ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

二匹の子羊と羊飼い(6)

2008-03-08 | 放蕩息子Part2
メー吉は、その騒ぎにも目を覚まさず、ぐっすり眠り込んでいました。

狼は、今度こそはと、前よりも、もっともっと慎重に、
足音を忍ばせて、
その子羊に近づいて行きました。

さて、羊飼いは、群れを集めて、羊たちを確かめていました。
そのなかにメー吉はいません。
羊飼いは、群れをそこに残して、大急ぎ、メー吉を捜しに行きました。

狼がメー吉に襲い掛かったのが先か、
羊飼いが狼に杖で殴りかかったのが先か、
それはよくわかりません。
でもとにかく、間一髪のところで、
メー吉は狼の牙から助け出されました。

羊飼いは、メー吉を抱いて、群れに戻ってきました。
そして、メー吉をメー子の横に置きました。

メー吉は、そっと、メー子に言いました。
「僕は、羊飼いとずっと一緒にいたいよ。
 この群れから決して離れない」
「羊は、羊飼いにはなれないわ。
 羊飼いと一緒にいるのが羊なのよ」
メー子が眠たそうにそう答えたときには、
メー吉は、もうすっかり眠っていました。

(次回は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります)