ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ハイエナがオドオドするようになったわけ(2)

2008-02-26 | 放蕩息子Part2
一匹のハイエナが、何かおもしろいものはないかと、ウロウロしていました。草原の向こうまで来ると、道がだんだん狭くなってきます。両脇は、急な谷になっていて、山肌にはトゲトゲ石がたくさんあり、一度落ちたら、もう這い上がってくることはできないでしょう。動物たちは、そこを通るときは、本当に気をつけて、歩いていました。

ところが、そのハイエナは、あまりにキョロキョロしながら歩いていたものですから、うっかり足を滑らせて、暗闇谷に落ち込んでしまいました。滑り落ちながら、山肌のドゲドゲ石でからだ中傷だらけになり、谷底に着いたときには、身動きできないほどでした。

谷底は、だんだん暗くなってきました。風が吹くと、なにやら不気味な音が聞こえます。ハイエナは、がんばってからだを起こし、這い上がろうとしましたが、少し上がると、またすぐ滑り落ちてしまいます。滑り落ちると、トゲトゲ石でもっとからだに傷が増えます。助けを呼ぼうにも、近くにはだれもいません。もう、どうすることもできません。

(つづく)