それ以上のページも)が、絶妙な配色で組み合わされていて、この版画好き♪と惚れました。

ほんと、唐突に旅に出ると宣言して、こんなに心こもった贈り物をもらえるヤマネコくんは、人徳(。。。ネコ徳か? )があるんでしょうね。
最後、声を大にして泣く姿がとってもいとおしいです(笑)
marukoさんの先生、もうお引越しされたのかな。
わたしのほうも、先日記念パーティ兼、実質お別れパーティをしてきましたよ(涙)
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