『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

❝SAPIX独壇場❞も中学受験「学習塾」の栄枯盛衰

2021-08-31 16:38:02 | 日記
少子化が叫ばれてはいるが、「中学受験熱」の高い都心部にしぼって見るならば、児童数は増加を辿っているし
近年の大学入試改革の混乱ぶりを目の当たりにした小学生保護者がわが子の「学歴」を高め就職を有利にさせたい
いう動きが加速している。コロナ禍の学校休校期間中、公立と違い、私学の大半がオンラインを活用した教育を充
実させたこと。これらが中学受験の盛況させている要因です。 ぶっちゃけ子供が社会に出て、親の力不足で苦労す
る姿は見たくないというのが「中学受験熱」の遠因なのです。
以下抜粋コピー
 それまでほとんど、裕福な家庭の子どもに限られていた中学受験が平均的な家庭の間でも増えだしたのは1960年代。
政府が所得倍増計画を打ち出し、日本経済が右肩上がりで成長していた時代である。麻布や開成といった私立中高一
貫校や、東京教育大附属駒場(現筑波大附属駒場)などの国立中高一貫校が躍進。大学入試で華々しい活躍を見せ始
めると、中学受験戦線も一気に過熱する。そこで中心的役割を果たしたのが、受験を前提とした学習塾だった。

■日進を知らずして中学受験を語れなかった1960年代

 そんな中、首都圏の受験戦線を席巻していたのが日本進学教室、通称「日進」である。小学6年生を対象に
毎週日曜日、テストを実施。「難関校の受験を目指す小6の8割以上が日進に通っていたんじゃないかな」と
振り返るのは60代の麻布OBだ。 「テストのあとに授業も少しはやっていたんだろうけど、ほとんど記憶にな
い。とにかく、テスト、テストの繰り返し。そして、その結果が翌週に発表される。上位にくるのは、いつも
同じ顔ぶれ。どんなヤツかはわからないんだけど、名前だけは覚えてしまった。麻布に入学したら、見たこと
のある名前の生徒がクラスにいっぱいいるので、驚いた記憶がある」日進を知らずして中学受験は語れないと
いうほどの絶対的存在だったが、70年代に入ると急速に衰退していく。そのあたりの事情に詳しい学習塾経
営者は次のように話す。

「創設者が80歳を超え、長女に経営を譲ったのですが、そこから内紛が起こり、屋台骨を支えてきたスタッフ
が次々に出ていった。瞬く間に生徒数は減っていき、いつのまにか消滅してしまったのです」

■「予習シリーズ」で躍進した四谷大塚

 代わって台頭したのが四谷大塚だった。

「やはり、日曜テストを中心に運営していたのですが、日進の寡占状態に風穴を開けることはなかなかできなかった。
そんな時に、迫田文雄さんという小学校の先生を教務部長としてスカウト。四谷大塚の代名詞ともいうべき
『予習シリーズ』を手がける。徐々に注目を集め、日進の弱体化もあってその立場が逆転してしまうのです」(同)
 予習シリーズは「中学受験のバイブル」とも呼ばれているテキスト。質の高さには定評があり、何度も改訂を繰り
返しながら、現在も四谷大塚の直接校舎や提携塾で使われ、一般販売もされている。日進を倒し、トップ中学受験塾
に躍り出た四谷大塚だったが、興隆は長くは続かなかった。90年代後半になると、躍進目覚ましい日能研に、難関中
学への受験実績で抜かれるのである。「難関校合格者数は生徒獲得を大きく左右する。トップを陥落した結果、経営
にも暗い影が差すようになる。バブル期に教室を増やしたことによる負担も大きく身売り説が飛び交うようになるの
です」(四谷大塚元スタッフ) 結局、四谷大塚は06年、東進ハイスクールを運営するナガセに全株式を譲渡。
傘下に入ることになった。一方、頂点に立った日能研も、長くその座にとどまることはなかった。次第に、難関校へ
の合格者が減ってしまったのである。さまざまな層の生徒を入れて、マンモス化が進むにつれ、難関校を目指す受験
者や保護者から敬遠されるようになっていく。間口が広がったぶん
成績上位者にとって充足感が乏しくなったせいだ。

■SAPIXはTAP進学教室の分裂で発足  難関校受験に絞れば、近年、絶大な人気を誇っているのがSAPIX小学部。前出の日
進、四谷大塚、日能研が1950年代に誕生したのに対し、SAPIXがスタートしたのは89年。家庭教師派遣業から学習塾に鞍
替えしたTAP進学教室が分裂する形で発足した。「やはり日進と同様、これも内紛です。オーナーと講師陣が対立。4教科
の主要な講師がほぼ全員、SAPIXに移った。塾業界ではオーナーによる私物化が目立ち、こうしたことがしばしば起こる。
結局、TAPも消えてしまいましたが」(前出・学習塾経営者) TAP時代も難関中学の受験には定評があったが、SAPIXに
なってからは一層の強化が進んでいる。それは2021年の合格実績を見ても一目瞭然だ。

 東京・男子御三家の開成269人、麻布207人、武蔵61人。新御三家の駒場東邦173人、海城247人、巣鴨224人。女子御三
家の桜蔭160人、女子学院145人、雙葉54人。国立の筑波大附属90人、筑波大附属駒場86人。神奈川・男子御三家の聖光学
院229人、栄光学園105人、浅野263人。挙げだしたらきりがないほど、他の学習塾を圧倒しているのだ。「SAPIXの天下は
当分、続きそうに思いますが、これまでの歴史を見てもわかる通り、何があるのかわからないのがこの業界。少子化問題も
大きくのしかかってくるだけに、生徒の奪い合いはさらに激しくなってくる。周囲の学習塾にとっても、いつまでもSAPIX
の独走を許しておくわけにはいかないのです」(学習塾経営者)いずれにしろ、大人の勝手な都合で、子どもたちに迷惑
がかかるようなことだけは避けてほしいものだ。

(田中幾太郎氏/ジャーナリスト)

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