ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

正直村の子どもたち(6)

2008-09-11 | 放蕩息子Part2
お昼ごはんが終わると、校長先生が言いました。

「じゃあ、これから、さっそく再試験をします。」

それまで楽しかった雰囲気が、一気に、張り詰めました。

「そんなに緊張しなくても、大丈夫。普段学んだことが、テストになっているだけだから。できた人から、提出して、教室に戻っていいですよ。」


再試験が始まりました。生徒たちは、緊張して、テスト問題を受け取りましたが、やりはじめると、スラスラ解けました。さっきの校長先生の話が、どれも大切なポイントの復習になっていたのでした。


再試験を終えた生徒たちはみんな、次から次と、ニコニコ顔で、校長室から教室に戻っていきました。


さて、教室に残っていた生徒たちは、校長室に行った人たちがお昼になっても帰ってこないので、きっと、校長先生にこっぴどくお叱りを受けているのだろうと、恐れていました。

ところが、話を聞いてみると、ぜんぜん違うのです。校長先生の話も楽しく、特別料理の給食、そして、再試験も楽々に済んだ、というではありませんか。

「それなら、俺たちも、校長室に行こう。」
「そうだそうだ。申し出に行こう。」
カンニングをした生徒で教室に残っていた全員が校長室に向かいました。

(つづく)